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September 2018

Saturday, September 29, 2018

イージー・スノッブ・ガラパゴス

安直(Easy)、俗物(Snob)、ガラパゴス(Galapagos)、略してESG。ホントは環境(Environment)、社会(Social)、統治(Governance)ですね^_^;。低炭素や生態系維持に留意し途上国の資源採掘などで見られる児童労働の産品を用いず公正で透明な企業統治を行う企業には持続可能性('Susutainability)があり長期的にリターンが期待できるってことで、ESG投信が組成され、投資家の信任を得ているというわけですが、勿論日本は周回遅れ、期待を裏切りません。それでも国内メガバンクは既に石炭火力事業への新規融資の凍結を表明するなど、ジワジワ影響が広がります。

電力供給、想定超す喪失 北海道停電の検証始動  :日本経済新聞
北海道のブラックアウトの原因究明はこれからですが、記事にあるように地震直後に道東地区と北見地区で起きた停電は、送電線の故障で系統から切り離され、域内需要13万kwに対して域内水力の43万kwの供給過剰状態で送電停止となったものということで、送電線の故障がなければ需給調整が可能だった可能性があり、北海道電力の送電網の脆弱さを示します。

北電に関しては停止中の泊原発の再稼働が滞ってますが、活断層の存在が疑われる中、再稼働に向けた追加投資が追い付かず、規制委が承認しないからですが、そのために13年から18年3月期までの5年間で発電所に3,738奥苑を投資した内1,887奥苑を泊原発に注ぎ込んでいるわけで、その分老朽火力のリプレースなどが滞っていました。だから苫東厚真の石炭火力3基をフル稼働状態で回していたわけですが、無理を重ねていたことは否定できません。

泊原発の再稼働が見通せない中、燃料費が経営を圧迫して電力料金も高止まりしていて、工場などの事業用電力を中心に新電力に狙い撃ちされて大口契約を失う中、背に腹は代えられず燃料費を抑えられる大型石炭火力に依存してたわけです。それもこれも泊原発再稼働をメインシナリオにした事業を見直せなかった経営判断の問題です。

元々広い土地に低い人口密度で風力や太陽光など再生可能エネルギー発電の適地にも拘らず、出力が不安定という理由で北電は送電線接続を渋ってきました。電力系統の出力調整は主に火力発電と揚水発電で対応しますが、火力といっても出力調整が容易な小型ガス火力が必要なわけで、元々原発のバックアップ用で稼働率が低いから出力調整機能の弱い老朽石炭火力を温存してきた結果、再生エネ増加に対応できない状況だったわけですが、泊原発に投じた1,800億円あまりをこちらに振り向けていれば対応可能だった訳で、やはり経営判断に問題があります。

勿論高値買い取りを義務付けた再生エネ買い取り制度(FIT)の下では判断が難しいのは確かですが、だからといって老朽火力をフル稼働で綱渡りの運営が正しかったとは言えません。FITに関しては過去エントリーで明確に否定しましたが、案の定太陽光バブルでワヤクチャ。加えて太陽光の国内メイーカーはコスト競争力中国やドイツの後発組に勝てないまま衰退。欧州では脱原発宣言したドイツに留まらず今年の猛暑で発電量が増えた太陽光を活かすために原発止めた国もあります。腹の座った再生エネ活用が実践されてる一方、つくづく日本は政治後進国だなあ。


あと問題なのが北電が情報開示に消極的な点。上記の道東北見地区の停電の一方、同時間帯に泊原発に近い岩内地区では停電していなかったことなど、非常用自家発電設備を持つ病院への新聞取材で明らかになったもので、北電自身の発表によるものではないという点があります。泊原発の電源確保を優先した結果ではないかと邪推されるのはこういうところにある訳です。要はガバナンスに問題ありという訳です。まとめると環境よりも目先の利益に反応し(安直)、動かせる見込みのない原発に大金注ぎ込んで(俗物)、世界の趨勢に後れを取る(ガラパゴス)ESG企業ってことです。


