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August 2013

Sunday, August 25, 2013

青春18還暦鉄

いやはや、自分がこんなタイトルの記事を書く歳になろうとは。でも事実ですから、包み隠さず白状しちゃいましょう。本音を言えば暑くて自宅にも居られないから、ひたすら乗り鉄涼みしたいなぁと。というわけで、久々に青春18キップを入手し、あちらこちら出没しましたが、その顛末はともかくとして、久々に乗車したムーンライトながらで、年恰好の似たおっさんおばさんばっかだったのが新鮮でした。中には夫婦と思しきカップルも。老いらくの青春18キップってをい^_^;。

ま、今や若者の貧乏旅行の友はバスに取って代わられたってことですね。当ブログでも再三取り上げてまいりました。そして8月1日から新高速乗合バスとして一本化されたのは喜ばしいところですが、積み残した問題も多数あり、今後も注視していく必要はありますが、同時に、ツアーバス由来の新規参入組が、既存事業者と異なった発想の新サービスを具現化している面もあり、公正な競争の結果として双方が洗練されていくことを期待したいと思います。旅客サイドから見れば、間違いなく選択肢が増えて価格もこなれ、新規需要も掘り起こされてミクロ経済学の価格形成メカニズムに則った消費者余剰が実現しているわけですから、とりあえずポジティブに評価すべきでしょう。

ツアーバスの始まりは1981年4月から、稚内市の北都観光という旅行会社が主催し、系列の貸切事業者、道北観光バスが運行するはまなす号が始まりと言われます。その後道内バス事業活性化の思惑から道運輸局が督励したこともあり、会員制ツアーバスがブームとなりますが、札幌―留萌線で乗合路線バスを運行する北海道中央バスが乗合類似行為として異議申し立てをしたこともあり、運輸局は態度を改め、当時の道路運送法24条の2に準拠した貸切バスによる乗合運行として免許取得を促すよう指導しますが、一部貸切事業者が指導に従わず係争状態になるなどしました。しかし結果的には道内の高速道路整備進捗もあって、道内の高速乗合バス事業自体が活性化された側面もあります。

一方で2000年仁道路運送法の改正法が公布され2002年1月から施行されます。いわゆる需給調整規制の撤廃が行われ、バスタクシー事業への新規参入が容易になりますが、その結果、タクシー事業者などの貸切バス事業への参入により競争が激化します。ただでさえ団体旅行の減少で需要が停滞する中での新規参入ですから、価格競争が激化し、国交省への届出運賃が有名無実化している状況です。特に貸切バスに関しては、以前からレンタカーのドライバー付レンタルなどのいわゆる白バス行為も横行し、旅行会社も違反を承知で安値を求める旅客の求めに従って利用していた経緯がありますから、規制緩和でそれらが合法化される結果、ダンピングはある意味起こるべくして起きたと言えるものです。

その結果燃料費の高騰もあり、運行を担当する貸切バス事業者では整備不良や乗務員の超過勤務が常態化することになり、昨年の関越道事故を招くに至ったわけです。その結果、既に行われていた高速ツアーバスと高速乗合バスの一本化の議論が加速されることになり、今年8月施行の新高速バス制度へということになります。ただし法改正は伴わず、省令改正による制度の運用見直しによるもので、そもそも貸切事業者の急増によるダンピング問題などは積み残されたままという意味では途半ばに過ぎないですし、イベント輸送やインバウンド(訪日外国人観光客)輸送などのグレーゾーンも残っており、これら価格訴求要素が強い分野でダンピングが続く可能性は否定できません。高速バス自体は安全になったとしても、同じ道路を走る貸切バスの安全性が高まったわけではないということです。

ま、これらの話題は始めるとキリがないのでこれぐらいにしておきますが、青春18鉄で久々に利用したムーンライトながらを待つ名古屋駅で、時間があったのであちこち見て回って、いくつか気づいたことがあります。まずは太閤口のJRバス待合所が冷房が効いて涼しかったのですが、JRバス利用者以外お断りの注意書きがありましたのでそそくさと表へ出ると、旅行鞄を持った大勢の人が列をなしています。新規参入組の高速バス利用者で、便別に標識を立てて列を作り、案内係がマイクもなしに利用客に伝達事項を伝える場面です。なるほどJRバス待合室の注意書きの意味が理解できました。同時に鉄道準拠で乗車券を発券し交付するJRバスでは窓口で端末を叩いて対応し、出発便は出発順にLED表示器で案内されるなど、この点も鉄道並で、ただでさえ地価の高い大都市ターミナルで重装備ですから、元ツアーバス組の新規参入社にとってターミナル負担は大きいのだなということが実感できます。

