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Sunday, January 27, 2019

統計135°の歪み

ゴーン被告の保釈請求が退けられ、長期恐竜が続いてますが、未だに罪状が理解できません。金商法違反に問われた報酬偽装も会社法違反の特別背任罪とされた為替デリバティブの会社立て替え問題にしろ、東芝の数千億円規模の粉飾決算で誰も逮捕起訴されていないことと比べると些事です。寧ろトップの長期拘留で生産計画の下請けへの通知などの実務が滞っている現状の方が、遥かに投資家の不利益ですし会社に損失を与えてます。どう見ても裏があるとしか思えません。日経のこのコラムが興味深いところ。

ゴーン元会長が落ちたわな 編集委員 滝田 洋一 :日本経済新聞
特別背任とされた16億円ですが、日産の内規で報酬を日本円でしか受け取れないことから、銀行が提供する為替デリバティブを購入してリスクヘッジしていたところをリーマンショックによる円高が襲い、担保不足で追証を求められたのですが、ゴーン氏の証言から元々日産株式を証拠金代わりに差し出していたのが、日産株自体の減価で金額が膨らんだのが16億円ということです。約定日の日産株式1,400円が一時400円まで減価していた訳ですから、成る程追証の金額が跳ね上がり、ゴーン氏の個人マネーでは対応できなかった訳で、これ会社に損失を与える目的とは違います。実際立て替え分は返して日産には損失を与えていない訳ですし。同様のデリバティブ購入は当時銀行各行が企業経営者に猛烈に営業かけて売りまくったものでもあります。ゴーン氏は被害者の側面もある訳です。

一方日ロ平和条約締結交渉の膠着が報道されてますが、不思議なのは領土問題に煩い保守派から「2島引き渡しは現実的な落としどころ」という声が上がる一方、リベラル派から「領土ガー」の大合唱という捻れが起きています。個人的には誰得の領土問題で述べた通り、2島周辺のコンブやウニの漁業権が確立できれば大成功。加えて国境線確定後の経済交流に道筋をつけ、例えばロシア極東地域と日本の北海道を相互にピザ無し渡航できるようにすれば、当面は大成功と言えます。そもそもヤルタ・ポツダム体制の下でロシアが領土を渡す訳が無いんで。

他方で日韓関係が微妙になっております。こちらは軍事機密に触れるので、日韓双方共に全ての情報を公開しているわけではありません。こちらもヤルタ・ポツダム体制で日本は朝鮮国連軍(他国の撤退で事実上米軍とイコール)への後方支援が求められ、休戦中とはいえ戦時下にある韓国軍は朝鮮国連軍の指揮下にあります。つまり日本の自衛隊は朝鮮半島有事には韓国軍を助ける立場なんですが、外交問題化したことで場外乱闘の風情となっております。あくまでもテクニカルな問題なんですから、双方の現場同士で話し合って手打ちすれば終わってた話。外交問題化したのは日本の方なんで、徴用工裁判問題同様、日本政府が余計なことして拗らせた話ですね。

更に南北融和で有事が遠のいたことも、韓国側から日本との関係を取り繕う動機が無いってことですね。面白いのは日ロ関係と真逆の保守派とリベラル派の反応というのも何ともはや。結局保守派は日米同盟堅持、リベラル派は9条を守れで平行線の戦後レジームだけは健在という変われない国日本の思考停止状態は続きます。

そんな中で内政は政府統計の不正問題で揺れています。その酷さは前エントリーでも取り上げましたが、厚労省だけの問題じゃない点は重ねて指摘しておきます。背景には予算削減の煽りで人員の補充やシステムの構築ができなかったということはあるようですが、それだけじゃない複雑な事情もあります。これ毎月勤労統計に留まらず、政府統計全般に言えるんですが、かつて高度成長期は統計の不備やミスはさほど大事にならなかったのですが、7-9%とか年度によっては2桁とかって成長率だと、統計に多少の不具合があっても表には出にくいですが、成長率が1%を割っている現状ではちょっとした誤差で結果が様変わりするようになりますから、それが発覚につながったということで、2004年以前は正常だったことを意味しない訳です。つまり昔からこんなもんだった可能性がある訳です。

実際総務省が設置した統計委員会の西村委員長は、元々日銀マンで白川総裁時代の副総裁を務めた人ですが、それ故に政府統計の正確性に疑問を呈し現職にある訳ですが、元々の問題意識は金融緩和でデフレ脱却ができないことに対して、統計が実態を反映していない可能性を探求することでして、特にデジタル経済では音楽配信やシェアリングエコノミーなど、政府統計で捉えにくくなっていることから、正確な統計を求める立場だったんですが、調査の網に引っかかったのが厚労省の毎勤統計の不正だったという笑えない結果になったものです。

不正に手を染めた上、誤魔化すために数値を3倍にして2018年に賃金が跳ね上がったのみならず事業所のサンプルの入れ替えまで行われていました。理由は統計数値の段差を解消するために本来は遡って過去の年度も併せて数値を改定すべきところ、それをやると年度によって賃金が下がる年が出現してしまうという不都合な状況が発生するためとか。つまり低成長下で数値のゴマカシやったために矛盾が生じた訳です。ま、ここまやっといて意図的ではないとか組織的関与はないは通用しません。

真実に少しウソを混ぜるだけで意味が様変わりする典型です。他の統計数値とあまりに違う振舞いがあるため、ウソが発覚した訳で、実は毎勤統計以外の統計数値でも同様の疑惑はいろいろ指摘されてます。いっそ全てウソで固めれば矛盾はないでしょうし、全てウソなら逆を取れば真実が見えます。180°ならぬ135°のズレでアサッテの方向へずれる時空の歪みを生んじゃうんですね、笑えないけど。

ウソとは言えないけどいい加減な計画でとん挫しそうなのがこちら。

人工島アクセス、視界不良 25年に大阪万博 鉄道・道路とも未整備 :日本経済新聞
夢洲というのは大阪湾の一番沖合の埋立地で、アクセスが弱点ですが、道路も地下鉄もこれから作ろうっていう泥縄ぶり。実は来場者が上振れした場合のシミュレーションもできてないとか、ツッコミどころ満載の計画です。加えて軟弱地盤で建設工事の難航も予想されてます。これ関空と同様高潮や津波のリスクも大きい立地ですし、万が一会期中に被災して人が取り残されるなんて事態も予想されます。防災計画とか大丈夫か?民営化された地下鉄を伸ばして新駅と高層ビル作るって言ってるけど、地下鉄会社の経営も心配です。

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