頭痛いのはこれ北電だけの問題じゃないことでして、多くのの日本企業が似たり寄ったりのことをしている点です。リニアに前のめりなJR東海に関しては日経ビジネスで特殊が組まれて、その中で葛西敬之名誉会長のインタビューがあります。

談合は関係なし! 神様が見たってリニアはいける:日経ビジネスオンライン
論点はいろいろあるんですが、私が特に注目したのが「財投債ですけど銀行から借りるのとまったく同じですから」の部分。1企業に3兆円も貸し込む銀行がどこにあるのか?そんな銀行があればシャープの身売りも東芝の稼ぎ頭の半導体部門売却も回避できました。銀行団による協調融資にしても先行きに懸念が起きれば参加銀行が抜けてメイン寄せが起きますから、とても引き受けられません。仮にプロジェクトとして有望ならば社債発行や増資で直接市場から資金を集められる筈.です。

しかもこの3兆円ですが、無担保30年据え置きですから、民間資金では不可能です。法令で定められた鉄道・運輸機構の融資枠で例えばJR貨物の設備強化投資やJR北海道の老朽資産更新投資などは行われてますが、リニアに関してはこうした法定の融資枠もなく、政治判断で融資が決まった訳です。モリカケ問題と何と似たことか?融資を受けたJR北海道は2016年に1,200億円の支援を得ましたが、内1/2は無利子融資で同年から返済が始まっています。経営が苦しい中でキャッシュフローを削っているわけで、とても足りないと2019年、20年限定の400億円の支援が決まったものの予定していた老朽ディーゼル車の置き換えは断念しました。既に車両故障による輸送障害が起きているにも拘らずです。リニアの財投債資金投入がいかに優遇されているかがわかります。

電力消費は新幹線の3倍、南アルプスルートの長大トンネルや都内など大都市部の大深度地下区間など難工事テンコ盛りで大手ゼネコンも後ずさり、談合事件の本質はこれですが、駅の無い静岡県では水源の遮断の可能性を指摘して工事施行許可をしない方針に対してJR東海は工事強行を示唆してます。それもこれもJR東海の情報開示が不十分だからなんですが、スピードこそ正義と言わんばかりにカエルの面にしょん便。国鉄時代の東海道新幹線の成功体験から来る楽観論など、環境無視、社会的合意無視、ガバナンス無視の安直、俗物、ガラパゴスの日本版ESG企業ですね。

資金調達面ではリニアのライバル?のハイパーループにはイーロン・マスク氏の提唱に対して民間資金が集まっています。しかも米ベンチャーキャピタルや巨大ファンドよりも、年金基金や欧州鉄道資本などの出資もあり、ESG投資が意識されています。マスク氏はテスラモータースのMBOによる非上場化をツイッターして後で取り消して市場を混乱させたとしてSECから提訴されました。市場からの資金調達で事業を拡大してきたマスク氏すらキレさせるほど市場資金の要求は過酷なんで、政府保証資金でヌクヌクしているJR東海とは比べるべくもありません。

余談ですが企業経営者の不用意なSNS発言で市場を混乱させたことに対しては制裁発動の仕組みが働きますが、主権国家の元首となるとその仕組みがないか、ハードルが高い状況です。米大統領に関しては議会が弾劾手続きの権限を持ちますが、下院の過半数と上院の2/3超の議員の同意が必要で、中間選挙で民主優勢が言われますが、上院の2/3は無理でしょう。ましてそんな仕組みの無いあの国この国は?元首でもない某日本国のプライムミニスターの言いたい放題やりたい放題は?

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Monday, September 17, 2018

冗長性を高めて強靭化どころか脆弱化まっしぐら

今年は災害の当たり年なのでしょうか。近畿地震、西日本豪雨、猛暑、逆行台風、超大型台風に北海道の地震と息つく暇もありません。トピックはいろいろありますが、直近の2つに絞り込んで、関空の冠水と連絡橋損壊問題と、北海道電力の全系統停電(ブラックアウト)問題に絞ります。というわけでまずは関空から。

