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November 2014

Monday, November 24, 2014

我裸恥互す井の辺ーしょん

天才プログラマーと言われる現役大学生が小学四年生を詐称してTwitterでバレて炎上という事件がありました。「どうして解散するんですか?」という質問を投げかけ、RTで拡散したのですが、そのサイトの作りが小学生離れした凝ったもので、そこからバレて謝罪という、何ともやっちまった感満載ですが、ネタというわけでもなし、また国民に政治意識を鼓舞したかったらしいけど、そうだとすればあまりに稚拙なやり方であると共に、デマを拡散してネット世論をでっち上げる手法に転用可能だったり、またNPO法人のサイトを使っていて、法令上NPO法人の政治活動は禁止事項ですから、本人が刑事訴追されかねない危ういことでもあります。

ですが、謝罪はしたものの、これらの点への言及はなく、謝ればスルーされるというおっさんの悪しき慣習に汚染された若者という悲しいものを見せられました。例えば朝日新聞の吉田調書問題で、木村前社長は謝罪し撤回しましたが、報道に誤報は付き物であって、誤報はプロセスの検証と共に修正することこそ重要なのに、面倒を避けようとして頭下げたんですが、さすがに逆に炎上しました。大人の変なところはマネしないことです。

確かに意味不明な解散総選挙ですが、そもそも安倍首相が外遊中に流れができるってのも変ですし、既に与党が安定多数を握り、解散する必要性はないわけです。一応消費税増税延期の信を問うというのですが、法令手続き上は景気条項で内閣の責任で判断することになっていますし、そうでなくても改正法を国会に諮って成立させる障害はないわけですから、その面でも変です。おそらく解散権を行使したかったということなんでしょうけど、憲法上は疑義のあるところです。

内閣の権能としての衆議院解散は、69条で不信任決議が可決されたか信任決議が否決された場合に、10日以内に解散しなければ総辞職とあるのみで、7条の天皇の国事行為としての解散は、象徴天皇であって為政者ではないという原則に従えば、単なる手続き規定に過ぎないというのが素直な読み方です。つまり内閣の解散権とやらは元々拡大解釈の産物でしかないということになります。

憲法上は国会が国権の最高機関であって、内閣は衆議院の多数派のよって組閣され行政府を統括するものですから、法人企業でいえば国会が株主総会相当で、内閣は取締役会ということになります。つまり内閣は国会の付託を受けて成立した法の執行が公正に行われているかどうかを監視し、国会に報告する義務を負うわけです。建前上は内閣は国会に責任を負う立場です。で、多数派で組閣するわけですから、通常は滞りなく進むはずですが、造反で与党が割れることはあり得るわけですから、その場合に不信任決議が可決されて解散か総辞職かということになるというのが本来の姿です。ま、勝手に解釈改憲するような内閣ですから、憲法を尊重する気はさらさらないというところでしょう。

もちろん国家機関を法人企業に喩えるのは問題もあります。国会は選挙で選ばれた代議員によって構成されているわけで、一般的な株式会社の株式保有に応じて議決権が発生する仕組みとは異なります。あくまでも主権者たる国民の公正公平な選挙によって選ばれる代議員に付託されるわけで、代議員は国民の声を集約して国会論戦を通じて予算や法律を決め、その執行状況を監視し、国民に報いる役割になるわけです。

そのプロセスで国民の本音の声を掘り起こし、それを収束させ集約させてて具体的な予算や法律に結実させるために政党が存在するはずですが、残念ながらそれができている政党はほとんど見当たりません。その意味では今回の炎上で図らずも反応した民主党の有名議員がいて、民主党の仕込みというデマまで飛びました。そう、悪用すれば特定の政治勢力を陥れる手段にもなり得るわけですが、それに引っかかる政党というのは、逆に国民の声を聴くマインドがあるが故という見方も可能なんで、結局悪貨が良貨を駆逐することにもつながりかねないわけです。尚、これは民主党の脇の甘さの証明でもあって、一方安倍首相のTBS報道番組でのインタビューで国民の声を否定する姿勢と比べると、国民を向いているとは言えますが、それだけ外部からのかく乱に弱いということでもあり、これが現時点での日本の民主政治の実態でもあります。

