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Monday, July 16, 2018

北のスットコドッコイ

前エントリーの続きです。本題に入る前にこのニュース。

人口、最大の37万人減 生産年齢人口は6割切る  :日本経済新聞
死亡数と出生数の差の自然減が39万人で海外との転出入を加えて37万人の減少ってことです。当然ながら15-64歳の生産年齢人口の減少はもっと多いわけです。都道府県別では東京、埼玉、千葉、神奈川、の首都圏4都県と愛知県と沖縄県のみ増加ですが、そのうち自然増は沖縄県だけで、他の5都県は転入超過による社会増ですから、その分地方の人口減の勾配もきついわけです。

あと外国人の増加が16万人ってことですが、いろいろ問題が指摘される外国人技能実習生だけでも25万人を受け入れていて、その他留学生や高度スキルの就労ビザ対象者もいるわけですから、純増が16万人ってことは相当数の帰国外国人がいるってことです。移民や永住権取得が難しいからこうなるわけで、人手が足りないから外国人就労を拡大といっても、現実の生産年齢人口の減少には追い付かないわけです。人口減という現実を受け入れるしかないわけです。

この状況を踏まえて以下をお読みいただきたいんですが、事故や不祥事が重なって先行きが危ぶまれているJR北海道に未来はあるか?っていう話です。JR北海道もJR総連系のJR北海道労組が組織率8割を超える中で、JR東日本と明らかに異なる労使関係があるわけです。

元々赤字基調だからってことで経営安定基金が与えられ、その運用益で赤字を補填するスキームだったわけですが、90年代半ば以降の低金利によって赤字補填が果たせなくなり、基金の積み増しをした上で現状(独)鉄道建設運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)への預託で高金利運用という事実上の利子補給による補助金でどうにか最終赤字を回避している状況です。

加えて事故の原因となった老朽設備の更新も国の支援を得ながら進めている状況なのですが、事故や不祥事の背景として、JR北海道は益出しのために努力してきたんですが、その結果必要な人手確保がままならなくなり、それが事故の遠因となったり、データの錯誤に見られる不祥事につながったわけですね。その意味で強面の労組は役割を果たせなかった訳です。

JR北海道で起きていたのはおそらく労使の癒着だったと思われます。それ故現場の人手不足もゴマカシがまかり通る状況だったと考えられます。そんな状況を変えようとしたのが自殺した中島社長って話がここへきて出てきています。

そのために島田現社長を総務部長に据えて労組との交渉窓口の一本化を狙ったものの、JR北海道労組は反発して険悪になった状況で、事故や不祥事が重なって国交省の立ち入り検査を受けることになり、JR北海道労組も協力を約束していたものの、直後に札幌労基署による本社社員の36協定違反の摘発があり、労組側が態度を硬化して島田総務部長の関連会社出向を余儀なくされたという経緯がありました。それで追い詰められての自殺ではないかという見立てです。

本社社員もJR北海道労組に所属していたのだから、労組側が知らなかった筈はないと言われてますが、おそらくこれ本社社員だけの問題じゃなかったんじゃないでしょうか。各現場で人手不足が起きていて、36協定順守ところじゃなかったとすれば、そりゃ事故や不祥事も起きるし、労組側からの改善要求もあったはずです。しかし増収とコストカットに励む経営陣を動かせなかったという意味で、労組側からすればスルー出来ない問題ではあります。労使の癒着自体は日本の大企業で結構見られますが。

というわけで、国主導で島田氏の社長指名と設備更新補助金の交付が決まったものの、覆水盆に返らず、労使関係は険悪なまま、後ろ盾のない島田社長は指導力発揮もままならない中で、自力での維持が困難な線区を発表し、自治体にボールを投げたのが現状です。ただ現実的には冒頭の人口減のニュースに見られるように、北海道で言えば札幌都市圏以外の地域の人口減少は今後も続くと見るべきですから、その中でJR北海道が必要な人手を確保して現在の規模を維持できると考えるのは現実的ではありません。人口動態に合わせて身を縮めるのはほぼ唯一の現実解でしょう。

自治体にとっては青天の霹靂でしょう。元々人口減少が止まらず、財政再建団体に指定された夕張市はいち早く廃止を受け入れ、JR社員の出向など条件闘争で実を取った形ですが、夕張支線のように単一自治体だからという面もあります。廃止若しくは公的支援を求めるエリアは広大で、広域自治体としての北海道の対応が待たれますが、高橋知事は経済や人口の状況が分割民営化時と著しく変化していることを理由に国に対応を求めています。財政負担を警戒してという側面はあるものの、経営安定基金による赤字補填もままならず、沿線人口の減少も収まらない中で、交通政策基本法を盾に対応を迫られても受け入れられないってのは正論です。

