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Sunday, May 13, 2018

国敗れて鉄路なし?

加入権維持で今どき意地でADSLでやせ我慢してたら通信障害ですが、NTTも最早メタル回線のメンテナンスをまともにやる気がないらしく、渋々ひかり電話へ切り替えましたが、新年度で引っ越しシーズンってことで工事スケジュールが混み合ってて1箇月を超える空白期間を余儀なくされました。そんな中でスマホのフリック入力でアップした前エントリーの見通し通り、北朝鮮を巡る情勢が急展開しております。南北首脳の本気とノーベル平和賞期待のトランプ大統領の色気が妙にかみ合ってきております。

慌てたのは日本政府。何しろ日米安保体制の前提となる朝鮮戦争の終結につながる話なんで困ってます。朝鮮戦争は現在休戦中ですが、韓国は休戦協定に参加しておらず、頭越しに米朝で休戦というねじれた状況です。元々は北朝鮮の南進に対して安保理決議で朝鮮国連軍が組成され、在日米軍に総司令部を置く形だったのですが、現在の休戦ラインに押し返すのがやっとで、国連軍参加国の撤退が相次いで今の形になった訳ですが、当時の韓国政府が休戦を認めず協定に参加しなかったわけです。

にも拘らず総司令部を米軍が抑えているから韓国軍が独自の軍事行動はできないわけで、事実上韓国軍は米軍の下請け機関のような扱いになっておりました。故にベトナム戦争への参戦も強要されましたし、韓国の世論の不満も大きく、停戦となれば韓国軍はその呪縛から解放されることになります。文在寅大統領への世論の支持はこういう背景があるわけですね。

シンガポールで行われる米朝首脳会談でどこまで踏み込むかはわかりませんが、共同宣言が出されて停戦協定と平和条約の締結のための実務者協議が始まるというあたりが落としどころでしょう。実務者協議がすんなり進むかどうかはともかく、枠組みとして不可逆な形になるということで、停滞はあっても逆戻りは無いという見立ては成り立ちます。

そうなると在韓米軍と在日米軍のの扱いが問題になるのですが、韓国として在韓米軍の全面撤退までは望んでないでしょうけど、朝鮮半島の非核化というのは、核保有国であるアメリカの核持ち込みも無くすってことも含みますから、どういう妥協点を見いだせるかはこれからの話です。

厄介なのが在日米軍でして、朝鮮国連軍総司令部がある三沢基地のほか、在日米軍の相当部分が朝鮮国連軍としての駐留なんで、縮小することになるんでしょうけど、在日米軍の任務は非公開で、どこまでが朝鮮国連軍としての任務なのかはわからないわけです。日本政府がきちんとアメリカと交渉する必要がありますが、黙っていれば事実上アメリカのフリーハンドになりますし、場合によっては北朝鮮のミサイルの標的になるリスクもあります。

一方でアメリカはイラン核合意からの離脱を決めました。今のところ他の5カ国が踏み止まっていて、アメリカの追加制裁も発動までの猶予期間があるということで、市場は安ど感に包まれておりますが、火種であることに変わりはありません。というわけで、市場は膠着し、円高予想はやや肩透かしですが、これドル高が相殺してるだけですね。FRBの利上げとレバトリ税制(米企業の海外留保益金の税制優遇)で資金還流が起きている状況を反映したものですが、マイナス金利にまで踏み込んだ日銀に追加策がないことに変わりはありません。為替水準の予想はあまり意味はありませんけど。

北朝鮮の問題では日本政府の出遅れは明らかですが、ロシアはどうかと言えば、まあ様子見でしょう。中国の出方次第ですが、朝鮮戦争停戦はロシアが以前から狙っていた北朝鮮を介した韓国との鉄道連絡のチャンスでして、中国が中央アジア経由のチャイナランドブリッジを売り込んでますが、バム鉄道とシベリア鉄道を介した欧州連絡ルートができれば強力なライバルになります。そうなるとロシアがオファーしてきたサハリン経由の日ロの鉄道連携は可能性が絶たれます。ここでも日本は後れを取るわけですね。安倍政権の外交政策は悉く裏食ってます。

かように地政学の変化に鉄道も無縁じゃないわけですが、サイドバーの直近の2冊の本を読んで気づいたことがありまして、JR7社の経営トップが国鉄OBで占められていることです。歴代でもJR東日本の初代社長の住田正二氏が運輸省OBで、大臣と対立して退官していた結果スカウトされたのが唯一の例外です。JR九州初代社長の石井幸幸孝氏の本では人口密度と鉄道の収支の関連をグラフで示していて興味深いのですが、人口減少で収支の悪化が避けられない中で、関連事業の強化で鉄道事業のウエートを下げたJR九州の自慢話こそ具体的な一方、新幹線物流などの提言は国鉄OBの思考の枠組みから出られていないと感じます。

一方川辺謙一氏の本は、日本の鉄道の特徴として利用客の多さを国際比較の中で明らかにし、要因として人口密度の高さと共に鉄道万能主義の存在を指摘してより客観的に日本の鉄道を見ています。例えばニューヨーク地下鉄の24時間運行について、港湾労働者の通勤の足として始まったことを指摘しています。よくニューヨークでできてなぜ東京でできないか?ということが言われますが、これ謂わば港湾都市としてのニューヨークのレガシーでありそのまま東京に持ち込むことはできません。

