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Sunday, August 27, 2017

ザ・シビル・ウォー

米トランプ政権がバノン上級顧問の更迭を決めた後、流れたニュースがこれ。

アフガン早期撤収否定 米大統領、駐留規模明示せず (写真=ロイター) :日本経済新聞
バージニア州シャーロッツビルの非白人至上主義者とカウンターの衝突に対するトランプ大統領の声明文の中で「すべての立場の人々」という部分が取り上げられて差別容認姿勢としてメディアが一斉に報じて非難する騒ぎになったわけですが、考えてみれば変です。

大統領選当時からヘイトと見られかねないきわどい発言を繰り返し、直近では北朝鮮を挑発するようなツイッター発言など、他にツッコミどころがありそうなものです。公式の声明文だからってのはあるかもしれませんが、仮にそうだとしても公式声明文を綴るコメントライターが不注意だっただけ?ってことじゃないかと。で、待ってましたとばかりにメディアが囃し立てて大炎上。結果としてバノン氏の更迭に至ったわけですが、バノン氏自身は白人至上主義者を「愚かな奴ら」と軽蔑していたと伝えられており、ここがつながりません。経済ナショナリズムを標榜し対中強硬派とされることからの印象で反グローバルの軍事強硬派との印象が持たれてますが、実像とは違います。

でアフガンの早期撤収否定の発表でピンときたんですが、アフガン即時撤退を主張していたのがバノン氏で、娘婿のクシュナー氏が民間軍事会社活用を提案して対立していたわけですが、今回の決定はクシュナー氏の案も退けられて、事実上の米軍増派ですから、トランプ政権のスタンスが明確に変化してます。一方で進まない閣僚などホワイトハウスのスタッフ人事も気が付けば米軍OBが幅を利かせており、政権内部の力関係が変化している可能性があります。で、今回の騒動は軍産複合体にとって目障りなバノン氏の更迭で収拾されており、影のシナリオライターがいるんじゃないかと。状況証拠だけですが。

バノン氏は北朝鮮問題でも「在韓米軍がいるから緊張を高めている」と発言したり、沖縄駐留米軍の削減にも言及しておりますが、日本のメディアではほとんど報じられておりません。むしろアメリカの反差別をほめそやす発言がリベラル陣営から聞こえますが、おめーら辺野古や高江の問題の解決が遠のいた現実をどーすんだよ。こういう似非リベラルどもは信用できません。

てなことはともかく、南北戦争の南軍の将軍像の撤去を巡る争いで、南北戦争自体は奴隷制度の是非を巡る紛争だったわけですが、単純に奴隷解放の正義の戦いという見方は、結局それで人種差別自体が消滅したような錯覚をもたらすものです。事実はその後も人種差別は社会に根付き、流血を伴う事件は発生しております。それだけアメリカの歴史に暗い影を落とす出来事だったわけで、単純化した理解は禁物です。

背景として当時の南部は産業革命で蒸気動力の紡績業で経済成長の只中にあったイギリスへ原材料となる綿花を供給する綿花栽培が主要産業であり、競争力維持のためには格安な奴隷労働力の存在は不可欠でした。加えて輸出を通じた外需遺贈の産業構造だったこともあり、自由貿易主義の立場でした。

一方の北部は米英戦争の影響でイギリスからの工業製品の輸入が細ったために、輸入代替工業が勃興したのですが、封建領主のエンクロージャーで土地付きの農奴が追放されて都市貧困層を形成していたイギリスと異なり、工業生産を支える労働者の確保に苦しんでいました。それ故南部の奴隷を解放 して北部の工業化を担わせることを望んでいましたし、輸入代替工業ですから、日本の戦前の殖産興業や戦後復興のように保護主義的な立場でした。

今流に翻訳すれば奴隷労働前提のグローバリゼーションと工業化のための保護主義の間の紛争だったわけです。仮に南軍が勝利していたら、アメリカは未だに新興国に留まってたかも。工業化の新興国への拡散を伴う現代のグローバリゼーションでは新興国の輸入代替のための工業化であっても、保護主義は許されないとされるので、ある意味昔より過酷な状況とも言えます。そんな中でバノン氏のような立場を表明する人が出るのも当然かもしれません。

更に言えばナポレオン戦争で財政を疲弊させたフランスからルイジアナ植民地を譲り受け、メキシコから独立したテキサスとカリフォルニアの編入もあり、特にカリフォルニアが北部諸州に倣って非奴隷州となったことで力関係が崩れ、南北戦争に至ります。思えばルイ15世に仕えた史上初のリフレ派ジョン・ローの失敗の後始末としてのフランス革命の帰結でもあったわけです。クロダ異次元緩和は世界史に何を残す?