猛烈な南風 高潮を増幅 台風21号で関空が冠水 :日本経済新聞
強力な台風で中心気圧が低く海面を持ち上げている上、強い南西の風の影響で海面が寄せ上げられるために、記録的な高潮となった訳ですが、大阪湾は丁度南西に開いた地形ですから、南西風の影響を受けやすく、関空の位置はもろに高波を被る位置にある訳です。台風21号に関して言えば大阪市で3m29㎝、神戸市で2m33㎝を記録してますが、それだけ高波の影響を受けやすい位置に関空が立地していたことは指摘できます。

加えて埋立造成工事のときにも問題となった軟弱地盤問題による地盤沈下ですが、A滑走路で3m40㎝程度の沈下があり、一番低いところで海面から1m40㎝程度しかなく、高潮対策で堰堤の嵩上げはしているものの、航空法の制約もありいずれ限界に達します。不等沈下対策としてターミナルビル他の建屋の基礎にオイルジャッキが組み込まれていて地盤沈下に合わせて高さ調整されていることも知られています。

関空の構想段階で神戸沖案が有力だったことが思い出されます。実際に神戸市に打診されたものの、神戸市は大型船舶の航行に支障するという理由で断っております。その結果、都心から離れていてアクセスに課題がある上、漁業権の買収が必要な泉州沖に決まった経緯があります。加えて埋立工事中から軟弱地盤による地盤沈下に悩まされた訳です。南海トラフ地震の津波に対しても脆弱性があることは明らかです。

あくまでも結果論ですが、当時国際港湾として鳴らしていた神戸港も、釜山港などアジアのライバルの台頭で空洞化し、阪神大震災後、復興に必要として神戸空港建設を強引に進めた訳ですから、最初から関空を神戸沖に作っていればと思いたくなりますが、阪神大震災でポートアイランドなど神戸の埋立地で液状化現象がみられたように、震災で液状化して使えなかった可能性もあった訳で、良し悪しは簡単には決まりません。

寧ろ神戸空港ができたおかげで、連絡橋損傷の影響もあって全面復旧に時間がかかる関空の機能の一部代替が可能になります。関西3空港はコンセッション方式で運営会社が同じなのも幸いです。問題は国際線と貨物ですが、連絡橋の復旧までは貨物の扱い量は制限せざるを得ません。

連絡橋の損傷に関しては、8,000人もの人が取り残され孤立状態になったことが報じられました。神戸港の海上ルートと連絡橋の非損傷側の対面通行で対応したものの時間がかかりました。問題は足止めされた人たちの中に少なからず外国人がいたことです。彼らが帰国後にこの体験を周囲に語る訳で、中身次第で関空が忌避される可能性があります。LCCによってインバウンド需要を大阪にもたらした状況に変化をもたらす可能性はあります。

で、言いたいのは、この機に乗じてインフラの冗長性を言い立てる声があることです。無駄だとしてインフラ投資を抑制すれば、災害に対して脆弱になる、重複を厭わず新幹線も高速道路も空港も作って冗長性を高めるべきだって言うんですが、関空の現実を見ればそもそも大枚ははいて作った海上空港が脆弱だったってことの問題ウィスルーしてます。それと全国に張り巡らされた高速道路がJR在来線に与えたインパクトはかなり大きく、北海道や四国では会社存亡の危機にすら追い込まれてますが、それに留まらず東関東道の、アクアライン、館山道などの影響で房総地区の特急が淘汰された現実を見ると、首都圏と言えども影響大です。

これ他の要因として既存市街地に立地する特急停車駅周辺がシャッター通りになる一方、バイパスやインター周辺の商業集積が出現していて、高速バスはそうした郊外型のSCや道の駅に立ち寄って需要を拾っているという側面もあります。無秩序化インフラ投資の結果、地域の構造変化が起きて鉄道が取り残されてるわけです。やはりインフラ投資は過剰と評価せざるを得ません。

同時にインフラ投資は取捨選択が重要なんで、選択的投資によって相互補完を図ることは重要です。無駄な重複投資の抑制という観点から言えば、民主党政権が打ち出した高速道路無料化は評価されるべきです。北海道のブラックアウト問題でそれが見えてきます。

