我裸恥互す井の辺ーしょん
天才プログラマーと言われる現役大学生が小学四年生を詐称してTwitterでバレて炎上という事件がありました。「どうして解散するんですか?」という質問を投げかけ、RTで拡散したのですが、そのサイトの作りが小学生離れした凝ったもので、そこからバレて謝罪という、何ともやっちまった感満載ですが、ネタというわけでもなし、また国民に政治意識を鼓舞したかったらしいけど、そうだとすればあまりに稚拙なやり方であると共に、デマを拡散してネット世論をでっち上げる手法に転用可能だったり、またNPO法人のサイトを使っていて、法令上NPO法人の政治活動は禁止事項ですから、本人が刑事訴追されかねない危ういことでもあります。
ですが、謝罪はしたものの、これらの点への言及はなく、謝ればスルーされるというおっさんの悪しき慣習に汚染された若者という悲しいものを見せられました。例えば朝日新聞の吉田調書問題で、木村前社長は謝罪し撤回しましたが、報道に誤報は付き物であって、誤報はプロセスの検証と共に修正することこそ重要なのに、面倒を避けようとして頭下げたんですが、さすがに逆に炎上しました。大人の変なところはマネしないことです。
確かに意味不明な解散総選挙ですが、そもそも安倍首相が外遊中に流れができるってのも変ですし、既に与党が安定多数を握り、解散する必要性はないわけです。一応消費税増税延期の信を問うというのですが、法令手続き上は景気条項で内閣の責任で判断することになっていますし、そうでなくても改正法を国会に諮って成立させる障害はないわけですから、その面でも変です。おそらく解散権を行使したかったということなんでしょうけど、憲法上は疑義のあるところです。
内閣の権能としての衆議院解散は、69条で不信任決議が可決されたか信任決議が否決された場合に、10日以内に解散しなければ総辞職とあるのみで、7条の天皇の国事行為としての解散は、象徴天皇であって為政者ではないという原則に従えば、単なる手続き規定に過ぎないというのが素直な読み方です。つまり内閣の解散権とやらは元々拡大解釈の産物でしかないということになります。
憲法上は国会が国権の最高機関であって、内閣は衆議院の多数派のよって組閣され行政府を統括するものですから、法人企業でいえば国会が株主総会相当で、内閣は取締役会ということになります。つまり内閣は国会の付託を受けて成立した法の執行が公正に行われているかどうかを監視し、国会に報告する義務を負うわけです。建前上は内閣は国会に責任を負う立場です。で、多数派で組閣するわけですから、通常は滞りなく進むはずですが、造反で与党が割れることはあり得るわけですから、その場合に不信任決議が可決されて解散か総辞職かということになるというのが本来の姿です。ま、勝手に解釈改憲するような内閣ですから、憲法を尊重する気はさらさらないというところでしょう。
もちろん国家機関を法人企業に喩えるのは問題もあります。国会は選挙で選ばれた代議員によって構成されているわけで、一般的な株式会社の株式保有に応じて議決権が発生する仕組みとは異なります。あくまでも主権者たる国民の公正公平な選挙によって選ばれる代議員に付託されるわけで、代議員は国民の声を集約して国会論戦を通じて予算や法律を決め、その執行状況を監視し、国民に報いる役割になるわけです。
そのプロセスで国民の本音の声を掘り起こし、それを収束させ集約させてて具体的な予算や法律に結実させるために政党が存在するはずですが、残念ながらそれができている政党はほとんど見当たりません。その意味では今回の炎上で図らずも反応した民主党の有名議員がいて、民主党の仕込みというデマまで飛びました。そう、悪用すれば特定の政治勢力を陥れる手段にもなり得るわけですが、それに引っかかる政党というのは、逆に国民の声を聴くマインドがあるが故という見方も可能なんで、結局悪貨が良貨を駆逐することにもつながりかねないわけです。尚、これは民主党の脇の甘さの証明でもあって、一方安倍首相のTBS報道番組でのインタビューで国民の声を否定する姿勢と比べると、国民を向いているとは言えますが、それだけ外部からのかく乱に弱いということでもあり、これが現時点での日本の民主政治の実態でもあります。
とはいえ選挙で意思表示の機会を得るわけですから、とりあえず有権者として争点を決めて投票するしかないですが、当然経済は大きなテーマです。丁度7-9月期のGDP速報が出てマイナス0.4%、年率換算マイナス1.6%で、以前のエントリーで予測した数字の更に下を行くドン底状態です。消費税増税という特湯要因はあるとはいえ2期連続のマイナス成長は通常景気後退と言います。貿易赤字縮小は景気後退のサインだったということですね。これで総選挙を戦うんですから、与党の逆風は想像以上に大きいと思います。与党議席をどれだけ減らせるかが、国民側から見た今回の選挙の最大の争点ですね。
てことで、これまでの異次元緩和や国土強靭化をネタにした財政出動は批判してまいりましたが、これらが経済成長に何の役にも立っていないことは既に結果が出ました。残るはアベノミクスとやらで「第三の矢」とされる構造改革ですが、これもさっぱり進みません。あれこれ取り上げるよりもニュースから見ていきます。
