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Sunday, March 29, 2015

かがやきの電源

基本テレビ見ないんで、法ステの古賀古館バトル見てないんですが、番組降板のタイミングでの古賀氏の生放送での官邸圧力暴露は、政権のメディアコントロールの酷さを晒しました。これまでも政権によるメディアコントロールはありましたが、テレ朝への免許剥奪まで踏み込んだ圧力は、もはや民主国家のそれではありません。安倍マンセー\^o^/。

JR福知山線尼崎事故で二審でも山崎前社長への無罪判決が出ました。速度走査機能を持つ新型ATS(ATS-P)を設置しなかったことに絞って業務上過失致死での立件を目指したのですが、以前にも取り上げた通り、元々無理筋です。結局事故の予見可能性という問題に矮小化され、事故をもたらしたJR西日本の企業体質には切り込めなかったわけです。日本の刑事司法制度では個人しか訴追できず、英国の法人故殺罪のような組織罰が規定されていないことが問題なんで、敢えてそこを争点とする訴訟で立法府へのけん制とする訴訟もあり得たんですが、日本の刑事司法はそこまで踏み込みません。あるいは民事で被告が企業の場合負担力に応じて高額賠償が判例として確立しているアメリカの例もあり、日本企業は結構カモられてます(小声)。だから福島第一原発事故でも誰も訴追されないみたいなことになるんですが。

事故といえば独ルフトハンザ系列のLCCジャーマンウイングス機の墜落事故がありました。こちらは若い副操縦士が故意に墜落させたことがほぼ明らかになっております。副操縦士は精神疾患で精神科の診断書を取得しながら破棄して会社に報告しなかったということですが、会社に報告しにくいことだけに、本人と雇用主の会社との関係は問われるところです。それ以上に安全に定評のあったルフトハンザ系列のエアラインでこれですから、難しい問題があります。機材のダウンサイジングとLCCの台頭で世界規模でパイロット不足が深刻化している状況で、若手パイロットの育成を急ぎ過ぎていないかという点は注意が必要です。加えて鉄道と航空の棲み分けにも影響するかもしれません。

という中で、日本でも北陸新幹線が開業し、迎え撃つ航空側は新幹線の普通車指定席を下回る格安チケットで対抗し、小松も富山も機材の小型化で便数は維持という姿勢です。輸送量では鉄道に分がありますが、逆に需要が喚起されれば共存は可能と見ているわけですね。これは多分北陸新幹線の特急料金設定が予想以上に高いことが影響していると思いますが、根本受益を期待できないJR西日本区間の特急料金が高く設定されていることによるわけで、来年の北海道新幹線でも同様ではないかと思います。この辺は九州新幹線でも博多で打ち切りの料金体系になっていたりして、今後の整備新幹線は採算面で料金が高めになるとすれば、新幹線の開業が即航空の撤退につながらない可能性を示唆します。日本のパイロット不足も続くということですね。

で、本題の電源問題なんですが、北陸新幹線の特徴として、50hzと60hzの周波数の異なるエリアにまたがっている点があります。東海道新幹線では東電エリアで50hzを60hzに変換する周波数変換所を設置して全線60hzの電力供給としているのに対し、北陸新幹線では分岐する上越新幹線が50hzである一方、基本計画上大阪までの路線ということもあり、また技術革新で車両側を2電源対応とすることが可能になったこともあり、周波数切替セクションという前代未聞の設備が登場します。しかも複数。わかりやすく以下に列記します。

高崎―軽井沢    東京電力 50hz
軽井沢―上越妙高 中部電力 60hz
上越妙高―糸魚川 東北電力 50hz
糸魚川―金沢    北陸電力 60hz
それぞれ駅西方にセクションがあり見事なつぎはぎですが、ルートの関係で4電力会社にまたがりますからこうなるわけです。車両側が2電源に対応してますから、とりあえずは問題はないんですが。でも4電力から受電というのは、新幹線としては異例の多さです。電力の地域独占体制は強固です。

