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Saturday, January 19, 2019

ウソノミクス発覚

ひでーなー。政府統計のウソが発覚しました。

勤労統計調査ミス、長期放置か 復元加工は昨年分のみ  :日本経済新聞
厚労省の毎月勤労統計で、5~499人の事業所は無作為抽出によるサンプル調査ですが、500人以上の事業所では全数調査するところを、2004年以降東京都分の500人以上の1,400余りの事業所の内500事業所しか調査していなかったことが発覚したものです。

一般論として大規模事業所の方が賃金水準が高く、特に東京都は他地域より賃金水準が高い訳ですから、結果的に高賃金事業所が調査対象から外れて統計数値が過少に計上されていた訳です。同統計は雇用保険の失業給付の基準となるので、2004年以降の給付対象者延べ約2,000万人で530億円の過少給付となっていて、その修正のために閣議決定済みの19年度予算案を組み直す異例の事態となりました。

閑話休題。499人以下の事業所が無作為抽出によるサンプル調査なのは、数が多いことと数値のバラツキが多く異常値が混入する可能性があることと、統計調査への回答を行う事務処理能力が欠けるケースもあり、全数調査よりサンプル調査が適当です。逆に大規模事業所は事務処理能力の余裕もあり、毎月定例の調査ですから、ルーティン化できるし回答スキルも上がって正確な数値が期待できます。全数調査をしない理由は見当たらない訳です。

加えて同統計は政府のGDP算出や景気判断にも使われていた訳ですし、日銀の金融政策や民間企業も参照する重要な基幹統計だったからさあ大変。加えてOECDやILOへの報告にも使われますから、日本政府の国際的信用にも関わるものと、その影響範囲は甚大です。もう中国のこととやかく言えませんね。

しかも発覚の経緯が酷くて、数値を実態に近づけるために東京都分を3倍にする復元加工をした結果、18年度の賃金が不自然にハネ上がっておかしいと突っ込まれてバレたっていうんですからもう滅茶苦茶。厚労省といえば労基法改正でも裁量労働制の方が労働時間が短いとするウソのデータを国会に提出して大炎上したことが思い出されます。加えてこのエントリーで取り上げたこの記事も見てみましょう。

(真相深層)政府統計、信頼に揺らぎ GDPなど、日銀が精度に不信感 :日本経済新聞
ここでも毎日勤労統計への疑義が指摘されてますが、他にも指摘された統計データのおかしさがあります。厚労省叩いて済む問題じゃなく、他の統計も見直す必要があり、まだまだ影響は拡大すると予想されます。

2004年と言えば小泉政権で社会保障改革と称して年金保険料の毎年度のアップと給付制限の為のマクロ経済スライドの導入及び積立金の一部取り崩しを決めた年です。小泉政権では膨張する社会保障支出をプラス2,200億円以内に抑える歳出キャップをかけていて、失業給付に連動する毎月勤労統計を過少算出する動機は存在します。加えて派遣労働解禁に舵を切り、失業が増え非正規労働者が増えた時期とも符合しますから、失業給付の減額はその面からも求められます。そしてアベノミクスの成果を示したいと賃金の伸びが弱いことを突かれて復元加工とすれば、始まりも終わりも政治圧力の結果と見ることができます。将にアベノミクスならぬウソノミクスです。今月始まる通常国会はいきなり政局です。

かように日本の官僚機構は政治圧力に弱い存在で、よく「日本の官僚は優秀だ」と言われますが、どうもメッキが剥がれてきたようです。それが見えなかったのは単に公文書を残さないで情報を秘匿していたからというのが実際のようです。そして公文書管理の杜撰さ故にどうもろくな引継ぎが行われず、チグハグな対応になってしまうということですね。そしてそこへ付け込んで与党が政治圧力をかけて、ツケは国民へっていい加減にして欲しい(怒)。例えば整備新幹線。この仕組みも国鉄民営化で宙に浮く新幹線整備法を与党の圧力で延命させたものですが、それ故の矛盾も。例えばこのニュース。