とはいえ選挙で意思表示の機会を得るわけですから、とりあえず有権者として争点を決めて投票するしかないですが、当然経済は大きなテーマです。丁度7-9月期のGDP速報が出てマイナス0.4%、年率換算マイナス1.6%で、以前のエントリーで予測した数字の更に下を行くドン底状態です。消費税増税という特湯要因はあるとはいえ2期連続のマイナス成長は通常景気後退と言います。貿易赤字縮小は景気後退のサインだったということですね。これで総選挙を戦うんですから、与党の逆風は想像以上に大きいと思います。与党議席をどれだけ減らせるかが、国民側から見た今回の選挙の最大の争点ですね。

てことで、これまでの異次元緩和や国土強靭化をネタにした財政出動は批判してまいりましたが、これらが経済成長に何の役にも立っていないことは既に結果が出ました。残るはアベノミクスとやらで「第三の矢」とされる構造改革ですが、これもさっぱり進みません。あれこれ取り上げるよりもニュースから見ていきます。

スカイマーク、日航と提携交渉 羽田全便を共同運航
2014/11/21 23:39:日本経済新聞
自民党のJAL潰しは止まりません。エアバスキャンセル問題で苦境に陥るSKYが、経営の独立性を維持しながら提携先を探した結果、公費で経営再建をしたという理由で新規投資や企業買収を実施勤められているJALとの提携を選んだら、国交省から待ったがかかったというものです。どう転んでもJALを利する話はアウト。提携はANAへという下心満載です。表面的には新自由主義を標榜する安倍政権ですが、実態は経済を統制して特定企業を利する方向性が顕著です。自由主義経済でも独占企業が政府を動かす結果、社会主義計画経済と変わらない統制経済に似てくるものなのですね。ま、先鞭をつけたのは1940年前後に国家総動員法で経済統制を強化した戦前の日本ですが、何だか似てきています。

本来競争環境を維持する独占禁止政策は資本主義経済体制の維持のために欠かせないもので、アメリカやEUはおろか、昨今は中国でさえ法制化されて当局が規制に乗り出しているのですが、所謂グローバル化で国内シェアだけで判断できないとして企業統合による独占が容認されるケースが欧米でも増えている状況も一方であります。つまりグローバル化は規制当局を相対化して弱体化させる働きがあるわけで、大企業がこぞってグローバル化に舵を切る理由でもあります。

というわけで、規制の空洞化に対抗する動きもあり、世界貿易機関(WTO)や国際決済銀行(BIS)や気候変動枠組条約(FCCC)などの国際的な枠組みで対応しようとしていますが、WTOでインドの反論で合意が壊れたりFCCCから日本が離脱したように、国家間の利害調整の仕組みが整わない中で、企業の動きが先行している状況です。ぶっちゃけ企業から見れば国際的な規制の枠組みはない方が、制度の違いを利用したクリームスキミングが可能bなのでありがたいのが本音です。この辺はグローバル化の裏の狙いとして押さえておきましょう。

ただ国の内外を問わず競争市場が消費者にも生産者にも余剰をもたらすのが価格メカニズムのコアな命題であり、その観点からJALやSKYの問題を見ることが大事で、与党へのロビイングが熱心だからANAに贔屓するするというのは、まるで途上国の話です。

鉄道の分野でも、首都圏で湘南新宿ラインがスタートした結果、東急が東横線に特急を登場させ、小田急が江ノ島線に快速急行を走らせたように、連鎖的に活性化されたことが思い出されます。加えてN'EXの大宮延伸や東武鉄道直通特急のにっこう、きぬがわなど、柔軟なルート設定で需要の掘り起こしが行われたりしました。そして来年3月に上野東京ラインが開業となります。

発表では東北、高崎線は東海道線と直通し、常磐線は特急と昼間の中電が品川発着でラッシュ時は通電快速が品川折り返しとなりました。交直両用車の常磐中電を東海道線に直通させると車両不足になりますし、上野で東北、高崎線との平面交差が生じますから、まあ妥当なところでしょう。常磐線といえば山手、京浜東北線の分離工事の部分竣工で戦後の一時期有楽町へ乗り入れていた時期がありますが、形を変えた再現となり興味深いところです。

あと鉄道ジャーナル最新号によると上野駅の5-9番線が上野東京ラインに割り当てられます。

5番線:東北、高崎線下り
6番線:常磐線下り
7番線:東北高崎線東京方面
8番線:常磐線特急(品川発)下り
9番線:常磐線東京方面
東北、高崎線の上野折り返しはおそらく地平ホームに、常磐線折り返しは10-12番線に集約されるのでしょう。というわけで、上りは東京寄りで、下りは常磐線特急を除き日暮里寄りで平面交差となりいずれも出発側なので調整しやすいということなのでしょう。

