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Sunday, May 01, 2016

かわせ円高アベコベあそう

いろんなニュースが流れて脳みそオーバーフロー気味でまとまらず、更新が滞っております^_^;。取り上げたいニュースは数多ありますが、特に個人的に関わりが長かった業界のニュースをさらりと。

セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長の退任に至ったお家騒動を「コーポレートガバナンスの勝利」とするアホな評価があるようですが、鈴木氏は昔から「文句があるならオレを頸にしてから言え」というスタンスで地位を築いてきた人で、創業者の伊藤正俊氏が渋々認めるという流れでワンマン体制を築いた最強のサラリーマン経営者ですが、今回はそれが裏目に出ただけです。あまりに長く君臨しすぎて、創業家も取締役も世代交代して若返っていたことが誤算の1つ目。米ファンドのサードポイント対策で社外取締役を選任したり指名・報酬委員会を立ち上げたりしてコーポレートガバナンスの制度整備をしたりしたけど、選任した社外取締役の1人が鈴木氏を結果的に退任に追い込んだことが2つ目。そして鈴木氏肝いりのオムニチャンネル構想が成果を上げていないことが3つ目です。

特に3つ目ですが、ネット通販ではリアル店舗の存在が勝敗を分けるという見立ては業界内では広く共有されていて、目新しさはないんですが、結局ネットの進化が急過ぎたこと。具体的にはアマゾンのロングテール戦略です。結局小売りは売り上げ上位20$が売上の80%を占めるべき分布の世界で、セブンもPOSデータを活用して所謂売れ筋で収益を上げてきたんですが、逆に売れない80%はそれなりに拘りの強いコアなユーザーがいる一方、高価で非競争的なので値引きもなくアマゾンの収益の柱になっているのですが、リアル店舗では品ぞろえしにくく、つまりリアル店舗の弱点を突いた戦略で成長してきたライバルとはそもそも勝負にならないわけです。時代の変化は冷酷です。

てことで本題。年初来続くアベコベ相場ですが、日銀の追加緩和の期待空しく、連休の薄商いも手伝って一気に円高が進みました。

企業収益、減速一段と 資源安で減損3兆円  :日本経済新聞
異次元緩和による円安効果で物価上昇と企業収益改善を狙ったアベノミクスは当然逆回転しますが、対策をアメリカに封じられます。
米、日本の為替政策を「監視」 円売り介入けん制  :日本経済新聞
一応監視対象国は対米輸出超過の大きい中国、ドイツ、日本の3カ国と韓国に、プラス為替介入を大規模の行っている台湾ということですが、貿易量の多い3カ国のうち、ドイツはユーロ圏で金融政策はECBが担っており、ドラギ総裁の下大胆な緩和策を続けてますが、ドイツ連銀の反対で足踏みもしているわけで、むしろドイツのスタンスは為替操作国とは言いにくいところです。加えて中国は、確かに不透明な為替操作をしているものの、元高誘導が目的で通貨安を目的としていないわけですから、明らかに日本がターゲットということになります。で、日本政府もこんな発表をします。
為替介入実績ゼロ 財務省、26日まで  :日本経済新聞
わざわざ発表したのは「日本は不透明な為替介入をしていない」とアピールしたかったのでしょう。言外に「だから少しは為替介入を認めてくれ」という意図はあるでしょう。でもアメリカは動じません。理由の1つはこれですね。
米為替の監視対象指定、裏にTPP 早期批准へ議会懐柔  :日本経済新聞
TPPに反対が根強い議会筋の懐柔とガス抜きというわけですが、記事のニュアンスとして実際に対抗策を発動する環境にないことを根拠に挙げてますが、甘ーい。
強気「黒田日銀」に試練 消費・物価もたつき鮮明  :日本経済新聞
28日の政策決定会合で追加緩和を見送った黒田日銀ですが、事前の予想で追加緩和が予想され相場にも織り込まれた中で動かなかったのですから、本当は動けなかったということでしょう。お陰で相場は大きく反転、円高になりました。直前の米FOMCでFRBは利上げを見送っており、国際経済のリスクを指摘していますが、本音は「日欧がマイナス金利なんて馬鹿なことやるから動けないじゃないか」ということですね。そのFRBはバーナンキ議長時代に一連のQE政策を「国内景気を睨んだものでドル安誘導が目的ではない」と度々述べていたわけで、立場が変わると真逆のことを言うわけですが、さすがに強気の黒田総裁もアメリカを敵に回す度胸はないわけです。そんな中で麻生財務相の「必要に応じて対応する」という口先介入が空しく響きます。以上タイトルのネタバラシですた^_^;。

TPPに関しては元々一方的な為替介入は禁止事項ですから、TPPを本気で批准する気があるのかどうか。というかそもそも中身を理解しないまま交渉していた疑惑がますます募ります。一応アベノミクスの成長戦略の中心テーマだったはず。加えてインフラ輸出と武器輸出もアベノミクスの看板政策でしたが暗雲です。

[FT]安倍首相に打撃 豪潜水艦、仏が契約獲得  :日本経済新聞
三菱重工が豪華客船を受注しながら、資材費や人件費の高騰で赤字受注となり、度々ボヤ騒ぎまで起こし納期遅れとか、いろいろありましたし、重工から分かれた自工の燃費不正など、三菱ブランドが傷つく昨今、加えてオーストラリアで政権交代があって安倍政権との蜜月も解消といろいろ要因はありますが、結局これです。
豪潜水艦、フランスを共同開発相手に選定 日本勢受注ならず  :日本経済新聞
元々非核三原則で原潜を持てない日本の通常型潜水艦は潜航性能もステルス性も非原潜でトップクラスではありましたが、それゆえの技術的過信が背景にあり、逆に発注者のニーズはあまり考慮されなかったようです。つまりインドネシア高速鉄道と同じ構図です。そのインドネシア高速鉄道には後日談が。
日本が中国を撃退!インドネシア鉄道受注の逆転劇|Close Up|ダイヤモンド・オンライン
つまり中国の高速鉄道計画を徹底的にDisってプロジェクトそのものを白紙に戻しました。これを「実質的勝利」と総括する日本勢の頭の悪さに眩暈。プロジェクトを進めさせて二進も三進もいかなくなって日本の助け舟を求める流れを予想できないのでしょうか。台湾ではそうして逆転受注したんですがね。きっと今回も仏潜水艦の技術をDisって白紙にするんぢゃないかwwwwwwwwwwwwww。ニッポンバンザイ\(^o^)/。

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