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Sunday, December 18, 2011

整備しても進化せん日本の高速鉄道

本題に入る前に、以前指摘した三陸自動車道の直轄工事が「復興道路」の名の下に着工されました。津波対策として集落の高地移転が行われる事を見込んで、内陸部のルートを辿る計画だそうで、完成すれば並行する鉄道線の復旧はほぼ不要となること確実ですが、地元がそこまで同意したという話は聞きません。

その一方でJR東日本は気仙沼線、大船渡線、山田線のバス高速交通システム(BRT)による復旧を打ち出しました。集落の移転が見込まれる中で、文字通りの復旧は沿線の無人地帯化の恐れがあるだけに、JR東日本としては状況を見極める必要があるわけで、「ローカル線軽視」の原武節がお門違いなのは言うまでもありませんが、被災地の生活支援の観点から早期復旧するためのセカンドベストとしては歓迎すべき事です。

しかし仮に高地移転された集落が三陸道ルート周辺に集まるとすれば、復興集落を結ぶ復興鉄道の建設の可能性は限りなくゼロになるわけでもあり、また盛でJR大船渡線と接続する三陸鉄道南リアス線が孤立し運命を共にする可能性もあるなど、この辺の復興計画の整合性や地元の合意形成は問われるところです。

そしてやはり危惧していたとおり、復興事業の本格化に伴って鉄鋼、セメント、木材、化成品などの資材価格が高騰しており、結局増税までして確保した財源は、資材メーカー、商社、流通機能を持つゼネコンの懐を潤しますが、工事の進捗を遅らせますから、結局被災地にお金が落ちないわけです。だから八ッ場ダムをはじめ他地域の公共事業を一時凍結してでも復興バブルを阻止すべきと指摘しましたが、予想通りの展開に暗澹たる気分です。かくして復興バブル紳士は仙台で豪遊し、局地的に景気が良い不可思議な風景となるわけです。

加えて消費税増税を打ち出す財務省は12年度予算概算要求基準を青天井としていて、歳出削減を図るつもりはさらさらないということでしょう。政権交代後、公共事業見直しで5原則を掲げて抑制してきた整備新幹線の新規着工に踏み込む事になりました。九州新幹線長崎ルートの諫早―長崎間、北陸新幹線松任―敦賀間、北海道新幹線新函館―札幌間の3線について、現時点では民主党政調のプロジェクトチームで検討中の段階で、一応着工の方向性は出されたものの、それぞれにクリアすべき問題点があります。

まずは長崎ですが、武雄温泉―諫早間の既着工区間は期間可変電車(GCT)を用いる前提で進めていましたが、長崎までの着工に合わせてフル規格化が検討されてます。おそらくGCTが使い物にならない可能性がある中で、とりあえず鹿児島ルートの新八代方式の乗り継ぎで整備する方向性のようですが、一方で新鳥栖までのフル規格一気通貫は、財政負担が増えるとして佐賀県が反対していることもあり、可能性はなさそうです。

元々並行在来線として肥前山口―諫早間の切り離しが条件だったために佐賀県も反対の立場だったものを、古賀知事が三セクの線路保有でJR九州に運営委託する体制で20年間の支援を打ち出して賛成に回って着工にこぎつけたわけで、元々佐賀県の負担は重いので、これ以上の負担は現実的ではないでしょう。

加えて佐世保線肥前山口―武雄温泉間の複線化問題というのがあります。これがすごい間抜けな話なんですが、JRも佐賀県も沿線自治体も事業化に動かず、当然放置されてます。つまり現状長崎新幹線は開業しても武雄温泉までの単線区間はそのままになりそうなんです。どうも佐賀県は新幹線の関連事業として国の予算がつくと勘違いしたようですが、流石やらせメールを主導した原子力ムラの通産官僚出身知事というか、予算のない国交省はそこまで面倒を見ないことをご存じなかったみたいです(笑)。やるとすれば幹線鉄道活性化事業として三セクによる上下分離形態の事業ということになりますが、具体的な動きは見えません。というか、そもそも最初から新幹線に資金をつけたためにこうなったんですから、救いようのない間違った選択です。