ブラックアウト3つの謎、問われる北電の説明責任  :日本経済新聞
3つの謎とは①苫東厚真2,4号機の停止後、一部地域王電を遮断して需給を調整する負荷遮断を行う筈。事実厚真町その他いくつかの地域で停電が報告されてますが、適切に行えばブラックアウトは防げた筈.。②2,4号機停止後、北本連携線を通じて本州から送電が開始されたにも拘らずブラックアウトを防げなかった。③苫東厚真2,4号機停止後17分間1号機の運転は続いたがブラックアウトと同時に停止。故に 1号機停止がブラックアウトの原因なのか結果なのかが不明。ということです。つまりブラックアウトの原因そのものは不明ってことです。

これもネットで泊原発が動いていれば防げたとか、安定供給のために再稼働すべきだという声がネットで吹き上がりましたが、そもそもブラックアウトの原因は不明ですし、ブラックアウト自体は電力需給のバラン頭が崩れて発電機に負荷がかかって50hzの安定したを辞できなくなり、それどころか発電機の損傷もあるので、安全装置が働いて停止したものですから、発電量の不足が原因じゃないってことが理解されてません。

加えて泊原発は活断層の存在が疑われて規制委の審査が滞っていて再稼働できない状況にあり、再稼働させるとすれば超法規的な政治判断が必要ですが、現政権にはリスクとなる判断です。寧ろ負荷遮断が中途半端だった原因として泊原発の外部電源喪失を過度に意識して中途半端な対応をした可能性すら疑われます。結果的に外部電源喪失で非常電源に切り替えられたわけで、余計な忖度でトラブルを拡大したのかもしれません。この辺は事実関係に基づく原因究明を徹底するしかありません。

仮に泊原発が動いていて、苫東厚真も1号機を休止していたとすれば、泊の2000万kwと苫東厚真2,4号機の130万kwで合計330万kwで、地震のあった夜間の需要が300万kw程度として、苫東厚真が自身で停止した状況を想定すると、過剰な30万kwは揚水発電所の揚水ポンプを動かして消化していたと思われますから、不足が100万kwで北本連携線からの給電が60万kwですから、苫東厚真1号機の35万kwと揚水発電所の発電開始でぎりぎりブラックアウトが回避された可能性はありますが、繰り返しますがブラックアウトの原因が不明である以上、断定はできません。泊原発稼働中のブラックアウトだとシビアアクシデントの危険すらあるわけです。

寧ろ昔から言われていたのが集中電源方式の送電システムの脆弱性でして、原発であれ大規模火力であれ、基幹電源としてフル稼働で効率性を追求し、出力調整は小規模火力や揚水発電で補うという考え方故に、その基幹電源が停止した時のリカバリーが困難になるわけです。これ電力会社にとっては利益の最大化になるわけですが、ライフラインを担う公益事業としてはあまりにリスキーです。欧州で自然エネルギーがブームになっている理由の1つは小規模発電を集成した分散電源方式の方が脆弱性が低いという考え方が浸透してきたこともあります。

加えて日本では日本では日本では欧州では国境を超えた広域連携が確立しており、電力の輸出入は日常的に行われています。日本では電力会社間の連携もあまりなく、北本連携線の容量も60万kwですから、泊にしろ苫東厚真にしろ基幹電源が停止した時のバックアップとしては心許ない限りです。これも直s津収益を生まないから後回しにされてきたからですが、この辺民営化後合理化で益出しに励んだJR北海道と共通の背景がありますね。

結局やみくもにインフラ投資をしても脆弱なインフラを増やすだけならば、寧ろ災害に弱い国土になるってことです。レジリエンスどころかフラジャイルになるわけです。インフラも分散投資と相互連携が問われます。

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Sunday, September 02, 2018

社畜の国の人工知能

暑さも峠を越したようですが、この暑さが今年だけのことで終わりそうにないのがつらいところ。ただでさえ高温多湿な日本で40℃は厚い風呂に入っているのと同じです。佇むだけで体力を消耗するレベル。ホントに2020年にオリンピックやるのか?死人出るぞ。

