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Sunday, July 15, 2012

クラゲスクラム

まず前エントリー補遺補遺です(笑)。世界の日本化という観点で指摘すべきは、株式と債券の利回り逆転現象があります。株式の配当利回りが国債などの債券利回りを上回る現象です。

少し解説しますと、株式の配当利回りは時価に対する利回りを意味しますから、配当性向の高低とは無関係で、むしろ配当性向の高い銘柄は市場で人気となりますから、結果的に配当利回りは低下し、通常は元本保証のある国債利回りを下回る水準になります元本保証がなく紙くずになるリスク資産が利回りが低いというのは納得しにくいですが、逆に株価の将来の上昇や株式分割による権利拡大などでキャピタルゲインを得られる可能性がある一方、有限責任原則で株式購入費を超えた債務を負わないという下限のある投資でもあるという意味で投資の世界では常識だったのですが、グローバル競争激化で大企業でも将来の保障はなく、紙くずになるリスクが高まった一方、元本保証のある国債の安全性が評価されて、所謂市場間の裁定が働いて株式から債券に資金シフトが起きているわけです。その結果アメリカでもドイツでも国債金利は低下の一途を辿り、また中央銀行の金融緩和措置がそれを後押ししていることもあり、株安、債権高の流れが定着し、気がつけば日本同様利回りの逆転現象が起きてしまったわけです。

所謂ケインズの言う「流動性のわな」が生じてマネーだけが無意味に空回りしているわけで、財政政策も金融政策も含むマクロ政策でこの閉塞状態は打破できないわけで、基本的には個別の経済主体のインセンティブに働きかけるミクロ政策を積み上げるしかありません。そしてミクロ政策の大きな流れとしては、主に企業部門のインセンティブに働きかける英米型の新自由主義モデルと、主に生活者としての国民個人に働きかける北欧モデルに二分されますが、直近の成果で見る限り、成功しているのは後者です。つまり「国民の生活が第一」は理念としては正しいわけです。残念ながら日本は前者に傾く傾向が強いようです。例えばこんな記事です。

東京新聞:逆転 新たに8都府県 最低賃金が生活保護下回る:政治(TOKYO Web)
この問題には最低賃金引き上げに財界が反対している構図と共に、生活保護受給者になると納税はおろか年金や健康保険の保険料まで免除されるため、結果的に勤労者の可処分所得を上回ることになるという構造問題があります。消費税増税ばかりがクローズアップされますが、社会保険料の負担が大きい一方で、勤労者の賃金が伸びず、結果的に可処分所得が減少している現実があるわけです。個人のインセンティブは後回しというわけです。

脱線気味ですが^_^;、本題は電力問題です。この問題はやや食傷気味の感もありますが、大事な問題ですので続けますが、大飯原発3号機の再稼動で火力発電8基を停止しています。大飯3号機のフル稼働に揚水発電のピーク対応を足しても170万kwの増強なのに対し、火力8基の停止で380万kwの供給が止まっています。

関電「でんき予報」に漂う“不信感”…大飯再稼働でも改善せず (産経新聞) - Yahoo!ニュース
もちろん火力の連続運転は燃料費がかかる上にトラブルの可能性もあるわけですが、8基を一斉に止める理由にはなりません。メンテナンスのために輪番停止して一定量の稼動は確保できるはずです。やはり安全よりも関電の経営上の都合が優先されたわけで、政府も企業である事業者の都合を優先させたことを意味します。

関電の特殊要因としては原発依存度が高いという点はあります。その結果資産計上されている原発の財務上の都合で稼動させなければ不良資産化するという点はあります。その分東電や中部電などと比べても原発のお荷物ぶりは高くなるわけですが、少なくとも使用済み核燃料の冷却をプールに入れて水を循環させるから電力消費が発生するわけですが、これをアメリカのようにドライキャスクに納めて発電所で保管する形にすれば、コストダウンが可能ですが、どうもそれをやりたくない事情があるようです。

以下は推論の域を出ませんが、核燃料サイクルとの関連で使用積み核燃料を再処理して燃え残りのウランやプルトニウムを抽出することを前提としているからなのかもしれません。ドライキャスク利用は所謂核燃料使い捨て(ワンススルー)が前提となるとすると、核燃料サイクルを含む国のエネルギー政策が決まらないと踏み切れないという理屈はありそうですが、仮にそうであっても、電力不足を理由に大飯再稼動を急ぐならば、緊急避難でドライキャスク利用でせめて止まっている原発の無駄な電力消費を回避することは考えても良かったのではないかと思います。どうせ六ヶ所村の再処理施設もトラブル続きで見通し立たないんですし。

また連続運転に不安があるとされる老朽原発にしても、例えば昨年東電では管理下の複数の火力発電所をガスタービン発電機などに更新したりして連続運転に備えましたが、関電が老朽火力の更新をおざなりにできたのは、死に体の東電に対して事故の当事者でなく発言力を温存している関電だからできた可能性もあります。この辺はスマートメーターの実証試験で、東電でさえ断念した独自規格のメーターを既に設置して、唯我独尊ぶりを見せていることなどと併せて見ると、事業者としての関電の事情ばかりが優先されているという見方を裏付けるのではないでしょうか。思えば東電の陰で業界No.2に甘んじていた同社が敵失でトップに躍り出たわけですから、最大限のチャンスと捉えている可能性すらあります。いずれにせよドライキャスクの問題も老朽火力の更新問題もやる気の問題と言えるかもしれません。