以下は推測ですが、上野東京ラインと湘南新宿ライの所要時間差が気になりますが、東海道線と東北、高崎線との単純な直通ならば、現行の認可最高速110㎞/hで、横須賀線に合わせて最高速120㎞/hの湘南新ラインとの間に差は出ないと考えられます。また東海道線と東北、高崎線の運転間隔の違いの調整と客扱いのための停車時間確保もあるので、列車によっては順序が入れ替わる可能性自体は否定できないですが、改正ダイヤの発表を待ちましょう。

加えて今回常磐線特急のスーパーひたちがひたちに、フレッシュひたちがときわに改称され、スワローあかぎと同じシステムの着席列車となり自由席がなくなります。おそらく首都圏発着の特急列車はこのスタイルに変更されるのでしょう。いずれスワロー踊り子が登場して湘南ライナーは発展的解消ですかね。というわけで、JR東日本が目指しているものが何となく見えてきます。ライナー列車から見れば実質値上げですが、リゾート特急で季節波動が大きい故に車両の更新が足踏みする踊り子に着席列車の役割を割り当てるというのは、合理的な考え方ですね。生産年齢人口の減少で首都圏といえども鉄道利用者が増え続ける未来を描きにくい中で、サービスの多様化で付加価値を生み出そうとする姿勢は評価できます。結局こういう地道な取り組みが内需を掘り起こし、潜在成長力を高めることに寄与すると考えられます。

というわけでSTAP論文問題に匹敵するコミュ天才プログラマー君のお騒がせですが、大人の覚えの良いコミュ力高い若者が、実はトンデモというのは、本人の問題もさることながら、そんな若者を生み出す評価システムに瑕疵があると考えるべきでしょう。故にイノベーションが井戸端レベルのガラパゴスになるということか-_-;。

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Sunday, November 09, 2014

さらばスーパー特急

アメリカ中間選挙で与党民主党の歴史的大敗ということで、アメリカが決められない政治になるとか、日本への影響はといった報道が多い中、注目したのはこの記事です。

かつての救世主・民主大敗 GMの胸の内
米州総局・杉本貴司
2014/11/7 9:39:日本経済新聞
リーマンショック後事実上破たん状態にあったGMを救済したのがオバマ政権率いる与党民主党だったのですが、そのGMはミシガン州の労組不要法導入を後押しし、排除されるとしてそれに反対する全米自動車労連(UAW)を支持基盤とする民主党を支持しなかったわけです。結果的に民主党はオバマのおひざ元で議席を失いました。政府の救済により税金で支援を受け、整理解雇や賃金抑制で労働者に犠牲を強いて、復活すれば知らん顔というわけです。

元々GM自身自動車販売をかさ上げする目的で残価設定型ローンに注力し、ローン債権を拡大してきたことが災いしての破たんだったのですが、FRBの量的緩和(QE)のおかげで、バブルの疑いもあるアメリカの景気上昇を追い風に、またしてもサブプライムオートローンに注力していつか来た道をひた走ります。経営破たんのツケは国民と労働者に転嫁しての復活劇は、結局懲りずに同じ過ちを繰り返すのでしょうか。

というわけで、以前こんなエントリーでJALとの対比を試みましたが、JALは日本の民主党政権の成果とされたことへの反発で、自民党に目の敵にされていることもあり、今は二度と国の支援を受けない強固な財務体質を維持することに重点を置いています。国と企業はこれぐらいの緊張関係にある方がうまく行くということか(苦笑)。

話を戻しますが、私の見立てではオバマ大統領が目指したのは、おそらくリーダー型ではなく、様々な矛盾と対立を抱えるアメリカで、合意形成を重視するファシリテーター型大統領だったのではないかということです。ファシリテーターは基本的にコンテンツに対しては中立が望ましいわけで、GMのケースでは破たんすれば百万人規模の雇用が失われるならば、経営支援は雇用者の利益にも適うというロジックでまとまる話なわけです。その意味ではGM経営陣の対応は裏切りに近いわけですが。

