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April 2015

Sunday, April 19, 2015

インシデント週間

山手線で重大インシデントがありました。12日に神田駅近くの山手線と京浜東北線の併走区間で更新により撤去予定の架線柱が倒れ、線路を死傷したものでs、数分前に営業列車が通過していたことから、重大事故につながりかねないインシデントとなりました。朝6時に発生し休日で工事スタッフが集まらないこともあり、復旧は15時と9時間に及ぶ運休となりました。

とはいえ休日だったから混乱はそこそこで済んだ面もあります。山手線は田町―田端―池袋間で運休。京浜東北線は蒲田―東十条間で運休とし、後に蒲田―品川間で運転再開するも、折り返し設備の制約もあり、運転間隔は開きました。それでも並行する中央線と東海道線、上野東京ラインは生きており、地下鉄への振替輸送も行われました。平日だったらもっと混乱したかもしれません。

その後の報道でJR東日本は10日時点でポールの傾きを認識していて13日終電後に撤去工事を予定していたのですが、週末を挟んだから対応が遅れた面もあるわけですが、同時に異常を発見しても直ぐに工事に取り掛かれない現実もあり、この辺の時系列の微妙さは頭に入れておく必要があります。

そもそもは2本のポールに横梁(ビーム)を渡した状態で、架線にも張力が掛かっているわけですから、微妙な構造計算が必要なのではと思っていたら、案の定同様の工事では構造計算して上司の承認を得ることがマニュアルに定められていたということで、何故マニュアル違反が生じたかが根本の問題です。加えて異常を認識し工事を手配するバックアップがどこまで可能なのか、特に昨今保守部門は外注化されていて、指示命令系統に齟齬が生じやすい背景はあったわけです。リカバリーにも課題があるわけです。マニュアル違反という意味ではJR北海道の青函トンネル列車発煙事故と共通ですが、こちらは正社員で運転保安要員である車掌の判断の問題があり、しかも記者会見で社長がそれを適切とするなど、事後の対応にも疑問があり、より深刻です。

14日には今度は広島空港でアシアナ航空機の着陸失敗という事故が起こりました。広島空港は天候の急変で霧による視界不良があるということで、カテゴリー3の無線誘導装置(ILS)が設置されていたものの、西側だけで、当日は風向きの都合でで管制官に東側からの着陸となり、着陸に失敗したものですが、パイロットのミスとする見方と悪天候によるダウンバーストの影響とする見方があります。

事故機はエンジンを接地してバウンドして滑走路を外れており、まかり間違えば火災による爆発炎上の可能性もあったほか、フェンスの外は崖になっていて、運が悪ければ機体ごと滑落もあり得たなど、大惨事の可能性がありました。また照明が落ちて搭乗客の避難が混乱したり、客室乗務員がパニックになってシューターによる搭乗客の避難を補助しなかったとか、いろいろ問題点も出てきております。パイロットのミス、管制官の判断の正否、数十億円と言われるILSの完全設置、客室乗務員の対応など論点はいろいろあり、経営の苦しい地方空港故に、ILS設置も簡単ではないですし、そもそも世界規模のパイロット不足に加えて客室乗務員の適正な訓練など、航空業界が抱える様々な問題が横たわります。頼みの西側ILSも損傷しており、17日に仮復旧したものの、悪天候時には欠航となる暫定運用で混乱は続きます。

というような一連を見ていると、人材の枯渇、労働力の劣化が通底する問題として浮上します。人口減少が続く日本ですが、韓国を始めアジア諸国も同様の傾向が見られます。このことに意味するところは、人口減少による労働力不足を移民で補充することの困難を示します。政府が進める介護労働を外国人実習生で補充というのもまず無理といえます。そもそもトラブルの多い日本の実習生制度は低賃金や長時間労働などで国際機関からも改善勧告されていますし、正規雇用であっても円安で日本への出稼ぎに妙味がなくなっていることを自覚すべきでしょう。政府のやっていることは何の解決にもならないわけです。

ただ気になるのは、人口減少による労働力の希少化が、素直に賃金の上昇につながるのかに疑問があります。というのは、潜在成長率0.6%と先進国中最低の日本ですが、生産年齢人口1人当たりで見ると1.6%程度の成長率になるわけで、実は欧米を凌駕する水準にあります。それだけ労働生産性が高いのかといえば、時間当たりの労働生産性は欧米に大きく後れを取っており、実態は長時間労働の深刻さを伺わせます。実は日本人雇用者も実態は外国人実習生に引けを取らない劣悪な状況に置かれているわけです。実は日本の労働市場は新興国並みというお寒い状況です。

