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Saturday, March 07, 2015

ラインのなやみ

川崎のリンチ殺人事件ですが、毎度少年法改正の話題が出るのに辟易します。実際には逮捕前から容疑者の実名入り画像がネットで流れていて有名無実化していて、今回も週刊新潮が実名報道に踏み込んでいます。

少年法の趣旨としては、更生に重きを置いているわけで、こうして実名が晒されることでその可能性を閉ざすことになるわけで、問題です。またメディアスクラム問題が事実上の社会的制裁と見做されれば、公判で量刑の軽減につながる可能性もあるわけで、何のための実名報道なのか、メディアはもっと自覚すべきです。最近減った凶悪事件でありいろいろと現代的な背景も散りばめられているので、部数稼ぎにはもってこいということなんでしょうけど、それによって失われる社会的便益(法秩序の維持)と引き換えと考えると情報搾取に等しいと言えます。

今回は被害者の通夜に縁のない若者がノートPCで実況して出席した同級生と揉めたなんてこともありましたが、雑誌の部数稼ぎに倣ってネットのPV稼ぎをする輩まで排出します。しかも咎められて「報道の自由」を主張したというんですから頭痛いです。報道の自由は権力の監視において公益性が認められるもので、事件自体より捜査当局の対応こそ注視すべきです。

その意味で気になるのが、逮捕までに時間がかかったことです。ラインの交信記録でとっくに容疑者を割り出していたはずの警察が、なかなか逮捕に踏み切らなかったのですが、ネットでは加害者の親が逮捕前から弁護士を立てていたことを理由とする説が流れましたが、思うに取り調べの可視化でビデオ録画が義務付けられたことの影響ではないかと思います。まぁぶっちゃけ逮捕して取り調べをすると録画しなきゃならないから、変なことできないということで、逮捕前の任意取調べに時間をかけたということじゃないかと。

当然任意取調べできわどいことも起こり得るわけですし、容疑者の親としてjは弁護士に頼りたくなるでしょうし、依頼する時間的な猶予も得られたということじゃないでしょうか。冤罪防止のための取り調べ可視化ですが、運用で換骨奪胎されている感があります。ま、容疑者側に時間的猶予が与えられたという意味では以前と同じではないんですが、弁護士の出番は増えるかもしれないけど本当に冤罪が防げるのかどうかは微妙です。

同様に冤罪防止を期待された司法取引制度も、美濃加茂市長の斡旋収賄事件で、贈賄側の業者の証言の信憑性が公判で否定されました。有罪確定で量刑を軽減したい贈賄側業者が虚偽の証言をした可能性があると指摘されたわけです。警察といい検察といい、冤罪防止の制度の運用で台無しにしている構図です。捜査当局の内輪の論理が優先されていないか、疑問は尽きません。こういう問題を監視するのが報道の自由ってもんです。

てなわけで、件数自体は減っている凶悪事件ですが、減っているから尚のこと目立つという側面もあるわけで、出版不況で部数を減らすメディアにしろ、承認欲求やアフィリエイトでPVを稼ぎたいネットユーザーにしろ、着眼点の愚劣さは同じです。この手のリンチ殺人は昔は結構多くて、有名どころでは連合赤軍事件がありますが、社会一般から隔離された閉じた共同体ではしばしば見られます。

今回の事件も主犯格の少年を中心としたグループ内の出来事で、社会一般とは異なったルールが支配していたわけで、それが突出しただけとは言えます。この手の事件が減っているのは、一つはネットの普及で情報が大量に流通し、閉じた共同体が維持しにくくなっているという事情はあるでしょう。所謂バカツイッタ―の炎上事件のように仲間内のノリのつもりが世間から非難を浴び地位を失うというようなことで、リンチ殺人に至る手前で共同体が崩壊する確率が高まったということかと思います。喜ぶべきことかどうかは微妙ですが-_-;。

その一方で大人たちの世界では内輪の論理がまかり通る場面が多いのが何ともはやです。閣僚の政治資金規正法絡みの疑惑やら不倫路チュー事件やら、政治家の身勝手で国会は空転する一方、自衛隊海外派兵の恒久法制定や文官優位の自衛隊法改正などが閣議決定されてます。後者は文民統制の撤廃ではないと説明されてますが、警察予備隊に始まる自衛隊の歴史を塗り替えるものであり、本来の意味での文民=政治家がここまで劣化している現状からすれば、現実的にはワンクッション置く方がベターではあります。ドサクサ紛れで事が進むことは問題です。

というか、自衛隊自身が内輪の論理が強い組織になっているきらいがあります。例えばオスプレイの配備問題ですが、固定翼機でヘリ並みの機動性があってヘリより速う遠くへ飛べるという触れ込みですが、輸送力は大型ヘリの半分ですし、固定翼の輸送専用機に比べれば遅いし、ホバリングが不安定でそれだけ地上からの攻撃にさらされやすいという欠点もありますが、そういった装備品としての優劣をまじめに検討したフシはありません。むしろ米海兵隊のオスプレイ国内配備tが露払いになったという意識が先にきているのではないかと思います。

これは制服組に留まらず背広組も同様ですが、文民である政治家を補佐するに足る専門性よりも防衛相の組織内の論理が優先している可能性を示唆します。武器輸出解禁にしても、国内メーカーが専守防衛の縛りで特殊設計となる自衛隊向けにしか装備品の生産ができないから量産効果が働かず高値なので、海外メーカーとの共同開発が必要で、且つ海外市場へのアクセスも可能になるという触れ込みですが、これ言い換えると国内メーカーがガラパゴス化しているということであり、その意味では輸出のハードルは相当高いと言えます。現在商談中のオーストラリア向け潜水艦にしても、メーカーの川崎重工はサポート体制が組めないとして消極的なんですが、文官に補佐された政権が前のめりになっている状況です。

