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Sunday, May 22, 2016

五輪霧中

2020年の東京オリンピックの雲行きが怪しくなってきております。特に2億円超の「コンサルタント料」問題は、下手すれば東京開催返上の可能性すらありますが、国内報道ではその辺の言及がなく、危機感が足りないかも。

そもそも発覚の仕方が異常で、元々ロシア陸連のドーピング疑惑を捜査中に、渦中のIOC幹部の息子の会社に2億2,000万円が振り込まれていて「これは何だ?」というのですから、笑えない。東京開催決定の前後2回に分けての振り込みは賄賂性を疑わせるということで、フランス捜査当局が本気になったものです。

パナマ文書で話題のタックスヘイブン問題が、それ自体では違法性を問えない一方、コンサル料を受け取った会社は、アジアのタックスヘイブンとして知られるシンガポールが所在地で、しかもすでに解散しているとか。裏金ではない証明はほぼ不可能でしょう。JOCが潔白を主張するなら、騙されたとして詐欺で訴えるならわかるけど、守秘義務を盾に解散した会社に操を立ててるっておかしいです。この辺説明付かないなら捜査の進展で返上を迫られる前に、東京開催を自ら取り下げる方が良いかも。オリンピック自体は代理開催でロンドンが有力らしいけど、開催されるなら、出場選手には場所が変わるだけの話です。

以前から気になっていたのですが、オリンピック関連で様々な利権がうごめいている印象はありましたが、生易しいものではないようです。例えば新国立競技場問題では、神宮の森の再開発問題とリンクしていて、ザハ案の迷走がそれをあぶりだしています。

新国立競技場、隈案に決定の裏に利権の闇|Close Up|ダイヤモンド・オンライン
ちょっと複雑なんですが、元々宗教法人明治神宮をはじめ三井不動産など民間地権者の所有地ながら、国内風致地区第1号に指定されて15mの高さ制限が課されていた神宮の森に3棟の高層ビル計画が持ち上がり、それを可能としたのがザハ案の新国立競技場で、それを露払いとして高さ制限が大幅に緩和された新たな都市計画が東京都によって策定され、新高層ビルの日陰となる都営霞ヶ丘アパートは公園化されることになり、住民の追い出しで揉めて裁判になっています。

公園化は再開発で必要になる公園スペースの確保の意味もあります。ところが露払い役のザハ案がコストがかかりすぎると批判を浴びて白紙撤回され、再コンペとなったわけですが、この先がややこしい。隈研吾氏と伊東豊雄氏の2案に絞り込まれ隈案で決着したのですが、隈案はザハ案でサポートした日建設計がサポートしており、データ流用を巡ってザハ氏から知的財産権侵害を指摘されるなど火種は残っております。問題になった聖火台はサブトラックと共にザハ案では別に作る計画だったので、隈案では反映されていなかったって、そうなるとパクり疑惑は深まるのか?-_-;

で、問題なのが伊東案の落選理由。伊東案ではコスト削減の別メニューとして人工地盤上の公園計画を省略した案を提示した結果、東京都側の委員が反発したとか。曰く「今更都市計画を変更できない」だそうな。これ神宮の森のトリプルタワー計画と読み合わせると腑に落ちます。高層ビル建設のためには所定の公園面積を確保しなければならないんですから。伊東氏にしてみればコスト削減のための別メニューの提示で撥ねられた格好で、良心を示したのにとかなりお怒りだとか。

もちろんこれらは状況証拠だけですが、そもそもザハ案自体が神宮の森の高さ制限緩和のダシに使われた可能性もあるわけで、オリンピックという夢の祭典はここまで食い物にされているのかと愕然とします。本来公共施設のデザインコンペでは、建設の目的や予算、立地場所の法規制などの建築与件を明示して行われるはずですが、新国立競技場ではそれがなかったようです。結果として径間500mを超える巨大キールアーチという物理法則に挑戦するようなザハ案が採用されたわけで、意図を感じざるを得ません。ザハ案に批判が集まって白紙撤回された一方で、旧国立競技場の解体を拙速に進めたのも、既成事実を作って後戻りできないようにしたと見えます。

それでもコスト面での世論の批判もあり、舛添都知事によって競技施設計画の一部が中止されるなどしたのですが、その舛添都知事が今批判を浴びています。

高額出張や公用車利用… 舛添都知事に「公私混同」批判  :日本経済新聞
批判の許が専ら与党の自民公明陣営からというのが匂います。何だか猪瀬前都知事のときのように、辞めるまでバッシングが続く感じです。しかも猪瀬氏は都知事選を控えて徳洲会から5,000万円を受け取ったわけで都知事としての責任を問われる構図だったのですが、舛添氏の政治資金絡みの問題は都知事になる前の話ですし、都の公金や公用車の使用に関しては、一応都の基準の範囲内です。ま、これも石原都知事時代の蕩尽で基準が緩くなっていたのかもしれませんが、当時一部で批判されたものの、今回のようなバッシングにはなっていません。早い話舛添氏は虎の尾を踏んじゃったのね。だから都議会も100条委員会を開きたくても公式には理由がないわけで、あとはひたすら叩いて辞めるのを待つってことじゃないでしょうか。てなわけで五輪霧中^_^;。

これらは公共事業では普通に行われてきた手法ではあります。だから時々揉めるわけで、最たるものは成田闘争ですが、辺野古の新基地でも同様のことが起きています。ほとんど報道されませんが。そんなときにこんなニュース。

