« グローバルプリズン | Main | 台車枠の亀裂 »

Sunday, December 24, 2017

名古屋リニヤ談合だがや

リニア回りが騒がしくなっております。

名古屋市内の工事で不正か リニア建設入札で大林組  :日本経済新聞
この時点では偽計業務妨害容疑でしたが、東京地検特捜部が動いてるんですから、それで終わるはずは無いです。案の定これ。
独禁法違反容疑で大手ゼネコン4社捜索へ リニア工事  :日本経済新聞
てことで本丸は独禁法違反ですが、リニアがJR東海の民間事業だから、入り口として技研業務妨害を利用したわけです。JR東海社員による予定価格漏洩もあるので、構図としてはかつての官製談合と同じです。

若干のおさらいですが、リニア建設は当面名古屋までで、当初5.1兆円の事業費を見込んでいました。これ新幹線買い取り代金のJR東海負担分の5.1兆円と同額で、しかも元利均等半年賦の支払いで2017年に終了します。つまりその分以後の会計年度でキャッシュフローの余剰が出るので、それを建設資金に充てるって構図が見えてきます。実際は駅設置費用を自治体負担から自己負担に付け替えたりして事業費を5.3兆円に膨らませてます。

メディアやネットでは3兆円、9兆円や、中には30兆円なんて数字まで踊って混乱が見られますが、事実に基づいて見ると、まず9兆円は2047年に予定される大阪延伸を含む事業費9.1兆円を指すものです。そして近畿選出の国会議員からの要望があって、大阪延伸を前倒しする目的で、財政投融資資金から3兆円を融資してJR東海の資金繰りを支援するという話になり、JR東海は既に融資申請を済ませておりますが、大阪延伸部分の着工前倒しが実現したわけではありません。当面は名古屋までの建設工事を本格化させることに集中する予定です。

これが実は今回JR東海の躓きの石になった可能性があります。財投資金の投入自体は融資ですが、政府保証付きの財投債を起債して投資家から集めた資金を融資に回す形で、政府保証がついてますから、万が一のデフォルトの際には政府財政負担で投資家へ弁済される形で、間接的ながら財政負担の可能性があり、公的資金と言えるものです。故に民間企業としてのJR東海が事業主体なんですから、随意契約で建設業者を決めても良かったところを、競争入札で形式を整える必要があったと考えられます。

一方で建設業界は空前の人手不足で、震災復興も道半ばなのに五輪特需で人手を取られ、そればかりかセメントや鋼材の値上がりもあり、ゼネコンの収益を圧迫しています。鋼材に関しては中国の過剰生産対策で生産が減ったことに加え、異次元緩和に伴う円安で円建て資源価格の上昇もあり、それらが重くのしかかります。そうすると、上述のような新幹線買い取りローンの終了に伴うキャッシュフローの余剰の範囲でのリニア建設が難しくなるわけで、財投資金融資はその意味で渡りに船だったんでしょうけど、同時にタイトな資金計画を変更することは難しく、JR東海自身が事業費圧縮の音頭を取らざるを得ない中での今回の談合と見ると、よりクリアな構図が見えてきます。

あと言われているのがJR東海名誉会長の葛西敬之氏と安倍首相との親密さでして、モリカケスパコンに続くアベ友大疑獄事件の本命という見方もされていて、東京地検特捜部の標的は政治家とも見られております。そして仮にリニア建設費が膨張しても政府が面倒見るはずだから、最大30兆円の国民負担って憶測も出てくるわけです。事実に基づけばそこまでの構図を現時点で論じるのは無理があります。

寧ろ良かれと思って財投資金融資の助け舟を出したことが災いしたとすると、何とも皮肉ですが、実はこれアベノミクス全般に見られる不整合なんですよね。そもそも各種経済指標は景気拡大を示唆しており、金融緩和も財政出動も必要なのか?という疑問のあるところ。ただでさえ震災復興需要と五輪特需がある中で、人手不足は起きるべくして起きたものです。実際失業率は過去最低、有効求人倍率は上昇の一途です。財政出動による景気刺激はあくまでも失業対策として余剰労働力を吸収するから意味があるわけで、現在の雇用情勢での財政出動は単に人手不足を深刻化させる意味しかないわけです。有体に言えばアベノミクスは逆効果なんです。

そして中央リニア建設計画はまんまとその罠に嵌まったわけです。というわけで、アホとしか言いようがない。おまけですが、名古屋、大林組、談合の三題噺として地下鉄談合の過去エントリーを置いときます。

おまけのおまけ。リニアの工事に関してはJR東海の秘密主義がいろいろ摩擦を生んでます。大きなところでは南アルプストンネル工事に伴う水脈断裂を静岡県が心配しているのに、駅ができない静岡県は自治体協議に加われないとか、大深度地下や長大トンネルから発生する大量の残土の処理が不透明とか、東農地区あるウラン鉱脈との近接工事で万が一放射性残土が出れば工事自体が止まるに留まらず周辺の土地封鎖まであり得ますが、JR東海の秘密主義は問題の発覚を遅らせて被害を生じる可能性があるとかですが、こういう憶測を生むのはJR東海の秘密主義匂うところが大きいわけで、そんな片りんを見せたニュースがこれ。

斜面崩壊はリニア関連工事が原因、発破で地山緩む  :日本経済新聞
無理を重ねていることが窺われます。

|

« グローバルプリズン | Main | 台車枠の亀裂 »

JR」カテゴリの記事

ニュース」カテゴリの記事

民営化」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

都市間高速鉄道」カテゴリの記事

鉄道」カテゴリの記事

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/50724/66191799

Listed below are links to weblogs that reference 名古屋リニヤ談合だがや:

« グローバルプリズン | Main | 台車枠の亀裂 »