余談ですが、福島第一第二と柏崎刈羽が立地するのは東北電力エリアで首都圏への大容量送電線が遊休化しています。東北や新潟で再生可能エネルギー発電して首都圏に販路を求めるときに使えるインフラです。同様に福井県の原発銀座も北陸電力エリアで近畿圏への大容量送電線が空いているわけです。2018年の電力自由化までに原発再稼働しないと難しくなるということで、推進派は焦っているというわけです。自由化しても送電網のイニシアチブは失いたくないわけです。そうすれば新規電力は競争劣位に置かれますから、自由化は骨抜きにされ、今まで通りコストを料金に付け回し放題になります。

元々国鉄時代の東北、上越新幹線の計画では、東京駅7番ホーム(14,15番線)を北へ延ばして東京駅北方にセクションを設けて60hzから50hzへ切り替える計画で、東海道新幹線とは直通も計画されていて200系以来2電源対応可能な車両システムだったのですが、耐雪構造など東海道新幹線との仕様が違い過ぎて直通は断念され、その後の国鉄分割民営化で別会社となったことで、東京での直通の可能性はほぼなくなりましたが、西へ延びて大阪を目指す以上、2電源対応は避けられないし、まして東海道新幹線ほどの需要も見込めず高価な周波数変換所のような地上設備の設置はあり得ないということでこうなったわけです。

で、思い出していただきたいのは、整備新幹線で優先着工とされた高崎―長野間の当初計画では高崎―軽井沢間がフル規格、軽井沢―長野間が在来線改軌のミニ新幹線だったことです。在来線の信越本線は直流1,500v電化ですから、計画通りならば交直両用の2電源車が必要だったわけで、それはそれで興味深い存在になったと思いますが、在来線区間は新幹線区間より低速ですから部分出力でも問題ないわけで、コストダウンの余地があるわけです。見てみたかった^_^;。一方2周波数対応はお預けに。

そしてJR西日本区間は糸魚川―魚津(現黒部宇奈月)間と石動―金沢間は新幹線規格の路盤に狭軌の線路を敷くスーパー特急方式で、加えて踏切のない湖西線と北陸トンネル内を併せて160㎞/hの高速運転が構想され160㎞/h対応車として681系を登場させました。対東京ではほくほく線経由で越後湯沢で上越新幹線に乗り継いで時間短縮という計画でした。これは軽井沢―長野間がオリンピック対応でフル規格に変更された後も変わりませんでした。とはいえ長野開業時に長野新幹線とするネーミングにクレームがついたように、フル規格での北陸延伸の政治圧力は存在していました。

そして長野―上越間のフル規格事業にJR東日本が同意したことで、スーパー特急を主張するJR西日本が孤立し以下略となるわけです。JR西日本は、並行在来線切り離しで孤立する城端線、氷見線、高山本線(猪谷―富山)、大糸線(南小谷―糸魚川)の切り離しを主張し抵抗しましたが、押し切られました。ただし貨物幹線となる北陸本線で三セク移行後の貨物問題では、東北本線の場合と違って、三セクの旅客列車とJR貨物の貨物列車の車両走行キロによる比例配分で保守費負担というルールになり、これがトワイライトエクスプレスの廃止やサンダーバードの富山乗り入れを断念させる原因となりました。

今回えちごトキめき鉄道で混乱がありました。JR東日本から引き継いだ妙高はねうまライン(妙高高原―直江津間)とJR西日本から引き継いだ日本海ひすいライン(市振―直江津)で、前者はET127系(JR東日本E127系譲受)で2連ワンマン基本、後者はET122系(JR西日本キハ122同形新造)で1連ワンマン基本と、電化路線で気動車を投入するわけですが、糸魚川―梶屋敷間の交直でんっどセクションを境に西が交流60hz電化となり、高価な交直両用車を避けたわけです。国鉄時代の電化区分を引き継ぐために生じた矛盾ですが、元々沿線人口が少ない過疎地でJR時代より増発を狙ったことと、メーカーが地元企業の新潟トランシスで収益機会となること、地元メーカーでメンテナンスが安心といった理由がありますが、開業記念でフリー切符を売りまくった結果、大混雑で積み残しを出す騒ぎがありました。特にキハ単行の日本海ひすいラインがひどかったようですが、さりとて2連非ワンマン運行はすぐ手配できるわけでもないですからやむを得ないところ。地元利用が定着すれば笑い話になると期待しましょう。