スカイマーク、日航と提携交渉 羽田全便を共同運航自民党のJAL潰しは止まりません。エアバスキャンセル問題で苦境に陥るSKYが、経営の独立性を維持しながら提携先を探した結果、公費で経営再建をしたという理由で新規投資や企業買収を実施勤められているJALとの提携を選んだら、国交省から待ったがかかったというものです。どう転んでもJALを利する話はアウト。提携はANAへという下心満載です。表面的には新自由主義を標榜する安倍政権ですが、実態は経済を統制して特定企業を利する方向性が顕著です。自由主義経済でも独占企業が政府を動かす結果、社会主義計画経済と変わらない統制経済に似てくるものなのですね。ま、先鞭をつけたのは1940年前後に国家総動員法で経済統制を強化した戦前の日本ですが、何だか似てきています。
2014/11/21 23:39:日本経済新聞
本来競争環境を維持する独占禁止政策は資本主義経済体制の維持のために欠かせないもので、アメリカやEUはおろか、昨今は中国でさえ法制化されて当局が規制に乗り出しているのですが、所謂グローバル化で国内シェアだけで判断できないとして企業統合による独占が容認されるケースが欧米でも増えている状況も一方であります。つまりグローバル化は規制当局を相対化して弱体化させる働きがあるわけで、大企業がこぞってグローバル化に舵を切る理由でもあります。
というわけで、規制の空洞化に対抗する動きもあり、世界貿易機関(WTO)や国際決済銀行(BIS)や気候変動枠組条約(FCCC)などの国際的な枠組みで対応しようとしていますが、WTOでインドの反論で合意が壊れたりFCCCから日本が離脱したように、国家間の利害調整の仕組みが整わない中で、企業の動きが先行している状況です。ぶっちゃけ企業から見れば国際的な規制の枠組みはない方が、制度の違いを利用したクリームスキミングが可能bなのでありがたいのが本音です。この辺はグローバル化の裏の狙いとして押さえておきましょう。
ただ国の内外を問わず競争市場が消費者にも生産者にも余剰をもたらすのが価格メカニズムのコアな命題であり、その観点からJALやSKYの問題を見ることが大事で、与党へのロビイングが熱心だからANAに贔屓するするというのは、まるで途上国の話です。
鉄道の分野でも、首都圏で湘南新宿ラインがスタートした結果、東急が東横線に特急を登場させ、小田急が江ノ島線に快速急行を走らせたように、連鎖的に活性化されたことが思い出されます。加えてN'EXの大宮延伸や東武鉄道直通特急のにっこう、きぬがわなど、柔軟なルート設定で需要の掘り起こしが行われたりしました。そして来年3月に上野東京ラインが開業となります。
発表では東北、高崎線は東海道線と直通し、常磐線は特急と昼間の中電が品川発着でラッシュ時は通電快速が品川折り返しとなりました。交直両用車の常磐中電を東海道線に直通させると車両不足になりますし、上野で東北、高崎線との平面交差が生じますから、まあ妥当なところでしょう。常磐線といえば山手、京浜東北線の分離工事の部分竣工で戦後の一時期有楽町へ乗り入れていた時期がありますが、形を変えた再現となり興味深いところです。
あと鉄道ジャーナル最新号によると上野駅の5-9番線が上野東京ラインに割り当てられます。
5番線:東北、高崎線下り
6番線:常磐線下り
7番線:東北高崎線東京方面
8番線:常磐線特急(品川発)下り
9番線:常磐線東京方面東北、高崎線の上野折り返しはおそらく地平ホームに、常磐線折り返しは10-12番線に集約されるのでしょう。というわけで、上りは東京寄りで、下りは常磐線特急を除き日暮里寄りで平面交差となりいずれも出発側なので調整しやすいということなのでしょう。
以下は推測ですが、上野東京ラインと湘南新宿ライの所要時間差が気になりますが、東海道線と東北、高崎線との単純な直通ならば、現行の認可最高速110㎞/hで、横須賀線に合わせて最高速120㎞/hの湘南新ラインとの間に差は出ないと考えられます。また東海道線と東北、高崎線の運転間隔の違いの調整と客扱いのための停車時間確保もあるので、列車によっては順序が入れ替わる可能性自体は否定できないですが、改正ダイヤの発表を待ちましょう。
加えて今回常磐線特急のスーパーひたちがひたちに、フレッシュひたちがときわに改称され、スワローあかぎと同じシステムの着席列車となり自由席がなくなります。おそらく首都圏発着の特急列車はこのスタイルに変更されるのでしょう。いずれスワロー踊り子が登場して湘南ライナーは発展的解消ですかね。というわけで、JR東日本が目指しているものが何となく見えてきます。ライナー列車から見れば実質値上げですが、リゾート特急で季節波動が大きい故に車両の更新が足踏みする踊り子に着席列車の役割を割り当てるというのは、合理的な考え方ですね。生産年齢人口の減少で首都圏といえども鉄道利用者が増え続ける未来を描きにくい中で、サービスの多様化で付加価値を生み出そうとする姿勢は評価できます。結局こういう地道な取り組みが内需を掘り起こし、潜在成長力を高めることに寄与すると考えられます。
というわけでSTAP論文問題に匹敵するコミュ天才プログラマー君のお騒がせですが、大人の覚えの良いコミュ力高い若者が、実はトンデモというのは、本人の問題もさることながら、そんな若者を生み出す評価システムに瑕疵があると考えるべきでしょう。故にイノベーションが井戸端レベルのガラパゴスになるということか-_-;。
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