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March 2012

Thursday, March 22, 2012

関電しまっせイランお世話

クサイ話の次はシビレる話です(笑)。大飯原発再稼動を巡る動きが活発になってきました。政府は夏の電力不足を口実に原発再稼動の道筋を模索しているようですが、現に極寒のこの冬に停電は起きていませんし、2月3日の九州電力新大分火力発電所の運転停止でも停電は回避されました。

九電・大分の大型火力発電所が停止 6電力から緊急融通 - MSN産経ニュース
このニュースで重要なのは他電力から合計240万kwの電力融通を受けた点です。これは公開されている電力会社相互間の連携線容量を大幅にオーバーする値であるということです。もちろん定格容量をオーバーした状態は長く続けられないにしても、ピーク対応だけならば連携線の活用で乗り切れることを示したという見方は可能です。

私自身は脱原発の立場は取りませんし、条件が整えば原発再稼動もアリと考えておりますが、科学的知見に基づかない政治判断での再稼動は認めるつもりはありません。そもそも福島の事故収束も道半ばで、原因究明も手付かずの状態で再稼動は、むしろ国民に不信感をもたらすだけで、原発再稼動をむしろ難しくすると考えます。加えて世界からも不信の目で見られます。

私が考える再稼動の条件は、安全性はもちろんですが、核燃料サイクルの中止と核燃料の使い捨て(ワンス・スルー)などとセットで、バックエンドの処理はアメリカやロシアに協力を求めるのが現実的でしょうか。オバマ大統領の核兵器廃絶路線が継続する事が前提ではありますが。通常の運転停止でも20年はかかる廃炉作業です。福一では40年とも言われ、やってみなければわからないのが現実ですから、それも含めてプロセスを公開して専門家任せにしない方が重要かなと思います。「専門家」に任せた結果、取り返しのつかない問題を引き起こしたんですから、以後のプロセスは世界へ向けて公開の場で助言を得ながら行われる方が望ましいと考えます。

またこのことは、今後新興国でエネルギー政策として行われる原発建設に対しても、モデルとして一定の役割を果たすことになり、「原子力の平和利用」を口実としたイランの核開発に対してもけん制の意味があります。26日からソウルで開催される世界核セキュリティサミットでも日本が積極的な役割を果たすべきなのは言うまでもありません。しかし政府はイラン問題で石油が入ってこないことを危惧して再稼動を急いでいるようですが、的外れです。

そもそも石油火力は今や火力発電の中の15%を占めるに過ぎない傍流で、本来はイラン危機はあまり関係ないはずですが、液化天然ガス(LNG)の供給元がカタールが中心で、原油価格連動の価格で輸入しているという事情があります。そこでシェールガス革命で天然ガス価格が割安なアメリカからの調達を考えているようですが、LNGプラントの整備に時間がかかるので今夏には間に合わないというロジックなんでしょう。ここで疑問なのは日本の資金でLNGプラントを建設したサハリンからの供給増をなぜ考えないのかということです。輸送費の問題も含めて考えれば、調達コストは割安なはずです。

元々日本の原子力政策はオイルショックで中東依存のリスクが明らかになったことで、エネルギー供給の多様化を狙った側面もあるわけですが、逆に原子力を除く化石燃料の調達先の中東依存は依然高いままで、むしろ原子力政策への依存が中東以外のエネルギー調達先の確保を遅らせた可能性もあります。それにガソリン成分の相対的に少ない中東原油は割安ということもあり、精製過程でさまざまな化学原料が得られることから、中東原油から離れられない体質になってしまったということもあります。

平時ならば米WTI原油先物>北海ブレンド。ドバイ原油という価格の序列となるところを、去年のリビア内戦では北海ブレンドがWTIを上回りましたし、現在100ドル台のWTIに対してドバイ原油が120ドルを超えるなど、イラン問題では日本の交易条件の悪化が目立ちますが、だからといって近視眼的に原発再稼動を進めれば、日本が世界から不信の目で見られるに留まらず、親米国家の日本には許される核の平和利用の権利をイランにも認めろという言い分に足場を与えてしまいます。政府の対応は近視眼過ぎます。

