鎌倉の鶴岡八幡宮の参道の若宮大路の二の鳥居から八幡宮まで続く段蔓が板囲いで覆われて工事中です。音連れる観光客にどこまで周知されているかわかりませんが、春の桜祭りも結局開催されず、長丁場の工事となっております。
何の工事かと言えば、実はその桜並木が育ち過ぎて根を張って石垣を崩してしまうということで、桜を全株抜いて石垣を組み直し、改めて桜の苗木を植えるそうで、いやーそりゃ手間かかるわけです。遺跡が少ないとして世界遺産登録を逃した鎌倉ですが、その数少ない遺跡の保全はなかなか物入りです。まぁまた桜を植えるってのは相当頭悪いですが^_^;。
それ以前に園芸種の桜はせいぜい江戸時代程度の歴史に過ぎないわけで、文化財の在り方としてどうよって視点もあります。在原業平が詠んだ「たえて桜のなかりぜば」の歌はありますが、当時は野山に自生する野生種の桜の話。まして武家の古都を売りにする鎌倉にふさわしいものかどうか、そういった議論をすっ飛ばしてまた桜を植えるあたり、この国の文化の軽視度合いにため息が出ます。コストかけてバカやってるわけですね。
てなわけで、世界遺産登録が決まった明治日本の産業革命遺産が香ばしいことに。
「強制徴用」、日韓玉虫色の決着 世界遺産登録 :日本経済新聞
これ徴用工の表現を巡って日韓で揉めたアレですが、例によって韓国が約束を破ったみたいな香ばしい声がありますが、韓国代表の意見表明の英文表現にクレームをつけて議事を遅らせたのは日本代表の方です。他国の意見表明の内容に事前にチェックを入れるってのは、それだけでも変ですけど、その結果徴用工に関する英文表現を"forced labor"から"forced to work"に変更させたという日本代表の説明ですが、なかなか香ばしい話です。
韓国代表は所詮表現の問題だから折れたけれど、意味するところにさして違いはありません。強いて言えば前者は国際条約で用いられている表現なんで、それを回避できたことを日本代表は「成果」としているわけですが、実は従軍慰安婦問題を巡る河野談話でも用いられなかった踏み込んだ表現です。加えて米英豪の捕虜の強制労働の問題もあり、早速アメリカ代表が注文を付けていて、かなり藪蛇になりそうです。
それに留まらず火種は多いですが、複数指定された中で、萩の松下村塾が加わっている点に違和感を禁じ得ません。指定された史跡のページです。
日本の世界遺産(明治日本の産業革命遺産 - 製鉄・鉄鉱、造船、石炭産業)
日本の世界遺産(明治日本の産業革命遺産 - その他の写真)
その他の写真のページの冒頭に松下村塾というのがまた香ばしい。明らかに他の史跡が産業遺構そのものの指定なのに、これだけ趣が違いますね。安倍首相の地元を押し込んだという穿った見方があるのですが、それ以上に問題なのは、征韓論や大東亜共栄圏など、戦前の軍国主義イデオロギーの大元がここという点です。韓国代表が気づいていれば、むしろこちらを問題にしたかもしれませんが、いずれ知れますから、こちらにも注文がつけれれるのか確実でしょう。なまじ指定されたための火種です。日本の外交下手は世界遺産級か(笑)。
そもそも世界遺産を観光のお墨付きと勘違いしているフシが日本にはありますが、元々は文化的に重要で後世へ伝えるために指定するもので、指定を受けた史跡は保全の義務を負います。史跡の保全は単純な老朽化対策に留まらず、史跡破壊の原因となる開発や紛争による破壊行為からの保護も求められます。今回指定を受けた史跡はいずれも老朽化して廃墟化していたもので、例えば軍艦島のように老朽化で危険だからと上陸が禁止されていたわけで、上陸ツアーは解禁されたものの、多数の観光客を受け入れるためには、オリジナルを損なわない形での補修が必要になり、且つ良い状態を維持しなければならないわけですから、コスト負担を考えると収支がどうなるかは予断を許しません。
そんなニュースがある一方、国内でも香ばしいニュースがあります。言うまでもなく新国立競技場です。ジングウ・ファミリアがネタじゃなくなりました。草生えます。迷走を続けて一旦1,625億円とされた事業費が2,520億円で決着。内900億円がキールアーチの屋根部分で、2019年のラグビーw杯に間に合わせるために、当面屋根は仮設で、五輪後にキールアーチ屋根の本工事というややこしいスキームになっております。
キールアーチは建築よりも土木に近い橋梁工事と見なせますから、五輪後fグラウンドはキールアーチ組み立てのための仮設鉄工所になるとすると、大枚叩いて作ってもスポーツ大会やイベントで使えず当面売り上げが立ちませんから、大赤字確定ですね。またその間の人件費や資材費の値上がりを加味すれば、更に事業費は膨らみます。それでも見直さない政府は何を考えているのやら。アスリートにとってハレの場の国際大会が台無しです。選手強化費に使われるTOTOの収益金まで突っ込むって、メダルよりスタジアムが大事なのかい。
