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Sunday, July 07, 2013

まっすぐなでんきのちから

JR北海道のディーゼル特急がまた出火事故を起こしました。

JR北海道の特急また火災 八雲・函館線 エンジン付近から-北海道新聞[道内]
そのためか過去エントリーが突然アクセスが増えました。ただし今回の事故は振り子式ではない旧式のディーゼル特急で、原因は潤滑油漏れらしいので、むしろメンテナンスに問題がなかったかが問われます。実際今年に入ってからの発煙、出火事故は5件目ということですから、「またか」というのが正直なところです。本業赤字で経営安定基金の運用益も低金利という経営環境の悪さがあります。アベノミクスは逆風ですね。

一方で未明に海外から事故の報せがありました。

アシアナ航空機が着陸失敗で2人死亡、サンフランシスコ空港で | Reuters
着陸失敗で機体が破損したものですが、気になるのは燃料タンクのある主翼部分が燃えていないことで、おそらく燃料はほぼカラだったようです。原因究明はこれからですが、燃料切れでエンジン出力が低下した可能性があり、長距離のフライトで予備燃料が不十分だった可能性があります。大韓航空との競争が熾烈で、行き過ぎたコストダウンがなかったかは問われます。

というわけで冒頭から事故の話題で恐縮ですが、国内の鉄道事業に引き戻しますと、メンテナンス問題と燃料価格の高止まりによって、鉄道車両のディーゼル利用が難しくなってきているという背景の変化を言いたかったわけですが、それに対してハイブリッドディーゼル車、バッテリー車などの技術的提案を打ち出すJR東日本でクルーズトレインの新造が発表されました。

「日本を楽しむあなただけの上質な体験」を感じる旅が始まります。~ クルーズトレインの新造について ~(PDF)
注目されるのは、電化、非電化区間を問わず走行できるEDC方式を採用するという点です。JR九州のクルーズトレイン「ななつ星」がディーゼル機関車(DF200)牽引の客車列車なのに対し、あくまでも動力装置は電車そのものとしている点が面白いところです。

概要は不明ですが、主回路は直流1,500v対応として、ディーゼルエンジンと直結の発電機を搭載して、2電源なのか、交流電化区間対応(50hz/60hz両対応?)はどうかなどは現時点では不明ですが、以前のこのエントリーで指摘したディーゼル車のメンテナンス問題の改善にJR東日本は取り組んできたという流れが見えてきます。そして既に東北や信州のリゾート列車のハイブリッド化は実現していますし、烏山線への「スマート電池くん」EV-E300系投入も発表されており、また東北線松島と仙石線高城町を結ぶ連絡線経由で仙台―石巻間に投入されるHB-E210系など、運用線区の特性に応じた最適システムの模索が行われています。そして発表されたクルーズトレインということで、システムのシンプルさという流れからすると交流電化対応は省かれる可能性はあります。

というわけで車両面で大胆な新機軸を打ち出したJR東日本ですが、その辺はハイブリッドの柳の下のエントリーで論じている方向性という意味で、今後も最適システムの模索は続くと考えられます。特にバッテリーシステムは非電化区間対応に留まらず、大電流に悩まされる大都市圏でこそ使いたいシステムでもありますが、もうひとつJR総研で注目の技術が実用試験段階を迎えました。

【節電・省エネトピックス】鉄道総研、超電導ケーブル実用化へ年度内に走行試験 :日刊工業新聞
電気抵抗ゼロということは、送電ロスをなくすに留まらず、記事中にあるように制動時の回生電流を100km離れた電車に消費させるというようなことも可能になり、ATき電の交流電化区間での交流用回生ブレーキとほぼ同等の省エネ性能が得られることを意味します。そして超伝導ケーブルは特性として交流電流では電力ロスが出やすく、直流電流と相性が良いのが特長で、やはり記事中にあるように、太陽光など自然エネルギー由来の電力を取り込むこともやりやすくなりますし、変電所間隔を開けられるということは、少ない設備投資で地方ローカル線を電化するなどの可能性も開けるわけです。また大電流に悩まされ、変電所増設を余儀なくされている大都市の鉄道で、変電所増設を抑えられるということになれば、かなり直接的に鉄道事業者の収支改善につながります。この辺が突破口となって普及すれば、超伝導ケーブル自体のコストダウンも期待できます。

実際鉄道会社にとっては福島第一原発に事故以来、電力料金の値上げが避けられない中、例えば「東武の広島」(笑)とも言うべき野田線に省エネの新車60000系が登場するなどの動きが出ていますし、JR東日本が南武線にE233系を投入するのも同様の狙いと見るべきでしょう。VVVF制御で回生ブレーキが一般化したがために、トータルな電力使用量は減らせても、負荷変動が大きいとして系統電力網にとって好ましくないとして、産業用電力より割高な電力料金を余儀なくされている鉄道会社にとっては、この辺の技術動向は重要です。

更に言えば以前にも指摘したように、50hz/60hzの周波数の違いで地域間の電力融通がうまくいかないという問題に対して、JRの直流き電線を連携線代わりに活用するアイデアを以前のエントリーで述べましたが、そういったkとがリアルに可能になるということでもあります。ま、唯我独尊のJR東海をどーするというツッコミはありますが^_^;。超伝導は電力浪費のリニアよりこういった省電力分野でこそ活用したい技術です。

19世紀末、家庭電化の観点から、多くのデバイスが直流で動くことから、電力変換の必要がない直流電化を主張したトーマス・エジソンに対して、アメリカのジョージ・ウエスチングハウスとハンガリーのニコラ・テスラは、変圧器によって電圧変換が可能で、遠距離送電が可能な交流電化を主張。感電や漏電などの事故対策として回路遮断が容易な交流電化が電力供給事業のスタンダードtなった歴史がありますが、超伝導ケーブルでひょっとしたら逆転ということも。そもそも交流の方が送電ロスも大きく、原子力発電の再稼動が難しい日本の現状だからこそ、見切り発車で原発再稼動を強行するよりも、こうした新たな技術革新を誘発することの方が重要なのではないでしょうか。

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