新規着工区間の諫早―長崎間も並行在来線問題が複雑です。途中の喜々津―浦上間に長与経由の旧線(非電化)と現川経由の新線(電化)の2ルートがあり、三セク化するとすれば2つの動力方式を並存させる非効率な鉄道となるわけで、常識的には電化路線の新線を残すところですが、旧線の長与駅は乗車人員1,880人(2006年)あり、新線区間の市井、肥前古賀、現川3駅合計を大きく上回り、長与町にとっては生命線となるだけに、切り捨ては難しいでしょう。ま、長崎本線は鍋島から先は貨物列車がありませんから、非電化化という究極の選択の考えられなくはないですが(笑)。

北陸新幹線も並行在来線問題は深刻です。日本海縦貫線を形成する貨物の重要幹線ですが、肥薩おれんじ鉄道のように旅客列車はワンマンディーゼル車で非電化としながら、貨物列車のために電化設備を残すためにJR貨物も出資しています。この方法はJR貨物にとって過酷であり、東北のように新幹線のJRへの貸付料に上乗せして得た資金でJR貨物に補助して、受け皿三セクに資産見合いの収入を保証するやり方は、逆に新幹線を引き受ける旅客会社にとってほとんどうま味のない話になるなど厄介です。東北の場合は延伸部の収益に頼らず、根元側で益出しすることで成り立っていますが、上越に会社境界のある北陸の場合、根元受益はJR東日本が独占するわけで、JR西日本にとってはありがたくない話です。

あと北陸新幹線を災害時に備えた多重化の論点で整備すべしという論がありますが、敦賀止まりで京阪神につながらないのでは無意味ですし、かりにつながっても、最高速260km/hで、しかも速度制限のかかる山越え区間がある北陸新幹線は役に立ちません。JR東日本はE2系後継として高出力型のE7系の開発を発表しましたが、勾配区間で200km/h超というレベルでは意味がありません。せめて東京―大阪間3時間以内で結べなければ、多重化は無意味です。

この速度の問題は北海道新幹線では更に深刻です。というのは、北海道新幹線の場合、東京―札幌間で4時間を切るかどうかがポイントで、JR東日本はFASTECH360(E954系,E955系)の試作で、車両面から可能性を示唆したものの、全区間この速度で走り続けない限り4時間切りは無理で、現実的にはE2系で275km/h運転されている宇都宮―盛岡間で、車体傾斜システムなどを活用して320km/hというところを現実的な解として、E5系,E6系を開発しました。しかも盛岡以北の整備新幹線区間は260km/h仕様で、リース物件でもあり、JRによる高速化のための再投資が難しいという難題を抱えます。

そもそも整備新幹線の事業費の国の負担分には、JR東、海、西各社が支払う新幹線買い取り代金に上乗せした鉄道整備基金の拠出分に借入金や一般財源を足したもので、年間724億円を60年償還とするローンが組まれていて、この支払いが2052年まで続きます。つまり整備新幹線を引き受けたJR東日本が既存新幹線の買い取りで支払ったローンを原資に整備新幹線を作って、その貸付料も払っているわけですから、実は二重ローンになっているのです。JR東日本の株式上場で基準を満たすために行われた新幹線の買い取りで、結果的に再投資が難しい物件を抱えるのですからばかげてます。尚、今回、東北、九州両新幹線の開業でJR東日本、九州両社から400億円の貸付料が入るようになり、これを整備費用に充当する事で、新規着工の扉を開いたのですが、これはJR東日本にとっては三重ローンとなることを意味します。新幹線の利益はしゃぶり尽くされるわけです。

ローン支払いのないJR九州はその点恵まれているのですが、直通運転を行うJR西日本がローンを負担していると考えると、みずほ、さくらといった速達列車で対航空の競争力強化を打ち出してJR九州と認識のズレを生み、結局九州を押し切って速達列車中心のダイヤを実現したのは無理もないところです。