生産年齢人口が減少するんですから、本来は労働生産性を高めなければならないわけです。労働生産性は単位時間当たりの付加価値創出力で測られますから、高付加価値労働へのシフトが重要なのに、現実的には逆の現象が起きているわけです。付加価値が低いから長時間労働で埋め合わせなければ国際競争に勝てないという悲しい現実です。

高付加価値というと必要性の薄い高機能多機能を詰め込んだ結果、世界から忘れられたガラパゴス携帯が典型的ですが、必要性を超えた高性能高機能高品質を付加価値と勘違いしているのが日本のリーダーたちです。付加価値というのはユーザー目線での評価の総体ですから、ユーザーである消費者の購買力に依存し、その消費者の大多数は労働者であるという当たり前の現実が見えていないのでしょう。無駄な高性能高品質よりも、ブランドやサービスで差別化することこそ重要です。言い換えればサービスの高価格化ということです。

新興国の工業化の進捗で供給過剰な工業製品で勝負すれば低価格に泣くわけで、そこを認識できない日本の無能なリーダーたちは、値下げしないと物が売れないと「デフレだ、日銀何とかしろ!」てなことで、責任転嫁するわけですが、それで問題が解決するわけがありません。必要なのは産業構造の転換を伴う本来の構造改革ですが、既得権層の反対で進まないばかりか、政府が既得権層におもねっているのですから、日本経済は沈みっぱなしにならざるを得ないわけですね。これ以上続けると落ち込みますからこの辺にしときます。

てな中で、交通分野でも人手不足は確実に事業環境を侵食するわけですが、ちょっと面白い傾向が先日開業した北陸新幹線で見られます。

乗客2.7倍、乗車率は50%割る 北陸新幹線1カ月  :日本経済新聞
これぶっちゃけ航空の便数維持の結果、平日のビジネス客の移転が進まず、北陸新幹線の乗車率を低めているわけです。つまり観光がメインの新幹線ということで、航空は機材の小型化もあって搭乗率100%近い、つまり相当数の利用を断っている状況ですが、運賃を安く設定しても燃費の良い小型機材で席を埋めている状況は採算性も高いと言えます。逆に言えば東京対北陸のビジネス利用は航空でカバーできるオーダーしかないというわけです。北陸新幹線は料金を高めに設定してますし、グランクラスを設定し3等級制として客単価を上げてますから、乗車率の低さはカバーできるでしょう。逆に需要の季節波動の多きい観光輸送では乗車率の低さは機会損失の低減につながるわけですから、おそらくこのまま役割分担が定着すると考えられます。

これは従来新幹線の開業が航空の撤退につながる傾向とは異なり、結果的にJRも航空も付加価値を高めたわけです。もちろん新幹線に関しては引き換えに並行在来線切り離しで三セクに負担をかけていることには注意が必要ですが。新在通算で付加価値が高まるかどうかは現時点では何とも言えません。

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Sunday, April 05, 2015

日本劣等強権化計画

古賀古館バトルの後日譚がまたアレなんですが、古賀氏のカミングアウトで報道ライブ番組にもシナリオがあることがバラされてしまいました。言うこと決まってんなら収録でやれば編集が利くわけで、最新ニュースを反映させる意味があるならコメンテーターなんか置かずにひたすらにユース原稿読んでれば良いです。合いの手が欲しいなら音声再生ボタンで自動化すりゃあいい。その方が出演料省けてコストダウンになるし。

そもそもこの手のハプニングは報道番組には付き物。ゲストで呼ばれてうっかり口滑らせたり横柄な態度を見せたりして政治生命を縮めた政治家も数知れずです。その緊張感があるからテレビ報道のライブ番組には意味がある。そういやTBSの選挙特番でイヤホン外した安倍首相の映像も流れました。これらが国民にとっては貴重な政治家の本音を探る材料になるんですね。

で今回名指しされた菅官房長官が記者会見で圧力を事実無根としながら、同じ席で放送法に言及しテレビ局の対応を見守りたいと発言しましたが、典型的なポジショントークですね。ポジショントークというのは、地位や立場を利用したパワートーク、圧力発言の類いで、会社の会議でお偉いさんの一言で議論が低調になるなんざ勤め人なら何度も見ている風景です。こういうとき会議を進行するファシリテーターはそのお偉いさんの発言を止めなきゃいけないわけで、プロセスはともかく発言自粛や退席を促すもんです。この辺例えば日産自動車など一部の民間企業では決定権者の会議中座ルールとして取り決められていたりします。そうして会議メンバーに発言を促すわけです。菅氏の対応は見事その逆というわけで、自ら圧力の存在を証明してしまったわけです。

