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Sunday, August 02, 2015

21世紀のドイツ・イデオロギー

大草原wwwwwwww神宮の森

国立競技場計画の見直しで泣きを見るのは誰か|inside|ダイヤモンド・オンライン
高さ制限15mの神宮の森を再開発用地に化けさせるために新国立競技場の建設計画を露払いに高さ制限70mに緩和されたというお話。理論上は地権者の意見がまとまれば、ららぽーとやイオンモールのような大規模商業施設の建設も可能になります。現時点で地権者は沈黙してますが、再開発用地を作り出す手法は築地市場の豊洲移転を連想させます。被害者面の東京都にも利権の匂い。ちなみに白紙撤回されたはずの新国立競技場予定地の工事は続いています。政府も嘘つきです。

片や東芝の不正会計問題。元特捜検事の郷原氏の解説は明快です。

東芝は「社長のクビ」より「監査法人」を守った:日経ビジネスオンライン
第三者委の報告書は最初から監査法人を調査対象から外していて、狭い範囲しか明らかにしていません。これだけの不正を監査法人が気付かない訳は無いんで、東芝経営陣が嘘の情報を流していたか、あるいは大手企業と大手監査法人という通常無風の取引関係から阿吽の呼吸のお目こぼしか。いずれかが明らかにならないと刑事訴追は無理と。

特に後者の場合は深刻で、大手監査法人が監査した日本企業の決算は信用できないという見方がされるかも。ITバブル崩壊時の米エンロンやワールドコムの破綻に関連して大手会計事務所のアンダーセンも破綻しました。日本ではりそなグループの決算に関わった会計士の自殺という事件がありました。公的資金注入後、JR東日本出身の細谷社長が送り込まれ、監査法人を朝日からトーマツに変更しています。本来そこまで踏み込むべきですが、そうすると困ったことがありそう。

東芝の原発事業に1000億円単位の減損リスクも|inside Enterprise|ダイヤモンド・オンライン
2006年、原子力ルネサンスを掲げる米ブッシュ大統領が原発新設を解禁し、原発輸出の機運が高まる中、経産省の肝いりで米原子力企業のウエスチングハウス(WH)を東芝が買収したのですが、市場価格の2倍と言われる高値買収となり、多額ののれん代が発生。のれん代の償却は予定通り進行中と東芝は発表してますが、WHの事業がスカスカで、追加ののれん代の減損処理が発生しているのではないかと言われています。そんなときに監査法人を変更して資産査定のやり直しをされるのを避けたかったとすれば、東芝が歴代社長3人を含む取締役8人の解任までして守りたかったものが見えてきます。過去の決算で1,000億円規模の減損処理を強いられると、赤字化で繰り延べ税金資産の取り崩しになれば傷口を広げます。おまけ
米、日本政府を盗聴か 「ウィキリークス」が文書公開  :日本経済新聞
案外東芝は米政府の描いたシナリオに乗っかっていただけかも。裏は取れてませんが。

東芝は鉄道との関わりも深く、1899年(明治32年)には前身の芝浦製作所が京急の前身の京浜電気鉄道にモーターや台車、制御器などを納品しています。記録上国産最古のものですが、試作品の域は出なかったようです。日本の電気鉄道はアメリカのインターアーバンで技術を培ったアメリカの輸入品に依存していて、甲武鐡道の電車運転に始まり、国鉄、阪神など電気鉄道初期はほぼGE製品が使われ、東芝はGEと提携して技術を習得し、国産化にまい進します。同様の関係は三菱電機―WH、東洋電機―EEなどで、日立は独自に国産技術を構築して参入しています。WHは南海、大軌(近鉄の前身)、小田急など、EE(デッカー)は京阪、京成などのユーザーを獲得しています。

技術的には大胆なチャレンジもあって、TT1やTT2と呼ばれる直角カルダン台車を開発して東武や阪神へ売り込みましたが、保守面で課題が多く、後が続きませんでした。カルダンドライブは樹脂製たわみ板を用いた東洋電機のTDカルダンと三菱電機がWHの技術を用いたWNギヤカップリングドライブが主流となります。東芝はしばしばユーザー視点を見失うところがあるようです。その東芝が買ったアメリカの名門WHも歴史に翻弄されて抜け殻になっていたのかもしれません。

東芝の話が長くなりましたが、本題はギリシャ問題。結局ギリシャの何が問題でどう解決されたのか、日本のメディアではあまり伝わってきません。ギリシャ問題は日本の地方政治と通底する問題でもあるんですが、EUの開発プログラムで融資を受けて多数のインフラを整備したものの、特にオリンピック関連が顕著ですが、終わってみれば廃墟の山。低稼働のスタジアム等は維持費も出ない状況です。元々産業基盤の弱いギリシャではもてあましてしまいます。

ギリシャの主要産業は海運と観光と農業ですが、主たる外貨獲得手段の海運が早くからリベリアなどの外国船籍を用い安価な外国人船員を雇用して雇用面での空洞化が著しいものがあります。同様の海運大国のデンマークとは大違いで、しかも船会社のオーナーは資産をスイスなどに持ち題出して課税逃れが当たり前。黒字が内需に貢献せず政府も常に税収難にあえいでいました。

