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Sunday, February 22, 2015

ブラックバレンタイン

確定申告モードでパフォーマンス低下中です^_^;。てなわけでまずはこれです。

GDP実質年率2.2%増 10~12月、増税後初のプラス :主要金融ニュース :マーケット :日本経済新聞
2014年10-112月期のGDP速報値ですが、事前予想では4%前後だったので、またしても予想が外れたわけです。予想が外れる理由は明確で、前年同期の水準に届くには、実質で+1%年率y換算+4%程度が必要ということで、希望的観測の結果です。同様の展開は7^9月期のGDPでも見られ、ほとんどのエコノミストが+4%程度を予想したもののまさかのマイナス成長となり、改定値でも下方修正となって消費税増税先送りとなりました。

そして財務省出身の黒田日銀総裁の下、10月末の政策決定会合で追加緩和を決め、増税延期をけん制したのはミザリーハロウインのエントリーで指摘したとおりですが、なんだか政権に根に持たれているようで、ここへ来てすれ違いを思わせる出来事が見られます。

すれ違う首相と日銀総裁 蜜月に試練(真相深層)  :日本経済新聞
元々無理のある異次元緩和ですが、金融政策は時間稼ぎに過ぎないんで、財政再建にいつまでも取りかからない政府に対してモノ申しておくべきと考えたんでしょう。格付け会社による格下げで国債が売り込まれて金利が急騰すれば、財政再建どころじゃなくなるのはギリシャを見ればわかる通りですが、それに対して「なら格付け会社に働きかけろ」という信じられない首相の返答に、さすがにまずいと思ったのか、議事要旨から削除され、かん口令が敷かれました。これ2月12日の経済財政諮問会議での出来事です。「私はバカです」と公言するに等しいんですから、そりゃ伏せられるのも無理もありませんが、一国の宰相が財政に対してこんな認識ということが驚きです。

私自身は元々アベノミクスには否定的で、早くやめてくれという立場ですが、見方によってはデフォルトと紙一重の金融圧迫までして政府を支えているのに、こんな仕打ちを受ける黒田総裁の心中やいかに。黒田総裁の就任以来の蜜月関係にずれが生じてきています。これ戦前に恐慌脱出のために財政出動と日銀による国際直接引き受けという禁じ手を行使した大蔵大臣の高橋是清を思い起こさせます。リフレ政策が成果を上げて財政の引き締めに舵を切ろうとしたときに、軍部や官僚たちの大反対に逢い、財界からもバッシングされた挙句、2.26の反乱将校の手にかかり命を落とすのですが、以後ブレーキ役を失った日本は戦争へとまっしぐらとなります。当時とあまりにも似すぎていて不気味です。

GDP統計の実質年率+2.2%というのは、上記のように前年同期比ではマイナスですから、以前からの私の見方である昨年松に景気の山を過ぎ、景気後退が始まったとする見方を裏付けます。それでも前期比プラスとなったのは、原油安に助けられたと見るべきでしょう。1バレル100ドルを超えていたものがほぼ半値で、日本の輸入量から見れば7兆円相当のプラス効果があるんですから、実体経済は上向いて当然です。これ消費税率にして3%相当ですから、4月の消費税アップをほぼ帳消しにする水準です。それでも前年同期比マイナスということですから、ことの深刻さは自覚すべきでしょう。

おかげで貿易収支は改善が見られますが、尚赤字基調で、円安による輸出拡大で黒字化は遠いと言えます。まして原発停止による化石燃料輸入増の影響はせいぜい3兆円程度ですから、原油安のおかげで原発再稼働は急ぐ意味がありません。なし崩しで進みそうですが、電力会社の経営上の要請によるものでしかありません。ちなみに原発再稼働が見通せない東電が5,000億円規模の黒字見通しというのが笑えますが、実質国有化でコスト削減を義務付けられた結果、調達コストが下がった結果です。加えて福一1-4号の廃炉に伴う減損処理や老朽火力のリプレースによる効率アップも寄与していると考えられます。原発に拘らない方が儲かるというわけです。

で、交通政策基本法の成立をうけて、交通政策基本計画が閣議決定されました。何故か経済産業省からのリリースです。

交通政策基本計画が閣議決定されました(METI/経済産業省)
興味のある方はリンクを辿ってPDFファイルをダウンロードしてください。ただしつまんないですけど^_^;。予想通りのお題目で、具体的に何をどうするかははっきりしません。国土強靭化や成長戦略と関連付けながらということで、この辺財政再建どこ吹く風なニュアンスもあります。

航空に関しては羽田と成田の国際線拡充を謳ってますが、現時点で日米航空協定のとん挫や成田縛りのルールを嫌って羽田に就航しない海外エアラインなど、言行不一致も甚だしいところです。整備新幹線に関しては財源措置を講じて開業前倒しなどが謳われてますが、既に整備区間のリース料を担保にした借り入れやリース料そのものの充当は動き始め、JR九州の株式上場による株式売却益などを当てにするなどの動きがあり、それらをまとめてホチキスで止めたという以上の意味はなさそうです。せっかくの基本計画なんですから、整備新幹線の最高速260㎞/hの見直しに踏み込んでもよさそうですが記述なし。相変わらずの志の低さです。これで新幹線を輸出しようというんですから笑えます。

で、そんな中で海外でほぼ唯一、日本の新幹線技術を移植した台湾高速鉄道が経営不振にあえいでいます。

日本輸出の台湾新幹線、「破綻」は必然だった | グレーターチャイナ縦横無尽 | 東洋経済オンライン
台湾高速鉄道に関しては、そもそも独仏連合の欧州勢が先に契約し、インフラは欧州基準で作られたものの、地震もあって地震に強い日本の技術を取り入れたいということで、急転直下車両と信号システムの導入を日本に打診し、JR東海を中心として技術指導を行い、開業にこぎつけたのですが、欧州基準のインフラとのすり合わせに手間取り、開業が1年遅れ、開業後リーマンショックの洗礼を受けるという不幸なスタートでした。

しかもJR東海の不熱心で開業前に技術者を帰国させてしまうというようなこともありました。当時はJR東海は輸出に消極的で、別途JR東日本が進めていた中国本土の高速鉄道計画を批判したりしていました。それでも大彎高鉄は日本の指導に従い安全運行を重ねたものの、利用客が予想を下回っています。上記記事中にもありますが、予想があまりにも楽観的だったと言えるでしょう。加えて国民党―民進党―国民党と政権交代があってたな晒しされた面もあり、台湾政府としても破たんを待っている気配もあります。

皮肉なことに杜撰な運行管理で大事故を起こした中国の高速鉄道ですが、こちらは事故を教訓にスピードを下げ、また過大な整備計画も見直されています。技術流出の問題などもありますが、日本の新幹線とドイツのICEを同一レベルで評価し、日本のものに高評価を与えています。本気で輸出を目指すなら、コスト面も考慮すれば日中合弁が現実的かもしれません。まあ今の政権じゃ無理だろうけど。

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