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March 2013

Saturday, March 30, 2013

くだんのばか

件といえば古くから伝承されている人面牛体の妖怪で、平安のガールズトークエッセイ「枕草子」でも取り上げられたぐらいですから、相当古くから伝承されていたようです。故に異説多数ですが、大まかには突然人前に現れ、天変地異や戦乱などの不吉な予言を残し、人が回避に努めても逃れられないということで恐れられたものです。そこから転じて厄介な懸案事項を「件のアレ」と呼ぶ慣用句となったわけです。というわけで「件のアレ」な話です。

んで「件のアレ」に苦しんでいるのが有価証券虚偽記載で上場廃止となり、再上場を目指していた西武HDですが、メディアや政治の過剰反応振りばかりが目立つものの、本来民間同士の経済行為に政治が介入するのは問題です。事実関係としては12年度中に再上場を目指していた西武HDが経営陣と32.4%保有の大株主のサーベラスの間で対立が起きて上場が遅れているということで、そもそも対立の理由も不明ですが、常識的にはコーポレートガバナンスに関する何らかのトラブルで、中身は当事者しかわかりません。にもかかわらず利益至上主義の外資といった価値判断を含む決め付けで報道するメディアのミスリード振りには眩暈がします。

そもそも係争のあった創業家の影響力を減らすために第三者割当増資引受をサーベラスに依頼し資本業務提携をしたのが後藤社長で、窮地を助けてもらったわけですが、再上場の売り出し価格に不満を持っているということのようですが、そんな中で再上場のために西武HD側から資本業務提携の解消を申し入れてから思惑の違いが明らかになったようです。そんな中でこんなニュースです。

西武球団売却など提案意向「一切ない」 サーベラス日本社長  :日本経済新聞
つまりは対立の中で売り言葉に買い言葉で出てきた球団売却や一部路線廃止などの不規則発言がリークされたもので、仮に経営陣の意図的なリークならば、土電組長名刺事件に負けず劣らず、悪質のそしりは免れません。注意が必要なのは、この手のニュースで「会社は株主だけのものではない」といった反応が出てきますが、株主に限らず、従業員、取引先、顧客、地域社会、国家などのステークホルダーを軽視して経営陣が暴走することが日本では度々見られ、株主と他のステークホルダーの対立を煽って漁夫の利を得る経営陣という構図は度々見られます。所謂コーポレートガバナンス問題は根が深いってことです。

そんな西武ですが、今月16日に東京メトロ副都心線と東急東横線の相互直通運転が開始されました。東横線では特急と急行が10連化された関係で他社車両での運行が多く、先週23日の土曜日に用があって市ヶ谷へ出かけるときに乗った東横特急は西武6000系ステンレス車で、車内広告のみならずドア上の液晶モニター広告も西武関連で、何だか変な気分でした。webの告知も含めて、各社がそれぞれ異なった訴求をするから、イメージに統一感がないうらみがあります。相互直通は所詮妥協の産物と言ってしまえばそれまでですが。

で、10連になっても混雑している東横特急ですから、相互直通効果で乗客は増えているのでしょう。平日のラッシュ輸送で混乱するんじゃないかといった心配もありましたが、今のところ順調なようで、トラブルのニュースはなかったんですが、昨日やっちゃいました。

朝日新聞デジタル:2両分ホームはみ出し扉開ける 副都心線運転士が勘違い - 社会
10連を8連と勘違いした運転士が手動停止で8連停止位置に停止させドアを開いたというもの。余計なことしなければ普通に10連の停止位置で普通にドア扱いできたわけですから、何ともお騒がせな勘違いです。手動扱いに関する運転士から指令への通告もなかったようですから、二重のミスということになります。とはいえ5社が絡む相互直通運転で車両も新旧取り混ぜて使用されているわけですから、運転取り扱い上はかなり煩雑なものがあると察せられます。とはいえ最初から手動扱いの京王線調布市内ではなく副都心線で起きるというのは、マンマシンインターフェースの難しさを示しているようです。

目的地が市ヶ谷ですから、JRだけで行けるんですが、そこはそれ、折角だから地下に潜った東横線で渋谷へ向かい、どうせなら九段下のバカの壁を越えたいし、市ヶ谷は後楽園-春日と共にメトロと都営の改札相互開放が始まったからそれも試したいし、ということで、横浜-渋谷-九段下-市ヶ谷(都営メトロ連絡改札を通過してメトロ改札で出場)というコースを試しました。結果は市ヶ谷のメトロ改札で止められました^_^;。