一方でweb予約中心の元ツアーバスでは、そもそも乗車券の発券という発想はなく、係員が点呼して確認し、該当便に案内するという仕組みで、丁度航空便のチェックインに近いやり方ですが、駅前広場という公共空間で人海戦術で対応というかなり対照的な姿を見ることができました。案内係の人たちも若くてカジュアルな服装ですから、多分時間給のアルバイトなんでしょうけど、そうやって人件費をかけても、予約発券で高価な端末を用意する必要もなく、乗合バス移行で高速道路料金も安くなる分を原資として対応できているというところなんでしょう。本来は専用待合室を確保したいところでしょうけど、大都市圏ではかなり高いハードルではあります。

ついでだjから名鉄バスセンターの方も覗いてみましたが、こちらはビルの中ということもあり、全くの別世界でした。元ツアー組利用客を排除する必要もないというわけですね。構内でファミマが営業していて、狭いながらも待合室もあり、太閤口の喧騒とは無縁というわけです。

で、ふと鉄道の待合室はどうなってるのかというと、結論から言えば特になしということで、、まぁ元々インフォメーションは充実してはいるものの、くつろげるロビーやラウンジがあるわけではないので、ある意味鉄道は高速バス以下かいというオチになりそうですが、マックやドトールでお茶してくれということかも。高速バスの変貌振りを見ると、それ自身問題を抱えてはいるものの、鉄道だけが取り残されているような感覚を否定できないのは困ったものです。もちろん輸送力の違いから、中途半端な待合室の設置は難しいのも確かです。

あと実際に乗車したムーンライトながらは波動輸送用の189系10連ですが、側面表示器の故障で一部号車は「団体列車」表示と場末感漂う列車で、青春18キップ対応もあって乗車後の車内検察というアナログな方法が取られています。ま、乗客はほとんど青春18キップ利用者で、ルール上日付変更後最初の停車駅(上りの場合は豊橋)までは別途乗車券が必要など、乗客自身が承知していて特段のトラブルもなく粛々とチェックが進む様を見ると、鉄道とバスの違いを更に実感してしまいます。ある意味青春18シーズンの季節臨ムーンライトは、旅慣れた鉄オヤジに支えられ、ローコスト運行ができているということで、清酒18キップと共に、車両の代替わりはあっても当面はなくならないのだなと確信できます。

ついでの話題で、別の日の早朝に富山駅北口で見た光景を。ロータリーに面したバス停ポールに多数の新高速バスが発着するのですが、夜の早い地方のバス停ですから、路線車との競合はないものの、逆にマイカー送迎を助長しているため、折角確保したバス停にマイカーが停められていて支障する場面が頻繁に起きます。名古屋のような大都市とは違った問題ですが、バス事業者も係員を立たせているわけでもなく、その分乗務員の負担になっていないか心配です。まして事前調整が可能な出発便と違って、到着便は重複も起きるので、更に面倒ですが、チェックイン重視の新規参入社では、到着便のために人を配置することはまずないでしょうから、改善されない可能性があります。地域の問題として自治体が対応することも視野に入れる必要があるかもしれません。

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Sunday, August 11, 2013

三重のナロートークの打算と誤算

あぢー。PCも熱暴走しそうな陽気で、ブログ更新が滞っております(笑)。流石にこんだけ暑いと電力需給も逼迫しているらしいのですが、相変わらず節電のお願いだけということで、やっぱり電気は余ってたということです。一応こんなんがありますが。

6電力会社 この夏の「需要」を更新 NHKニュース
というわけで、よほど突発的な発電所または送電系統の事故でもない限り、停電は起きないということで、電力の逼迫は伝えたいけど甲子園中継のテレビを消されたくないNHKが遠慮がちに伝えているのが笑えます。あんまり電気が足りない足りないと言えないメディアの苦悩も窮まりました。