いずれも文科省絡みの話ですが、文科省はよっぽど出来の悪い官僚しかいないんですな。考えてみりゃ文科省関連の公共事業は学校関連で10憶20億のオーダーですから、まいあがっちゃったのかもしれません。もちろんだからと言って免罪されませんが。それ以上に決まったことを見直せない政権の無能ぶりもまた溜息を禁じ得ません。
ってなあれやこれやで、現実が面白すぎてネタ考える暇がない。知性の乏しいリーダーを選んじゃダメ。この現実より面白いネタなんかそうそうないですわ。というわけで大草原不可避wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww。
一応鉄道ネタかましときます。
東京に新地下鉄2路線 都が国に提案、臨海―都心など :日本経済新聞
前エントリーで取り上げた銀座―有明間と新たに白金高輪―品川間の地下鉄計画を都として正式に検討し、国の答申への盛り込みを働きかけるという話です。前者は五輪後の地域開発を睨んで、ゆりかもめや大江戸線のような中途半端な輸送機関では開発が制約されてしまうということで、中央区から要望されたものを都としても推していくということです。
これ逆に言えばバブル期に整備されたゆりかもめや大江戸線の反省からということでもあり、当時は建設費の高騰が止まらず、交通インフラの整備費用の低減が求められていたわけですが、その解として、軽量構造のAGTのゆりかもめと、小断面地下鉄の大江戸線の提案でした。しかしゆりかもめは多客時度々荷重制限で停止したり、ハブ損傷事故を起こしたりして、輸送能力が低く、構想にある豊洲―晴海間の延伸ではダメということでもあります。
大江戸線もマンション建設ラッシュで乗客をさばききれず入場制限を余儀なくされた勝どき駅でホーム増設の追加工事を強いられて高くついています。ある意味中央区の言い分は正当なんですが、現時点では既存の地下鉄ネットワークとつながらない孤立線で、輸送需要も今一つです。整備費用削減のためにAGTや小断面地下鉄ではなく、当時からフルサイズの地下鉄でしかも既存路線のネットワークに組み込むことは考えるべきだったと思います。
大江戸線に関しては必然性の乏しい環状線形態にするぐらいなら、練馬―新宿―浜松町間を先行整備して、上野御徒町―都庁前間は京成上野―新宿間を1号線規格で整備してスカイライナーも乗り入れるとか、フルサイズの地下鉄で既存の地下鉄ネットワークにつなげることを考えるべきでした。もちろん当時の情勢では事業費の高騰は避けられないところですが、それで実現できないならば、元々優先度が低かったと割り切るべきでしょう。
その意味で後者の白金高輪―品川間は、東京メトロが乗り気のようで、実際半数が白金高輪で折り返している現状で、折り返し列車を品川へ逃がす手はあります。事業着手はどうせ五輪後ですし、敢えて目標と言えば、実現できるかどうかはともかく2027年のリニア開業に照準となればタイムスケジュールも無理がないというわけですね。これも港区の要望が強いもので、品川駅の再開発計画で東西軸の鉄道路線導入空間が描かれていたわけですが、品川駅の再開発も五輪後ですから、時期的にも符合します。
ただ都営地下鉄との関係はややこしいところです。仮に白金高輪―目黒間のように都営との二重戸籍とすると、品川―三田間を京急と浅草線使うより白金高輪周りの方が安くなるなどの妙なことが起きます。メトロと都営の経営統合や運賃共通化の議論も政権交代と都知事の交代で有耶無耶ですが。
この品川駅の東西軸鉄道インフラですが、発表時点では大田市場の移転に伴う再開発ビルの地下基礎に鉄道トンネルが組み込まれていて、これが蒲蒲線に化けたわけですが、無暗な先行投資は混乱の元ではあります。投資にはタイミングも重要な要素です。
実は同様の先行投資は東京以外でも昔からあって、例えば新京阪線の西院―京都大宮(現阪急大宮)間の地下線は京都市が施工し新京阪に貸し付けていたもので、おそらく市営地下鉄を実現した大阪市への対抗心だったと思われます。結果的には民間事業者に活用されて無駄にならなかったとはいえ、先行投資はリスクも大きいわけです。公共投資にもリスクはあるという当たり前のことですが、公共投資を止めるとストックが増えないという変てこなことを言う学者が居たりして頭痛いところです。リスクを考えない投資は官民問わず愚策です。
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