そんな中で大阪市が関西電力の筆頭株主として動きました。

大阪市:全原発廃止、関電に株主提案へ - 毎日jp(毎日新聞)
定款変更や電気事業連合会脱退、発送電分離などまで盛り込んだ提言で、同様に関電株を保有する神戸市や京都市にも協力を要請するということで、実現すれば画期的ですが、約3割を占める銀行などの機関投資家は反対に回ると見られるので、個人株主の判断次第というところでしょう。

定時株主総会が行われるのが6月ですから、今の時点で明らかにされたのは、1つには議論を喚起して合意点を見出そうということかもしれませんが、もう1つは政府が明らかに大飯原発再稼動の方向へ動き出した事へのけん制もあるかもしれません。いずれにしても冷静な議論を促すならば良いですが、維新の会にありがちな、卒業式の君が代規律斉唱問題のような、コントとしか思えない対応にはならないで欲しいですね。

そもそもなぜ大阪市が関電の大株主なのかというと、日本の電力事業の歴史に由来します。簡単に言えば大阪市内で電力供給事業を行っていた大阪電灯(1888年設立、翌年事業開始)が1923年に大阪市に買収され、大阪市電気局(現交通局)になり、後に電力国家管理で日本発送電と9配電会社に再編され、戦後日本発送電を解体して9配電会社による地域独占の発送電一体体制へ移行するという歴史に由来するものです。

以前の記事で書いたように大阪市電が産声を上げたのが1903年ですが、大阪電灯の買収も基本的には大阪市が公益事業を手がけることで、税収以上の歳入を得てまちづくりを促進する狙いですが、同時に民間による自由競争体制の弊害が認識されたこともあります。

特に関西地域は五大電力と言われた5社(東京電灯、東邦電力、大同電力、宇治川電気、日本電力)の内、東京電灯を除く4社が入り乱れて激戦を演じた地域でもあり、過当競争による弊害も著しく、大阪市のみならず行政府による電力事業取得の機運があったようです。また過当競争の弊害は国も認識するところにもなり、後に日本発送電と9配電会社に統廃合される電力国家管理へと向かいます。

また電気料金の総括原価方式も、過当競争によるダンピングや安全投資の回避などで安定供給が脅かされたことから導入されたもので、メディアで言われるように競争のない独占価格となったのは、むしろ地域独占体となった戦後の話で、鉄道運賃や水道料金など他の公益事業ではヤードスティックなどの競争的な仕組みが後に組み込まれたのに対して、電力会社が圧倒的な政治力で競争政策に抵抗し続けた結果で、要は電力業界は監督官庁もコントロールできないほどに力を持っていたわけで、昨今の東電への公的関与問題の迷走も、東電の弱体化に乗じて支配力を取り戻したい監督官庁(経産省)と捨て身で抵抗する事業者(東電)の構図と捉えられる不毛な争いです。

あと付け加えると、戦前の自由競争時代というのは、元々都市部で始まった小規模火力を近隣に提供する電力事業が、高圧交流による遠距離送電という技術革新によって、また土木技術の高度化で大規模ダムによる需要地から離れた大規模水力発電が利用可能となった事情によります。今で言えばスマホのような電気通信事業の技術革新とITネットワークの革新が相まって熾烈な競争が起きていることから、ある程度イメージできるのではないでしょうか。

加えて日清、日露の戦勝や第一次大戦の軍需で工業化に弾みがついた当時の日本では、産業用電力の需要が旺盛だったこともまた競争を促しましたが、過当競争の果てに投資は過熱気味で、電力需給は供給過剰気味であったこともあり、鉄道の電化や電気鉄道の新設が促された側面もあります。ゆえに電力事業者は鉄道事業にさまざまな形で関わり、宇治川電気が近江鉄道に資本参加して電化したり、兵庫電気軌道と神戸姫路電鉄を併合して直営し、電力国家管理で独立して山陽電気鉄道となり、また北陸地方の水力開発に注力した日本電力の専用鉄道が発電所ごと関電に引き継がれ後の黒部渓谷鉄道となるなど、さまざまな関係が形成されました。鉄道史を紐解くと、電力事業との関係の深さを知ることができますが、深入りすると長くなるのでこれぐらいにしておきます。

