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Monday, September 17, 2018

冗長性を高めて強靭化どころか脆弱化まっしぐら

今年は災害の当たり年なのでしょうか。近畿地震、西日本豪雨、猛暑、逆行台風、超大型台風に北海道の地震と息つく暇もありません。トピックはいろいろありますが、直近の2つに絞り込んで、関空の冠水と連絡橋損壊問題と、北海道電力の全系統停電(ブラックアウト)問題に絞ります。というわけでまずは関空から。

猛烈な南風 高潮を増幅 台風21号で関空が冠水 :日本経済新聞
強力な台風で中心気圧が低く海面を持ち上げている上、強い南西の風の影響で海面が寄せ上げられるために、記録的な高潮となった訳ですが、大阪湾は丁度南西に開いた地形ですから、南西風の影響を受けやすく、関空の位置はもろに高波を被る位置にある訳です。台風21号に関して言えば大阪市で3m29㎝、神戸市で2m33㎝を記録してますが、それだけ高波の影響を受けやすい位置に関空が立地していたことは指摘できます。

加えて埋立造成工事のときにも問題となった軟弱地盤問題による地盤沈下ですが、A滑走路で3m40㎝程度の沈下があり、一番低いところで海面から1m40㎝程度しかなく、高潮対策で堰堤の嵩上げはしているものの、航空法の制約もありいずれ限界に達します。不等沈下対策としてターミナルビル他の建屋の基礎にオイルジャッキが組み込まれていて地盤沈下に合わせて高さ調整されていることも知られています。

関空の構想段階で神戸沖案が有力だったことが思い出されます。実際に神戸市に打診されたものの、神戸市は大型船舶の航行に支障するという理由で断っております。その結果、都心から離れていてアクセスに課題がある上、漁業権の買収が必要な泉州沖に決まった経緯があります。加えて埋立工事中から軟弱地盤による地盤沈下に悩まされた訳です。南海トラフ地震の津波に対しても脆弱性があることは明らかです。

あくまでも結果論ですが、当時国際港湾として鳴らしていた神戸港も、釜山港などアジアのライバルの台頭で空洞化し、阪神大震災後、復興に必要として神戸空港建設を強引に進めた訳ですから、最初から関空を神戸沖に作っていればと思いたくなりますが、阪神大震災でポートアイランドなど神戸の埋立地で液状化現象がみられたように、震災で液状化して使えなかった可能性もあった訳で、良し悪しは簡単には決まりません。

寧ろ神戸空港ができたおかげで、連絡橋損傷の影響もあって全面復旧に時間がかかる関空の機能の一部代替が可能になります。関西3空港はコンセッション方式で運営会社が同じなのも幸いです。問題は国際線と貨物ですが、連絡橋の復旧までは貨物の扱い量は制限せざるを得ません。

連絡橋の損傷に関しては、8,000人もの人が取り残され孤立状態になったことが報じられました。神戸港の海上ルートと連絡橋の非損傷側の対面通行で対応したものの時間がかかりました。問題は足止めされた人たちの中に少なからず外国人がいたことです。彼らが帰国後にこの体験を周囲に語る訳で、中身次第で関空が忌避される可能性があります。LCCによってインバウンド需要を大阪にもたらした状況に変化をもたらす可能性はあります。

で、言いたいのは、この機に乗じてインフラの冗長性を言い立てる声があることです。無駄だとしてインフラ投資を抑制すれば、災害に対して脆弱になる、重複を厭わず新幹線も高速道路も空港も作って冗長性を高めるべきだって言うんですが、関空の現実を見ればそもそも大枚ははいて作った海上空港が脆弱だったってことの問題ウィスルーしてます。それと全国に張り巡らされた高速道路がJR在来線に与えたインパクトはかなり大きく、北海道や四国では会社存亡の危機にすら追い込まれてますが、それに留まらず東関東道の、アクアライン、館山道などの影響で房総地区の特急が淘汰された現実を見ると、首都圏と言えども影響大です。

これ他の要因として既存市街地に立地する特急停車駅周辺がシャッター通りになる一方、バイパスやインター周辺の商業集積が出現していて、高速バスはそうした郊外型のSCや道の駅に立ち寄って需要を拾っているという側面もあります。無秩序化インフラ投資の結果、地域の構造変化が起きて鉄道が取り残されてるわけです。やはりインフラ投資は過剰と評価せざるを得ません。

