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Saturday, March 17, 2012

日本の命運、国債へ

毎度毎度イミフなタイトルで恐縮ですが、今回のは読点の位置を見ておいてください(謎)。

3月半ば、本日は春のダイヤ改正ということで、悪天候にもめげず鉄ちゃんたちが各地に出没しているようですが、いの一番に話題にしたいのは、前のエントリーでも取り上げたJR八戸線の復活です。沿岸部の被災路線の復旧が進まない中、沿線自治体との協議が順調だったのが要因です。4月1日には三陸鉄道陸中野田-田野畑間も復旧予定ですから、三陸海岸北部の八戸-宮古間の鉄路がつながるわけです。他の区間の復旧は難題山積ですが、とりあえず祝いたい気分です。

鉄道以外でもいろいろあり、EモバLTEが15日スタート、16日はユニクロ銀座店オープン、、新型iPad発売などですが、特にiPadに関しては、液晶パネルの受注競争で韓国サムスンが採用され、iPad2で採用されたシャープとLGは受注に敗れました。iPadに代表されるタブレット端末ではアップルの存在感が圧倒的ですが、個人ユーザー主体のスマホに対し、タブレット端末はビジネスユースで重用されているのが特徴です。クラウド環境をビジネスに結びつけるには、画面の大きいタブレット端末はうってつけですし、アプリで受発注や決済などをネット経由で行うなどPCとは一味違う活用法で存在感を高めております。

ウィンテル連合が支配していたPCでは、仕事に使うならWindowsでMacはホビー的と見られておりましたが、クラウド環境下ではPCは逆にオーバースペックでユーザーにスキルが求められ、むしろ使いにくいという風に変わってきました。また度重なるソフトのバージョンアップとハードのスペックアップのいたちごっこで費用的にも決して安上がりではなくなってきたという事情もあります。

かつてオラクルがネットワーク・コンピュータ(NC)の名称でネットにつないで使う簡易端末の構想を打ち出してウィンテルに対抗しましたが、当時の技術では使い物にならず普及しませんでした。高速ネット環境が整備され、グーグルやアマゾンなどクラウドサービスが一般化し、iモードに始まるモバイル通信でjavaアプリが活用される中で、機が熟してきたわけです。つまりアップルは時代の変化に適応してかつてのウィンテルの位置を奪ったわけです。問題はPCにしろタブレットにしろアメリカ発という点です。日本のメーカーは韓国メーカーと下請け争いを演じている存在ですから、これじゃ赤字決算は当然です。めざしている未来がお粗末です。

前フリが長くなりましたが、遡る先月14日の日銀の追加金融緩和以来、円安が続いております。去年8月と10月、更に11月の覆面介入と為替介入を続けても動かなかった為替相場が、日銀の追加緩和で動いたわけで、早速リフレ派は「日銀がやっと本気になった」と喜んでおりますが、タイミングの問題はありますが、本質的にはアメリカの景気回復、特に自動車の販売好調に支えられたグローバルな投資家のマインドの変化によります。

リーマンショック以来萎縮していた投資家が、主にアメリカの景気回復局面を見てリスクを取り始めたということです。自動車販売の好調は、リーマンショック後の販売の落ち込みで車齢が高くなっていたことから来るもので、ある意味買い控えの反動という側面が強いものです。

一方でリスク要因としてはギリシャ国債のデフォルト問題、イラン核開発疑惑などがあるわけですが、ギリシャの方はとりあえず無秩序なデフォルトは回避されたということで、本質的な解決ではないけれど当座の安心感は広がいました。またイラン問題ではホルムズ海峡封鎖はなさそうということで、原油高も歯止めがかかりそうです。これにはアメリカのシェールガス革命で天然ガス価格が下落していることで、石油の戦略的なウェート付けが下がったということも影響してますし、エコカーの普及でアメリカ国内のガソリン価格上昇の影響が相対的に下がってきていることも影響しているようです。ただし不確定要素としてイスラエルによるイラン単独攻撃の軍事オプションはあり得るということで、欧米の対イラン強硬姿勢はイスラエルをなだめるためという側面もあります。

