ミエミエサミットで消費税増税延期の茶番
1-3月期GDP速報値が発表されました。
1~3月期GDP、年率1.7%増 うるう年効果で :日本経済新聞前期比+0.4%、年率換算+1.7%と数字上はまずまずですが、花冷えエントリーで指摘したように、今年はうるう年で1日多いので、年率換算+1.2&の上振れがありますので、実質は+0.5%程度で辛うじてプラスということになります。ただ同時に前期(10-12月期)の二次速報値も発表され、一次速報値の年率換算-1.1%から-1.7%に下方修正されていて、うるう年効果を省けばマイナス基調という微妙な結果です。そのため人によって評価が混乱しております。ま、所詮二次推計値であるGDPで1%未満の動きは誤差範囲と見做せますから、横ばいが実際というところでしょう。中身としては輸出増と円高と原油安で輸入減で貿易収支はプラス。消費もプラスですが、これはうるう年効果によるとすると実質マイナス。設備投資はマイナスに転じ、住宅投資もマイナス、在庫投資も寄与度が下がるなど、概して企業部門の慎重姿勢が目立ちます。
てなわけで、来年4月の消費税増税を巡る判断も五里霧中かと思いきや、こちらは既に肚が決まっていたようです。
消費増税「19年10月に」 首相、2年半延期の意向 :日本経済新聞これも予想通りですが、サミットでのお墨付きは得られたのかといえば、微妙です。
サミット閉幕、成長底上げ、見えぬ実効 :日本経済新聞日経をははじめ国内メディアは指摘しませんが、海外メディアは内政運営のお墨付きにサミットを利用する日本の姿勢を厳しく指摘します。それもそのはず安倍首相のこんな発言にあきれ顔です。
世界経済に下振れリスク、G7一致 首相「政策対応を」 :日本経済新聞これもウソ八百、実際は「リーマン級危機」を言い立てる安倍首相にあきれ顔。ラガルドIMF事務総長は「リーマン級危機」を否定しています。ただしIMFの成長見込みで主要国で日本だけがマイナス成長ということで、消費税増税延期自体は反対していないのですが、サミットを内政運営のダシに使う姿勢に不快感を示したものです。安倍首相の非常識ぶりはこんなところにも。
伊勢神宮、なぜ「参拝」でなく「訪問」か G7首脳招待 :日本経済新聞安倍首相のリクエストに対応した外務省の苦労が見えますが、宗教を巡るナイーブさの理解を欠いているのではないかと思います。立場を逆にして日本人が教会に連れていかれて指で十字を切って祈れと言われれば違和感があるはずで、ましてテロに揺さぶられる世界で宗教が争いの火種になっている現状に無頓着ということを首脳たちに晒したわけですから、常識を疑います。
消費税に関しては様々な立場から様々な議論がありますが、私のスタンスは財政再建のための増税そのものは否定しないけど、インボイスのない日本の消費税制度は欠陥精度で、税率を高くすると矛盾が吹き上がるからやめとけといった基本スタンスです。だから延期自体は反対するつもりはありませnが、できればインボイス導入を予定する2021年を待ってからやるべきで、2年半の延期は中途半端と申し上げておきます。
加えて現状の8%の消費税も10%への増税の予告とセットですから、家計消費は10%をすでに織り込んでいると見るべきです。実際駆け込み需要のある耐久財を除外した非耐久財消費の増税後の動向を見るとほぼ-5%と10%増税を先取りした動きが見られ、一斉に価格見直しに動いた外食産業で昨今値下げの動きがありデフレ再燃か?といわれる状況があります。この状況で増税延期をしても、将来の増税が予告されている状況に変化はないわけですから、消費を押し上げる効果はないわけです。消費を促すなら増税そのものを一旦白紙撤回するしかありません。というわけで顰蹙を買いながらサミットで得たお墨付きも効果なしと断定できます。
ということで、ここまで出鱈目な政権運営は見たことないけど、メディアが突っ込まないからやりたい放題で、むしろ副作用で経済にダメージを与えているという見立てはダメノミクスのエントリーで指摘した通りです。この辺アメリカでは格差拡大の現実に新自由主義的な処方箋しか示せない他の候補に代わってトランプ氏を選ぶアメリカの有権者の方がまともなのかもしれません。ただしトランプ氏が変節しなければですが、早速こんなニュースです。
トランプ氏、共和党に歩み寄り パリ協定の離脱宣言 :日本経済新聞これはトランプ氏が共和党の正式な大統領候補となった結果、トランプ氏の方が共和党に歩み寄った形です。となるとパリ協定は京都議定書同様実効性を失う可能性があります。ま、日本の財界からはむしろ歓迎されるかもしれませんが-_-;。で、オバマ大統領はパリ協定の年内臂臑を議会に求めると発言しています。クリントン氏の不人気ぶりからトランプ大統領の可能性に危機感を持っているわけですが、こうなるとTPPは後回しになること確実で、こちらはだれが大統領になってもオバマ大統領が譲歩し過ぎたという見立てから再交渉は避けられないところ。アメリカは譲歩を反故にする一方、日本の譲歩項目はそのままになる可能性が高くなります。いずれにしても批准できずに漂流する可能性が高くなりました。
で、最後にとってつけた鉄ネタ^_^;。
インドネシア・ジャワ横断鉄道、日本に建設要請へ :日本経済新聞散々中国disって事業を白紙撤回させた日本勢ですが、インドネシア政府はほぼ日本の在来線と同規格の既存鉄道の改良で高速化という現実的な計画で日本の協力を求めました。新興国のインフラ投資は今後も続くと考えられますが、先進国の成長停滞に中国の失速も重なって以前のように威勢の良い計画は難しくなったと見るべきで、インドネシア政府はその点身の丈に合った事業を考えているわけですが、元々日本は新幹線システムを売り込みたかったわけで、現地の事情を無視したインフラの売り込みはむしろ問題です。その一方でこれ。
リニア大阪延伸、最大8年前倒し 政府・JR東海が調整 :日本経済新聞人口減少が始まった日本の身の丈を考えるとリニアは過大投資ですが、自己資金でと突っぱねてきたJR東海に政治がすり寄ってきています。丁度東海道新幹線の大規模改修費の無税積み立てを勝ち取ったときの権謀術策そのままですが、JR東海らしいといえばらしい政商ぶりです。
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