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Sunday, December 21, 2014

さよなら三角処女も逃げ出す空中戦

やや古い記事ですが、こんなのがあります。

羽田国際線拡充 成田存続ルールに綻び(真相深層) 2014/10/3 3:30
通称”成田縛り”と呼ばれる国交省の行政指導ルールです。羽田空港の国際線拡大を受けて、今年春にこっそり決めたもので、羽田国際線就航の条件として、同一国への成田発着便の維持が求められました。法令によらない行政指導ながら、許認可権限を持つ監督官庁に逆らえない民間航空会社は従うしかないわけですが、英国政府からの書簡で思わぬ綻びが露呈します。

全日空(ANA)が3月に就航した羽田―ロンドン線の認可取り消すをちらつかせ、この成田縛り撤回を求めてきたものです。というのも、ANAと個別提携でコードシェアしていたヴァージン航空が成田―ロンドン線からの撤退を決めたことで、話がややこしくなってしまったんですね。元々ANAは成田―ロンドン線を羽田―ロンドン線の就航を機に運休しています。そしてヴァージン自身も羽田就航を希望しながら、自力で羽田と成田の2便を運航するのは無理なところですし、原油高と円安で収支が悪化したこともあり、成田から立地面で有利な羽田へ振り替えて欲しかったのが本音ですが、それが叶わず撤退ということで、英政府が乗り出したということのようです。

羽田の国際化で欧州便は大幅に増便されたものの、搭乗率は下がり、特に成田発着便の不振は顕著です。加えて原油高と、ここのところの円安で、収支が悪化しているわけで、それもこれも成田縛りゆえの供給過剰が問題を引き起こしていると言えます。

ロンドン線に関してはブリティッシュ・エアウェイズ(BA)も羽田枠を取得しながら、成田便との共存を嫌って羽田枠を使っていないということもあり、航空交渉がとん挫して宙に浮いているアメリカ便関連9便枠と共に、利用度の高い羽田発着枠が未利用という異常事態ですが、成田空港を抱える千葉県選出の国会議員からクレームがつくことを恐れて国交省は動きません。かくしてヴァージンの成田―ロンドン線は来年1月をもって廃止となります。

というわけで、やはりというか、政治案件なんですね。アメリカ路線も問題を抱えておりまして、最大手もデルタ航空が成田便の縮小を発表しました。

原油安で絶好調のデルタ 進む日本離れ 米州総局 稲井創一2014/12/17 10:11
最近の原油安で航空会社の収支は全体的には改善に向かっていますが、こと日本に関しては、円安による路線収支の悪化が重荷になっており、また羽田枠が事実上使えない中での判断です。とりあえず減便はないものの、機材の小型化と路線んの短距離化で収支を合わせるもので、大型機材の長距離路線は主に韓国の仁川に振り替えることになります。歴史的遺産として成田枠の以遠権付きの破格の条件は保持しつつ、同一アライアンスのスカイチームに属する大韓航空の拠点でもある仁川の方がデルタにとってはメリット大きいようです。加えて日本と逆にウォン高が追い風で、また熱心な誘致活動もデルタを動かしたようです。

というわけで、今や日本は黙っていても向こうから来てくれる国ではなくなっているわけですが、政府も航空関係者もその認識が乏しいようで、大丈夫かいなというのが正直な感想です。もちろん羽田と成田の棲み分け問題は簡単ではありませんが、そういったドメスティックな事情に引き摺られて世界から見放されることをどう考えているのでしょうか。空港の棲み分け問題は基本的には着陸料で差をつけるなどで航空会社に自由に選ばせるのが望ましいので、現状のように成田縛りのような不透明なルールで結局盛況の羽田線も枠が埋まらないというのは、国家的損失です。