そういうわけで、確かにオバマが唱えたChangeはならず、またOne Americaもむしろ遠ざかったという意味で、保守、リベラル双方から叩かれているのが現状です。また辞任した閣僚の多くが辞任後にオバマ批判をしているところから見ると、議会の民主党院内会派とさえも距離を置いていたのではないかと見ることができます。つまり中間選挙の結果は、今までと変わらず実はアメリカに何の変化ももたらさないということです。

ただし面白いのは野党である共和党の変化なんですが、右傾化が進んでいた共和党で、Tea Partyなどの極端な保守派はむしろ政府の足を引っ張るばかりで役に立たないと有権者に見放され、それがオバマの二期目をもたらしたということで、議会内ではむしろ民主、共和両院内会派に融和の動きが見える点です。ただしこれはオール議会とホワイトハウスの対立という別の構図となる可能性もありますが、アメリカの政治に一石を投じたのかもしれません。オバマの評価は退任後まで見ないとわからないですね。

もう少し続けますが、ぶっちゃけ世界への影響力という点で、オバマ大統領よりもイエレンFRB議長の方が影響力が大きいのもまた現実でして、イエレンの一言一句見逃すまいと世界中が注目しています。当のイエレン議長は「金融政策は国内向けのもの」であり、海外市場への影響は推し量らない姿勢です。意訳すると「こっちは勝手にやるから自己責任で対応してね♥」ということで、かえって何やらかすかわからないという意味で注目されるわけです(苦笑)。国家元首の大統領より市場のご神託を告げる呪術師のような中銀総裁相当の金融当局トップが事実上上位という現実の変化は計り知れません。そういや日本でもアベノミクスよりクロダバズーカが話題に^_^;。

というわけで、変わりゆく世界の変わらない政治こそが、最大の変化ではないかという皮肉なテーマに行きつきます。鉄道分野では来春に予定される北陸新幹線の開業に関わる話題として、ほくほく線の160km/h営業運転の終了が、鉄道趣味的にビッグニュースに関わる話題ということで、やっと本題です^_^;。まずはJR東日本の公式発表からです。

北陸新幹線 長野~金沢間開業に伴う運行計画の概要について(PDF)
関連して北越急行のプレスリリースです。
特急はくたかの廃止について(PDF)
ほくほく線自身は国鉄末期の特定地方交通線対策に派生して未成線の三セク引受けが可能になったことで建設が決まった路線ですが、首都圏と北陸を結ぶショートカット線を意識して、特に国鉄時代には貨物通過線との認識が強かったこともあり、ルートを巡って二転三転した経緯があり、またその間に国鉄が民営化されJRが発足し、当初貨物通過線を意識した路線が新幹線連絡の特急ルートとして、当初から高速運転を意図した設計となりました。そして当初こそトンネル進入時の気圧変動を緩和するため140km/hでしたが、150㎞/hから160㎞/hへとスピードアップを図り、現在に至ります。北越急行でははくたかに代わってローカル列車用HK100形による最高速110km/hで越後湯沢―直江津間をおおむね1時間で結ぶ超快速の運行を予定しています。
「超快速列車」の愛称名募集(PDF)
最高速がダウンしても現行はくたかに近い所要時間を目指すということで、はくたかの上下列車の行き違い運転停車で生じる時間ロスがなくなるなどと説明されてますが、具体的なダイヤはまだ検討中のようですが、はくたか利用者の多くが直江津で下車している状況から、上越妙高(脇野田から改称予定)から乗り継ぎのある北陸新幹線利用に対して優位性を保てるという考え方のようです。加えて保有する特急車両681-2000/683-8000「スノーラビット」はJR西日本に買い取ってもらい、特急がなくなって線路保守負担も軽くなり、また過去の黒字を積み立てた剰余金約92億円(2013年3月末現在)もあり、また高度な雪対策で運休が少ないことが評価されてローカル列車の線内利用自体も増えていることから、稼ぎ頭のはくたかを奪われても当面安泰と見通しています。直江津周辺にはそれなりに企業集積があってビジネスラインとして安定した利用が見込めるのは確かです。まあだけど鉄ちゃん的には在来線でほぼ唯一、トンネルで耳ツンが体験できるのですから、まだの方はお早めに(笑)。