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Saturday, March 17, 2012

日本の命運、国債へ

毎度毎度イミフなタイトルで恐縮ですが、今回のは読点の位置を見ておいてください(謎)。

3月半ば、本日は春のダイヤ改正ということで、悪天候にもめげず鉄ちゃんたちが各地に出没しているようですが、いの一番に話題にしたいのは、前のエントリーでも取り上げたJR八戸線の復活です。沿岸部の被災路線の復旧が進まない中、沿線自治体との協議が順調だったのが要因です。4月1日には三陸鉄道陸中野田-田野畑間も復旧予定ですから、三陸海岸北部の八戸-宮古間の鉄路がつながるわけです。他の区間の復旧は難題山積ですが、とりあえず祝いたい気分です。

鉄道以外でもいろいろあり、EモバLTEが15日スタート、16日はユニクロ銀座店オープン、、新型iPad発売などですが、特にiPadに関しては、液晶パネルの受注競争で韓国サムスンが採用され、iPad2で採用されたシャープとLGは受注に敗れました。iPadに代表されるタブレット端末ではアップルの存在感が圧倒的ですが、個人ユーザー主体のスマホに対し、タブレット端末はビジネスユースで重用されているのが特徴です。クラウド環境をビジネスに結びつけるには、画面の大きいタブレット端末はうってつけですし、アプリで受発注や決済などをネット経由で行うなどPCとは一味違う活用法で存在感を高めております。

ウィンテル連合が支配していたPCでは、仕事に使うならWindowsでMacはホビー的と見られておりましたが、クラウド環境下ではPCは逆にオーバースペックでユーザーにスキルが求められ、むしろ使いにくいという風に変わってきました。また度重なるソフトのバージョンアップとハードのスペックアップのいたちごっこで費用的にも決して安上がりではなくなってきたという事情もあります。

かつてオラクルがネットワーク・コンピュータ(NC)の名称でネットにつないで使う簡易端末の構想を打ち出してウィンテルに対抗しましたが、当時の技術では使い物にならず普及しませんでした。高速ネット環境が整備され、グーグルやアマゾンなどクラウドサービスが一般化し、iモードに始まるモバイル通信でjavaアプリが活用される中で、機が熟してきたわけです。つまりアップルは時代の変化に適応してかつてのウィンテルの位置を奪ったわけです。問題はPCにしろタブレットにしろアメリカ発という点です。日本のメーカーは韓国メーカーと下請け争いを演じている存在ですから、これじゃ赤字決算は当然です。めざしている未来がお粗末です。

前フリが長くなりましたが、遡る先月14日の日銀の追加金融緩和以来、円安が続いております。去年8月と10月、更に11月の覆面介入と為替介入を続けても動かなかった為替相場が、日銀の追加緩和で動いたわけで、早速リフレ派は「日銀がやっと本気になった」と喜んでおりますが、タイミングの問題はありますが、本質的にはアメリカの景気回復、特に自動車の販売好調に支えられたグローバルな投資家のマインドの変化によります。

リーマンショック以来萎縮していた投資家が、主にアメリカの景気回復局面を見てリスクを取り始めたということです。自動車販売の好調は、リーマンショック後の販売の落ち込みで車齢が高くなっていたことから来るもので、ある意味買い控えの反動という側面が強いものです。

一方でリスク要因としてはギリシャ国債のデフォルト問題、イラン核開発疑惑などがあるわけですが、ギリシャの方はとりあえず無秩序なデフォルトは回避されたということで、本質的な解決ではないけれど当座の安心感は広がいました。またイラン問題ではホルムズ海峡封鎖はなさそうということで、原油高も歯止めがかかりそうです。これにはアメリカのシェールガス革命で天然ガス価格が下落していることで、石油の戦略的なウェート付けが下がったということも影響してますし、エコカーの普及でアメリカ国内のガソリン価格上昇の影響が相対的に下がってきていることも影響しているようです。ただし不確定要素としてイスラエルによるイラン単独攻撃の軍事オプションはあり得るということで、欧米の対イラン強硬姿勢はイスラエルをなだめるためという側面もあります。

といったところで、リーマンショック以来我慢を強いられてきた投資家たちがリスクを取って投資を再開し始めたということです。その結果低金利通貨として日本円で資金調達して海外へ持ち出す円キャリートレードがそろり始まったわけで、当面円安局面は続きそうです。