地政学的には西欧から東へ突き出した位置にあり、東西冷戦時には対ソ最前線ですし、またトルコと国境を接し中東イスラム圏とも近いということもあり、軍事費の負担が他国より大きいという傾向があります。観光は何しろ古い遺跡の保全がキモで、やはりコストはかかるし、またインバウンド需要を満たすためにリソースを取られるから、ほかの産業が育たない。そんな中で農業は比較的安定した産業基盤ですが、最大の輸出相手国がロシアでウクライナ問題による経済制裁で直撃されてます。加えて昨今の中東北アフリカの治安悪化による地中海難民が押し寄せてということで、いいとこなしの状況です。

で、時代に翻弄されるギリシャですが、ギリシャ自身の責によるものはオリンピックぐらいです。中東の治安悪化はアラブの春に乗じて軍事介入した英仏や反政府勢力を支援するアメリカなどの問題ですし、ウクライナ問題もアメリカの保守派がウクライナの右派セクターをけしかけたのは公然の秘密。加えてユーロ圏で勝ち組にのし上がったドイツのロシア嫌いが顕在化してウクライナ問題を膠着化させてしまったわけです。ギリシャ問題も債務減免を最後まで突っぱねたのがドイツですし、それ以前にEUの東欧圏への拡大も、元々ロシア嫌いのポーランドやバルト三国が加わり、更にウクライナまでもとなれば、ロシアの反発は当然でもあるわけです。

米英仏の中東介入はそれはそれで問題ですが、アラブの春に乗じたように、一応普遍的価値に乗っかる形を整えてますが、ドイツはどうもそうではなさそうだというところです。そんなんでタイトルを思いついたんですが、パリ・コミューンの攻防戦をドイツで見ていた若き日のカール・マルクスが、コミューンという市民自治の統治スタイルに未来を感じエールを送る一方、その実現を阻むものが資本主義的諸関係にありと喝破して資本主義批判に軸足を移すのですが、この時期の哲学草稿の有名なフレーズが「翻って我がドイツは神聖同盟の下で眠りこけている」とドイツの後進性を嘆いたのでした。

マルクスの没後、サラエボ事件からWW1に至る過程やWW1後にフランスが突き付けた無理な戦後賠償の結果ハイパーインフレに悩まされたヴァイマール共和国時代。その閉塞感を突き破って見せたヒトラーの台頭、そしてWW2へ進み2度目の敗戦となる歴史を、マルクスはどう評したでしょうか。地域性を止揚できないドイツの後進性を嘆いたのではないかと。

そのドイツを欧州のチャンピオンに押し上げたユーロ導入ですが、そもそもは東西統一で経済停滞を余儀なくされていたドイツのコール首相にフランスのミッテラン大統領が囁いた結果と言われます。フランスの本音は強するマルクをドイツに手放させることだったと言われますが、米FRBに倣ったと言われるECBの本部はドイツに置かれ、ドイツ色に染まっていきます。

ギリシャ問題に戻りますが、2009年のギリシャショックで債務の一部減免と追加支援の代償として緊縮財政を受け入れた結果、プライマリーバランスは黒字化し経常収支も黒字化。しかしGDPが25%縮小して財政赤字の対GDP比は17%から18%に悪化しています。つまり稼ぐ力を失って債務返済が進まないということです。これ以上の緊縮は無理とギリシャ国民が拒否したのは当然です。

そして「21世紀の資本」で資本主義の格差拡大プロセスをマルクスと異なったマクロ経済理論から説明したトマ・ピケティからも、WW2の戦後処理で債務を減免されたドイツに苦言を呈しています。思えばドイツのギリシャに対する仕打ちはWW1後のドイツにフランスが課した膨大な戦後賠償とも似ています。ドイツの指導者たちは不都合なことは忘れたんですかねえ。

てなことを見ていると、結構日本が心配になります。ギリシャの海運会社はまるで国内投資を抑制して世界へ出ようとする日本の自称グローバル企業の姿勢とダブりますし。インバウンド需要に浮かれる観光立国の危うさとか、朝鮮動乱以来のアメリカ保守派のテーマだった日本再軍備の最後のピースとなる集団的自衛権行使に突っ走る政権とか。そしてこんなニュースです。

TPP、大筋合意見送り 対立解けずと関係者  :日本経済新聞
日本の報道では知財や乳製品などで、やれカナダが、マレーシアが、ニュージーランドがと他国のせいにしてますが、実際の対立構図は単純で、ISD乗降を押し込もうとするアメリカとそれに同調する日本対他国ということで、日米両国が交渉を台無しにしているのが実態です。日本の国土防衛を約束しただけの日米安保を軍事同盟に昇格させるだけでは足りず、経済面でもアメリカのお先棒を担ぐ走狗と化しているのが今の日本です。またオリンピックに浮かれ財政再建も見通しが立たず、ギリシャに近づいていると感じるのは気のせい?というわけで、最後にこの言葉で締めます。
翻って我が日本は非対称同盟の下でアメリカン・イデオロギーに浮かれている。

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