ほくほく線の160㎞/h運転ですが、元々整備新幹線計画がJRに引き継がれ、所謂三線五区間に予算がついたことから始まります。退職区間は以下の通りです。

九州新幹線 八代―西鹿児島(スーパー特急)
北陸新幹線 高崎―長野(軽井沢―長野間ミニ新幹線*)
北陸新幹線 黒部―富山(スーパー特急)
北陸新幹線 石動―金沢(スーパー特急)
東北新幹線 盛岡―新青森(沼宮内―八戸間フル規格、他はミニ新幹線)
* 長野五輪関連でフル規格化検討
このうち高崎―長野間は後にフル規格化され、予算の傾斜配分と相まって、ほくほく線開業の1年後に開業となり、北陸へ行かないから長野新幹線という路線呼称で話題になりました。今回の延長開業で呼称は北陸新幹線に統一されるようですが、JR西日本が事業主体となる残り二区間は、新幹線規格の路盤に暫定的に在来線用の狭軌(1,067mm)の線路を敷いて160㎞/h程度の最高速で走らせる計画でした。

JR西日本の681系はそれを見越して高速運転対応が採られていて、後のほくほく線の高速運転に生かされました。尤も単線トンネル通過時の気圧変動で窓ガラスの剥離まで起こすハプニングがあって、上述のように暫定的に140㎞/hでスタートし、後に新幹線に準じたドアの簡易機密構造に改造されて段階的に速度向上しましたが、それでも気圧変化の影響を避けるために、トンネル入り口では130㎞/hで進入し再加速と言った速度制御を余儀なくされてます。

加えてそれまでの非常制動距離600mの規制が撤廃され、安全運行のために高速運転良しを現示する緑2灯(GG)信号の導入と、運転パターンを車上で生成するATS-Pの導入などの保安装置の改良、整備で高速運転が実現し、整備区間でも160㎞/h運転とすることで北陸新幹線のメインルートとなる予定でもありました。当時同様にスーパー特急方式で計画されていた九州新幹線鹿児島ルートも、JR九州がそれを見越して787系特急車を投入しました。こちらは走行安定性を重視して、ステンレス車体の783系から敢えて普通鋼で重量を持たせ、電動車比率を高めて動力性能を確保するという異なった思想の車両を投入しました。当時はスーパー特急方式を大真面目に考えていたわけです。

一方で新幹線と縁のないJR四国が2000系で制御付振り子車両を採用しました。基本は自然振り子ですから、線路に与える負担は大きいのですが、軽量化と低重心化で、線路の新増設や改良によらないスピードアップをめざし、他社もそれを追随します。ただしその分本来必要な線路改良などの地上側の改善を遅らせたこととか、その後より簡便な車体傾斜システムが実用化されたこともあり、JR四国、JR北海道、JR東日本と後継車種は車体傾斜方式に向かっています。この辺は以前のエントリーでも取り上げました。

長々とつづけましたが、ほくほく線の160㎞/h運転の終了は、このスーパー特急の終焉でもあるということです。その後政治の圧力もあって整備新幹線はフル規格に化け、新規着工も相次ぎ、鉄道・運輸機構に引き継がれた鉄道整備基金も底をつく中、整備新幹線の開業区間の将来のリース料を担保にした借り入れを起こし、それでも足りずにリース料収入をそのまま事業費に流用などまさに何でもアリ状態でフル規格新幹線が整備されますが、地方の底上げの観点からは、地方都市間の輸送需要では過大なフル規格新幹線ではなく、スーパー特急に準じた丁度ほくほく線のような高速ショートカット線を用いることで、高速道路が整備されても自動車より優位なスピードを実現する方が、結果的に地方の底上げになりますし、貴重な鉄道投資の原資を有効活用することにもなるというのは繰り返し述べてきたところです。加えてこの速度息の鉄道の実績が少な過ぎて、新幹線でカバーできない地域の鉄道の衰退を招くことも危惧されます。

全国新幹線網整備法が施行されて40年を超えますが、国鉄改革時のどさくさで生き残った整備新幹線の呪縛からそろそろ抜け出すことを考えるべきでしょう。整備計画を超えて工事実施計画まで策定されながら、オイルショックによる公共事業見直しと成田空港の開港遅れが重なって事業が中止された成田新幹線が、現在京成スカイアクセス線として160㎞/h運転で形を変えて実現し、JR東日本のN'EXを窮地に追い込んでいます。この手のプロジェクトを積み重ねることが、結果的に鉄道の競争力を高め、将来へつなぐことになります。ちなみに成田新幹線計画は、京葉線の東京駅アクセスや北総線並行道路の形でもハードが活用されており、また成田空港アクセス路として期待のかかる北総道路の計画もあります。オイルショックという外生的要因はあったものの、過去の決定に拘らずに最適解を見い出すことに、もっと柔軟になるべきではないかということです。