問題は持続性ですが、2003年以来の円安が2008年のリーマンショックで反転したように、長くて5年といったところでしょう。実際は世界のどこかでバブルが生じてそれが弾けたときまでということになります。今のところそれがどこかはわかりませんが、基本的にバブルが生じるのは先進国地域であるということは押さえておくべきです。というのは、グローバルな金融自由化の結果、日米欧の先進国が揃って金融緩和をしている状況で、緩和マネーが向かう先が新興国という構造問題があり、そのため新興国では金融を引き締めて経済の過熱を抑えている状況にあるからです。つまりそれだけ潜在成長力が高いわけで、多少の経済減速は金融緩和で凌げますし、一時的にバブル的な経済膨張があっても実体経済が追いついてくるからバブルが弾けることはないわけです。

そもそもバブルはなぜ起きるのかというと、金融の肥大化に実体経済が伴わない結果、余剰マネーが特定の資産に張り付いて資産価格を押し上げてしまう結果と整理できます。80年代後半の日本では主に不動産価格の上昇とそれに伴う企業の保有不動産の評価額拡大による株価上昇がリンクしてバブルが生じたわけですし、アメリカではサブプライムローンで拡大した住宅価格上昇期待がバブルだったわけですし、欧州では注目を集めるギリシャもさることながら、イギリスやスペインの不動産バブル、ドイツやスペインの太陽光バブルなど、さまざまなバブルが発生し、現在その調整過程にあるわけです。後者は福一事故で自然エネルギーに注目が集まる日本にとっても注意が必要ですね。

日本の実質経済成長率は過去20年で0.9%、過去10年で見れば0.7%でしかありません。元々高齢化で労働人口が減少しているのに、潜在成長率を高く見積って財政出動で一時的に赤字が拡大しても事後的に税収損になるという期待はことごとく裏切られましたし、97年の消費税の3%から5%へのアップでも、経済が減速して税収減となったのは、いわゆる賃金デフレが始まった98年からです。このような構造要因を抱えた状態で増税は経済を収縮させますから、税収は増えません。

加えて現行の消費税制度は欠陥を抱えています。一つは外税表示を総額表示に変更したために、税率アップ分を価格に転嫁しにくくなっており、特に取引上不利な立場にある中小企業にしわ寄せされます。加えて輸出戻し税問題があります。輸出企業が受け取る戻し税は総額5兆円とGDPの1%にも上るということですが、税率が2倍になれば戻し税も2倍になるわけで、輸出企業の不労所得となります。いわゆる益税問題では小規模な非課税事業者や簡易課税事業者がやり玉に挙げられますが、輸出企業の益税問題は桁が違います。

現実的には部品を納める下請け企業は納入価格に税率アップ分を転化できないにも拘らず、親企業はみなし課税控除で控除された部分を含む戻し税を受け取るわけで、大手による中小搾取の仕組みとなります。少なくともインボイスの導入で川上企業の課税分を明らかにし、戻し税も遡って振り分けなければ公平な税とは言えませんし、また今回のように2段階で小刻みに上げるのは愚の骨頂、確実に日本の中小企業は成り立たなくなります。ま、円高を口実に製造拠点の海外移転を進めている大手企業は素知らぬ顔で中小企業の消失を見ないフリするでしょうけど-_-;。かくして賃金デフレは進みます。

そういう意味ではいわゆるリフレ論者が言う「デフレ脱却が先」という議論も成り立ちません。また財政再建を理由に緊縮財政とすることも、実体経済に打撃になるのは、ギリシャをはじめ南欧諸国を見ればわかります。というわけで、日本の場合はかなり手遅れな状態ですが、可能性があるのは、税と社会保障を本気で一体改革することですが、そためには消費税も含めて現行制度を大胆に見直すしかありません。敢えて言えば94年2月の細川連立政権のときの深夜の記者会見で物議を醸した「国民福祉税」構想の方がマシでした。

今となっては詳細は不明ですが、消費税3%の時代に7%の税率で社会保障給付と連動させるという構想で、消費税に代わる新たな制度ということでしたから、現在の消費税増税の議論よりは正当性のある議論でしたが、メディアから集中砲火を浴びて細川政権自体を短命にしました。考えて見れば鳩山政権も普天間移設問題でメディアに集中砲火を浴びて失速しましたが、アメリカが海兵隊のグァム移転を普天間と切り離したことで辺野古移転は意味を失いました。結局この国の政局はメディアのから騒ぎで動いているんですね。