温暖化の影響は指摘されますが、現象はやや複雑で、温暖化による北極海の海氷減少で太陽輻射熱の反射が減って海水温が上昇し、その影響で偏西風が蛇行した結果、大陸のチベット高気圧が居座る一方、太平洋高気圧が押し上げられてチベット高気圧と合体。高気圧が上下に重なる形となり、強烈な下降気流が地表にぶつかる断熱圧縮という現象が起きて、気体の性質上圧力が増すと温度が上がる訳ですから、あの異常な暑さになった訳です。ディーゼルエンジンの原理ですな。多湿の日本だから山火事は起きにくいけど、積乱雲の発生で大雨は起きやすい訳で、利水優先の日本のダム治水の欠点も露呈しました。これ2015年の鬼怒川の決壊のときにも指摘された問題ですが、スルーされた結果の西日本洪水と見れば、人災と考えられます。

2年前のエントリーでお盆に家に帰るご先祖様と社畜についてですが、観念の産物であるご先祖様と違って物理的実体である社畜は、お盆シーズンの混雑や渋滞という外部不経済を引き起こす存在でもあります。ただ固定費負担の大きい鉄道事業者にとっては、長期休暇でビジネス利用が減る部分を帰省客が埋めてくれるありがたい存在でもあります。

新幹線は言うに及ばず、殆ど印刷代ぐらいしかコスト負担の無い青春18キップも、休校シーズンの普通列車の穴埋めになることから、周遊券など国鉄時代から続く企画商品が悉く廃止や見直しがされる中で存続しています。ただし2020年のオリンピックを睨むとこれが大きな障害になりかねないってことで、混雑対策が問題になってきます。まさか2020年夏の青春18は利用規制されるかも。社畜受難の東京五輪かも。

てな状況も生産年齢人口の減少で求人難となってくると、いつまでも社畜に頼る日本経済の持続可能性に疑問符が付くようになります。そこで慌てて子育て支援や外国人労働者の拡大を打ち出すものの、何度の指摘してますが、前者は支援に必要なマンパワーを取られて求人難が酷くなりますし、後者は移民受け入れを伴わない形で労働ビザの発給条件を緩和するものの、5年で国へ帰れってことになると単純労働しかできないし、労働力人口として定着できませんから、結局求人難の緩和にはつながりません。求人難で汲々とするような仕事は海外へアウトソースして付加価値の高い仕事が国内に残るような産業政策で人口が減っても1人当たりGDPの水準を維持するような政策へのシフトが必要です。とはいえこれが難題です。日経の連載コラムでこんなのがあります。

(モネータ 女神の警告)それぞれのジレンマ(2)41兆ドル、年金の自縄自縛 運用難、逃げ水の利回り :日本経済新聞
公的年金のジレンマを扱った記事です。これアメリカの話ですが、公的年金に共通するジレンマを表します。これも以前指摘しましたが、高金利時代に制度設計されて見直されないまま規模が拡張した結果、池のクジラとなって債券市場と株式仕様の双方で相場を持ち上げた結果、運用利回りが低下して運用難に陥っている訳です。米FRBが利上げしても長期金利が上がらないのは、ちょっと金利が上がると年金の買いが入って金利が下がってしまう訳です。その結果長短金利差が圧縮され金融仲介機能を低下させているって話です。株式の場合も株価収益率(PER)の低下が顕著ですから、基本的に同じ原理が働いています。

マイナス金利を導入した日本と結果的に似たような状況が出てきている訳ですが、年金の持続可能性への懸念は日本だけの問題じゃないってことです。日本の場合は少子高齢化による年金会計のストレスと解説されがちですが、日本でも大元の原理は同じです。とかく言われる日本の年金制度は賦課方式だからってフレーズに騙されちゃいけません。年金関連法のどこにも賦課方式なんてフレーズはありません。単純に高金利時代の設計で運用利回りを過大に設定した結果、積み立て不足が起きたってことで、アメリカと同じなんです。日本の場合低金利が長期間続いたこともあり、運用利回り自体は見直されてますが、それでも4.1%ですから、日銀の金融政策もあって長期金利が0%程度の現状では逆ザヤは無くなりません。

