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Sunday, February 03, 2019

円の切れ目

しつこいかもしれませんが、ゴーン逮捕劇から入ります。これ国際的に批判が高まっている長期拘留による人質司法問題と、日本企業の統治問題のエッセンスが詰まっていることなど、話題に事欠かないからです。尚、当ブログでは推定無罪原則に則っておりますので、別にゴーン氏を擁護しているわけではないことはお断りしておきます。その中で司法取引と長期拘留の関係を示唆する専門家の見解です。

ゴーン退場こうみる〉司法取引、透明性が課題 成城大学教授 指宿信氏 :日本経済新聞

日本版司法取引が行われたことも大きな論点ですが、現時点で司法取引の内容は公開されておらず、司法取引で収集された証拠類は公判で明らかいされるのを待つ必要があります。

 

ただし日本の刑事司法では検察が被告に有利な証拠は開示しないことが慣例となっており、全体像は見えません。そういう中で行われた司法取引の正当性をどう担保するかは実は抜けているので、検察による架空うストーリーも可能になり冤罪を助長しかねない危うさがあることは指摘できます。その上で今回の事件ですが、司法取引によって日産が検察にもたらした証拠が不十分なことが長期拘留につながっている可能性が指摘されてます。これネットで話題のTカード情報が恋情なしで任意に公開されていたこととも通底しますが、捜査当局に都合の良いストーリーに沿って証拠収集がされることを意味しますから、幾らでも犯罪ストーリーを捏造できる訳です。つまり誰もが明日被疑者になるか判らないってことです。

 

企業統治で問題なのは、日産の他の取締役は何してたんだって話です。取締役の役割は経営トップの独走を阻止することにあります。ゴーン氏の問題でも誰も止められなかったってことは、取締役としての職務を果たせていない、、もっと有体に言えば取締役の無能の証明であって、司直の手を借りるまでもない問題です。これも司法取引の中身が不明ですので、これしか方法がなかったという言い逃れは裏付けが取れません。ゴーン氏を追放してもこんなリーダーの下で日産の行く末は危ういと言えます。いっそルノーと統合した方がマシかも。

 

あと昨今増えている日本企業の外国人取締役の処遇問題としても見逃せない問題があります。ゴーン氏の為替デリバティブ問題はそもそも報酬が円建てでしか支払えない内規から派生している訳で、家族が海外生活している状態では為替リスクを負わなければならない訳ですが、その為替リスクを個人で負わなければならないのか?という点が必ずしも明確ではありません。逆に為替リスクを負ってまで日本企業の経営に関わる外国人がどれだけ居るでしょうか。これ日本人経営者の身分保障になってないか?

 

もう少し踏み込んで言えば、倒産の危機を救ったゴーン氏が負う為替リスクを日産が肩代わりすることもあり得たのではないか?あるいはゴーン氏が独裁者なら取締役会で機関決定することもあり得たのではないか?そうしていないということは、寧ろゴーン氏はだれにも相談できずに追い込まれていた可能性が指摘できます。

 

ゴーン氏が購入した為替デリバティブは、例えばドル円115円のときに110円でドルと交換できる権利を設定し、円安ドル高が進んでドル円130円になると失効するといった仕組みで、逆に円高になっても110円の交換レートは変わらず損失が雪だるま式に拡大して追証を求められるというもので、銀行が中小企業相手に売り込みかけてきたものです。

 

大手の下請けの中小企業にとっては、元請けからの値下げ要求の過酷さもさることながら、円安による輸入物価の上昇による原材料費の膨張も悩みの種です。そこへ日銀の緩和策で融資の利ザヤ稼ぎが難しくなり、企業は債務返済を優先して新規融資を控えることで、企業講座に積み上がった預金の膨張に悲鳴を上げていた銀行が、言葉巧みに売り込んだものです。

 

為替リスクをヘッジするとはいえ、円安が進めが失効し、逆に円高になれば証拠金不足で追証を求められるという商品設計ですから、リーマンショック時には相当数の中小企業が苦しんだ筈です。それをゴーン氏は個人で購入し、しかも証拠金として日産株式を差し入れていたために追証が膨張したことは前エントリーでも指摘しました。独裁でイエスマンで周りを固めたと言われますが、このように追い込まれた状況で誰にも相談できなかったってことは、ゴーン氏への権力集中がどれほどのものだったのか?日本人取締役は内心ゴーン氏を煙たがり打ち解けず、イエスマンを装いながら面従腹背してコッソリあら捜しをしていたとすれば、報道で明らかになった事実関係と矛盾しないストーリーを描けます。

 

そして林檎が落ちると円高になる状況は変わらず、銀行は融資で稼げない分為替デリバティブのようなアコギな商売で益出しに励みますが、それすらできない地方銀行は不動産融資に傾斜してスルガ銀行に代表される不正融資に走るという具合にバブル期をなぞります。明らかにバブル崩壊を匂わせる過剰流動性リスクですが、それもこれもアベノミクスの帰結です。そのアベノミクスもこんなんですが。

基幹統計でまた不適切調査 小売物価統計 店舗訪問せず  :日本経済新聞

統計を統括する総務省の不正ってことで、統計不正は留まるところを知りません。しかもデフレ脱却はアベノミクスの一丁目一番地だったはず。政策のkン間にもウソが混じり6年間何やってたんだい!こんな状態でホントにオリンピックやるのかい?てな訳でそのオリンピックの混乱を予想させるこのニュース。

五輪期間、首都高料金上乗せ 500~3000円検討  :日本経済新聞

これ2020の迷惑イベントとして人々の記憶に残り負のレガシーになります。鉄道は鉄道で混雑の助長が予想されます。皇位継承で10連休するなら、オリパラ期間中の長期休暇こそ考えるべきです。それでも休めない人は休めないんだけど、せめて休める人は休んで東京を離れるべし。しかしそこまでしなきゃならない五輪なんてホントやめとけ。

 

 

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