この点は一見JR北海道にとってはいい話のようですが、問題は青函トンネル区間にありまして、現在は貨物輸送で持ち出しても、旅客輸送でカバーできているのですが、整備新幹線として貸付料が発生すると、旅客輸送の利益が貸付料で取られてしまいます。貨物との共用が前提の区間ですから、損益通算が認められるとは思いますが、そうなると今度は最高速が現行の電車特急と同じ140km/hとなり、どう頑張っても新青森―新函館間1時間となり、東京―新函館間4時間、仮に札幌まで延伸されても5時間以上となります。東京基点で時間距離では博多より遠いという話で、航空からの転移はまず期待できません。

Train On Train(TOT)の構想はありますが、整備新幹線事業の枠外の話で、資金のメドはありません。当然JR貨物には負担力はありませんし、また青函トンネルの貨物輸送は北海道経済の生命線でもあり、仮にルートが寸断されて船舶輸送のみとなれば、北海道産の農産物価格が数パーセント値上がりすると言われています。貨物との共存は現実的には解消できないわけです。

対航空輸送の観点からは、今後国内線も格安航空会社(LCC)が一定のシェアを得ると予想される事が問題を不透明にします。上記のように5時間以上かかる上、現状でも合計23,670円(はやぶさ利用)かかる運賃料金プラスアルファとして2万円台半ば以上とすれば、現状でも羽田―札幌(新千歳)便との価格差1万円内外ですが、おおよそ25年の長い整備期間を勘案すれば、LCCで1万円以下の航空運賃が定着している可能性が高く、新幹線を利用するのは飛行機嫌いか鉄ヲタしかいない(笑)ということにもなりかねません。一番の上得意のはずの会社のお金で利用するビジネス客は皆無でしょう。

並行在来線問題も北海道はかなり複雑且つ困難な状況です。新幹線と貨物が共用する青函トンネルも特異ですが、アクセス区間の内、JR東日本管内の津軽線はそのままとしても、北海道側の江差線五稜郭―木古内間は、貨物のために電化設備を維持しなければならない分、受け皿三セクの負担は大きく、貨物と線路を共用する以上、安全面からJR北海道が開発中のDMVも利用できないということになります。

加えて中島前社長の自殺原因の一つとも言われる函館―新函館間の三セク切り離し問題も絡み、JR北海道は五稜郭―新函館間の電化を提案するという奇策に出ています。電化した上で受け皿三セクに譲渡し、JR北海道が運営受託して自社の営業線として存続させるというものです。詳細は不明ですが、おそらく江差線も同様に一体で運営し、専用の電車を走らせることで効率化しようということなんでしょう。

ちなみに、渡島大野駅付近とされる新函館ですが、営業キロが設定されていない通称藤城線(七飯―大沼間)という厄介な存在もあります。藤城線自体は下り専用線で、優等、貨物と一部の普通列車が利用しています。その関係で七飯―新函館―大沼間は単線となるわけですが、電車列車でスピードアップすればダイヤ編成の自由度が増すわけで、加えて運賃通算や新幹線の発券業務など新函館の新幹線アクセス輸送やサービスが一体で行えるメリットもあると踏んでいるのでしょう。とはいえ今後札幌までの着工となれば、長大ローカル線となる函館本線新函館―小樽間で沿線自治体の造反を誘う要素でもあり、駒ケ岳の迂回路の砂原線問題も複雑で、新たな揉め事の火種も抱えます。

砂原線は戦時輸送強化の緩和勾配線という位置づけですが、長崎本線の長与線に対する通称浦上新線の整備は1972年の話で、北陸本線木ノ本―敦賀間も柳ヶ瀬ルートに代わる近江塩津ルート開業が1957年、敦賀―今庄間の北陸トンネルルートが1962年と、国鉄時代は少ない予算をやりくりしながら幹線ルートの線路改良に取り組んできた歴史があります。それでも収益の見込めない地方へ配分される予算は限られ、結果的に例えば長崎本線で並行在来線として切り離される肥前山口―諫早間は単線のままでしたし、長万部以南の函館本線も単線で残った区間が散見されるなど、高速道整備が進む地方の現実の中で競争力を失いつつあります。