有人通路の駅員氏の話では、Suica/PASMO自体がメトロー都営ーメトロの乗り継ぎに対応していないためエラーになるということでした。ここで重要なのは、九段下経由のルートはメトロと都営がノーラッチ接続している点です。加えて東急-メトロ間も渋谷、中目黒、目黒と3箇所でノーラッチ接続している上、目黒は都営地下鉄ともノーラッチ接続しているという点です。つまり横浜からノーチェックで市ヶ谷の都営-メトロ連絡改札に至る場合、都営で目黒-神保町-市ヶ谷のルートの可能性もあるのに、メトロ-都営の乗り継ぎと見なされたわけです。ちなみに運賃は両者とも横浜から520円で同額、横浜-渋谷/目黒共に260円ですから、渋谷-九段下-市ヶ谷と目黒-神保町-市ヶ谷は同額の260円ということで、改めて都営地下鉄の運賃の高さが実感できますが、重要なのは同額を収受しながら都営単独ではなくメトロとの連絡運輸としてメトロに収入を貢ぐ結果になっているということです。ちなみにメトロオンリーなら渋谷-市ヶ谷は160円、JRで渋谷-代々木-市ヶ谷も160円で、都営が絡むと高くなることは変わりません。こんなことしててメトロ並みの高収益事業になるんですか>都知事閣下。

ね、結局壁は取れてもバカは残るでしょ。加えてホーム床タイルの汚れ具合でサービスレベルの差が見える化されてしまいました。都が主張する地下鉄一元化のリアリティのなさが見えてしまったわけです。あれ、「くだんのばか」になってる^_^;。

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Saturday, March 16, 2013

獲らぬ狸のパートナーシップ

確定申告を無事終えて、久々にゆったりとした週末を過ごしております。申告書を提出する前はとにかく神経を集中していましたが、そんなときの来客の応対は面倒ですが、さらに「ご挨拶にうかがいました」とか言われた日にゃ、殺意すらもよおします。ま、確定申告は期限までに申告書を提出すればとりあえず終わりですが、財政の崖問題で議会と対立が続くアメリカのオバマ大統領に日本の5人目の首相がご挨拶とは、空気読めないのか、って話になります。

実際、最初の外遊で訪米を目論んでいた安倍首相は断られており、また尖閣問題や北朝鮮核開発などで日米軍事同盟増強や集団的自衛権を視野に入れた近い将来の憲法改正を手土産にしようとしても相手にされず、TPP参加表明を迫られてやっと会えたというのが実際のところです。アメリカから見た日米首脳会談はこう見えてます。

安倍訪米が”大成功”とは言えない理由 | アメリカから見た世界 | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
総選挙ではTPPに慎重姿勢だったことはどこへやら、本質は対米ポチ政権の安倍政権には、アメリカのご意向には逆らえなかったのです。さらには大手メディアは完全無視しているものの、11日の衆院予算委で民主党前原氏がTPPを巡る日米事前協議の内幕暴露までありました。
東京新聞:TPP 米、車・保険で譲歩要求:政治(TOKYO Web)
もはやTPP参加表明はアメリカに良い顔したい政治家や官僚の保身のためでしかないということです。アメリカの無茶な要求にTPP参加表明を逡巡した野田政権の方が、国民目線に近い対応だったということは言えます。ま、それ以前に日本のTPP参加は外圧を口実に新たな利権を創り出したいということに他ならないことは以前にも指摘しております。それも含めて民主党政権はナイーブ過ぎたという指摘もできますが。

不思議なのはTPP参加を後押ししてきた大手メディアの報道姿勢です。TPPは関税同盟というよりは、非関税障壁を標的としているもので、その中にはよく言われる医療保険分野に留まらず、新聞書籍の再販制度やメディア企業のクロスオーナーシップ(メディア企業グループの排他的株式持合い)や記者クラブ制度なども俎上にのぼるでしょう。そうなったときのメディアの対応はある意味楽しみです。また原発事故を受けて重い腰を上げた電力改革の行方も見ものです。外国企業の電力事業参入とかあると大騒ぎになることでしょう。

てなわけで、どう見ても改革開放とは程遠い安倍政権では、再建に成功したJALが法人税を払わないのはおかしいとか言って損失繰越の見直しに着手しておりますが、明らかに特定企業をターゲットにした制度変更は中国ばりのアナクロ政策です。ま、損失繰越が9年も可能というのは明らかにおかしいんですが、これも小泉政権当時に銀行に不良債権処理を促す狙いで延長されたものが見直されず、むしろ財界の顔色をうかがってさらに延長なんかするからおかしくなるんで、見直し自体は大いに結構ですが、JALに遡及させる変な規定を設けると、それが非関税障壁として槍玉にあがる可能性は指摘しておきます。そんな政治の思惑とは裏腹に、JALの絶好調は止まりません。