というわけで、この手の組織の劣化はそこらじゅうに見られるので、いちいち指摘する気も失せますが、例えば当ブログでたびたび取り上げているJR九州の上場問題ですが、本業赤字で経営安定基金の運用益に鉄道・運輸機構の利子補給で事実上の補助金でやっと最終黒字のJR九州が上場できるわけがないのですが、経営安定基金の取り崩しという禁じ手で上場を強行しようとしています。JR九州の鉄道事業で線区別で黒字は篠栗線だけという惨憺たる状況です。輸送量自体は多い鹿児島本線も新幹線並行区間で売り上げを落として赤字という現状です。上場となれば収益確保は至上命令ですから、赤字ローカル線の維持は困難になるでしょう。それでも株式売却益を整備新幹線の財源にしたい政権が前のめりです。もはや日本は社会主義国か。

小泉改革の目玉だった郵政民営化も迷走を続け、持ち株会社の日本郵政と金融2社の親子同時上場という利益相反の疑いのある計画が進行中です。親子上場によって日本郵政が保有する金融2社の株式売却益を郵政が自社株購入に充てて株価操作することが想定されているようです。一方でオーストラリアの物流大手トールの買収を発表し、海外進出と企業物流などの新分野進出を目指します。とはいえ明らかな高値買いですし、ペリカン便の統合でシステム障害を起こしたように、統合作業自体も茨の道です。上場の政府方針は動かせないということで、奇策に頼るしかないという危うさです。

というわけで、世論そっちのけ、資本主義のルールも捻じ曲げて進む現政権の視野狭窄ぶりは本当に危険です。リンチ殺人じゃないですけど、イスラム国(IS)に拘束された邦人2人を見殺しにしてますし、あまつさえ自衛隊海外波形の突破口にしようというトンデモぶりです。早く政権が終わってほしい。

で、こういった内輪の論理は政権に留まらずいろんなところに見られるわけですが、上野東京ラインの紫ラインを巡る混乱にもそれが見られます。東京近郊区間路線図は元々決して見やすいものではないですが、旅客案内を考えれば東海道線と東北・高崎線のオレンジラインを繋いで常磐線のアオ(青緑)ラインを品川へ延ばすのが実態に即した案内法のはずですが、上野東京ラインのアピールのために紫ラインを追加した結果、日暮里の扱いで混乱し、東北・高崎線直通列車は日暮里に停車しない旨の注記を追加せざるを得なくなり、旅客案内上ますます見難く混乱した状態になっています。

上野東京ラインのアピールという営業上の要請が旅客案内の利便性を損なっているという意味で、旅客目線を持たない営業は却って害毒という好例です。大きな組織は相当注意しないとこの手のことを引き起こしてしまうと肝に銘ずるべきでしょう。てなわけでやっぱラインはネタじゃん^_^;。

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Comments

JR九州は16年度に上場し、徐々に株式を処分するのかと思ったら16年度までに完全民営化を目指すようで、とても信じられません。本州でも上場から完全民営化まで何年もかけているのに九州がそんなに早く完全民営化できるのでしょうか。上場はいいが、今の株高が続くうちに売り抜けたいという思惑が露骨で今の政府の方針は手放しで賛成できません。

訊くところによると17年にJR発足30周年ですから、JR北海道の問題などで綻びが出ている国鉄改革が間違っていなかったと印象づける狙いもあるようで・・・。それも、政治的思惑ありきですよね。

本州3社と九州では、沿線の人口の多さや本業の収益力で大きな格差があるのはもちろんですが、本州の会社は平成の初の、まだ高速道路や空港が今よりずっと未整備だった時代にバブルの追い風を活かして積極的に車両や設備への投資をやれたことや、長期債務や新幹線の買い取りローンの負担を前提にして利益を出せるようにしてきたことが後で効いて完全民営化できたことに3島との違いがあると思います。上場自体はいいと思いますが、90年代と比べても高速道路の開業距離やマイカーや免許の保有率が増え、地方の人口が減った今は民間の自助努力で地方の鉄道を維持する条件がずっと悪くなっている中で1年で完全民営化することありきでは今でさえサービスレベルの低下が目立つのに、九州の鉄道ネットワークがボロボロになりかねませんね。

Posted by: きさら | Tuesday, March 17, 2015 at 01:04 AM

仰る通り、JR九州の株式上場は無理筋です。NTTの上場でも株式放出はかなり期間をかけましたけど、結局バブル崩壊もあって売り出し価格を割り込み多くの人が損をかぶりました。今回のJR九州の上場は、郵政共々はっきり言って手が出せません。

ご指摘の点のほかに経営安定基金の取り崩しを認めたことは問題です。これ収支の厳しい三島会社のために拠出され、旧国鉄債務に繰り入れられたもので、本州三社の新幹線買い取りや年金基金切り替え負担のほか、株式売却益や旧鉄道用地の開発利益で賄った上で、残りを国の負担、つまり税金で処理するとしたわけですから、事実上上場企業に税金をプレゼントするに等しいわけです。

これ資本主義市場経済の基本ルールを逸脱してますね。とんでもないことです。

Posted by: 走ルンです | Thursday, March 19, 2015 at 12:04 AM

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