加えて国絡みの問題も多数あります。例えば北海道新幹線の札幌延伸問題も、JR北海道は自治体との合意を得て国に要望してきたものの、時期の問題が見通せないまま、札幌駅の新幹線駅スペースと見込まれていた駅南の用地に駅ビル(JRタワー)を建てたことで、道庁などから非難されましたが、商業スペースとして価値の高い遊休地の有効活用は当然の話ですし、建設時点で札幌延伸は決まっていませんでした。

その結果新幹線札幌駅の位置問題が二転三転して大東案に決まったのは最近のことです。北海道新幹線の札幌延伸が前進して2030年開業が決まったものの、駅をどうするかで迷走したわけです。当初北口側に新ホームを作って順繰りに振って1,2番線を新幹線用に転用する案が提案されたものの、既に北口の開発が進んで支障する建物が多数あると断念され、西案、東案、地下駅案が検討されたものの何れも却下され、修正東案として1番線南にギリギリ設置可能な1線分のスペースを新幹線上りに充て、1番線を新幹線下りに転用した上で東へ延伸して在来線とずらして設置する修正東案に落ち着いたものの、これも東日本大震災を受けて耐震補強が必要となり、結局在来線駅から離れた元の東案を大東案として決まったものです。位置的には札幌市営パーキングがあるということで、新幹線ターミナル駅設置のスペースも十分な上、駅前に新たな再開発ビル建設の可能性もあり、JR北海道の経営にもプラスと評価されますが、地権者の札幌市の意向は現時点で不明です。

あとJR貨物問題もあります。北海道の農産物を消費地の首都圏や近畿圏に輸送する上でJR貨物の役割は大きいのですが、それが結果的に線路を痛める原因にもなっております。加えてJR貨物は国の支援を得て設備強化投資をした結果、ドライバー不足によるトラック輸送からの移転もあって黒字転換が見込まれる状況ですから、格安な線路使用料を強いられてきたJR北海道には見逃せない問題です。まして株式上場まで取り沙汰されてますから尚更です。

温暖化の影響もあって北海道が稲作適地になりつつある現状もあり、競争力のある農業が叫ばれる中、その競争力を維持する意味で市場アクセスに欠かせないインフラとしての貨物鉄道という視点から、国の関与を強める余地はあります。貨物輸送のためにJR北海道の路線の一部を国の所有としてJR貨物やJR北海道に留まらず、自治体出資の三セクが第二種事業者としてローカル輸送に参入する余地を持たせるあたりに着地点があると思いますが、国が動く気配はありませんね。

加えて訪日外国人が増えている中、北海道観光人気で新千歳空港の利用が増えており、千歳線支線(南千歳―新千歳空港)が単線で空港駅も1面2線のため、対応しきれていない状況にあります。そこで新千歳空港駅を移転して3面4線とし、外側2線を千歳線につなげ、途中で単線を分岐して石勝線につなげる改良案が提案され、2022年の完成を目指すとされてますが、事業費は1,000億円規模になるということで、費用負担を巡ってひと悶着ありそうです。

実現すれば複線のまま空港新駅へ入れるだけでなく、苫小牧方面や帯広方面からも直接アクセスできるようになり、輸送力面に留まらず利便性も改善されますが、よく考えたら自衛隊と共用時代の千歳空港ターミナルビルとこ線橋で直結だった千歳空港駅(現南千歳駅)の機能を取り戻すだけであり、民間空港分離で誕生した新千歳空港のターミナルビルが離れた位置に作られたから仕方なく単線の空港支線を作った訳で、ここでも国の政策に翻弄された現実があります。しかも費用負担の問題でおそらく国の支援制度活用となるでしょうけど、JR北海道の事業縮小構想もあり自治体との調整は微妙です。また滑走路下のトンネル工事など難工事も予想されます。

あとこの問題は思わぬところへ飛び火しております。コメントを頂いたはまださんにご指摘いただいた日本ハムファイターズの北広島ボールパーク構想です。ダルビッシュや大谷をメジャーリーグへ送り出しながら若手の育成で実力を維持し、人気球団となったファイターズですが、不自由な札幌ドームに不満を抱いていたわけですが、ポスティングの補償金を得てそれを活かしたボールパーク構想を発表し、自治体向けに誘致コンペを行うというスキームを打ち出したところ、応札して勝ち抜いたのが北広島市です。

元々市民運動公園整備を構想し広い用地を確保していたところへ、ファイタースのコンペでボールパークをコア施設としてアクセスも千歳線に新駅を作って直結というもので、JR北海道にとっては増収策になるから大歓迎かといえば、空港輸送で線路容量に余裕のない状況では、寧ろ負担になりかねないということでご議論を呼んでいます。竣工予定は2023年3月ですが、空港新駅がそれまでに完成している確率はかなり低いと言えます。

さて、一番のスットコドッコイは誰?

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