再生JAL値下げ攻勢に不満続出 政治巻き込む航空業界の“地上戦”|Close-Up Enterprise|ダイヤモンド・オンライン
財務体質が強化された新生JALですが、同時に現場レベルのコスト意識の浸透もあり、路線ごとに価格見直しで収益最大化を模索した結果、LCCには及ばないものの、大手より安値で市場参入してきたAirDoやスターフライヤーの運賃に近づいて摩擦が生じています。とはいえJALが極端なダンピングをしたわけではなく、当局は静観の構えです。元々中途半端なビジネスモデルで参入してきた新規参入社の領域まで脅かす存在にまでなったのですから、JAL恐るべしです。新規参入社も経営は稚拙で、スカイマークを除く社は全てANAの資本が入っているわけですから、当局の業界ヒアリングでは圧倒的なJALバッシングになるわけですが、それを口実に民主党の手柄と見られているJALを目の敵とは、ここは中国か-_-;。

一方でJALと並ぶ大型上場と期待された西武HDの再上場が頓挫しています。2004年の証取法違反による上場廃止以来、リストラを進めてきた西武グループを支援してきた米投資ファンドのサーベラスと株式売り出し価格で対立し、サーベラスが西武HDにTOBを仕掛けております。

西武HD、悲願の再上場に暗雲…サーベラス「路線廃止」提案も+(2/2ページ) - MSN産経ニュース
既に32.4%を保有するサーベラスが拒否権を行使できる33.4%超を目指すわけですから実現は時間の問題で、西武HDの再建は出口で躓くことになります。サーベラスの主張はより高い売り出し価格を実現するための追加リストラ策の実行を迫り、その監視役として役員人事まで提案しており、本気度満点ですが、追加リストラ策の中身は一部鉄道線の廃止を含む過激なもので、すんなり受け入れがたいものでもあります。とはいえ大株主の意向を無視するわけにもいかず、西武は何らかの対応を迫られることになりそうです。

伝えられる限りでは、採算性の低い秩父線、多摩川線、山口線(レオライナー)の廃止や、レッドアローの特急料金値上げやプリンスホテルのサービス料アップ、品川地区の再開発などですが、いずれも簡単ではないだけに、相当揉めそうです。それでもここまで細かく事業内容を把握しているサーベラスはさすがです。いずれも山岳路線だったり孤立路線だったりランニングコストの高い新交通システムだったりと不採算の原因がはっきりしているところばかりです。例えば秩父線は秩父鉄道、太平洋セメントや自治体と合弁で受け皿を作り切り離すなどは考えられます。

というわけで、企業再生支援機構という政府機関に助けられて再生したJALは政治家に因縁をつけられ、民間の外資ファンドに助けられた西武はその外資ファンドの無茶な要求に窮している状況をどう理解したらよいのか迷います。後者はさしずめTPP加盟のあかつきにはIMFへ提訴される案件になりそうですが、そのTPPを推進する政府が、自ら助けたJALを追い込むってのがどうも悪い冗談にしか見えないのは気のせいでしょうか。

気がかりなのが第2のJALや第2の西武が控えている点です。電機メーカーは儲からない半導体事業を切り出してルネサス・エレクトロニクスなる会社を作ったけどうまくいかず政府支援に駆け込みましたし、同様に儲からないディスプレイ事業を切り出してジャパン・ディスプレイを立ち上げたものの、深手を負っているシャープは参加せず独自にスポンサー探しに明け暮れた挙句のサムスンとの提携ですが、これでゴールというわけでもなさそうです。

鉄道の世界ではJR三島会社の問題を指摘しておきます。例えばJR四国は公的助成なしに将来が描ける状況にはないですし、ここへ来てトラブル続きのJR北海道も雲行き怪しいですし、優等生のはずのJR九州も頼みの九州新幹線の利用が伸び悩んでおります。正確には熊本までの利用は順調ながら、観光客頼みの鹿児島までの利用がマイナスということで、実質は博多南線2.0状態。ならば全線フル規格は贅沢すぎたという評価になろうかと思います。ましてや長崎をや。

あと動かせない原発抱えた電力9社もですが、経営再建予備軍が予想以上に多い日本です。TPP発効のあかつきにはどうなることやら。これじゃTPPならぬTTP(獲らぬ狸のパートナーシップ)だぜっての。

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