そういう中で整備新幹線に予算をつけられて、在来線の地道な改良には資金が回らない現状は、ある意味鉄道網を立ち枯れさせることを助長していないかということを申し上げたいわけです。しかもその整備新幹線が最高速260km/h仕様で、北海道新幹線に至っては、年度の事業費負担を減らすという理屈で整備機関を25年程度としていることも問題です。整備期間が長くなればその分利払い費で事業費が膨らみ、できたときには上記のようにLCCの定着で利用者はいないし、そもそも世界は新興国すら300km/h水準の高速鉄道が整備されるとすれば、時代遅れの遅い高速鉄道としてアメリカ北東回廊のアセラとしんがり争いをする程度の代物にしかなりません。それでいて高速鉄道を世界へ売り込むとは片腹痛い話です。現行の整備新幹線はどちらに転んでも中途半端な存在でしかありません。

それよりも成田スカイアクセスのような形で在来線改良とショートカットの組み合わせで、当面160km/hレベルの鉄道網を整備する方が、より多くの地域にとって、マイカーより確実に速い鉄道の恩恵を広く受けられると思うのですが、新幹線の方が政治的なアピールポイントになるということなのか、「コンクリートから人へ」を標榜していたはずの民主党政権下でも新規着工に道筋をつけてしまいました。ホントにアホな役人にもアホな政治家にもつけるクスリはないようです。

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Comments

走ルンですさんは在来線を改良した方が良いというお考えのようですが、費用対効果として疑問です。

いわゆるスーパー特急よる在来線の160km/h運転は大規模改良工事や新線建設を伴うため、莫大なコストがかかります。それでいて新幹線よりグレードが落ちるため速度が大幅に制限されてしまいます。
九州新幹線や北陸新幹線が一時期スーパー特急方式で考えられていたのをフル規格に格上げしたのも、政治的な要因だけでなく、そういったことを考えてのことだと思います。

成田スカイアクセスは頓挫した成田新幹線を流用したものですが、京成電鉄が上下分離など各種制度を活用して用地買収の困難な都心部は既存線を使うことで実現しました。結果として、所要時間全体の4割近くが2割足らずの京成本線の通過にかかっています。

国内の人口が減少する中で、新幹線と大都市圏以外は鉄道輸送を維持するのは難しくなるでしょう。
無理してクルマに対抗しようとせずにバッサリ切り捨ててしまうのも一つの手かと思います。

Posted by: yamanotesen | Sunday, December 18, 2011 at 06:56 PM

フル規格と証する新幹線規格が、世界の最高水準にあるのならば、私もより速く生産性の高い新幹線建設を是としたいのですが、実際は25年もかけて札幌まで5時間以上かかる、開業時点ではおそらく時代遅れのものにしかならないことを問題にしたいんです。それで満足でしょうか。

最高速260km/hでも、対クルマならば競争力はあるでしょうけど、航空に切り込むには力不足です。九州新幹線の成功は、山陽新幹線との直通で大阪対熊本、鹿児島で優位に立つことを狙った結果であって、JR九州が考えていたような九州内のローカル新幹線ではこうはならなかったはずです。

一方で既存新幹線に繋がらない長崎新幹線のフル企画化というけったいな話に接すると、何を考えているのかと思います。当面既存新幹線と繋がらない長崎新幹線もスーパー特急よりフル規格の方が適切なんでしょうか。どう考えてもおかしいですよね。

北陸新幹線にしても、京阪神に繋がるわけでもないのに多重化のためという理由付けをしている事をどうお考えですか。こんなところに予算をつけるぐらいならば、改良も含めて東京―札幌間全区間360km/hで走れる超高規格新幹線を作ることに集中した方がまだマシじゃないですか。限られた予算の逐次投入は、結局中途半端なものしか生み出さないということです。

