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Thursday, May 02, 2019

平静装い礼は要らん

10連休をいかがお過ごしでしょうか。元号フィーバーで浮かれるメディアのお陰で世界で起きていることの扱いが軽くなっていると感じられるところですが、元号が変わっても時代は1ミリも動かない一方、世界を揺るがすニュースはあります。

ベネズエラ、「クーデター」不発か 野党、大規模デモ再び呼びかけ (写真=AP) :日本経済新聞
米、イラン原油禁輸で適用除外を撤廃 中国は反発、輸入継続も (写真=ロイター) :日本経済新聞
内政が不安定化しているベネズエラでクーデター未遂ですが、ロシアがマドゥロ政権の支援を打ち出していて、丁度シリアと同じ構図になっています。違うのはアメリカがかなりあからさまに手を突っ込んでいる点です。

チャペス政権時代に油田を強引に国有化したことで外資が引き揚げた結果、油田の設備更新が滞り生産量が減っているのは確かですが、それに留まらず米銀との取引を制限する経済制裁により国内経済が壊滅的な打撃を受けたものです。原油取引が米ドル建てである故に、米銀との取引制限は事実上の輸出規制と同じです。石油輸出しか外貨獲得手段のないベネズエラにとっては致命的です。で、アメリカのメディア報道をなぞるだけの日本のメディア報道は最初から偏ってますから、それを踏まえて見ていく必要があります。その観点から、反政府勢力は軍隊を掌握できなかったってことですね。この辺も欧米が支援する自由シリア軍が劣勢なシリアと似ています。

そしてイラン制裁で日本を含む8ヶ国で猶予していたイラン原油輸入規制の猶予が2日で終了しました。日本はサウジやUAEからの輸入を増やしてイラン原油から切り替えましたが、中国は継続を表明し、インドやトルコも対応は不明です。加えてロシアもイランを後押ししてます。その結果ベネズエラ問題と相まって原油相場を押し上げると見られており、日本国内でもガソリン価格がジリジリ値上がりしています。ガソリン価格上昇は米トランプ政権にとってもマイナスなので、サウジなどOPEC諸国に増産を求めてますが、原油価格を上げたいOPEC諸国はイラン輸出分の肩代わりを超える増産はしたくない一方、非OPECのロシアなども減産方向で協調しているという石油を巡るねじれが起きています。

で、日本ですが、原油価格上昇は輸入物価上昇でただでさえさえない国内消費を確実に冷やします。しかも上がるのはガソリンだけじゃないってことですね。電気ガスなどのエネルギー価格はもちろん、工業製品全般にとってコストアップ要因ですし、農業もハウス栽培物のコストを上げますし、漁業も燃油価格上昇で確実にコストアップになります。これで10月の消費税増税が待ち受けるんですから、どう転んでも経済は停滞に向かいます。

しかも日銀の異次元緩和が続いている現状では追加緩和の余地は殆どありません。つまり経済が停滞しても打つ手がない訳ですね。この辺次の経済停滞を睨んで資産圧縮と利上げを粛々と進めてきた米FRBとは大違いです。そのFRBもトランプ大統領からのあからさまな圧力がかかってきてます。しかしパウエル議長は毅然としてます。

パウエルFRB議長、政治の意向「考慮せず」 (写真=ロイター) :日本経済新聞
この問題は市場関係者もトランプ大統領と同調していて、会見後に株式は失望売りを浴びせられましたが、パウエル議長は意に介してません。あくまでも中央銀行の独立性を維持する姿勢です。実はFRBの利上げで日米金利差から円安を期待していた日銀が一番困ってるとか。円安誘導という隠れミッションのために金融政策の自由度を失った訳で、金融のトリレンマから当然こうなるんですが。

それに留まらず日銀は株価指数連動投信(ETF)と不動産投信(REIT)の購入も大規模に行っており、遂にGPIFの保有高をも上回る水準が見えてきました。

日銀、日本株の最大株主に 来年末にも  :日本経済新聞
ETFは指数連動となるので値がさ株ほど多く組み入れられますから、個別企業で見れば既に日銀が筆頭株主になっていたりします。これつまり元々個人が買いにくい値がさ株が更に個人が買いにくくなるということで、寧ろ個人の株式投資を遠ざけます。加えて上場ETFの7-8割が日銀とGPIFの保有ですから、手数料が安く個人向けと言われるETFが却って個人の買い難さをもたらすという矛盾もあります。

ここで若い人にヒントですが、iDeCoや積立NISAで金融機関からETFを勧められたら、日銀やGPIFが保有してるかどうか尋ねて、回避しましょう。そしてETFに組み込まれていないバリュー株を見つけて投資しましょう。日銀やGPIFが保有するETFは将来売りに出されて必ず値下がりします。みすみす損するとわかっているものには手を出さないことが大事です。逆にETFに組み込まれていない銘柄はかなり高い確率で安値で放置されてますから、事業内容を見極めて投資する妙味があります。但し自分の知識としてその業界に関する詳細な情報が得られていることが大事です。分からないものには手を出さない慎重さは投資家として必須の資質です。鉄ちゃんならば鉄道株はありでしょう。

とはいえ昨今のインバウンド景気で既に値上がりしていると見られますので、鉄道株に関しては今が買い時かと言えばやや疑問です。加えてMaaSで将来も見通しにくいところがあります。MaaSに関しては欧州で既に始まってますが、欧州の場合都市交通分野で運輸連合方式による共通運賃制が実現していることで、運輸連合がそのままMaaSのプラットフォームに使える状況があることが指摘できます。この点は日本は全くと言っていいほど遅れています。せめて東京の2つの地下鉄の共通運賃化ぐらいはすