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Sunday, July 31, 2016

リオでじゃねえだろ!

都知事選当日で投票率が今までよりも高いらしい。関心が高まっているのは結構なんだけど、それだけ無党派層の票が結果あを左右するわけで、そうなると組織票頼みの増田、鳥越両氏の苦戦で小池知事の可能性が高いということになります。その場合ダメージが大きいのは鳥越氏の方ですね。ホント日本の左翼わぁ-_-;。

元々知名度で不利だった増田氏は落選しても都知事選に乗っかって名前を売った分だけ講演料アップでハッピー。弁護士の宇都宮氏を辞退させてまで野党統一候補に拘った結果、宇都宮氏の支持層まで離反というのは、米大統領選の民主党サンダース候補の辞退でやはり若い有権者が離反していることとパラレルですが、違いはサンダース氏が予備選を戦った結果、クリントン氏が主張をかなり修正せざるを得なかったこと。選挙戦は言論を闘わせることで有権者に判断の材料を提供するから意味があるんで、知名度で勝負がつく都知事選の不毛さはどうしようもないところです。

ま、誰が都知事になってもちゃんと都民のために働いてくれれば良いんですが、そもそも五輪霧中の中、競技施設整備の見直しに踏み込んだ舛添前知事が謎のバッシングを受けて辞任したのが今回の選挙なわけで、本来自公は選挙やりたくなかったんだけど、民進、共産両党が世論を煽って追い込んだ結果、掟破りの首相指示で辞任に追い込まれたものでした。その意味で都民のためにリスクを取って働いた舛添知事を辞めさせた以上、民進、共産両党は息のかかった都知事を当選させなければ二重の意味で都民を裏切ったことになります。民進が宇都宮氏に乗っかれば話が早かったんですが、共産が先に支持表明したことを嫌ったんですね。党派性まる出し。ホントしょーもなー。

あとは都知事として働いてもらうことですが、選挙戦で小池氏が対立を煽った都議会自民党は、法人税国税化で反対したにもかかわらず増田氏に乗っかったように変わり身が身上。小池氏も「てへぺろ」で和解となると、都議会野党が頑張らないと都民のために働いてくれいないでしょう。本来改憲派の小池氏が都政に関わることで改憲にタッチできなくなるなら護憲派としては歓迎すべきことですが、都知事選の勢いに乗じて小池新党という声も。中身はおおさか維新のカーボンコピーで、関西に比べて支持率の低い首都圏で改憲勢力を掘り起こしててなことをさせないためにも、都議の働きが重要ですが、舛添前知事のリオ行きを批判しながら都議団でリオ五輪視察がリークされて叩かれて中止じゃ、期待できんわな。リオでじゃねえだろ!

てな前置きとは無関係の北海道の話題です。まずはこれ。

「持続可能な交通体系のあり方」について
「持続可能な交通体系のあり方」について(PPT版)
JR北海道が自助では限界と地元自治体へ協議を訴えるプレスリリースですが、メディアも含めて地元の反応は冷ややか。そもそもJR北海道にお一連の不祥事がコストダウンの行き過ぎによるものなのに、一段のコストダウンを要求されても、死ねと言われてるようなもの。加えて重大な勘違いの可能性も。熊本地震で運休を余儀なくされた南阿蘇鉄道運転再開のニュースです。
南阿蘇鉄道が一部再開 地震で被災、3カ月半ぶり  :日本経済新聞
わずか7㎞ほどで本数も1/3というささやかなものですが、こうして自助の姿勢を示した上で出資者でもある自治体も支援して初めて、国による支援が検討されるという形で、自助、共助、公助の段階を踏むのが交通政策基本法の考え方です。北海道のように自治体がそっぽを向く限り、国の支援は出てこないわけです。この辺移動権という憲法の基本的人権と紐づけされた権利を定義した民主党案の交通基本法の内容を後退させた結果じゃないかと思います。考え方としての自助、共助、公助という部分は条文中に盛り込まれてはいるものの、元々理念法の性格が強いと言われる日本国憲法の規範性の強化という観点からは、憲法と紐づけされた立法というのは重要な視点です。

実は改憲を目指すとされる現政権ですが、例えば理念性の強い9条よりも、国会、内閣、裁判所などの権能を規定した規範法の部分で「原則として」の5文字を入れるだけで骨抜きにされます。そもそも憲法が原則を定めているのは当然だからあえて明記されていないだけで、例外事項は個別法で定義するのが立憲主義憲法のあり方なんで、それを骨抜きにするってことは、国権の最高機関であり立法府である国会の権能を否定することになります。事実上憲法破棄に等しいわけで、絶対乗ってはいけない議論です。

話を戻しますが、JR北海道では一応乗車密度2,000人以上が持続可能なラインと考えていて、札幌都市圏の例えば札沼線のように複線電化で乗客が増えている路線や区間もあるわけで、私企業である以上、こうした増収が見込める分野への選択的投資は欠かせないところですが、一連の安全対策投資の結果、投資の原資をひねり出す余裕もなくなってしまうわけです。みすみす収益機会を逃せば企業としての持続可能性は低下することになります。

あと貨物輸送との関係もJR北海道にとっては重要でして、青函トンネル区間の新幹線と貨物の線路共用で新幹線が140km/hの速度制限を受けている以上に、落下した金属片が三線軌条の信号回路を短絡させるトラブルもあり、メンテナンス上も負担となっていますが、そんな中で貨物撤退論が囁かれていました。

青函トンネル「貨物撤退」はなぜ封印されたか | ローカル線・公共交通 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
記事によると青函トンネルの貨物撤退の議論は国交省によって封じられたと。元々線路を痛める貨物列車の走行に対して旅客会社に支払う線路使用料が割安に設定されている一方、鉄道貨物のシェアそのものは高くないということで、フェリーの新造船投入で代替可能という議論ですが、貨物幹線であるJR貨物の経営の息の根を止める判断はできなかったのでしょう。そもそもJR北海道のトラブルの原因はJR北海道自身による列車の高速化と共に、軸重の重いDF200型ディーゼル機の投入による部分もあります。元々線路規格が低いまま民営化を迎えた北海道の鉄路にとっては負担ですが、今回のJR北海道のプレスリリースでは触れられておりません。

結局JR北海道の問題ははJR貨物をどうするかという問題ともリンクしていて、簡単に解決策を見いだせない状況に陥っております。ただ鉄道貨物の放棄はCO2削減策としてのモーダルシフト政策に反しますし、ドライバー不足のトラック業界の現状からも鉄道貨物の活用の可能性は大きいわけで、簡単には決められません。これらも含めて国が大方針を示す必要がありますが、リニアや整備新幹線と違って票にならないから政権の関心は低いまま。その一方でおそらくJR北海道より経営環境が厳しいと見られるロシアのサハリン州の鉄道がロシアンゲージの1,529㎜に改軌して本土と車両の共通化を図るという大改良をすると言います。領土としての北海道という観点からいえば、現状はあまりに冷たいというか。これじゃ北方四島の領土交渉でロシアが日本の本気度を疑うというものです。

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