で、最近の航空関連ではやはりスカイマーク(SKY)の話題が多いのですが、JALとANAの二股提携というけったいな話になっております。SKYとしては資本関係を求めないJALとの提携を望んでいるのですが、やはり与党筋からのクレームを恐れてANAも提携協議に加わるというわかりにくい話になっています。SKYの羽田枠36便の座席の2割を提携先に買い取ってもらってコードシェア便にすれば、とりあえずSKYは確実な収入が得られるわけですが、JALとの提携も元を質せばANAとの協議が資本提携を含むことを嫌ったという経緯があり、36便をJALとANAで取り合うわけですから、すんなりまとまるわけがないですし、むしろANAの立場はSKYが潰れてくれれば国内線枠の再配分でおいしい思いができるということもあるでしょう。交渉を長引かせてSKYの体力を奪うことを狙ってくるはずです。というわけでSKYもなりふり構わなくなってきました。

スカイマーク、鳥取・米子路線の撤退検討 収益改善狙う 2014/12/19 2:00日本経済新聞 電子版
結局追いつめられれば路線の撤退を促すだけで、解決には向かわないわけです。ま、競合のない米子で路線を維持できないSKYも、新規就航のご祝儀で搭乗率が高いうちは良いけれど、それを維持できないというのは、企業として何かが足りないのかもしれません。もちろん地元の支援もないということもあるでしょうけど、支援を得られるような形で地元に根付くことができていないという評価も可能なんで、この辺は微妙です。その間にもエアバスは訴訟手続きに向かいます。
エアバス、訴訟準備通知 スカイマークの契約巡り 2014/12/20付
これ直ちに訴訟に向かうという意味ではありませんが、SKYの対応を見極めつつ、手続きは粛々と進めているという状況です。元々大手との提携を示唆したのはエアバスですから、提携交渉で実を示さなければいつでも追い込むよということなわけで、SKYを潰れるに任せているとも取れる政府の対応には疑問符が付きます。

ここでデルタが仁川に魅力を感じ成田の路線縮小へ向かっていることと、羽田の昼間の国際線枠の配分で日米航空交渉が宙に浮いている状況を思い出しましょう。JALとANAには申し訳ないけど、デルタと提携できればいちばん収まりが良いんですよね。元々外資規制でデルタの資本参加は制限されますが、コードシェアの個別提携ならば問題ありません。それによってデルタの国内線接続が可能になれば、デルタの同意を得て日米航空交渉を動かすことも可能でしょう。国交省は羽田の国際線枠をさらに増やす計画もあり、将来の増便に含みを持たせることで、デルタを懐柔することを考えてみてはどうかと思います。デルタの以遠権は成田に残し、国際線間の乗り継ぎ拠点は成田としておけば、デルタと提携関係の欧州エアラインを引き付けることも可能でしょう。

口を開けば成長戦略という政府ですが、足許のこうした問題を解決に導くことこそ成長戦略であって、企業の御用聞きになって法人税減税や派遣法改悪をしても、富が国民全体に行き渡ることはありません。その意味でJALの救済や羽田の国際化、コンバージョン方式による空港民営化に道筋をつけた民主党政権の方が、地味にちゃんと仕事したと思います。ホント選挙なんかやってる場合か。

とはいえ今回の選挙では敢えて民主党には投票しませんでした。というのも、稲盛氏を三顧の礼で迎えてまで取り組んだJAL救済も、政権を失ったら見殺し状態とは情けないです。こういう問題で政府に論戦を仕掛けることは、国民の共感を呼び覚ますことはもちろん、再建を成し遂げた稲盛氏に対しても非礼です。尖閣問題で冷静な対応を呼びかけた前中国大使の丹羽氏に対しても、結局守ることができなかったりですから、仮に政権に返り咲いたとして、協力してくれる民間人が現れるかというのはちゃんと考えてほしいです。

報道によれば落選して代表を辞任した海江田氏に代わる代表選びで、自主再建派と野党再編派の対立が言われていますが、残念ながら現状の民主党の実力では自主再建も野党再編を仕掛けることも無理です。09年総選挙に至ったプロセスを思い出してほしいんですが、政府の様々な政策に対して、国会論戦を通じて問題点を暴き出し野党の役割に徹することこそが近道と知るべきです。

当然現政権が推し進める公共事業の大盤振る舞いや整備新幹線の建設前倒し、それに関連したJR九州の株式上場など、おかしいということを言うべきですし、逆に都知事の交代で進めやすくなった東京メトロの民営化を後押しするなど、政権時代の積み残しとして頑張ってほしいところです。

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