もちろん需給が逼迫すると系統の制御が難しくなって、周波数が不安定になるなどの弊害はあり得ます。それによってハイテク機器の中には誤作動を起こすものもあり得ます。そういえばこんなニュースも。

緊急地震速報、過去最大規模の“誤報” 原因は「地震計のノイズの途切れ」 - ITmedia ニュース
大誤報は暑さのせい(笑)。もちろん裏は取れてませんが。というわけで、脳ミソもとろけそうな暑さの中で、広軌に続いて狭軌の話題です。

近鉄が内部・八王子線のBRT化を打ち出したのは2012年8月21日なので、まもなく1年になりますが、地元四日市市が反発しており、両者の議論は平行線のまま、今月末のタイムアウトを迎えそうです。鉄道での存続を求める地元に対して、近鉄は施設と車両の無償譲渡を前提とした鉄道存続案を提示しておりますが、地元は受け入れ姿勢を示していないようです。

そもそも大近鉄にとって年間3億円程度の赤字路線の存続がなぜ問題なのかといえば、2ft6ibn(762mm)の特殊狭軌線であることに行き着きます。国内では10年前に同じ近鉄から三岐鉄道へ移管された北勢線と、富山県の黒部渓谷鉄道のみという特殊規格が災いし、車両も施設も一点物の特注品にならざるを得ず、老朽化に伴う更新投資が手詰まり状態にあるということです。しかも最小曲線半径100m、最急勾配25/1,000で、ポイント番数7番相当の急角度の分岐器の路線を、かつてやはり特殊狭軌線だった湯ノ山線のように改軌するのは非現実的です。全線四日市市内の立地し、沿線が市街地化されているだけに困難です。

逆に言えば、だからこそ特殊狭軌の意味があったとも言えるわけで、普通規格の鉄道では建設すら困難な路線でも小資本で実現できるという意味で、全国に多数の2ft6in(ニブロク)ゲージ鉄道が建設されたわけですが、その能力の低さゆえに、既に戦前段階で、台頭するバスとの競争に敗れ去った路線も多数にのぼります。

逆に急曲線や急分岐が可能で小回りが利くので、黒部渓谷鉄道の前身の日本電力専用線のように、電源開発目的など土木工事や資材搬入の目的で建設された専用線も多数あったのですが、これも戦後は工事用道路を作って大型トラックやダンプや重機を直接現場へ向かわせるようになり廃れます。余談ですが大井川鐵道井川線も元々は電源開発用にニブロクゲージで建設された後に貨車直通のため3ft6in(1,067mm)ゲージに改軌されたものの、車両限界が元のままという珍しい路線です。一方豪雨で不通となっているJR東日本只見線の只見―田子倉間は、電源開発(株)の専用線を国鉄に編入したものですが、当初から国鉄規格で作られており、国策による電源開発とはいえ破天荒な資金力による力技ぶりが際立ちます。

で、ニブロクゲージのサイズ感を示すのが、近鉄式ATSの地上子の位置で、レール間に収まらないのでレール脇にオフセットされた状態で設置されているわけです。そんな風ですから駆動用モーターも小型でなければならないですが、それ以上に困難なのが駆動装置です。

標準規格の鉄道では、台車枠に架装されるモーターと車軸の偏倚仁対応するために、モーターの回転子軸と車軸の歯車装置の間に、合成樹脂たわみ板またはギヤカップリングの自在継手を介したカルダン軸を置くことで対応しており、回転子軸を中空にしてカルダン軸をその中を通すなどの工夫をして1,067mmの狭軌にも対応してきたんですが、さすがに762mmではそれも困難ということで、モーター重量の半分を車軸に担わせる旧式の吊り掛け駆動にせざるを得ないのですが、メーカーに打診してもそれができないと言われてしまう現状があります。吊り掛け式の場合、構造上モーター筐体に強度を持たせる必要があり、特殊設計の一点モノになるのでお値段ガーという話になります。