Posted by: 走ルンです | Sunday, December 18, 2011 at 08:50 PM

>東京―札幌間全区間360km/hで走れる超高規格新幹線を作ることに集中した方がまだマシ
全く同感です。
北海道新幹線は札幌まで延伸しないと意味がないですね。

>25年もかけて札幌まで5時間以上かかる、開業時点ではおそらく時代遅れのものにしかならない...
それは問題ですが、在来線を改良すべき理由にはならないと思います。せっかくの高規格な整備新幹線を台無しにしてしまう、おかしな制度を変えるべきでしょう。

>長崎新幹線もスーパー特急よりフル規格の方が適切なんでしょうか
そもそも九州に高速鉄道が必要なのか疑問です。
個人的には在来線特急か、せいぜい新大阪止まりのミニ新幹線で充分だと考えていますが、スーパー特急とフル規格の二択であればフル規格がよりベターだと思います。それも乗継を伴う新八代方式ではなく、全区間の建設です。それができないなら何もしない方ががマシで、スーパー特急や部分開業など中途半端が一番良くないと思います。

>北陸新幹線にしても、京阪神に繋がるわけでもないのに多重化のためという理由付けをしている事をどうお考えですか
上越新幹線も長野新幹線も建設する必要はなかったと思いますが、すでに開業し金沢まで着工している以上、フル規格で整備すべきでしょう。ただ、金沢以遠はご指摘のように着工すべきではないと思います。
敦賀は東海道新幹線の米原乗り換えと所要時間がほぼ同じですし、東名阪の多重化という意味では中央新幹線の方が有利ですね。

Posted by: yamanotesen | Monday, December 19, 2011 at 11:08 PM

新幹線に投入される資金で、成田スカイアクセスやつくばエクスプレスがあと幾つかできますよね。実際に案件があるかどうかは別ですが。

金も時間もかかり、収益力に疑問のある整備新幹線を作るなら、少額、短期間で収益化できるプロジェクトを重ねて、将来使える資金を増やす方がクレバーではないでしょうか。資金の裏づけの許に札幌4時間プロジェクトに取り組むチャンスを得る時を待つわけです。要はコストパフォーマンスの問題です。

別に在来線の改良を全面的にやるべきだと申し上げているわけではなくて、コストパフォーマンスの高いプロジェクトを発掘する努力が、整備新幹線の議論の中で埋没してませんかということです。

実際、国鉄時代の石勝線や三セクの智頭急やほくほく線の好調に見られるように、ショートカット線は良好なパフォーマンスを示しています。ほくほく線に至っては羽田―富山便を減便に追い込んですらいます。

Posted by: 走ルンです | Tuesday, December 20, 2011 at 08:21 PM

整備新幹線の問題のほとんどは並行在来線に関するものです。
広い意味でレガシーコストを誰がどう負担するかということだと思うんですよね。

その点は在来線の高速新線(TXやスカイアクセスなど)も、規模の大小はありますが基本的に同じはずです。たとえばTXならJRと関東鉄道というように、既存の事業者が高速新線のコストを負担している構図です。大都市圏では利用客が多いので大きな問題にはなりませんが、それでもTX開業が関東鉄道の経営に打撃を与え鹿島鉄道を廃線に追い込んだり、成田エクスプレスがスカイライナーに利用客を奪われ減便されるなどの影響が出ています。

それに対し、整備新幹線の場合は既存事業者であるJRではなく、新規事業者である三セクがコストを負担しています。
ほくほく線をJRが運行管理し、上越線の六日町以北を三セクに押し付けているようなものです。もし反対に整備新幹線の運行主体が三セクで、並行在来線が新幹線開業後もJRのままなら、JRは整備新幹線建設に消極的になるか猛反対するでしょう。

つまり、在来線改良の方が新幹線建設よりコストパフォーマンスが高いというより、両者の制度の違いに問題があると思います。

Posted by: yamanotesen | Wednesday, December 21, 2011 at 12:26 AM

ちょっと論点がずれてきてませんか。整備新幹線の問題は並行在来線問題には収斂されません。

確かに並行在来線の切り離し分も受益として貸付料に反映されますが、本文中でも指摘したように、既に貸付料が事業費の国の負担分として利用されるわけですから、仕組みとしてはJRが間接的に負担している形です。

