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Sunday, December 01, 2013

百鬼夜行の公共性

猪瀬都知事が徳洲会から5,000万円を借り入れをしたということで、メディアが報道合戦になっておりますが、ニュースの出所はどこなんでしょうか。徳洲会は元々使途不明金が多く、また地方に大病院を建てて地元医師会と対立してもいましたし、選挙では現ナマが飛び交う金権選挙で目立っており、検察の狙いは脱税の立件と見られます。そんな中で、5,000万円の現金が出てきて「これは何だ?」「猪瀬知事に貸して帰ってきた金だ」といったやり取りがあったと言われますが、流れから言って本筋から外れた捜査情報がメディアにリークされたあたりの気持ち悪さは、西松建設や水谷建設の不正献金事件と通底します。

当の猪瀬知事は釈明に追われていますが、元々渋っていた都知事選出馬が決まったものの、落選すれば職を失う不安から、それに備えた当座資金として借りたということで、選挙資金には使っていないということで、現行法上ではグレーゾーンですが、すんなり立件できるわけでもないし、政治絡み、選挙絡みのお金としては正直ショボい金額でもあり、検察が立件に動くとは思えないのですが、検察しか知り得ない捜査情報がリークされたことに変わりはなく、どうにも胡散臭いと感じます。ま、猪瀬知事の釈明で見せる小物っぷりをせいぜい楽しみましょうか。道路公団にしろ地下鉄統合にしろ猪瀬改革をインチキと断じてきた私としては、猪瀬氏の改革派イメージが裏切られたという感想は持ち合わせませんが。

一方で「徳洲会のお世話になったのはイノセだけぢゃない」という声もありますが、西松事件で小沢氏が叩かれた一方、自民党の二階氏には塁が及ばなかったように、猪瀬知事がスケープゴートにされたという可能性は指摘しておきます。検察は捜査情報の全てを公開しているわけじゃありませんし、逆に公判前に手の内を明かすことはあり得ませんから、情報がリークされたことを以て、逆に猪瀬氏の立件はないと見て良いでしょう。同時に陰に隠れたもっと悪い奴らには司直の手は届かないでしょう。選択的な情報リークは、世論操作の常套手段なんで、特定秘密保護法が問題視されるゆえんでもあります。

というわけで、特定秘密保護法の成立を待つまでもなく、この国の報道の自由は瀕死の状態にあるということは再三指摘しておりますが、法案成立阻止とか目に見える形のイベントにしか反応しないリベラル勢力の怠慢も指摘しておきます。日本国憲法第12条にあるように、憲法が保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって保持しなければならないのであって、いかなる法律が成立しようとも、自らの守備範囲で不断の努力を続けるまでのことです。

もう少し続けますが、そもそもは民主党政権時代の尖閣ビデオ流出事件、自衛隊イージス情報漏えい事件、警察公安情報漏えいの3事件が立法化のきっかけで、政権交代で中身も大分変わった模様です。尖閣ビデオに関しては、元々秘密でも何でもない情報を政権の意向で非公開としたことで迷走したものですし、イージス漏えいはイージスシステムを深く理解するためにUSBメモリーに落として自宅へ持ち帰って自宅PCで自習していたものが、自衛隊員間のアダルト画像交換に紛れて拡散したもので、且つ当事者とされた海自二等海佐の夫人が中国籍ということで、すわハニートラップかと言われた事件で、この件がアメリカの怒りに触れたことが、立法化をごり押しする理由のようです。まぁ秘密情報をUSBメモリーに落とすってのは非常識ですが、この手の非常識は日本の官庁や企業組織の中では結構ザラにある話でして、そもそも秘密情報のアクセス権の管理がいい加減という組織文化に問題があるわけで、同種の情報漏えいが秘密保護法の成立で防げる保証はありません。

公安情報の漏えいが実は国民的には最も深刻なんですが、公安がマークしている人物が明るみに出れば、マークがブロックされるという面もさることながら、公安がマークしている人物本人にとっても、それが濡れ衣であっても社会生活を困難たらしめるものということで、二重の意味で漏えいが許されない種類の情報ですが、公安に睨まれたくないメディアの腰が定まらず、上記2件に比べれば露出度は低く、この国のメディアはホント根性なしです。特定秘密保護法の成立で情報漏えいは防げなくても、情報操作で世論誘導はやり易くなるとは言えます。ますますニュースの裏を読むリテラシーが問われます。

で、長い枕から本題ですが、12月20日から金曜深夜(土曜日)の渋谷駅―六本木駅間の都営バス終夜運行が始まります。

渋谷駅~六本木駅間で終夜バスの試験運行を開始します | 東京都交通局
猪瀬知事肝いりで、深夜の移動の利便性を高めるというのは結構なことなんですが、それが国際都市東京の魅力アップにつながるのかという点は別問題です。金曜夜の酔客輸送の公共性というのは、簡単に答えの出る話ではありません。