そういう中で日本国債は不思議な事に買われているんですが、考えてみれば大企業は社債など自らの信用力で資金調達ができますし、中小企業は儲からなくてとても貸せないから、銀行は集めた預金の運用先に窮して国債を買っているわけです。日銀の金融緩和のおかげでタダ同然の資金を使えますから、利子1%未満での長短スプレッドでさや取りができますし、2月14日の日銀による国債追加購入で長期金利の低め誘導が意図されているので、銀行は償還期間の長い国債を日銀に買い取ってもらい、償還の近い国債に持ち替えることでリスク回避をしています。つまり仮に国債が暴落しても満期まで持ち続ければ損失は出ないわけで、こんな状況では経常黒字で得た分厚い国内貯蓄は国に吸い上げられ、経済効果の乏しい非効率な公共事業に回るわけですから、本来は民間投資で資本装備を高めて労働人口の減少を生産性の向上で補わなければならないわけです。この部分をどうにかするのが本来の意味での構造改革です。

で、実際に国債暴落は起きるのかといえば、少なくとも銀行が保有する国債は満期まで保有され、また日銀が金融緩和策として国債買い入れオペを続ける構図は変わりませんから、毎年10兆円の経常黒字を計上する日本で国債暴落はまぁ心配は要らないでしょう。とはいえ財政赤字を放置してよいわけではないのは上記の通りです。海外勢の日本国債保有も、中韓ASEANなど日本との貿易が盛んなアジア諸国が保有する限りは円建て貿易に伴う外貨準備としての保有が中心ですから、暴落を狙って空売りを仕掛ける心配はありません。欧米のいわゆる投機筋はそもそも低利の日本国債に資金を振り向ける可能性はほとんどありませんし、そもそも発行残高が大き過ぎて中途半端な資金では相場に影響するようなトレードはほぼ無理ですし、市場規模から手っ取り早く稼げる石油や金などへ向かう事になります。

付け加えると欧米のいわゆる投機筋の資金供給源は日米欧の緩和マネーで、中でも低金利で借り易い日本円での資金調達が大きくなります。いわゆるキャリートレードですが、結果的に日銀の緩和マネーは投機筋に資金を提供し、それが原油先物などに投資されて原油価格を押し上げ、輸入物価を上昇させますから、結果的に貿易収支はフローで赤字になることもありますが、それが物価上昇につながらず、むしろ企業のコストダウン要請から人件費カットから更に製造部門の海外移転ということで、家計所得が減少してGDPを縮小させます。つまりリフレ論者の論と逆に日銀の金融緩和は回りまわって賃金デフレを誘発するわけですね。

その一方で民間企業の設備投資は不活発で企業の内部留保資金が銀行口座に積み上がり、銀行はそれを国債で運用するという無限連鎖が続きます。というわけで、国債暴落の可能性は低いけれど、この無限連鎖が続く限り経済の停滞は続くわけですから、日本の未来は音もなく臭い立つ? あ、読点動かしちゃダメ!(以下自粛)

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Saturday, March 10, 2012

がれき処理と除染で不幸が始まる?

のっけから苦言で恐縮ですが、11日に首都圏私鉄の中心に、全営業列車と停車させて黙祷するというイベントが計画されているそうですが、やめて欲しいです。防災訓練ならいざ知らず、無意味ですし、乗り合わせた乗客にとっては、時間ロスもさることながら、気持ちを強要されるのは不快です。またこういうことに異を唱えると村八分というのも日本らしいといえばらしいですが、「神に祈れ」と命令できるのは位の高い神職者が信徒に対して行うときにのみ許されること。あくまでも宗門内のみの話です。

というわけで、本題ですが、週刊ダイヤモンド3/10号で特集された復興が利権化されている現状のレポートに怒りを感じております。特にタイトルのがれき処理と除染に群がる有象無象は将に、復興が食い物にされている図といえます。

がれき処理も除染も国の負担で行うことが決められ、予算化されているわけですが、その結果どういうことが起きているかというと、大手ゼネコンを中心とする利権化が進んでいるのです。東京都をはじめとしてがれき受け入れ問題があちこちで起きていますが、別にタダで引き受けているわけではなくて、国が被災地自治体へ渡す特別交付金で95%が負担されるわけですが、他地域で処理すれば処理費用は他地域に支払われるわけで、被災地には落ちません。この辺は新聞やテレビはほとんど報じませんが、実際に陸前高田市では処理施設の建設を岩手県に具申して門前払いされていたりします。