こうなったのも元を質せば東電に公的資金を注入しながら生かした処理の問題に行き当たります。JALのような法的整理による破綻処理をいかさまな理由で回避したくだりは以前取り上げましたが、政権交代後の民主党でほぼ唯一成果を得たと言えるJAL破綻処理とオープンスカイ政策移行とは雲泥の差です。ちなみにライバルのANAがJALのV字回復を「税金の助けでリストラをして競争上不公平」と不満を述べてますが、関電と同じで敵失による市場独占が果たせなかった負け惜しみです。またJALを救済して競争条件を維持したからこそ、ピーチを皮切りとするLCCの時代を切り開いたわけで、自公政権時代にはこうはならなかったことは間違いありません。事実自民党はANAの言い分に乗ってJAL再上場に待ったをかけており、廃止された国内ローカル路線の復活など時計の針を戻そうとする呆れた主張をしています。

それでも東電管内ではPPSの新規参入や設備増強が出てきており、また東電自身も老境火力の更新を新規参入社に開放するなど柔軟なところを見せておりますが、関電管内では目立った動きはありません。やはりこの辺は力関係が影響していると同時に、ある意味草刈場と化している東電管内への越境営業などはほとんど見られず、地域独占を前提とする業界秩序は崩したくない電力各社の本音が透けて見えます。業界こぞって腐りきっております。JALを破綻処理してANAを刺激したように、東電を解体して業界秩序を壊すぐらいの荒療治が必要です。ひょっとしたら民営化から四半世紀を経てマンネリ気味のJRも何らかの活性化策が必要かも。

こんな風だから毎週金曜日に首相官邸前に再稼動反対デモで大勢の人が詰まるわけです。政治家が国民のために働かないなら、直接行動で意思を示すのは当然のことですが、日本もやっとフランス並みに追いつきました。ただ日本の場合、消費税問題もそうですが、大飯再稼動でも連合の暗躍が言われます。消費税採決前に民主党議員を回って反対したら次の選挙で支持しないと脅して回ったとか。大飯再稼動問題でも電力総連を抱える連合は民主党に圧力をかけているようです。国民に敵対する労組とは何者でしょうか(怒)。

最後のこんなニュースを。

大飯3号機クラゲ発生で出力低下 フル稼働ずれ込む可能性も 原発再稼働問題 福井のニュース :福井新聞
クラゲも抗議行動?ってわけじゃありませんが、原発の排熱は海水で熱交換されてますから、原発周辺は元々海水温が高めでクラゲの大量発生はそれなりにおきていたようです。この辺は未確認情報ですから断定はしませんが、恒温動物の哺乳類や鳥類を除く水生動物は水温=体温ですから、海水温の変化には反応しても不思議ではありません。それどころか反原発の立場の著作家広瀬隆氏に至っては、クライメートゲート事件を根拠に地球温暖化CO2原因説は破綻したとして、都市熱と原発の排熱を温暖化の原因とまで述べてます。私はクライメートゲート事件の不正発覚後でも、それがCO2原因説を否定する実証的な根拠にはならないと考えるのでこの説は採りませんが、原発の排熱の生態系への影響などは未知の分野ではあります。とはいえ国民に敵対する労組よりもクラゲスクラムの方が頼もしいかも(笑)。

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Comments

それでも日本人は、原発の再稼働を選んだ。
一億総ざんげへの道。動き出したら止まらない。
この道は、いつか来た道。ああ、そうだよ、民族の歴史は繰り返す。

意思のあるところに方法はある。(Where there’s a will, there’s a way).
意思のないところに解決法はない。
意思は未来時制の内容であり、日本語には時制がない。
それで、日本人には意思がなく、解決法が見つけられない。
自然鎮火を待つのみか。

耐え難きを耐え、忍び難きを忍んで、もって万世のために太平を開かんと欲す。
不自由を常と思えば不足なし。
座して死を待つか、それとも腹切りするか。
私の父は、玉砕した。何のお役に立てたのかしら。
安らかに眠ってください。過ちは繰り返しますから、、、、

ああしてこうすりゃこうなると、わかっていながらこうなった、、、、、
12歳のメンタリィティには、知恵の深さが見られない。
わかっちゃいるけど やめられない。ア、ホレ、スイスイ、、、、

白く塗られた黒いオオカミの足を見破ることは難しい。
だます人は悪い人。だまされる人は善良な人。おとり捜査は難しい。
この調子では、人の命はいくつあっても足りるものではない。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://3379tera.blog.ocn.ne.jp/blog/

Posted by: noga | Sunday, July 15, 2012 at 11:13 PM

コメントありがとうございます。リンク先を拝見いたしました。基本的にコメントの内容は上段リンクのwebページの本文及び下段リンクのブログのエントリーと同じですね。

とすると、なぜブログのトラックバック機能を使わずにわざわざ同内容のコメント文とリンク貼付という手間のかかることをされたのかわかりません。

もちろんトラックバック機能は使いたくないということなのかもしれませんが、何らかの意思表明であるならば、それを明らかにされることをお勧めします。

ま、ご対応いただけなくても削除するような野暮はしませんが、本来コミュニケーションツールであるはずのネットの利用法としてもったいないなと感じます。

それでは。

Posted by: 走ルンです | Monday, July 16, 2012 at 06:15 PM

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