まぁこんな風だからイランの核放棄という歴史的合意には経済制裁中のロシアを含む国連安保理常任理事国プラスドイツの6か国が参集した一方、日本には声すらかからないわけです。これで常任理事国入りを目指すって、寝言は夜だけにしろ。逆にドイツはウクライナ問題でもメルケル首相の獅子奮迅の努力が高く評価されてます。外交力というのはどうやらあるらしい。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)を巡る混乱も日本の立ち位置の微妙さを示します。既に日米主導のアジア開発銀行((ADB)が融資実績を重ねていて、歴代総裁を日本から排出している状況ですから、AIIBに関しては慌てる必要はないものの、留意点はあります。ADBは審査が厳しいこともあり、投資家から低利の資金を集められる状況で、またそれ故にADB融資は優良プロジェクトの証として評価されるわけですが、融資を受ける側にとっては審査が厳しすぎる不満もあり、人事を日本に握られていることの不満もあります。それ故にADBの審査に漏れた案件をAIIBが拾う形で棲み分ける可能性はありますが、それはとりもなおさず金利にプレミアムが付くことを意味します。これが逆に利回りを求める投資家に評価される可能性もあり、ADBとは競合関係になるわけです。それでも両者の競争でアジアのインフラ投資が活性化されるなら基本ウェルカムではあります。

別の観点から見れば、AIIBを明代の鄭和の朝貢外交の現代版とする見方があります。明の永楽帝の時代の武人で宦官出身の変わり種ですが、永楽帝の命によりアジアからインド、中東、アフリカ東岸に至る各国に大船団を従えて6度にわたる航海で朝貢を要請した人物です。ただし朝貢した相手には所謂数倍のお返しがjあるわけで、統治者が儒教的な徳を見せるためのものと言われます。つまり華夷ヒエラルキーの中華思想の具現化でもあるわけで、このような動きは中国の歴史上は安定期に向かう時期の特徴です。南シナ海など周辺国との摩擦も見られますが、基本的に今の中国に軍事的野心はないと見て良いでしょう。歴代王朝で軍事的膨張が見られるのは元や清など異民族の征服王朝時代の特徴でもあり、この時代はむしろ中華思想は否定されます。

というわけで、中華思想そのものは国際法の基本となっている西欧主権国家による相互主義と普遍主義とは相容れず、AIIBが中国主導で動き始めれば、それに伴うトラブルも見込まれ、国際社会との調整コストはそれなりに覚悟が要りますが、逆に言えば、それを引き受けさえすれば、中国が軍事的に膨張する懸念は後退するわけです。G7メンバーでいの一番に参加表明したイギリスの目敏さは健在です。「尖閣ガー、ホルムズ海峡ガー」と騒ぐどっかの国とは大違い、相手の軍事的膨張の妄想に囚われていては本質を見失います。ま、イギリスを含む欧州勢はIMF改革に後ろ向きなアメリカに不満があるという側面もありますが。

しかし一方で気候変動問題では米中両国に歩み寄りが見られます。思えば2009年のCOP15コペンハーゲン会議で1990年比マイナス25%という意欲的な目標を掲げた日本ですが、同会議では中国の強硬姿勢でぶちこわされたものの、その後中国自身の姿勢に変化が見られます。これはEUが東欧圏の旧式石炭火力を高効率ガス火力などにリプレースすることで削減量を稼いだことを中国で再現できるという意味で日本にとってもチャンスなんですが、原発事故で目標を取り下げ、さらに京都議定書の延長の際に離脱してしまいました。結果京都メカニズムと呼ばれるクリーン開発メカニズム(CDM)の利用が難しくなってしまいました。排出権クレジットの取得はコストがかかりますが、中国から見れば排出削減プラントの値引きと同じですから、日本企業にとってはおいしい話のはずが、原発再稼働を優先する愚かな選択です。