その一方で大手ゼネコンが重機を使って短時間で大量に処理する案件は、特別交付金の申請も通りやすくなりますが、それでは地元にお金が落ちないので、結果的にがれきは片付いたのに更地のまま放置される土地まで出てきています。土地を造成して再利用する費用は自治体が工面しなきゃならない上に、大手ゼネコンにリース重機や職人を押さえられて地元業者は手が出せず、入札の半分が不調という状況になっているのです。それなら最初から地元業者を使ってがれき処理と土地の造成を並行して進められるようにすれば、復興と同時に被災地の雇用対策にもなるのですが、そのような復興計画はなかなか認められません。

この問題ではどちらかといえば震災がれきの受け入れ問題としてメディアを賑わせており、「放射能汚染の心配はわかるけど、絆をいつなごう」みたいな話の流れになっており、「放射線測定が受け入れ自治体の負担になっているから国が面倒見よう」みたいな話になるのですが、問題はそこじゃないんです。広域処理自体が被災地の空洞化を進めてしまい、復興増税までして確保した復興予算が食い物にされているということが問題なんです。

加えて3.11地震では、地質構造に大きな変化があったようで、半年程度で戻ると言われた沿岸部の地盤沈下は戻っておりません。港湾再生のためには埋立が必要になると見られます。一方住居の高地移転でも、平坦地の少ない高地の造成にがれきを転用すれば、処理量を減らせるわけですが、それは他所から土を買ってこいというのも変な話ですが、国庫支出が減るような話はなかなか進みません。

除染問題も同様ですが、こちらは東電の関連会社が受注したりと更に露骨な利益誘導となっております。また国が進める除染は無意味という指摘もあります。例えば屋根を高圧洗浄しても屋根瓦に吸着したセシウムは除去されず、除染後も頭上から放射線が降り注ぐ状態が続きます。この場合屋根瓦を葺き替える必要がありますが、国の基準では認められておりません。

また土壌の除染でも表土を機械的に剥ぎ取る手法は、大量の汚染土を発生させ、その中間貯蔵で揉めているのはニュースにもなっております。元々排水溝周辺など汚染が集まりやすいホットスポットの除染を中心にすれば、もっと効率よく除染できるんですが、その場合小刻みに空間線量を計ってホットスポットを見つける必要がありますが、国の基準では無視されます。

雑な空間線量測定に基づいて表土を剥がすような作業ならば、重機や人員を大動員できる大手ゼネコンの方が「効率よく」作業が可能ですから、入札で地元業者は負けるわけです。不謹慎な喩えで恐縮ですが、東京大空襲の焼夷弾攻撃に竹槍で対抗するような話です。

加えて森林部分の除染は手付かずです。その結果森林の樹木の葉などに付着したセシウムは、時間をかけて地下水へと移り、里の湧き水や河川の流れで下流へ運ばれますので、今後数年かけてかなり広範囲に汚染をモニターする必要があります。下流域の水田で汚染米ができてしまうなどの出来事が今後数年以上続く事になります。これもおそらく問題が発覚してから対策ということになれば、処理費用は青天井となり、除染を請け負う業者にはおいしい話です。

こうなるのは公共事業で90年代には年間15兆円規模で推移してきた公共事業が6兆円規模まで縮小し、ゼロ年代の不動産再開発ブームで活発だった民間工事も縮小する中、手っ取り早く稼げる事業として大手ゼネコンが群がった結果ですし、復興を口実に財政支出が大盤振る舞いされた結果でもあり、去年4月のエントリーで危惧していたことでもあります。復興を進めるためには他地域の公共事業は一時凍結を基本とすべきですが、実際は八ッ場ダムをはじめ多くの公共事業がドサクサ紛れに着手が決まりました。

八ッ場ダムではダム湖に沈む家や畑や温泉や鉄道が、手厚い補償で移転されるのに対し、津波で洗われた家や田畑や会社や鉄道の再生は自己責任という不条理は以前にも指摘いたしました。公共事業優先で国民生活は後回しがこの国の作法という現実を思い知らされます。