で、GPIFの国内株式や外国証券投資というリスク資産運用を余儀なくされるわけですが、当然相伴逆回転による損失の可能性がありますし、少しばかり積立金が増えたところで給付が増える可能性はないってことも押さえておきましょう。現状積立金は制度存続のためのバッファとsての資本勘定として機能しているわけですから、無理に積み立て不足を解消しようとせず、寧ろ報酬比例部分の支給上限を設けることで基礎年金部分を保全するのが現実的です。積立金は既に取り崩しが行われており、換金が容易な日本国債はともかく、国内株式や外国証券などは市況によって損失が出ることは避けられません。まして投資規模から言ってもGPIFの売りは相場を押し下げて損卒を拡大します。運用利回りを現実的なレベルに下げることでリスク投資を減らすことが必要です。こういう本質的な議論を避けて年金改革は実現しません。

少子高齢化問題と年金問題のリンクを外せば解決策が見えてきますが、労働力不足の解消をどうするかって話でAIに飛び付く議論が安易になされる現状はやはり問題です。次の2つの記事をご覧ください。

自動運転の波、公共交通に 日の丸交通とZMPが実験  :日本経済新聞
JAL、想定超すAI効果 新システム躍進 今期一転増益も :日本経済新聞
東京で自動運転タクシーの実証実験が始まったって話ですが、バス・タクシーなど公共交通も求人難が深刻化してますが、同時にウーバーやリフトはどのライドシェア対策という側面もあります。個人的ンはギグエコノミーで雇用を圧迫するライドシェアには否定的な立場ですが、いずれ規制緩和で認められるなら先回りってことでしょうけど、この思惑は失敗確実でしょう。

自動運転でも2地点間の単純なシャトル運行ならば、現在の技術水準でも可能なんで、実際大手町―六本木間を4往復というものです。一応ドライバーは乗車していて緊急対応する形ですが、なんでいきなり東京のような大都会でこれやるかなあ。大都市の道路事情は複雑で、アイコンタクトが使えない無人自動運転には不向きです。加えて光源が多くセンサーがノイズを拾いやすい環境でもあります。欧州で実施されている6人乗り自動運転コーチを特定ゾーンで走らせるって方向性が正解なんです。これなら現行の技術で無理なく可能だし、より深刻な過疎地の公共交通問題への対応につながります。

他方ライドシェアは有償運行の記録データが大量に発生することが注目され、トヨタをはじめ世界の有力自動車メーカーが提携に走るわけです。実走行のデータが大量に得られれば、それを解析することで、様々な状況に対応した自動運転ソフトが組めるわけです。世界に技術トレンドを読み間違えているわけです。

もう1つのJALのニュースが示唆するのは、AIの活用法の在り方が示されていることです。破綻後の社内改革で運航部門が各便の予約状況に応じて機材の入れ替えを機動的に行い、空席を減らしつつ機械ロスを最小化する取り組みの結果、機材繰りの最適化という航空会社にとって重要なレベニューマネジメントの基礎データの蓄積がったから、死すt無効親なわせてAIを導入したら、需要の予約精度が上がって搭乗率が向上し収益を改善したものです。しかも座席単価の高いビジネスクラスを減らしてエコノミークラスを増やしたにも拘らず、安売りチケットを減らして増収につながったものです。AIの活用は元データの質に左右されるっている身も蓋もない話ですが、アメーバ経営の浸透故の成果と言えるでしょう。

加えてAIに限らず機械化全般当てはまりますが、並行処理によるマルチタスクの実現が、労働生産性の向上に寄与して1人当たりGDPの水準維持に有効です。そのためにはマルチタスクを可能にする環境整備、IT投資に留まらず、ビジネスプロセス全体の見直しが必要なんですが、日本のマネジメント層はこの分野は無能です。

てことでAIは社畜の置き換えにはならないし、PCやスマホと同じくITリテラシーの有無で差がつくって話です。もっと言えば処理速度で見れば低性能な自分の生身の脳の活用すらできていないでAI活用なんて夢のまた夢。日はまた沈むな。

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