別に原発再稼働そのものには反対しませんが、前エントリーで指摘したように、福島、新潟と首都圏、福井と近畿圏を結ぶ送電線を連系線に転用することで再生エネ活用が可能で原発再稼働とトレードオフ関係にあることを指摘したように、原発再稼働ありきでは道を誤る可能性があります。現状では再稼働は10基前後がせいぜいでしょうけど、これが決まらないから温暖化ガス削減目標が決まらない体たらくです。年末のパリ会議の前に、6月のG7ベルリンサミットの主要議題になると見られ、それまでに腹を決めなければなりません。

しかし今のところ決まっているのが川内原発3,4号機の2基だけです。地元が再稼働に積極的な姿勢ではありますが、九電関係者は新幹線で鹿児島から通勤とかで、地元にお金が落ちずシャッター通りになっています。逆に言えば万が一の事故や災害の時に、住民避難に新幹線が使えるということでもあり、この点はアドバンスと考えて良いでしょう。逆に同じ炉型でも玄海原発は人口密集地の福岡に被害をもたらす可能性があり、再稼働は簡単ではなさそうです。

逆にこういった諸条件を加味して10基程度の原発を再稼働指名して技術者を結集させるとかしないと、マンパワーも含めて再稼働そのものが進まない可能性もあります。よほどリーダーの肝が据わってないと難しいですが、安全審査を規制委に丸投げしている現状では望むべくもありません。

あと沖縄の民意を踏みにじる辺野古問題ですが、反対派を暴力的に排除する姿勢は成田闘争の再現を思い出させます。下総御料牧場と小岩井農場を中心に用地買収が軽微で済むことと、隣接地が開拓農家で土地への執着が弱いという見立てで強引に事業化された結果、激しい抵抗にあいました。そもそも開拓農家の営農思考が弱いという見立てが現実に合わないもので、作物が良く育つ地力の強い土地に農民の愛着は強く、暴力的な対応でボタンの掛け違いを繰り返し、不信感を拡大させた教訓を忘れたのでしょうか。しかも犠牲を払って完成した空港は予定より小規模で内陸で時間制限もあり、何より都心から遠い不便さもあって中途半端なものになりました。羽田の国際化で空洞化しないように深夜早朝枠を除く羽田の国際線を運航するエアラインに成田縛りの規制を課し、羽田進出を狙っていた英ヴァージンが両空港への就航は無理として撤退してしまいました。農民の土地を取り上げてこんな中途半端な空港しか作れない愚策です。

政府は基地がなくなれば沖縄経済は保たないと高をくくっているようですが、以前にも取り上げた通り、47都道府県で出生率ダントツ首位で東京など移転による人口増を除けば唯一人口が自然増過程にある沖縄は、少子化にあえぐ本土より成長力があって、むしろ基地の存在が成長を抑えているという認識が県民に広がっていることを見ていません。政府の目論見が間違っているという点で成田闘争とよく似ています。

ってなわけで、鉄道ネタに戻しますが、JR北海道がまたしてもトラブルです。

青函トンネルで特急発煙 乗客120人歩いて避難、2人搬送  :日本経済新聞
最新の789系で、しかもモーター配線という主回路のトラブルです。設計上の瑕疵かメンテナンスの問題かはわかりませんが、それ以上に絶望的なのは、トラブルを発見した車掌の対応です。床下からの発煙を確認した車掌が、非常ブレーキを引いて停止させたのですが、北陸トンネル列車火災以来、車両火災時のトンネル内での停止は運転規則で禁止され、トンネル出口まで走り抜けることになっています。つまり車掌は規則違反してしまったわけです。

そのために乗客を線路伝いに避難誘導させる結果となり、時間もかかるし体調不良を訴える人も出てきます。それより怖いのが石勝線事故のときのように爆発的に延焼した場合です。石勝線でも列車を止めてしまったんですが、煙の中で避難は困難を極めました。トンネル出口に近かったので、犠牲者は出ませんでしたが、今回の事故で同様の延焼があればガス中毒を免れず大惨事になっていたはずです。

しかもトンネル内の線路を当該列車が塞いでいて、救護用のディーゼル機関車(DE10)で救援するまで運転再開できず影響を拡大したわけです。本来運転士と指令に通報し、救護手配の上津軽今別駅まで運転継続し、該当号車の乗客を他号車へ誘導しなければならなかったはずです。運転保安要員としての車掌業務がちゃんとできないというのは、石勝線の前科もあり、会社に問題アリと評価せざるを得ません。これでは来年開業の北海道新幹線が心配です。結局政権肝いりでトップ交代したものの、改善が見られないわけです。

で、結論、バカ安倍早く辞めろ[怒]。

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