同時にインフラ投資は取捨選択が重要なんで、選択的投資によって相互補完を図ることは重要です。無駄な重複投資の抑制という観点から言えば、民主党政権が打ち出した高速道路無料化は評価されるべきです。北海道のブラックアウト問題でそれが見えてきます。

ブラックアウト3つの謎、問われる北電の説明責任  :日本経済新聞
3つの謎とは①苫東厚真2,4号機の停止後、一部地域王電を遮断して需給を調整する負荷遮断を行う筈。事実厚真町その他いくつかの地域で停電が報告されてますが、適切に行えばブラックアウトは防げた筈.。②2,4号機停止後、北本連携線を通じて本州から送電が開始されたにも拘らずブラックアウトを防げなかった。③苫東厚真2,4号機停止後17分間1号機の運転は続いたがブラックアウトと同時に停止。故に 1号機停止がブラックアウトの原因なのか結果なのかが不明。ということです。つまりブラックアウトの原因そのものは不明ってことです。

これもネットで泊原発が動いていれば防げたとか、安定供給のために再稼働すべきだという声がネットで吹き上がりましたが、そもそもブラックアウトの原因は不明ですし、ブラックアウト自体は電力需給のバラン頭が崩れて発電機に負荷がかかって50hzの安定したを辞できなくなり、それどころか発電機の損傷もあるので、安全装置が働いて停止したものですから、発電量の不足が原因じゃないってことが理解されてません。

加えて泊原発は活断層の存在が疑われて規制委の審査が滞っていて再稼働できない状況にあり、再稼働させるとすれば超法規的な政治判断が必要ですが、現政権にはリスクとなる判断です。寧ろ負荷遮断が中途半端だった原因として泊原発の外部電源喪失を過度に意識して中途半端な対応をした可能性すら疑われます。結果的に外部電源喪失で非常電源に切り替えられたわけで、余計な忖度でトラブルを拡大したのかもしれません。この辺は事実関係に基づく原因究明を徹底するしかありません。

仮に泊原発が動いていて、苫東厚真も1号機を休止していたとすれば、泊の2000万kwと苫東厚真2,4号機の130万kwで合計330万kwで、地震のあった夜間の需要が300万kw程度として、苫東厚真が自身で停止した状況を想定すると、過剰な30万kwは揚水発電所の揚水ポンプを動かして消化していたと思われますから、不足が100万kwで北本連携線からの給電が60万kwですから、苫東厚真1号機の35万kwと揚水発電所の発電開始でぎりぎりブラックアウトが回避された可能性はありますが、繰り返しますがブラックアウトの原因が不明である以上、断定はできません。泊原発稼働中のブラックアウトだとシビアアクシデントの危険すらあるわけです。

寧ろ昔から言われていたのが集中電源方式の送電システムの脆弱性でして、原発であれ大規模火力であれ、基幹電源としてフル稼働で効率性を追求し、出力調整は小規模火力や揚水発電で補うという考え方故に、その基幹電源が停止した時のリカバリーが困難になるわけです。これ電力会社にとっては利益の最大化になるわけですが、ライフラインを担う公益事業としてはあまりにリスキーです。欧州で自然エネルギーがブームになっている理由の1つは小規模発電を集成した分散電源方式の方が脆弱性が低いという考え方が浸透してきたこともあります。

加えて日本では日本では日本では欧州では国境を超えた広域連携が確立しており、電力の輸出入は日常的に行われています。日本では電力会社間の連携もあまりなく、北本連携線の容量も60万kwですから、泊にしろ苫東厚真にしろ基幹電源が停止した時のバックアップとしては心許ない限りです。これも直s津収益を生まないから後回しにされてきたからですが、この辺民営化後合理化で益出しに励んだJR北海道と共通の背景がありますね。

結局やみくもにインフラ投資をしても脆弱なインフラを増やすだけならば、寧ろ災害に弱い国土になるってことです。レジリエンスどころかフラジャイルになるわけです。インフラも分散投資と相互連携が問われます。

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