他にもいろいろありますが、超電導リニアとハイパーループの比較を取り上げます。旧国鉄時代から半世紀に亘って開発が続けられ、着工にこぎつけたリニアですが、人手不足や談合事件の影響で事業の遅れや事業費の拡大は避けられないところ。一方アイデアとしては古くからあるハイパーループが世界的に注目されてます。

きっかけは2013年にテスラやスペースXのCEOのイーロン・マスク氏の提唱で開発が始まり、2017年には実物大モックアップによる試験運行が始まるという風に急ピッチで開発が進んでいます。元々はサンフランシスコ―ロスアンジェルス間のカリフォルニア高速鉄道プロジェクトの対案として提案されたもので、同区間での事業化が目論まれております。

原理は中を真空近くに減圧した鋼管チューブの中を28人乗り程度のカプセルを搬送させるもので、当初空気浮上の計画を永久磁石による磁気浮上に改め、時速760マイル(1,220km/h)を目指すってことで、音速域でジェット旅客機の1.5倍の速さです。若干の勾配への対応は考えられておりますが、曲線走行は不得手ってことで、日本のように平地が狭く山がちな地形では導入が難しいのですが、広い平野部にまばらな人口密度の大陸国にとっては、これぐらいのスピードで航空客すら取り込むようなものでなければ事業化が難しいという側面はあります。

カリフォルニア高速鉄道の事業費は800億ドルに達すると言われますが、需要面を考慮すれば公的支援抜きの事業化は不可能で、州民の理解も得にくい訳ですが、ハイパーループは高速道路に併設することで100億ドル程度の事業費で実現可能としており、開発費も含めてクラウドファンディングで資金集めをしており、投資家の関心も集めているということで、いかにもアメリカらしい話ですが、欧州の鉄道事業者やサウジアラビアなどの産油国も興味を示していて大化けの気配があります。鉄軌道の高速鉄道よりもコストのかかる超電導リニアのマッチョな時代錯誤ぶりに疑問を感じない石井氏もやはり国鉄OBなんだなあと。

そうそうイランと言えば共和制だったのにアメリカの秘密工作でパーレビ国王という傀儡を立てて親米政策に舵を切った結果、イスラム革命を呼び込んだんですが、そのパーレビ時代にイランに新幹線を作りたいとオファーがあって当時の国鉄は大乗り気だったようですが、イスラム革命でご破算になりました。他方アメリカ製兵器の購入で代金を支払った後でイスラム革命が起きて引き渡しが行われなかった結果、イランによる代金返却が求められ、核合意に関連して返却されたようですが、その一部が北朝鮮に流れたという観測があります。核実験やミサイル実験を繰り返してた資金はイランから?ま、国鉄は実害がなくて結果的には良かったんですが。

あと例えば自動運転車の登場に危機感を口にするJR首脳はいますが、欧州では鉄道事業者が自動運転バスの実証実験に取り組んでたりしてて、やはり周回遅れ感が否めません。自動運転車に関しては法制度の問題の方が大きく、現状でも適切なゾーニングができれば導入できるところはそれなりにあると思いますが、そういった議論は進みませんね。

てなわけで、JR経営陣が国鉄OBで占められている現状に危うさを感じます。いずれJRプロパーのトップが登場するかもしれませんが、幹部社員の学歴面で見ると旧帝大卒中心だった国鉄時代とは様変わりしており、JRのような大組織を動かせる人材が出てくるかどうか。というか国鉄OBの覚え目出度い社員が出世して次世代リーダーになるとすると、申し訳ないけどJRの将来は暗いと感じます。

議論を拡張して今や失敗確実のMRJの何が問題だったのかにも触れておきます。ボーイングとエアバスの2大メーカーのラインナップから外れる100人乗り以下の小型機でボンバルディアとエンブラエルが争う中に割り込もうとしたわけですが、新興国の経済成長と共に低燃費の小型機の需要は確実に拡大すると見込まれますから、狙いはわかりますが、安直じゃないかと。

小型機メーカー2社は母国のカナダもブラジルも国土が広く国内に小型機の巨大市場がある訳で、鉄道のシェアが高く国内市場が当てにできない日本で開発する意味を問うたのか?って疑問が湧きます。開発直後にジェット時代になって時代遅れになったYS11ですら、当時国内ローカル空港のジェット化は夢物語だった時代で、ある程度国内で消化できる見込みがあった訳ですが、それすら怪しいプロジェクトがうまくいくと考えていたとすれば大甘ですね。

一方エアバスではバッテリー駆動のモータープレーンを開発中で、フィンランドその他で導入の検討がされてます。現状バッテリー性能の制約から航続距離は数百km程度ですが、国内線で使うには十分だし再生可能エネルギーの活用で石油輸入を減らせるしCO2排出量も減らせるということでのチャレンジです。MRJもこれぐらいのチャレンジがあっても良かったのでは?

てなわけで、魚と大組織は頭から腐るって同じ結論です^_^;。

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