« とうてつ廃止のカウントダウン | Main | 都営DVにめげずに世界を目指す東京メトロ »

Saturday, October 01, 2011

増税前提の復興財源論、またの名をメトロ濃霧

まずは明るいニュースです。

仙台空港線、200日ぶり全線運行再開  :日本経済新聞
記事中にもあるように、津波で被災した仙台空港駅と地下トンネル部については棒材、安全対策を強化した上での復活となり、復興は部分的には着実に進んでいることを実感します。

一方でJRの沿岸部各線と三陸鉄道の復興は手付かず状態のままで、被災地の復興もまだら模様です。被災エリアが広大で、場所場所で状況が異なるのでやむをえないところですが、こうして日常が戻ったエリアに陽が当たる一方で、取り残され風化に任せる地域も少なからず存在することは忘れてはならないところです。

その一方で震災で被災したわけでもないのに、十鉄のように存亡の危機に直面する鉄道もあり、元々過疎化が進行中だった地域での災害なので、なかなか思うように復興がはかどらない恨みはあります。震災がなくても人口が減り続けている地域だけに、阪神大震災のときのような復興イメージにはならないわけで、そんな中での地域の産業の再構築という重い課題を抱えての復興である以上、むしろ拙速な復興は避けるべきではあります。

そんな中で復興増税問題が政府与党で議論されているんですが、与党内で政府保有株等の売却で増税幅を圧縮する議論が進行しております。そもそも復興財源は建設国債の60年償還ルールを用いるなり、あるいは1,000年に1度の災害ならば、もっと長期の償還でも構いませんし、復興の利益は将来世代にも及ぶわけですから、現役世代だけで負担する事に合理性はありません。「将来世代にツケを回さない」という美名の下、増税を強行すること自体が問題なんですが、現在の政府与党の議論では、こういった基本的なフレームを間違っております。

それを糊塗する意図からか、埋蔵金の活用、とりわけ政府保有株の売却が注目されてますが、あくまでも増税が前提で増税幅を縮小するために汗をかいているというシナリオでことが進んでいる事に注意が必要です。これで増税幅を1兆円2兆円削って政治的得点にしようとするあざとさに騙されちゃいけません。

以前指摘したとおりJT株とメトロ株が有力ということですが、JT株に関しては、JT自身が事業展開の自由度が増すとして歓迎する意向のようですし、タバコの販売不振で葉タバコ農家自身が作付けを縮小しているため、国産葉タバコの全量買い取り義務もネックにならないで済みそうです。

メトロ株に関しては、地下鉄一元化の議論の中で、とりあえずメトロ株の上場が凍結されているというのが現状なんですが、東京都は石原知事や猪瀬副知事が国の保有株放出に対して、都が買い増してメトロの経営権を握るとしてけん制しております。これが現実的でないのは度々指摘してきました。自民党政権当時でもインフラ企業として支配的株主を作らないために、20%を超える議決権保有を制限する事が検討されており、当然東京都が株式保有を継続しても例外扱いはされないと考えるべきです。つまり都がどれだけ吼えても、関連法で縛りつければ済む事です。

そうでなくてもJR東日本と東海、大手金融、大手不動産など、メトロ株を狙っていると目される企業は多数あり、上場に当たって支配的株主をつくらないことは重要です。逆に言えばこれだけ保有希望が多いのですから、上場すれば高値が付くこともまた間違いないところであり、支配的株主が出現すればむしろ資産価値は下がると考えてよいでしょう。このあたりを政府与党がうまく差配できるかどうかは何とも言えませんが、野田官邸と前原政調のせめぎ合いと考えると、あまり期待できそうにないですね。

最後に、今週は日中双方で重大事故が起きました。1つは上海地下鉄の追突事故で、相変わらず情報が入ってこないので、実態は不明ですが、大まかなストーリーとしては、電源トラブルで保安装置が動かなくなり、手動運転に切り替えて事故が起きたということで、温州の高速鉄道事故でも信号トラブルで手動運転中だったとされますので、またしても同じような事故ということになります。手動運転の中身がわからないので何とも言えませんが、日本でも信号トラブルで無閉そく運転をして起きた事故は多数あり、有名なのは信楽高原鉄道事故ですが、信楽でも無閉そく運転の手続き上の重大な瑕疵があったことは間違いないものの、それだけではなく、システム自体にも予期せぬ穴があったこと、またその他の偶然が重なった事が事故をもたらしたのは間違いだらけの事故報道のエントリーで指摘したとおりで、中国だから事故を起こしたと言わんばかりの報道姿勢には違和感を禁じ得ません。

それ以上に驚くべきトラブルは全日空機の急降下背面飛行トラブルです。乗員の一部に軽症者を出しただけで済みましたが、まかり間違えば他の高度を飛行中の飛行機との空中衝突の可能性も、急降下による速度超過で空中分解もあり得た大事故です。仮にそうなっていれば、中国の悪口を言うどころじゃなかったはずです。自動姿勢制御や自動航行など高度なシステムを装備した旅客機でも、人為ミスで重大事故は起こりうるし、事故に至らないヒヤリハッとは結構日常的に起こります。それを早期に発見し重大事故にしないためのさまざまな防護策が講じられることで、結果として事故のリスクは減らせるのであって、技術の優劣の問題ではないということは、改めて指摘しておきます。

というわけで、結論をもI上げればメトロ株売却は五里霧中。先が見えないまま時を刻むリズムだけは進行します。まるでメトロノームの如くに-_-;。

|

« とうてつ廃止のカウントダウン | Main | 都営DVにめげずに世界を目指す東京メトロ »

JR」カテゴリの記事

ニュース」カテゴリの記事

ローカル線」カテゴリの記事

地方公営交通」カテゴリの記事

大手私鉄」カテゴリの記事

民営化」カテゴリの記事

第三セクター鉄道」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

都市交通」カテゴリの記事

鉄道」カテゴリの記事

鉄道事故」カテゴリの記事

Comments

>技術の湯売れるの問題ではないということは
これは「技術の優劣」と読み替えて良いですか?

Posted by: blue sky | Sunday, October 02, 2011 at 02:11 PM

ご指摘ありがとうございます。早速訂正いたしました。あー恥ずかしい*^_^*。

Posted by: 走ルンです | Sunday, October 02, 2011 at 09:48 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50724/52879662

Listed below are links to weblogs that reference 増税前提の復興財源論、またの名をメトロ濃霧:

« とうてつ廃止のカウントダウン | Main | 都営DVにめげずに世界を目指す東京メトロ »