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Sunday, June 19, 2011

辞められない止まらないやっぱアキカン

この人のしぶとさは何なんでしょうか。既に民主党執行部からも早期退陣論が聞こえる中、それでも辞めないアキカン宰相は、再生可能エネルギーの全量買い取り制度成立に意欲を燃やします。

時事ドットコム:「顔見たくないなら法案通して」=菅首相、自然エネルギー普及に意欲
ソフトバンクの損正義社長に土俵際の粘り腰を褒められましたが、犬のお父さんでお馴染みの白戸家に加わる狙いか(笑)。この法案は既に閣議決定して国会へ提出されているものの、委員会審議にすらかけられておらず、会期中の成立はほぼ不可能ですが、ある意味菅首相自身が示した「花道」ということですが、問題があります。

そもそも現在でも一般住宅向けの太陽光発電で余剰電力の買い取りは行われていて、kw当たり48円で買い取られているんですが、電気料金との逆ザヤがありますので、その分は太陽光促進付加金の名目で電気料金二上乗せされており、戸建て住宅で太陽光を購入できる富裕世帯に、集合住宅や賃貸住宅に住み太陽光発電を導入できない世帯からの所得移転となるわけで、逆進的な制度で問題があります。

原子力発電でも電源三法で電気料金に課された税を交付金としてばら撒いているから同じことという声も聞こえますし、メガソーラーの普及で技術革新が進めばコストダウンで逆ザヤは解消するという論もありますが、コストダウンは競争的な市場の存在を抜きには起こりません。むしろソーラー利権として固定化される可能性もあり、結局電気料金が上がるだけで終わる可能性もあります。

ソフトバンクのメガソーラー事業参入も、脱原発のためと説明されておりますが、上場企業の経営者である孫氏がキレイゴトで投資をするわけがありません。もちろん話題性もありますが、それだけで赤字覚悟で事業参入すれば、株主から突き上げられるわけですから、十分なリターンがあることを示さなければならないわけで、全量買い取り制度が成立すれば、電気料金と同様に総括原価方式で買い取り価格が決まるわけで、損しない仕組みになるわけです。しかしこういった補助金頼みはベンチャー精神とは相容れないものです。

むしろ今やるべきことは、既に存在する日本卸電力取引所(JPEX)の機能強化によるPPS事業の推進で、電力事業に競争原理を導入する事です。繰り返し述べている通り、国内54基の原発が全停止したとしても、企業の自家発電設備の出力総量が6,000万kw/hもあるわけですから、融通する仕組みさえあれば電力不足は起こらないんです。それを後押しするためには、現在の契約電力50kw/h以上に限られる特定電力販売事業(PPS)の規制撤廃で原則自由化することの方が重要です。

その結果小口や一般住宅などの契約者でも購入先を選択できるようになります。そうすればPPS事業者によっては安さを訴求するところもあるでしょうし、割高でも再生可能エネルギー電力を調達する事を売りにする事業者も現れるなど、多様な選択肢ができてきます。その中で契約者獲得のために。現在は割高な再生可能エネルギー発電も、技術革新によるコストダウンが促されるわけです。丁度環境意識の高い人にプリウスなど高価なハイブリッド車が売れることで、コストダウンが進んだようなことが、電力の世界でも起こるわけです。競争が技術革新を後押しするわけですね。

現在大口契約者に限定されているPPSの電気料金ですが、1kw/h当たり約4.5円の宅送料を電力会社に支払うという不利な条件にも拘らず、概して電力会社よりも安い料金となっております。もちろんその裏にはコストダウンの努力がありますが、独占で無競争なのにTVCMを大量に流し、取引先に言い値で調達する電力会社のコスト意識の希薄さに助けられている部分もあります。

つまり電力会社の高コスト体質にもメスが入るわけで、社会全体にメリットがあるわけです。こうなると高コストの送電網を保有する事が既存電力会社にとってはハンデとなりますから、電力会社自身から発送電分離を求めるようになりますし、万が一の事故の際には原子力賠償法によって無限無過失の賠償責任を負うハイリスクな原発事業は競争上保有が難しくなりますから、脱原発が自然に進むことにもなります。

その意味では菅首相が掲げる全量買い取りは、電力会社の高コスト体質を温存することにもなり、脱原発にはむしろ役に立たないわけです。実際海江田経産相が原発立地自治体に、定期点検が終了した原発の再稼動を要請しており、現在ある原発は今後も稼動させる姿勢を見せております。この点は菅首相も同様で、あまつさえ浜岡以外は安全と根拠のない事を言っておりますが、信用する人がいるでしょうか。

その一方でこんな時期に税と社会保障の一体改革と称して消費税率を2015年までに10%にする方針を決めるなど、でたらめにも程があります。しかも社会保障制度をどう変えるかといえば現状維持で、つまり現行制度を維持するために消費税を10%にすると言っているわけで、どこが一体改革なんでしょうか。現行制度に問題がなければそれでも構わないのですが、高齢化、晩婚化、少子化、雇用減少、単身世帯の増加などの構造変化に対応できないまま増税を決めるのですから、開いた口が塞がりません。選挙前に消費税アップに言及して大惨敗した昨年の参院選のことを忘れたのでしょうか。国民が認めない増税はまず不可能です。

震災のドサクサでさまざまなものが決まっておりますが、公的年金の国庫負担増分2.5兆円の1次補正予算への付け替えもその一つです。このうち1.2兆円は鉄建機構が保有する剰余金からの拠出ということで、使途を定めた関連法の改正も行われたんですが、その中で1.5兆円あった内鉄道整備用に回された3,000億円の使途として整備新幹線の財源として検討するという付帯決議が付けられ、先送りされている整備新幹線の未着工3区間の早期着工を促しております。

決議に北陸新幹線金沢―敦賀明記 剰余金活用法案参院委で可決 政治・行政 福井のニュース :福井新聞
付帯決議は自民党が求めていたもので、民主党政権で5条件を盾に度々先送りされてきたことに対して成果を自慢しております。一方大畠国交相は5条件に加えて災害に備えたルートの多重化に言及しておりますが、はっきり言って北陸新幹線が敦賀まで延びても、多重化の意味はほとんどありませんし、仮に大阪までの整備が実現したとしても、最高速260km/hで4時間はかかる北陸ルートに多重化のメリットはないと断言できます。

ふと思ったんですが、福井県が県内の原発の再稼動に反対しておりますが、まさか整備新幹線の新規着工と引き換えということはないでしょうか。東北新幹線延伸部のフル規格化も六ヶ所村の核廃棄物再処理工場やむつ市の中間貯蔵施設の受け入れと時期的に符合しますし、そういった画が描かれているとすれば、これも広い意味での火事場泥棒といえそうです。

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