そうでなくても人口減少が確実な近未来。おそらく2020年の東京五輪後のリセッションは厳しいものになるでしょう。それを回避する知恵は大事です。

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Sunday, November 02, 2014

ミザリーハロウイン

日銀が追加緩和を決めました。長期国債30兆円買い増しや投信の追加購入などで、年間70兆円のマネタリーベースの増加を80兆円まで増やすというもの。厚労省のGPIFによる株式買い増しの発表と重なったこともあり、市場は大きく反応しました。

日銀が追加緩和 国債購入30兆円増、物価上昇の鈍化懸念
2014/11/1 1:38:日本経済新聞
緩和効果は順調で、追加緩和は不要と自信満々だったものが、4月の消費税増税以来消費の戻りが弱く、物価がなかなか上がらないことに危機感を持ったようです。早い話うまくいっていないということですが、元々デフレ脱却という政策目標が妥当だったのかという議論はなされず、目先のサプライズを演出したものです。そのためにタイミングを図ったようで、ハロウイン サプライズというところでしょうか。

思い出されるのが白川前総裁時代の2012年2月の追加緩和をバレンタイン プレゼントとして市場が反応したことですが、このときは当の白川総裁自身が面喰っていたようで、後に緩和拡大の政治圧力を増すことになり、翌年4月の任期途中の辞任となり、任期途中で引き継いだ黒田総裁の下で異次元緩和に踏み込んだわけですが、同じようなサプライズでもコンテクストはまるで異なります。

世界を見渡せば米FRBは逆にQE3終了を予定通り実行し、当面ゼロ金利は継続されるものの、世界中に拡散した米ドル資金は還流するものとみられており、経済規模の小さい新興国はダメージに身構えますが、米国内ではまだ早すぎるという議論もあり、そんなときに日銀が追加緩和を発表したわけですから、金融筋が歓迎するのは当然です。加えて欧州ECBの量的緩和への期待もありますが、こちらはユーロ参加国間の足並みがそろわず、特にドイツが強硬に反対している状況ですから、日銀のこのタイミングでの追加緩和はウエルカムということでしょう。つまり日銀の追加緩和は国内の信用創造でマネーストックを増やすことなく、外資系金融にいいとこ取りされるだけです。

長期国債の買い増しの意味するところは、日銀の保有国債の償還期間が伸びることを意味します。実際平均残存期間を現在の7年程度から10年程度に延ばすことを算段してます。これで一番喜んでいるのは国債を管理する財務省で、既発債の借り換えをより長期のものに変えても、日銀が買い取ってくれるならば、銀行も積極的に引き受けてくれます。長期債は当然金利も有利ですし、その上日銀が適宜高値で買い取ってくれれば、長短金利差で利ザヤが稼げて銀行にミルク(利ざや)を与えられます。これでますます民間向けの融資は減ることになりそうですが。

保有国債の残存期間が伸びることで、緩和縮小がさらに難しくなります。下手に市場で売却すれば値崩れして長期金利をはね上げてしまいますから、結局期限まで保有して償還を待つしかなくなります。金利操作の手段としては日銀当座預金の超過準備の利息で調整するしかなくなりますが、それは民間融資の一段の圧縮となり、経済に与える悪影響は甚大です。とはいえここまで踏み込んでしまった以上後戻りはできませんから、どう転んでも経済が縮小する未来を確定することになります。今年4月に国会の同意を得て5年の任期を得た黒田総裁でも任期中に正常化はできないわけで、無責任極まりない話です。

2012年3月の日銀政策決定会合では、白川総裁の下金融政策の変更はなかったんですが、1人の委員から追加緩和の提案があって否決されたのですが、4月に総裁副総裁の3名が入れ替わり、例の異次元緩和が決まった時には全員賛成票を投じ、改選されなかった6人中5人の審議委員の心変わりが指摘されましたが、今回は5対4の僅差ということで、いくらなんでも追加緩和は無謀とか、実務的に限界といった意見も出ており、今回は一応政治的に圧力があったわけではなさそうで、せめてもの救いですが、独立性を重んじるべき中央銀行が政治に屈した歴史は消せません。あーしょーもなー。