この辺の歴史の綾の微妙さは味わい深いんですが、そもそもイギリスの産業革命が単純な技術革新ではなく、前述のように封建領主の農地囲い込み(エンクロージャー)による生産手段の独占が起こり、それによって蓄財した王侯貴族が最初の資本家層を形成する一方、英東インド会社が輸入するインドの物産の消費が盛んになり、対インドで貿易赤字を拡大します。茶葉やキャラコなどのインドの薄物綿織物の輸入拡大があり、特に後者は欧州や奴隷貿易の供給元である西アフリカ地域の支配層にも支持されたこともあり、輸入代替できればイギリスの慢性的な貿易赤字の解消になるわけですが、そこへワットの蒸気機関の改良があり、国内産の石炭を使って安定した動力を得られるようになり、機械紡績での綿織物生産が始まります。

その原材料である綿花の供給元はアメリカ南部で、綿花の輸入代金は奴隷貿易で取り戻すという形でバランスされました。イギリスが産業革命で先行した事情はこうしてエンクロージャーによる資本蓄積と農奴追放による都市貧困層の出現によって労働者予備軍となり、投資先としての機械工業の出現につながるわけです。単純な技術革新ではない社会経済現象だったわけです。そうして繁栄を貪るイギリスを後追いしたい北部諸州にとっては打破したい現実でもあったわけです。

ちなみに当時の中国は清王朝の時代で、イギリスへは茶葉、陶磁器、絹織物などの輸出が盛んで、やはりイギリスの貿易赤字が常態化しておりました。それを解消すべくイギリスが清に持ち込んだのがインド産のアヘンでして以下略。1854年の黒船来航、総領事ハリスと徳川幕府の勘で交わした日米修好通商条約締結が1856年ですが、ハリスはイギリスのアヘン戦争を批判しながらアメリカとの条約締結を迫ったのですが、これがとんでもない不平等条約だったわけですね。

こんな状況の中で1861年に南北戦争が始まり1865年に北軍勝利で終結し、奴隷解放に至りますが、両軍で50万人近くの戦死者を出しながら、南部諸州では人種差別を合法化する州法を成立させたり有名なKKKなどの白人至上主義団体が活発に活動するなど社会的亀裂を深めます。そんな状況でイギリスなどに伍して日本の明治政府にしっかり食い込んだ底力は大したもんです。

このように国を二分する内戦は日本で言えば1868年―1859年の戊辰戦争ですかね。鳥羽伏見に始まり官軍が幕府軍を掃討した戦いですが、その後の薩長閥による政治支配は続き、ある意味安倍政権もその末裔でしょう。西南戦争は新政府内部の抗争による内乱と言うべきでしょう。こうして南北戦争と比べてみると明治維新の過剰評価は要注意ですね。

あと欧米と比べて日本の工業化は、ちょっと遅かっただけでそれほどの差はないことも意外な感じです。エンクロージャーと自由貿易が産業革命へ導いたイギリス、奴隷解放と保護貿易で後を追ったアメリカ、王政復古を旗印とした宮廷革命の日本と、それぞれの歴史の違いが面白いですが、後の時代への影響もそれぞれで複雑です。

そんな日本の高速鉄道がイギリスとアメリカへ売り込みがかけられているってのは面白いところ。イギリスはCTRL-HighSpeed1のClass395ジャベリンと都市間高速列車Class800ヴァージンあづまが日立製車両で営業してますが、更にJR東日本が英ミッドランド鉄道の営業権を取得したのは既報の通りですが、更にロンドン―エジンバラ間のHighSpeed2と呼ばれる最高速400km/hの高速鉄道新線計画があり、ひょっとするとJR東日本は参入を狙っているかもしれませんね。実際傘下の鉄道コンサルタント会社は関わってます。ただし事業費が膨らんで200㎞弱の新線に15兆円ということで、財政負担の面でスムーズにはいかないかも。

一方JR東海はテキサス高速鉄道に新幹線方式の高速新線計画を売り込んでおり、実現可能性ありと言われておりますが、度々指摘してますが、既存の鉄道インフラと断絶した独自規格の事業はハードルが高いところです。ただしこちらは一応純民間事業ということで、財政面の問題よりも資金集めがうまくいくのかというハードルがあります。自動車社会のアメリカで鉄道建設への理解が得られるかどうか。

てなわけで、歴史的に関わりの深い英米日ですが、高速鉄道を巡る意外な接点がいかなる未来を築くのでしょうか。いずれの国も工業国としては成熟段階にあり、高速鉄道の需要誘発効果に頼るのも難しいですが、JR東日本も東海も世界へ出ることで成長を模索しています。

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