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April 2016

Sunday, April 17, 2016

忘れた頃の九州新幹線

熊本でまたもや震災です。直下型で津波の心配はないけれど、建物の倒壊や土砂崩れなどの被害はむしろ大きく、現時点で被害状況を把握することもできていません。そんな中で気づいたことあれこれです。まずはこれ。

エクアドル地震の死者77人に  :日本経済新聞

全地球的観点からいえば、大西洋が拡大して太平洋が縮小する動きがあり、南半球のオーストラリアや南米、南極などの大陸もアジアへ向かって北上中という状況の中で、環太平洋地域のどこでも大地震は起こり得るということは踏まえておきましょう。たまたま熊本だったけど、日本のどこでも起こり得ることということですね。

しかし元々地震の多い東日本と比べると、九州の備えは十分だったのか。事後的な検証は必要です。例えば九州新幹線。

新幹線脱線、防止装置なく 「強い揺れ想定しない地点」  :日本経済新聞
開業日の前日に3.11で九州の太平洋岸にも津波注意報が出され、祝賀ムード自粛の中で開業した九州新幹線ですが、地震対策は十分ではなかったわけです。九州新幹線に関しては、関西対南九州の輸送で需要をつかみ盛況なんですが、その一方で九州内の利用は伸び悩んでいます。開業時からこの傾向は続いているのはこのエントリーの通りで、改善の可能性はほぼ無いと見るべきでしょう。その上地震への備えも不十分だったとなれば、復旧に加えて地震対策の強化も必要ですから、株式上場どころじゃないですね。この辺原子力規制委員会の承認を得てから免震重要棟の設置を止めた九州電力川内原発ともダブりますが、JR九州にとっては痛いところです。川内原発ではこんなことも。
川内原発、異常確認されず 玄海原発なども  :日本経済新聞
プラントとしての川内原発に問題があるかどうかで言えば問題なしとなりますが、元々電力需要が弱い一方、利用可能な水力資源が豊富な上、年間日照時間から太陽光に適した立地の南九州で大規模電源となる原発の必要性は元々低いんですが、産業集積があって需要地である北九州地域への送電で需要を満たすための再稼働だったわけですが、今回その送電ルートが被災したわけですから、逆に原発で出力される電力を消化できるかどうかが課題となります。加えてこれ。
トヨタ、量産ラインを全面停止 震災で部品調達難しく  :日本経済新聞
被災地に工場を立地させるホンダやパナソニックだけでなく、交通網の遮断でトヨタまでラインを止める事態ですから、九州全域の電力需要は当面減るわけですからなおさらです。加えて九州新幹線を避難に利用可能ならばアドバンスとなる川内原発ですが、地震に限らず新幹線が止まったこのタイミングで事故が起きた時の住民避難をどうするかなど課題があり悩ましいところです。一応申し上げておきますが、私は反原発派ではなく、条件を満たせば再稼働は認める立場ですが、現状の川内原発は危うさを秘めている申し上げておきます。

しかも新幹線に留まらず在来線や九州道や国道まで止まって、再開のめどは立たない状況ですから、復興は時間がかかると見るべきです。大規模電源と遠距離送電を前提とする現在の送電網の仕組みでは、地震の多い日本ではリスクコントロールに課題があることは指摘しておきます。九州の場合、水力と太陽光以外にも地熱発電も有力な電源になり得るわけで、小規模電源で相互バックアップする形の分散電源方式の方が災害への対応も柔軟になります。原発ありきの議論には違和感を覚えます。

トヨタのライン停止はまたしてもサプライチェーンマネジメントの弱点を露呈した形ですが、そもそも都市や産業の集積があるから、地震を含む自然災害の被害が出るわけで、災害に対する強靭化は、自律分散的なシステムに切り替えることが求められるわけで、日本流のサプライチェーンマネジメントでは対応できない問題と見ることができます。パラダイムシフトで競争力を失った家電に加えて、現時点では競争力を有する自動車も、自動運転などで大きなパラダイムシフトが見込まれる状況を先取りするような意識改革が必要ではないかと思います。自動車が変われば公共交通も変わらざるを得なくなります。単純なインフラ復旧では未来を拓けません。

この辺東日本大震災の復興でも問題になったところですが、オリンピックや大都市圏の再開発やインフラメンテナンスでリソースを奪われて復興事業が軒並み入札不調となったわけですが、少子化の影響もあり状況はよりシビアになっていると見るべきでしょう。例えば新国立競技場建設を延期して味の素スタジアムや駒沢競技場など既存施設を活用した五輪とか本気で考えるべきでしょう。あとこれ。

米財務長官「為替市場は秩序的」 日本の円安誘導けん制  :日本経済新聞
忘れられているかもしれませんが、3,11後の復興と原発停止によるLNG輸入増などの思惑から円が買われた動きに対して当時のG7で協調介入を実施したことをこのエントリーで取り上げております。当時まだ原油価格は100ドル台ぐらいだったと思いますが、当然今より負担が重かったこともあり、G7の理解を得ることができました。今回もサプライチェーンの停止による輸出減少と復興需要による輸入増が見込まれますから、円高が進むと見られますが、原油価格が下がったこともあり、また日銀のマイナス金利政策への懸念もあり、為替介入への理解は得られそうもありません。ま、逆に言えば貿易収支の悪化で程なく円安になると考えられますから、為替介入をする必要はありません。関連して原発推進派が未だに言っている「原発停止で3.6兆円の国富流出」ですが、原油価格の低下で既に9億円相当のメリットを得ているわけですから、まさしくバカの一つ覚えですね。

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