というわけで、ミザリー(惨め)なハロウインとなったわけですが、同様にほろ苦い思いを感じさせるこんなニュースもあります。

最終バスは満員御礼 都営終夜運行
2014年11月1日 夕刊:東京新聞
都営バスの終夜バスに関しては、以前のエントリーで取り上げましたが、当時危惧したように、アジェンダ(政策課題)が不明確で、現状のどういう問題をどう解決するのかという点が詰められていなかった結果、知事が変わって赤字を理由に簡単に廃止されてしまったわけです。アジェンダが明確で、政策評価ができていれば、赤字は課題解決のコストとして一般財源から補てんして良い話ですが、そこがはっきりしなかったということと、終電後の足という意味では、郊外へ向かう路線こそ本命だったはずで、その意味で民間事業者が手掛ける深夜急行バスの終夜運行のようなものこそ求められていたのではないかという気がします。

また終夜運行のためにバス3台を要していたというのが納得いかないんですが、おそらくバス故に輸送力の限界から多客時の対応を図ったのかもしれません。とすれば最初から運行頻度を上げて利便性に配慮した方が良かったかもしれませんし、多客時でも次の便の待ち時間がそこそこならば、積み残しご免でも良かったかもしれません。この辺は都営バスで運行するかどうかも含めて、今後に生かしていければ良いのですが。

というわけで、猪瀬前知事の思いつき以上のものにはならなかったわけです。元々ニューヨークなどアメリカの大都市で地下鉄の終夜運行を知ったことからの発想だったらしいのですが、おそらく帰国後交通局に打診して夜間保守間合いがあるから無理という回答を得て、それならバスでとなったのではないかと思います。この辺は日本の鉄ちゃんでもあまり知られておりませんが、そもそも日本と欧米とでは保守の考え方が大きく異なります。

欧米ではある程度損傷が進んでから集中保守を行うという形ですから、所謂日常保守がないわけで、それなら終夜運行も問題ないわけですが、代わりに集中保守のときは長時間運休して徹底的に治すということをやるわけです。そのためにハード自体がかなりハイスペックに作られていてメンテナンスフリーになっており、また人件費の高い欧米で、人の集まりにくい夜間作業を回避するという面もあるわけです。それを言うなら日本だってそうですし、少子化で今後ますます厳しくなるわけなんですが、日本では伝統的に予防保全の考え方で、損傷が進まないうちに手を入れて劣化を防ぐという考え方です。

この違いを文化的なものと捉えるとそこで思考停止になってしまいますが、日本の都市鉄道の輸送密度の異常な高さが影響しているのではないかと思います。よくよく考えれば日本でも道路では舗装や埋葬物の保守で不定期に車線を閉鎖して工事やってますから、欧米では鉄道も同様なんでしょう。ただし今の日本でそうれをやろうとすると、大混乱が予想されます。日本の鉄道の定時運行率の高さとも関連しますが、結局定時運行しないと輸送力が落ちて積み残しが出てしまう状況だから、定時運行の要請が強まり、結果的に日常保守で正常な状態を保つことにならざるを得ないということでしょう。加えて岩盤の上の表土が厚く、水分含有量も多い中で、欧米のように堅牢なハードを整備することも難しいということはあります。それも最近は技術革新されてきてますが、既存インフラの作り直しには多大なコストがかかるために、そこは触らずに済ませたいということもあるかもしれません。

というわけで、同様の問題で揺れているのが北海道新幹線の整備で青函トンネルを通過する寝台列車が廃止される問題も、結局新幹線になると0-6時の長大保守間合いの確保が規則で求められていることからきているわけで、高速新線といえども貨物列車の運行を考慮せざるを得ない欧州の高速鉄道とは条件が異なるわけで、海外からは Garden rail (箱庭鉄道)と揶揄される結果になるわけです。当然海外へ輸出となれば高コストの問題もあり競争上不利なわけですが。

最後に、猪瀬前知事は徳洲会から受け取ったとされる5,000万円の現金で追い込まれたわけですが、内閣改造で誕生した新閣僚が次々と疑惑をもたれている現状は猪瀬氏にどう見えているのか興味深いところです。悪質性では比較にならないほど今の方がひどいですし、特に小渕氏に関しては、本人は知らなかったようですが、ほかの人が形式犯と言える政治資金規正法の問題であるのと違って、公職選挙法に抵触するのではないかと言われ、市民有志の告発で東京地検が動く事態となっております。そういやハツ場ダムもこの人の選挙区だったなあ。

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