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Tuesday, April 05, 2011

液状化で思案きわまる都知事選

3月17日付の東京新聞朝刊でこんな記事があります。

東京新聞:築地移転先、地震で弱点露呈 豊洲が液状化:特報(TOKYO
3.11震災で千葉県浦安市など臨海部の液状化現象が報告されてますが、実は豊洲もということですが、それが今、築地市場の豊洲移転問題を不透明にしております。

新交通ゆりかもめの市場前駅周辺が築地市場の移転先ですが、元々は東京ガスが保有する石炭埠頭で、石炭ガスプラントがあったため、土壌に触媒の砒素に由来するベンゼンが環境基準の1,600倍、シアンが33倍と、食品市場の移転先として問題を指摘されておりました。都は、表土2mを入れ替え、アスファルトで被覆するから安全として移転を進めてきました。

しかし2009年7月の都議選で、移転反対を掲げた民主党が議席を伸ばし最大会派となった結果、移転に暗雲漂う結果となりました。そのため市場移転費用を織り込んだ予算案が都議会の承認を得られずに足踏みしていたのですが、3月議会で花輪ともふみ議員の突然の会派離脱と特別委欠席で形勢逆転となり、予算案が可決成立しました。

とはいえ市場関係者の反対や中央区の要望提出など、問題を抱えたままの上、今回の震災で液状化現象と見られる泥の噴出しが見られ、当然汚染物質を含んでいると考えられることから、土壌調査や汚染対策工事自体を最初から見直す必要があります。

一方で都議会民主党に離反者が出たことで、市場移転が可能になったと見たのか、4選出馬を明言していなかった石原知事が一転出馬表明し、石原氏の後継狙いで鞍替え出馬を表明していた松沢成文神奈川県知事が出馬撤回するなど混乱しました。一説によれば副知事ポストの密約があるとかないとか。

で、出馬表明した石原氏は築地市場の豊洲移転を明言しており、再選されれば強引に進められる可能性があります。というわけで、都民でもない私が要らぬお節介をしたい気分となったわけです。都の発表では液状化対策も発表されてますが、専門家に言わせれば不十分なもので、実際現地で墳泥や地割れが見られる以上、再調査は避けられないところです。

一方の築地ですが、地盤が強固で震災の影響は全く見られなかったということで、市場関係者の移転反対の意思を強める結果となっております。といったところが概略ですが、不思議なことに、東京新聞以外のメディアでは扱いが小さく、あるいは全く取り上げられていないのですが、震災や福島第一原発事故報道の裏で、このような事態が進行していることは、もっと知られて良いと思います。

この問題は石原知事にとっては逆風となるでしょう。はっきり言って対立候補が小粒で、石原氏の再選の可能性が高いと思いますが、この問題が認識されれば、話が変わってくる可能性があります。あるいはそのためにメディアが自主規制しているというわけではないと思いますが、ますます変な日本のメディアです。

石原都政ですが、銀行税は訴訟の結果敗色濃厚で撤退、千万単位の還付を利付きで行う羽目となりましたし、新銀行東京は杜撰な経営で行き詰り、400億円の追加出資をしながら、未だ立て直しのメドが立たない状況です。必然性に乏しいオリンピック招致にも失敗しましたし、3期12年の成果は驚くほど乏しいのです。

加えて今回の震災の「天罰」発言など、メディアを賑わす不適切発言の多さも突出しております。折角のさくらの季節に「花見自粛」もトンチンカンです。被災地のためにも経済を浮揚させなければならないときに、消費を萎縮させるのは問題です。都民の良識に期待したいところです。

そういえば一時猪瀬副知事の後継出馬が噂された時期もありますが、流石にリスクを取って選挙に出る度量はなかったようです。地下鉄一元化も結局時期尚早として門前払いされました。著書で展開した地下鉄一元化論は穴だらけでお話になりません。簡単に言えば東京メトロと都営地下鉄の建設時期の違いが債務残高に反映されただけで、2007年に単年度黒字を達成した都営地下鉄は、今後債務償還が進んで優良企業になるというのですが、逆に言えばそれまで待ってから一元化ということで、決して直ぐに実現する話ではないんです。

にも拘らず「メトロを上場すれば一元化の可能性がなくなる」という理屈で保有株式の売却を渋っているんですが、そもそも株式上場の意義を理解していないのですから頭痛いところです。メトロ株の売却益で都営地下鉄の債務償還をすれば、一元化の時期を早められるとは考えず、むしろメトロの支配権を手放したくないという意図まる見えで見てるこっちが恥ずかしいです。地下鉄は誰のものか、少なくとも猪瀬某のものじゃない。

今回の震災、液状化、計画停電で、臨海部の高層マンションの人気に翳りが見えてきました。逆に地盤の安定した築地市場跡地は再開発適地としてゼネコンやデベロッパーの注目を集めたと見るべきでしょう。とすれば石原知事再選で市場移転は強引に進められる可能性が出てきました。そして待ち受けるのは、ミニ地下鉄としたためにキャパシティを超えた開発に苦しむ大江戸線勝どき駅の悲劇の再現でしょうか。東京都は大江戸線で田園都市線を再現しようというわけで、なるほど地下鉄利権を手放したくないわけです。

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