問題はそうして整備した「フル規格」の新幹線が、投資効率の悪い代物だということです。いい加減財源があるから事業化するのではなく、より質の高いインフラ整備を考えるべきでしょう。

そのためには、短期で収益化できるプロジェクトを重ねて、鉄道への投資が有望であるという実績を積み上げて、投資環境を整えるのが、遠回りのようで王道ではないでしょうか。

TX開業のドミノで鹿島鉄道が廃止された経緯ですが、TXの大株主である茨城県が、TX沿線に開発リソースを集中させた結果であり、鹿島鉄道を敢えて救わなかったわけですから、ある意味行政として意思を示したとも言えるわけで、地域の選択の問題と整理できます。

ほくほく線に関しては、元々長岡乗り継ぎの首都圏対北陸間の利用がシフトした側面はありますが、それ以上に航空客のシフトを誘ったんですから、トータルでは鉄道輸送のパイは大きくなっているわけで、JR東日本が割りを食ったという事実はそもそもないでしょう。

むしろほくほく線が上越新幹線の培養線となったわけですから、やはりトータルではプラスです。逆に北陸新幹線が開業してもほくほく線は並行在来線とは見なされないわけで、存亡の危機を迎える事になります。新線が開業して旅客流動に変化が生じた場合の帰結はケースバイケースで異なります。

Posted by: 走ルンです | Wednesday, December 21, 2011 at 08:20 PM

九州新幹線西九州ルートの問題は、少々複雑ですね。
先に開業した鹿児島ルートよりも先に計画が持ち上がった訳ですが、並行在来線問題で手こずってるうちに、鹿児島ルートが先に開業してしまいました。
そして気になった事があります。本項に「古賀知事が三セクの線路保有でJR九州に運営委託する体制で20年間の支援を打ち出して賛成に回って着工にこぎつけたわけで…」とありますが、「上下分離方式」は古川知事が提案したものです。名前を間違われてます。
西九州ルートの開業は、10年後とされていますが、これはフリーゲージトレイン(FGT)の実用化が大前提であり、開発が遅れれば必然的に開業も遅くなります。
我々佐賀県民としては、ぜひ全線フル規格化をしてほしいのですが、佐賀平野は江戸時代から続く干拓によって生まれた平野で、水分を多く含んていて軟弱な地盤であり地質の改良など建設費は750億円の負担を県が負担しなくてはならないと県が頑なに拒否しており県民の意見は反映される事はありません。
また、私の自宅は、佐賀市内で数十メートル北を長崎本線が走っています。もし新鳥栖-長崎間がフル規格化されれば私に自宅は立ち退きは避けられないでしょうし、建て替えを10年前にしたばかりなので、一概に賛成とも言えません。

いきなり現れて、意味の分からないことを長々と書き込みし、大変お邪魔致しました。

Posted by: 佐賀県民 | Friday, October 05, 2012 at 07:32 PM

公人の人名間違いご指摘ありがとうございます。もうしわけありません。

本文の論旨を再度申し上げますが、「フル規格」なるものが、世界の高速鉄道の現状から見て時代遅れになりつつあることの指摘がベースです。これから建設される整備新幹線はいずれも開業時点で陳腐な代物になっているのに、お金注ぎ込んで大丈夫?って話です。

フリーゲージ(以下GCTと記す)の問題も、完成しても山陽新幹線への乗り入れが難しい最高速270km/h仕様ですから、JR九州の新幹線区間でしか使えないと考えたほうが良いでしょう。同じGCTでも、スペインのAVE350はその名のとおり350km/hで走れます。このレベルが達成できないならば、開発費をかける意味も怪しくなります。

限られた時間とお金をどこへどう配分するかで、もう少し戦略発想が欲しいところです。このままでは日本の鉄道技術がそっくりガラパゴス化しかねません。

Posted by: 走ルンです | Saturday, October 06, 2012 at 10:25 AM

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