東北新幹線、盛岡以北の高速化検討 JR東が騒音対策  :日本経済新聞
最高速320km/hのE5系が盛岡以北の整備新幹線区間で260km/hで運行していることに対して、国の線路使用料増額がネックなどといった議論がある訳ですが、変節黒田節で取り上げたように、整備新幹線が自社保有ではないことがネックであることは間違いありませんが、今回JR東日本が自前で投資するって話です。これの資金手当てですが、一つ心当たりがありまして、株式上場に備えてJR東日本が発議した新幹線譲渡代金のローンが17年3月に終わるってことです。

これJR東海が5.1兆円の負担を終えて余剰資金をリニアに注ぎ込むのと同じスキームですね。JR東日本の所謂1号債務は凡そ2,1兆円で、91年10月以来年1,000億円規模の債務償還が続いてきたんですが、18年3月でなくなる訳で、この部分のキャッシュフローが充当できるってことですね。これ大宮以南の最高速130km/h化や秋田新幹線の大規模改良などで投資を充実させていることとも符合します。

そして背景としてE5系の走行データが蓄積されてきたってこともあります。最高速260km/hとされる整備新幹線区間でも騒音対策を強化すればとりあえず320km/hまでは何とかなりそうという判断なんでしょう。減価償却されないインフラ部分は触らず、追加設備は自前で減価償却すれば、資金を回転させて継続的な設備改良に道が開けます。但し法的な所有者である国(鉄道・運輸機構)の同意は必要ですが、新幹線の財源探しに鵜の目鷹の目の与党政治家たちが横槍入れて線路使用料増額をねじ込む危険性はあります。北陸新幹線の大阪延伸や長崎新幹線のフル規格化などで財源探しに躍起となってますから。

そしてこのキャッシュフローの余剰を利益計上せずに設備投資に振り向けたJR東日本の判断は評価できます。利益を増やして法人税が増えるなら、投資へ回そうってのは民間企業として真っ当な判断です。やや蛇足ですが距離が長くスピ度アップ効果が見込める東北新幹線へは追加投資を厭わない一方、上越新幹線は最高速240km/hのままと選択と集中もされてます。この観点から言えば法人税減税が設備投資を促すって大ウソだってわかりますよね。ここにもウソノミクスです。ホント腹立つ!

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Comments

秋田新幹線の大規模改良は、こまち・はやぶさの併結運転をやめる代替案だと思っています。

今年からALFA-Xを用いて360km/hでの営業運転を目指した試験を実施予定ですが、今のところミニ新幹線タイプの製造予定はありません。
FASTECH360で360km/h運転を断念して320km/hに留まった大きな理由の1つがミニ新幹線車両(E6系)の開発でした。
逆に言えば、はやぶさ単独運転が前提であれば、費用対効果を考慮しても360km/h運転は実現可能なはずで、おそらくそれを確認するのがALFA-Xなのだろうと思います。

そうなると、こまちは320km/h運転のまま取り残されることになり、沿線自治体からの高速化の要望を見越して新仙岩トンネル建設という流れだと見ています。

Posted by: yamanotesen | Sunday, January 27, 2019 10:31 PM

なるほど、それはありそうですね。ミニ新幹線の在来線区間走行は新幹線上の高速運転とは相性が悪いですからね。

ただJR東日本の投資攻勢は明らかに対航空を意識したもので、本文で指摘した新幹線譲渡代金のローン終了で手元資金が出来たこととの関連は直ぐに気が付きましたが、360km/h化のハードルはそれでも高いと見ております。

但し国がスピードアップを口実に線路使用料の値上げとするとかしなければ、投資額は減価償却で還元されますから、時間をかけて360km/h化を試す見通しは立てられます。余計な政治介入が一番問題です。

Posted by: 走ルンです | Sunday, January 27, 2019 11:17 PM

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