沖縄女性遺棄 日米首脳会談で再発防止要請へ  :日本経済新聞
政府も抗議の姿勢は見せているものの、沖縄での世論の沸騰に広島訪問を決めたオバマ大統領や日米同盟の先行きを心配って変だろこれ。

えーと、正確には公共事業ではないんですが、先日市川市で住民の反対で保育園の建設断念のニュースがありましたが、報道が明らかなミスリードで、近隣住民が子供の声にうるさいと苦情といったニュアンスで報道されましたが、住民の言い分は、事業主体の社会福祉法人の説明が不十分で市川市も対応が悪いこと、特に前の道路が狭く、保育園ができて児童の送迎のマイカーが増えれば通行が困難になることが一番の問題ということで、そうなると道路の拡張など都市計画から見直さないと保育園一つ作れないというわけで、児童の歓声の苦情が事業者や行政の見直しの口実に使われたということのようです。神宮の森の再開発や辺野古の新基地とは逆の構図ですが、利権絡みでやらなければならないことは何が何でもやるけど、そうでもない案件は人のせいにしてやめる。自分たちは傷つかないというわけですね。

昨今、東芝の粉飾問題や三菱自工の燃費不正など、日本企業の劣化を示すニュースが続きますが、その流れの中で共通する問題は、リーダーの不作為や現場軽視に、優秀なはずの現場が疲弊しているのではないかという疑問です。オリンピックも元々既存施設の活用でローコストでエコな大会を目指していたはずが、予定になかった国立競技場の建て替えを皮切りに神宮の森の再開発とどんどん話が大きく膨らむ一方、人手不足で人件費はつりあがる一方、ゼロ年代のリストラで職人をリストラで社外へ出した結果、横浜の傾きマンション問題などが起きるわけですが、その時に指摘した技術者の高齢化と若者の減少による技術の伝承問題もあり、現場の能力低下も疑われます。

技術の伝承問題はそもそも国鉄改革で誕生したJRで指摘された問題で、国鉄末期の新規採用手控えとJR化後も余剰人員対策もあって採用手控えが続いた結果、40代の中堅社員が極端に少ない歪な年齢構成となっており、例えばJR福知山線事故のときの若過ぎる運転士が日勤教育などの懲罰的処分を恐れて指令への虚偽報告をしたりしたことが、事故の遠因となっていると指摘されてます。昨今特に気になるのが饋電系のトラブルで、3月にも高崎線籠原駅での碍子の経年劣化によりDC1,500v電流の地絡事故で連動装置などが焼損した事故では、復旧に2日半を要し影響甚大でした。碍子の経年劣化そのものは阻止できないので、劣化を早く見つけて交換するしか対策がないのですが、海岸沿いなど環境的に劣化の早い場所は現場で経験的に把握されていて、重点的に点検、交換が行われていました。籠原の現場がどうだったかは不明ですが、技術伝承がどうだったかなど、不明な問題は残ります。

き電系統の事故は復旧に時間を要するのは2015年8月の京浜東北根岸線桜木町事故でもありましたが、このときはエアセクション停止による前後き電区間の短絡による大電流で架線が溶断したものでした。京浜東北根岸線は保安装置がATCで、停止禁止のエアセクションには止まらない仕様だったのに、花火大会で駅の混雑対策でホームの混雑が引けてから次の電車を入線させるという確認運転をしていたことが仇となり、手動運転で停止禁止エアーセクションに留まってしまったものです。運転士はエアーセクションの停止禁止は把握しておらず、典型的なマン―マシン系トラブルとなりました。お金かけて高度な保安装置を入れればよいわけではないわけです。むしろシステムの構成が複雑化すると、事故対応も複雑化して想定外の結果を生むこともあるわけです。国鉄改革から間もなく30年を迎える中、JR各社は難しい段階にあるようです。

おまけですが、鉄道ジャーナル6月号の曽根悟教授の高崎線事故の解説が面白かったのですが、首都圏のJRでき電事故が目立つのは、日常的に大電流を扱っていることと関係がありそうです。供給電力が15連3列車が重なると10,000Aにもなるのでは、正常電流と異常電流の区別がつきにくく、自動遮断の精度を上げられないということですね。結果的に地絡事故が起きても回路の自動遮断ができずに大事故になるということで、難しい課題です。

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Comments

五輪で賄賂と言われても当り前でしょとしか言いようがない。
元から欧州貴族人脈は賄賂と腐敗が奇麗事のベールをまとってるようなものではないか。

はっきり言って元から賄賂で決まる程度の大会なんですし
商業主義にまみれてるのももうみんな知ってるでしょ?

東京五輪返上でロンドン開催ってのも、結局欧州でやりたいだけでしょ。

Posted by: ando | Wednesday, June 22, 2016 at 03:46 AM

五輪で賄賂が当たり前だから、大金積んででも誘致すべしってことですか?そのお金税金から出てるんですが「その程度の大会」を誘致する理由づけは何ですか?

商業主義が行き過ぎて誘致合戦にお金がかかり過ぎて候補地選びが齟齬を来すようになって、IOC自身にも見直しの機運が出てきてますね。TV放映権の高騰でメディアにも負担になりつつありますし、東京大会がどうなるかに関わらず、転機に差し掛かっているように見えます。

てことで、コメントの意味が不可解なんですが、長い物には巻かれろって趣旨でしたら、何も語らないのと同じですね。

Posted by: 走ルンです | Wednesday, June 22, 2016 at 08:26 PM

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