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Sunday, October 05, 2014

Suica甘いか消費税再び

アベノミクスの雲行きが怪しくなっております。ま、当ブログでは当初からこうなると指摘し続けてきたわけですから、今さら付け加えることはないんですが、敢えて言えば、日本の潜在成長率の低下がいよいよどうにもならなくなってきたということでしょうか。過去20年の平均値が0.9%で直近10年は0.7%と漸減傾向なんですが、おそらく今は0.5%にも達していないと考えられます。

その中で金融政策や財政政策で経済を底上げしようとしても、例えば公共工事が軒並み入札不調で執行できず、成長が制約されてうまくいかないわけです。4-6月期のGDP改定値が年率換算で実質マイナス7.1%と0.3%の下方修正となりましたが、速報値では予算執行を満額で仮置きしていた結果の下方修正ということで、事態の深刻さを表します。ま、これも以前から指摘されていた問題ではありますが、生産年齢人口の減少が始まった日本では、そもそも潜在成長率は低下せざるを得ないんで、それを無理して財政出動でGDPを押し上げようとすればこうなるというだけの話です。しかも育成に10年はかかる職人の不足ですから、人手不足が直ちに雇用の創出にはつながらないわけで、所謂雇用のミスマッチですから、このことが雇用者全体の賃上げへ波及することもないわけです。

というわけで、Suica甘いか消費税再びということなんですが、景気を見ながら必要ならば追加の経済政策を打つというのが既定路線のようですが、当時のエントリーを読み返しても、税収の上振れ分を補正予算に回す議論が当時から行われておりました。当時は民主党政権でしたが、政権が代わってもこの辺のスタンスが変わらないのに溜息が出ます。むしろ党内の反対派に配慮していわゆる景気条項を盛り込んだことが、今安倍政権の判断に注目が集まる理由になっているというコンテクストの綾は何とも微妙です。実際衆議院予算委の質疑ではこんなやり取りもありました。

衆院予算委:アベノミクス攻防…民主「賃金低迷」首相反論
毎日新聞 2014年10月04日 01時31分
TVニュースでも取り上げられたやり取りですが、アベノミクスの失敗と消費税率アップをリンクさせた民主党の作戦勝ちです。民主党自身は三党合意で消費税率アップを決めたことで国民にそっぽを向かれたわけで、政府が税率を上げることそのものには反対しにくい事情がありますが、アベノミクスの失敗で事情が変わったとするならば、攻めに転じられるわけです。消費税問題に限定すれば、野党で足並を揃えやすいということもあります。

少し補足しますが、円安でも輸出が伸びないことは、最初から分かっていたことで、既に製造拠点の海外移転は以前から進んでいて、2005年には貿易収支の黒字を所得収支の黒字が上回る逆転現象が起きています。長年の黒字の累積で海外資産が拡大した結果、その利益配当が拡大したわけで、これ自体は自然な流れですが、注意が必要なのは貿易収支はGDPに直ちに反映されますが、所得収支は税や消費や投資の形で国内で移転されない限りGDPに反映されないということです。

企業保有の現物資産ならば、その利益を株主配当で還元したり、従業員に賃金として配分配分しない限り、単なる貯蓄にしかならないし、企業貯蓄の増大は、銀行融資の減少と対ですから、いくら日銀が金融緩和でマネー供給を増やしても、その先へ出て行かない限り意味がないわけで、むしろ企業は過去の融資を返済さえしますから、実際には融資の減少すなわち信用収縮が起きているわけです。金融政策では解決できない問題です。

先進国で海外で稼いだお金の活用法として、株主など投資家への還元を重視して逆に資金集めに使えば英米型の金融資本主義になりますし、賃金の形で労働者へ手厚く分配する大陸欧州型にしろ、政府が介在して社会保障の形で国民に還元する北欧型高福祉社会にしろ、海外所得の国内還元策として見ると、日本はどの観点からも中途半端という評価になります。ちなみに1人当たりGDP成長率で見る限り、社会保障重視の北欧型が最も成功している社会モデルです。スコットランドの独立運動が社会変革を目指していたのも、身近にお手本があったということは言えます。

で、本題ですが、消費税を2014年4月に5%→8%に、2015年10月に8%→10%と2段階で増税を決めた結果、JRなど鉄道事業者から、ICカード乗車券システムの改修が二度手間になることが懸念され、特に利用の多い近距離の運賃で端数処理の都合で価格転嫁がやりにくいということもあり、JR東日本がICカード乗車券に限って1円単位の端数処理とする現金とICの2本立ての運賃が申請され、首都圏を中心に他社も追随しました。

ただし詳細は事業者によって判断が分かれています。JR東日本では山手線内その他の特定割引区間を含む電車特定区間の新運賃を現金は10円単位の切り上げ処理とし、IC運賃が必ず現金運賃を下回るようにした一方、東海、西日本と共通となる幹線運賃、地方交通線運賃は10円単位の四捨五入としたため、IC運賃が現金運賃を上回る区間が発生しております。JR東日本の公式見解として、3社共通運賃なのでやむを得なかったとしています。

在京私鉄各社は、JR電車区間に倣って現金運賃を切り上げとしたところと四捨五入としたところに分かれたようですが、後者の場合でもIC運賃が上回る区間ではIC運賃を現金運賃に合わせて減額する一方、IC運賃が安くなる区間の端数に上乗せして全体を調整するというややこしいことをしています。対応が分かれた理由ですが、おそらく消費税の2度目のアップの時に、現金運賃とIC運賃の二元運賃を解消する意図があると思います。こうすることで値上げの印象をわかりにくくしようということだろうと考えます。つまり現在の8%はあくまでも過渡期という考え方なんでしょう。とすると消費税が上がらないと、現在の現金とICの二元運賃が固定化される可能性はあります。

バスでも首都圏では1円単位のIC運賃は普及してますが、運賃表示機はそのままで、現金運賃のみの表示となっております。そのためにICカードで運賃支払いすると、思わぬ端数が出て???となることも多々ありますが、一応バス停やバス車内の広告枠で現金とICの双方の階段表を掲示したりはしていますが、いちいち見る人はほとんどいません。で、バス特のバスポイントも端数が出るわけですから、月替わりで端数が出ると損した気分になります^_^;。セコいですが、精神衛生上はよろしくないところです。

そんな中で意外な事業者がこの問題に答えを示しました。バス専業最大手の神奈川中央交通ですが、従来のLED式運賃表示機に代わって大型のカラー液晶パネルの新表示機に交換されています。カラー表示で現金運賃のほかにIC運賃も表示しており、文字が大きく視認性も良いなど、神奈中らしからぬ^_^;親切仕様です(笑)。まぁ首都圏でも高齢化が進んで、バスの乗客も高齢者に比率が高まっていますから、ここまでしないといけない時代なのかとちょっと驚きです。加えて藤沢。茅ヶ崎両営業所で中ドア乗車後払い式に乗降方法が変更され、まるで神奈中じゃないみたいです(爆)。前払い式の他営業所でも表示機は交換されているようなので、今後波及するのかもしれませんが、つくずく乗り合いバスの装備品はどんどん複雑になります。古典的な手動式運賃箱と両替機を備えた鎌ヶ谷観光の生活バスちばにうがむしろ新鮮に見えます(笑)。当然ICカードは使えませんが。

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