いろいろあって三陸鉄道は復旧費用の国の補助率を50%とすることで復活の方針が示されました。4/1には陸中野田―田野畑間が復活します。元々インフラは岩手県保有で上下分離されていましたから、三陸鉄道の負担は大幅に軽減された形ですが、全業黒字のJR東日本に関しては国の補助はなく、国交省が沿線自治体に働きかけて常磐線と仙石線に関しては、海岸線の護岸工事や集落の内陸部移転に伴う自治体の区画整理で鉄道用地を生み出す形でフォローはされるものの、復旧費用自体はJR東日本の自己負担となります。そのため仙台近郊区間で利用の多い上記2路線に関しては復旧のための自治体との協議が始まり、やっと動き始めました。

八戸線に関しては、地元自治体との協議がまとまり、海岸線の護岸と駅から高台への避難道路の整備が確認されたということで、2012年春に復活が決まり、いち早く復旧しますが、山田線、大船渡線、気仙沼線に関しては見通しが立たず、JR東日本が気仙沼線でBRTによる仮復旧を提案したことで、岩手県の2線の沿線自治体が過剰反応しております。とはいえ自治体の復興計画がはっきりしないと復旧に取り掛かれないこともまた確かなところです。

某大学教授がいうようにJR東日本が新幹線の復旧を優先させたから遅れているわけではありませんし、また三陸鉄道は建設時期の関係で旧鉄建公団工事線として高規格で造られ、トンネル、盛土、高架橋で構成され、防災対策もそれなりにされていたこともあり、沿線自治体は迷いなく三鉄の復旧を前提にできましたが、旧国鉄軽便線規格で集落に寄り添い蛇行するJRのローカル線を地域の産業振興と防災に整合的に復活させることの難易度はかなり高いと言えます。

加えて旅客輸送だけを考えれば、需要面からバスで十分なレベルですし、むしろ運行頻度を高められるなどプラス面もあるわけで、鉄道でなければならない理由をはっきりさせる事も必要ではないでしょうか。私案ですが、貨物輸送インフラとして活用できるならば考えようが出てくる気がします。震災後の燃料不足でJR貨物が燃料輸送列車を仕立てた事を思い出していただきたいんですが、貨物列車の設定のない磐越西線を利用して、新津まで1,000t列車で組成された列車を新津で2分割してDD51で牽引という手間のかかる方法が取られました。

DD51自体は老朽化sが進んでおり、数年以内には淘汰されると考えられますし、動かせる運転士も高齢化しており、今後仮に同じような状況で迂回輸送が求められても不可能となります。北陸新幹線や中央リニアで言われる防災対策としての輸送路の多重化ですが、自らの意思で輸送機関を選べる旅客よりも、自動化を進めても人手をかける部分が無くせない貨物輸送こそ多重化を考える必要があります。

今回福一事故で常磐線の広野―原ノ町間はおそらく何十年かに亘って不通状態でしょうから、貨物の迂回路として使えないわけです。だからといって磐越東線を電化しても、線路の弱さや勾配などの問題で迂回路として使うのは難しいでしょうから、別の方法を考えたいですね。

というわけで、非電化区間の小単位輸送用の貨物列車を車両サイドで実現できないかと考えました。イメージとしてはコンテナ貨車5両を2両のパワーカーで挟んだプッシュプル編成で編成出力1,500kwh程度で、幹線筋は複数編成併結で編成をバラせばローカル線にも入れる電気式ディーゼル列車で、1,300t列車が走る東海道山陽筋ならば4編成、1,000t列車運行路線で3編成併結といったところでしょうか。これならば幹線ルートでは集約しローカル線では分割する形で、かなり自由度の高いルートを運行できます。この仮称リージョナルカーゴトレインを走らせる前提で三陸道に代わる輸送インフラとして三陸縦貫鉄道を位置づけるということができるならば、大規模工事で復興事業を圧迫すること確実な三陸道よりも優れた復興計画となります。ま、鉄ちゃんのたわごとと笑われるかもしれませんが、旅客輸送だけを考えたときよりは復活のハードルを下げられる可能性はあります。またどのみち常磐線不通区間の迂回対策は必要なんですから、一考の余地はあるように思います。

というわけで話が逸れましたが、がれき処理と除染が復興の始まりにならず、タイトルのように不幸の始まりになっている現状を憂います。

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