過去にはガソリンカー改造で駆動装置を転用し、床下にモーターを吊るしてプロペラシャフトで駆動するとか、モーターを垂直に立ててウォームギヤで駆動する垂直カルダンドライブなどの変てこなものもありましたが、いずれも過去帳入りしておりとても使えません。となると老朽化が進む現在の車両を新車に置き換えることすら困難ということになります。加えて冷房化というハードルも存在します。つまり鉄道で残そうとすれば下手すれば冷房もついてない車両で我慢することすら覚悟しなければならないわけで、乗客目線で考えればBRT化はやむなしというところでしょう。

実はこれらの問題は三岐鉄道に移管された北勢線にも当てはまる問題ですが、こちらは員弁川沿いの集落を結ぶ生活路線という性格が強く、自治体の補助でやっと存続して入るものの、将来展望が描けないのは同じです。近鉄時代に改軌も検討されたことはありますが、近鉄名古屋線と関西本線を乗り越す橋梁部分は強度上も線形上も放棄せざるを得ず、やはり桑名市内の市街地で別ルートをというほとんど不可能な課題を抱えています。移管から10年の今年は、やはり何らかの動きが出てくる可能性はあります。

というわけで、趣味的には残してほしい特殊狭軌線ではありますが、残念ですがもはや大近鉄の内部補助頼みでは成り立たないところまで来てしまっているということになります。しかも沿線にこれといった集客施設があるわけでもないし、輸送能力からいって本線に客を送り込む培養効果もほとんどなしという中で、BRT化は近鉄がそれでも単純に撤退しないということでもあるわけですから、地元がもう少し歩み寄るしかないでしょう。

で、地元が拘るのは、伊賀線と養老線の子会社化による存続という近鉄のローカル線対策の分かりにくさにも原因がありそうです。この問題に関しては、課税特例を悪用した疑惑の処理の可能性繰り返し指摘いたしました。もちろん裏づけはありませんし、その後の不動産市況の変化で、鉄道用地の評価替えをこっそり元に戻されている可能性がありますので、北勢線や内部・八王子線では当てはまらないだろうと思います。まぁそれ以前に上野市や大垣市などの重要拠点を抱え、本線の培養効果もそれなりにあるなど、支線の位置づけにも違いはありますが。

四日市市の立場として、伊賀線や養老線でできた子会社化による存続が何故できないのかという疑問はわかりますし、近鉄が納得的な回答をできるのかというあたりに、問題を複雑にする要素がありそうです。延長7km程度の路線で減価償却も進んでますから、簿価は幾らでもないでしょうし、施設や車両の無償譲渡も近鉄としてはわけもない話でしょうけど、ならば近鉄保有のまま運営部門の子会社化が何故できないのかというのは明確な回答が難しいのではないかと思います。企業として答えにくい租税回避問題が絡んでいると仮定すればですが。

アップルの米議会証言で注目された租税回避問題ですが、海外展開する日本企業の多くが、ケイマンやシンガポールなどのいわゆるタックスヘイブンにペーパーカンパニーを置いているのは公然の秘密ですし、運輸業などのドメスティック企業にとっては、祖特法による課税特例は、業界に対する救済策と認識されていて、拡大解釈が普通に行われている現状もあります。例えば個人事業主の青色申告では3年までしか認められない損失繰り越しが、企業に対しては延長に延長が重ねられ、9年になっているということなど典型的ですが、民主党政権時代に法人税減税の財源として言及されたときに、恩恵を受けるはずの財界が一斉に反発したなんてことがありました。民主党の考え方自体は、国際的な法人税減税の流れに沿った課税ベースの拡大による税率ダウンというものでしたが、日本を代表する大企業が、実は祖特法の恩恵を受けていて、民主党案が実現すると増税になってしまうという矛盾を抱えているわけです。

またJALの再建で過去最大の増益を実現しながら、損失の9年繰り越で納税義務を負わないということで、ANAのロビーに呼応して自民党がJALの再建にイチャモンつけたのも記憶に新しいところです。大企業にとっては、本業の競争力を高めるよりも、数年毎に大規模なリストラをして減損処理で損失を出すことで、課税を逃れ続けることすら可能です。そんな連中の主張する法人税減税なんぞチャンチャラおかしいんですが。

というわけで、この話題に突入すると果てしなく拡散してしまうので、この辺にしておきます。というわけで、愛のピロートークならぬ三重のナロートークは打算と誤算の産物かも。あれ、同んなじ?

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