といったところで、リーマンショック以来我慢を強いられてきた投資家たちがリスクを取って投資を再開し始めたということです。その結果低金利通貨として日本円で資金調達して海外へ持ち出す円キャリートレードがそろり始まったわけで、当面円安局面は続きそうです。

問題は持続性ですが、2003年以来の円安が2008年のリーマンショックで反転したように、長くて5年といったところでしょう。実際は世界のどこかでバブルが生じてそれが弾けたときまでということになります。今のところそれがどこかはわかりませんが、基本的にバブルが生じるのは先進国地域であるということは押さえておくべきです。というのは、グローバルな金融自由化の結果、日米欧の先進国が揃って金融緩和をしている状況で、緩和マネーが向かう先が新興国という構造問題があり、そのため新興国では金融を引き締めて経済の過熱を抑えている状況にあるからです。つまりそれだけ潜在成長力が高いわけで、多少の経済減速は金融緩和で凌げますし、一時的にバブル的な経済膨張があっても実体経済が追いついてくるからバブルが弾けることはないわけです。

そもそもバブルはなぜ起きるのかというと、金融の肥大化に実体経済が伴わない結果、余剰マネーが特定の資産に張り付いて資産価格を押し上げてしまう結果と整理できます。80年代後半の日本では主に不動産価格の上昇とそれに伴う企業の保有不動産の評価額拡大による株価上昇がリンクしてバブルが生じたわけですし、アメリカではサブプライムローンで拡大した住宅価格上昇期待がバブルだったわけですし、欧州では注目を集めるギリシャもさることながら、イギリスやスペインの不動産バブル、ドイツやスペインの太陽光バブルなど、さまざまなバブルが発生し、現在その調整過程にあるわけです。後者は福一事故で自然エネルギーに注目が集まる日本にとっても注意が必要ですね。

日本の実質経済成長率は過去20年で0.9%、過去10年で見れば0.7%でしかありません。元々高齢化で労働人口が減少しているのに、潜在成長率を高く見積って財政出動で一時的に赤字が拡大しても事後的に税収損になるという期待はことごとく裏切られましたし、97年の消費税の3%から5%へのアップでも、経済が減速して税収減となったのは、いわゆる賃金デフレが始まった98年からです。このような構造要因を抱えた状態で増税は経済を収縮させますから、税収は増えません。

加えて現行の消費税制度は欠陥を抱えています。一つは外税表示を総額表示に変更したために、税率アップ分を価格に転嫁しにくくなっており、特に取引上不利な立場にある中小企業にしわ寄せされます。加えて輸出戻し税問題があります。輸出企業が受け取る戻し税は総額5兆円とGDPの1%にも上るということですが、税率が2倍になれば戻し税も2倍になるわけで、輸出企業の不労所得となります。いわゆる益税問題では小規模な非課税事業者や簡易課税事業者がやり玉に挙げられますが、輸出企業の益税問題は桁が違います。

現実的には部品を納める下請け企業は納入価格に税率アップ分を転化できないにも拘らず、親企業はみなし課税控除で控除された部分を含む戻し税を受け取るわけで、大手による中小搾取の仕組みとなります。少なくともインボイスの導入で川上企業の課税分を明らかにし、戻し税も遡って振り分けなければ公平な税とは言えませんし、また今回のように2段階で小刻みに上げるのは愚の骨頂、確実に日本の中小企業は成り立たなくなります。ま、円高を口実に製造拠点の海外移転を進めている大手企業は素知らぬ顔で中小企業の消失を見ないフリするでしょうけど-_-;。かくして賃金デフレは進みます。

