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Sunday, May 11, 2014

いざ鎌倉のロードプライシング

たまにゃ地元ネタってことで、既にメディアでも報じられていますが、鎌倉市が行楽シーズンの深刻な渋滞対策としてロードプライシングの導入を打ち出しました。アイデア自体は古くからありましたが、過去の渋滞対策が行き詰ってきていることもあり、踏み込まざるを得ない状況ってことなんでしょう。

これまでにも大晦日から正月3賀日にかけての一般車両規制は古くから実施されていて、路線バス、タクシーまで規制しての若宮大路の歩行者天国という大胆なものです。路線バスは大船駅方面は八幡宮裏の駐車場折り返し、西口発着のミニバスは市役所前折り返しで、残りはJRガード下の下馬交差点付近を臨時ターミナルとし、特徴的なのは浄妙寺、朝比奈方面のバスを郵便局前から路地のような裏道に迂回させ、沿道に誘導員を何人も立たせている状況で、かなりコストがかかっているわけです。故に実施日の拡大の要求は以前からあったものの、実現はしませんでした。

その後社会実験を経てパークアンドライドが実施されますが、正式に実施されたのが七里ヶ浜県営パーキングと江ノ電の組み合わせと、由比ヶ浜駐車場と新設のシャトルバス「ふくちゃん号」の組み合わせの2例となり、6時間駐車で環境手形という名の1日乗車券(店舗施設割引優待付)2名分を渡すというものですが、GWなどでは江ノ電が混雑して改札止めが頻発する状況ですし、由比ヶ浜の方はそもそも渋滞でシャトルバスが動けないということで、現在は運行区間、本数ともに減っている上に、シャトルバスはGWや年末年始は運休ということで、渋滞解消の切り札となるには至っておりません。また第3弾、第4弾として考えられていた杉本観音や鎌倉女子大前にパーキングを作ってシャトルバスに乗り換えさせる計画も、現状では幻と言わざるを得ません。

そのほかにも土休日は市役所の駐車場を有料で利用させる取り組みもありますが、朝には満車で入ったら出ないから日中は待っても空かないし、そもそも市役所へ向かう道が混雑するしで、使い勝手は良くありません。上記のパークアンドライドと共に、積極的に広報できない事情があるわけです。

というわけで、流入する行楽目的のマイカーを減らすしかないということになったものの、そもそも一般道路への課金は可能なのかという問題もあります。一応法令では道路は無料開放が原則となってはいるものの、課金自体を禁止する法令はないということで、鎌倉市では法定外目的税としての導入を考えています。つまり道路のキャパシティを超える流入を抑えると同時に、税収を財源として道路や駐車場の整備に使って、渋滞の原因そのものを減らそうということですが、越えなければならないハードルは多数あります。

一番大きいのは公平性の観点です。担税者の多くは市外在住者ですから、その人たちの同意を取り付ける必要がありますが、鎌倉市の有権者でなく、投票による意思表示ができないわけですから、結局地方自治を管轄する総務省の判断となります。当然公平性の観点から、市民に対しても課金することを求められると思いますが、これが鎌倉市民の間で大論争となっています。個人的には市民といえども課金は当然と思います。車が減ってバスが定時運行できれば問題はないわけですし、投票権を持たない人たちに課税する以上、市民だけ特別扱いとはいきません。しかし逆に市民は投票権を持っていますから、ややこしいところです。鎌倉市が市民を説得できるかどうかが、一番のハードルかもしれません。

それとメディア報道ではほとんど触れられていないのですが、そもそもマイカーから公共交通へといっても、上記のように江ノ電は改札止め、シャトルバスは運休、JRですら鎌倉駅の混雑対策に四苦八苦していて、コンコースからホームへ上がる階段3箇所を上り下りで使い分けてどうにかさばいている状況です。これ以上乗客が増えたら、JRですら改札規制に踏み切らざるを得ない状況も考えられます。まして子どもを伴う家族連れが多く、。平日の通勤ラッシュのように乗客の慣れでカバーできる要素はありませんので、ある意味平日以上のカオスとも言えるわけです。JRにとって救いは定期客ではなく、多くは正規運賃を支払っているということです。逆にだからこそ駅員の接客対応も難しくなります。

江ノ電やJRでさえこんな状況ですから、マイカーから公共交通へ移転というときに、鉄道以上にバスの輸送能力にも課題があります。鎌倉は基本ベッドタウンですから、バスの運行ダイヤも平日は朝夕の対応がs中心で、あと終電受けの深夜バスま長時間の運行時間帯をカバーする必要から、昼間のダイヤが疎らで且つパターン化されていない一方、土休日は昼間のパターンダイヤ中心で渋滞対策で予備車まで動員される場合がある一方、終車が早いという極端に異なった運行パターンを採用せざるを得ず、それでも行楽シーズンには遅れが常態化という状況で、勢い市民もマイカーを頼りにする傾向があります。まして高台でバス停まで階段があるなどバス利用を阻む要素が強いこともあり、上記の市民課金の問題でも説得を難しくする要素です。しかも京急、江ノ電の民間2社がそれぞれ自社都合で最適ダイヤを組む関係で、共同路線ですら連携が取れていないため、無駄に便数がある割に利用しにくかったりという状況もあります。

こういったことへの対応ってわけかどうかはわかりませんが、このGWには新たな社会実験が行われました。朝比奈峠越えのつづら折で元々自然渋滞が起きやすい上に、横横道路朝比奈インターができて休日のマイカー流入が激増してバス2時間遅れが当たり前という県道鎌倉金沢線の浄妙寺、十二所地区の救済を狙って、鎌倉駅→浄妙寺→ハイランド→鎌倉駅という循環バスを5/3‐5/5の3日間、昼間20分ヘッドで運行しました。京急バスが運行を担当し、ハイランドから鎌倉駅ヘは名越トンネル経由でノンストップとし、渋滞ポイントの八幡宮を迂回するルートで運行しました。駅前で目撃した限りでは、立客ありの乗りだったので、試し乗りはあるにしても、それなりに利用されていたようで、車内アンケートの結果も踏まえての評価の発表が待たれます。

というわけで、メディア報道では唐突感のある鎌倉市のロードプライシングですが、ここに至った経過を広く発信して市外の担税者の同意を得る努力は必要です。またその前提として、公平性の観点から市民を特別扱いしないこともまた重要です。この辺は先日成立した交通政策基本法の元になった交通基本法の民主党案で明記されていた移動権が盛り込まれなかったことが残念なところです。憲法25条の生存権の拡張概念としての移動権を盾にすれば、法定外目的税としても通りが良かったと思いますが、解釈改憲にまで踏み込んで憲法99条の憲法順守義務どこ吹く風の現政権では望むべくもないところです。

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Posted by: Telecharger Gta 5 Pc | Tuesday, May 13, 2014 at 03:50 PM

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