ま、その辺は脇に置いとくとして、渋谷駅1:10発から4往復70ヘッドで、おそらく1台で機織り運行でしょうけど、あくまでも試験運行ということで、需要の掘り起こしにつながるかどうかが問われます。現状この時間帯の移動はタクシーでということでしょうけど、乗客がタクシーから移転集約されただけなら意味がないわけで、むしろ需給調整規制撤廃で増えたタクシーを地域指定で減車する国交省の方針もあり、別の問題を引き起こす可能性はあります。深夜バス準拠の倍額運賃400円でも、タクシーの710円(2km)+90円(288m毎)*4=1,070円とは開きがありますfが人数次第でもあり、タクシーの現在の利用実態にも左右される部分でもありますが、この辺は直ぐに結果が出ることでもあり、注目しましょう。

連動して東急が電車の終車延長と関連の深夜バスと深夜急行バスの繰り下げと増発を金曜限定で行うことが発表されており、連動した動きがあるのかどうかも注目です。個人的には酔客の選択肢を増やすことが都市の魅力アップにつながるというのは疑問なんですが、保守間合い確保が必要な電車の終夜運転が難しい以上、深夜の足をバスへ誘導すること自体は一定に評価できますが、鉄道の終車後のサービスとしてバスやタクシーまで動員してシームレスに提供することが、欧米の大都市では当たり前で、日本の都市交通は交通モード毎の縦割りが非効率を助長しており、せっかく特区指定を受けるなら、そこまで踏み込んで欲しいところです。形はどうあれ公共交通が終夜運行することで、終電ラッシュが解消される可能性はあるわけですし。猪瀬知事のバス終夜運行案は、具体的にどういった問題を解決するのかが明らかではありません。

で、夜つながりの話題として一部報道で夜行寝台列車の廃止報道があり、ネット上でも話題になっておりますが、基本的に私はこうなると早い段階から睨んでおりました。そもそもかつての夜行列車全盛時代は、そもそも鉄道の輸送力不足と速度の遅さから、需要を満たす必要性から夜行列車が多数設定されていたわけで、東海道新幹線開業前の全盛期には、東海道夜行急行が15分ヘッドで運行されておりました。また団体旅行も盛んだった一方、道路事情やバスの性能の問題もあって、団体旅行用の集約臨が設定されていて、日光や伊勢南紀や十和田湖などへ向かう不定期列車が設定されていて、複数の団体旅行を集約して列車を仕立てるものでした。修学旅行列車ひので、きぼう、こまどりなどもこの仲間でした。

しかし東海道新幹線の開業後はそのスピードと輸送力で夜行へはみ出していた需要を吸収していきましたし、特急となった寝台列車の多くも、通常期は編成減車が当たり前で、団体客の受け入れで席を埋めていた状況ですから、夜行列車の先細りはずっと前から続いていた傾向であり、車両の老朽化もあり、また客車列車であるために、機関車の問題は特に深刻です。機関車を保有する貨物鉄道にしてみれば、自社の列車運行に供する目的で機関車を保有しているのであって、夜行列車を運行する旅客鉄道のために機関車を融通するというわけにはいきません。ただでさえ民営化以来経常赤字の続くJR貨物に負担をかけるわけにはいきません。

あと新幹線や国内航空で多くの都市間で短時間の移動が可能になると、朝から出先で用事があっても、前日移動と前泊で対応することが好まれる一方、料金負担の割には疲れが残る夜行列車利用は忌避されるようにもなります。ただしこの部分はホテル代も節約しつつ出先での活動時間を確保したいというニーズはあるわけですが、その部分は旧ツアーバスを含む高速夜行バスが担うようになりました。1台30-40人という輸送サイズが多様な需要の掘り起こしに適していたこともあり、都市間のみならず観光地をターゲットとする路線まで出てきており、需要を集約して初めて成り立つ夜行列車では対応が不可能と言える域にに達しています。もはや時計の針は戻らないわけです。

この辺は都営バスの終夜運行とも通底しますが、買い手の購買力が需要構造を変えるという点は見逃されがちです。またニッチになった夜行需要をバスが担うのであれば、無理をして夜行列車を走らせる意味は薄いわけですね。夜行列車にもはや公共性はないのです。

そういう意味では青い森鉄道が夜行列車廃止に反対を表明しているのがまた、ややこしいんですが、IGRいわて銀河鉄道と共に、ローカル列車だけでは住武運あ運賃収入を得られない在来線転換三セクの2社は、JR貨物の線路使用料と夜行列車の高単価の収入が屋台骨を支えていたのですが、その片方がなくなるとなると穏やかではないわけです。JR貨物の線路使用料に関しては、JR向けよりも高い使用料が認められている一方、JR貨物へはJR東日本が支払う整備新幹線区間の線路使用料の上乗せ分を原資とする差額補助がされており、元々無理を通したパッチワークのような状況でした。

誤解の無いように言えば、JR貨物は第三種事業者として線路使用料を支払う立場ですが、夜行列車は第一種事業者として三セク2社が運行する列車であり、運賃収入はそのまま売り上げになりますので、ある意味貨物列車よりもおいしい存在ではあります。元々夜行運行の多い貨物のために指令業務は夜間も行うわけですから、夜行列車分については、JR東日本への車両使用料などの精算はあるものの、ほとんど丸儲けなわけで、三セク2社の屋台骨に響くわけですが、だからといって三セク2社のために夜行列車を運行するというのも本末転倒というものです。元々北海道へ伸ばすためにはフル規格でなければならないという理屈で押したフル規格新幹線が仇となっているわけです。だから言わんこっちゃないんですが。

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