正直なところJR東日本の飯山線も含めて、孤立してシナジー効果を失った赤字ローカル線が直営で存続し、貨物ルートとしての公共性を理由に並行在来線が三セクで存続って、何か変ですよね。今後人口減少で地方のローカル輸送はますます存続が難しくなる中、欧州式にオープンアクセス制で、自治体が運行に関与するフランチャイズ制導入とか考えるべきでしょう。これ整備新幹線の並行在来線に留まらず、例えば三島会社で上場まで視野に入れる好調なはずのJR九州でさえ、個別線区で黒字は篠栗線だけとか、トラブル続きのJR北海道では千歳線以外全て赤字線という現状は、ローカル輸送では福岡都市圏や札幌都市圏など大都市近郊以外稼げない現実を示します。欧州式にオープンアクセス制でローカル輸送をフランチャイズへ移行するということを考えないと、JR直営ではコストダウンのための減便を受け入れるしかないということになるのではないでしょうか。

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Comments

1つの路線に対して複数事業者の参入を認めるオープンアクセス制は、安全管理上の問題があります。
実際、欧州ではそれに起因する鉄道事故が起きていますし、日本でも信楽高原鉄道の事故が有名です。
経営上の上下分離はあっても、実態としてインフラの保守から運行管理まで1事業者が責任を持つべきだと思います。

また、三セクの現状を見る限り、鉄道の専門知識が乏しい自治体が鉄道運行に積極的に関与するというのも、難しい気がします。

ローカル輸送の問題は市場原理を活用するのも1つの案だと思います。
たとえば、JR東京やJR新潟のように都市単位にJRグループの分社化を進めて、新幹線と在来線は切り離します。
新幹線と在来線の競争を促進し、過度な減便や誘導を防止します。

その上で、黒字化が困難なローカル線区はNPOのような形にして、大都市圏や新幹線運行会社からの配当金で運営します。1事業者内の内部補助と違い、運賃の公平性や経営の透明性が高まり、結果的に全体の利便性が向上すると思います。

Posted by: yamanotesen | Sunday, March 29, 2015 at 11:29 PM

うーん、市場原理を体現する方法としてオープンアクセスは究極の方法なんですが。

おそらく事故が多発したイギリスのケースを念頭に置かれているんでしょうけど、以前にも取り上げましたが、イギリスでは不人気なメージャー政権の人気取りで、進行中の国鉄改革の成果を大きく見せようとして、公的機関で予定されていた線路保有機関を株式会社のレールトラック社に改組し、民営化対象としたことが原因です。

政権の政治介入で案を練り直し、レールトラック社に利益をつけるため、鉛筆なめなめ保有資産を圧縮して減価償却費を減らして利益をひねり出した結果、メンテナンスの原資となるフリーキャッシュフローが不足して手抜きが行われたことに起因します。安全性の問題は制度設計で対応可能です。

上下分離もいろいろありまして、路盤などのインフラ部分のみの分離から、線路や保安装置を含む場合、駅や車両基地を含む場合、更に動産の車両まで分離対象とする場合もあり、車両を含む分離の上で、指令などの運行管理をプロであるJRに委託して駅業務など営業に特化する形もあり得ます。イギリスのフランチャイズ制はこれに近いものです。通信のMVNOのように設備負担がないからローコストで運行できるわけですね。おそらくここまでしないと地方の足は守れないと思います。

逆に通信のMVNOで新規参入が促されたように、地域ニーズを掘り起こすような新たな発想の新規事業者が現れる可能性もあるわけです。

その意味でWillerが出資する京丹後鉄道の動向には注目してます。

Posted by: 走ルンです | Monday, March 30, 2015 at 08:43 PM

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