そういう意味ではいわゆるリフレ論者が言う「デフレ脱却が先」という議論も成り立ちません。また財政再建を理由に緊縮財政とすることも、実体経済に打撃になるのは、ギリシャをはじめ南欧諸国を見ればわかります。というわけで、日本の場合はかなり手遅れな状態ですが、可能性があるのは、税と社会保障を本気で一体改革することですが、そためには消費税も含めて現行制度を大胆に見直すしかありません。敢えて言えば94年2月の細川連立政権のときの深夜の記者会見で物議を醸した「国民福祉税」構想の方がマシでした。

今となっては詳細は不明ですが、消費税3%の時代に7%の税率で社会保障給付と連動させるという構想で、消費税に代わる新たな制度ということでしたから、現在の消費税増税の議論よりは正当性のある議論でしたが、メディアから集中砲火を浴びて細川政権自体を短命にしました。考えて見れば鳩山政権も普天間移設問題でメディアに集中砲火を浴びて失速しましたが、アメリカが海兵隊のグァム移転を普天間と切り離したことで辺野古移転は意味を失いました。結局この国の政局はメディアのから騒ぎで動いているんですね。

そういう中で日本国債は不思議な事に買われているんですが、考えてみれば大企業は社債など自らの信用力で資金調達ができますし、中小企業は儲からなくてとても貸せないから、銀行は集めた預金の運用先に窮して国債を買っているわけです。日銀の金融緩和のおかげでタダ同然の資金を使えますから、利子1%未満での長短スプレッドでさや取りができますし、2月14日の日銀による国債追加購入で長期金利の低め誘導が意図されているので、銀行は償還期間の長い国債を日銀に買い取ってもらい、償還の近い国債に持ち替えることでリスク回避をしています。つまり仮に国債が暴落しても満期まで持ち続ければ損失は出ないわけで、こんな状況では経常黒字で得た分厚い国内貯蓄は国に吸い上げられ、経済効果の乏しい非効率な公共事業に回るわけですから、本来は民間投資で資本装備を高めて労働人口の減少を生産性の向上で補わなければならないわけです。この部分をどうにかするのが本来の意味での構造改革です。

で、実際に国債暴落は起きるのかといえば、少なくとも銀行が保有する国債は満期まで保有され、また日銀が金融緩和策として国債買い入れオペを続ける構図は変わりませんから、毎年10兆円の経常黒字を計上する日本で国債暴落はまぁ心配は要らないでしょう。とはいえ財政赤字を放置してよいわけではないのは上記の通りです。海外勢の日本国債保有も、中韓ASEANなど日本との貿易が盛んなアジア諸国が保有する限りは円建て貿易に伴う外貨準備としての保有が中心ですから、暴落を狙って空売りを仕掛ける心配はありません。欧米のいわゆる投機筋はそもそも低利の日本国債に資金を振り向ける可能性はほとんどありませんし、そもそも発行残高が大き過ぎて中途半端な資金では相場に影響するようなトレードはほぼ無理ですし、市場規模から手っ取り早く稼げる石油や金などへ向かう事になります。

付け加えると欧米のいわゆる投機筋の資金供給源は日米欧の緩和マネーで、中でも低金利で借り易い日本円での資金調達が大きくなります。いわゆるキャリートレードですが、結果的に日銀の緩和マネーは投機筋に資金を提供し、それが原油先物などに投資されて原油価格を押し上げ、輸入物価を上昇させますから、結果的に貿易収支はフローで赤字になることもありますが、それが物価上昇につながらず、むしろ企業のコストダウン要請から人件費カットから更に製造部門の海外移転ということで、家計所得が減少してGDPを縮小させます。つまりリフレ論者の論と逆に日銀の金融緩和は回りまわって賃金デフレを誘発するわけですね。

その一方で民間企業の設備投資は不活発で企業の内部留保資金が銀行口座に積み上がり、銀行はそれを国債で運用するという無限連鎖が続きます。というわけで、国債暴落の可能性は低いけれど、この無限連鎖が続く限り経済の停滞は続くわけですから、日本の未来は音もなく臭い立つ? あ、読点動かしちゃダメ!(以下自粛)

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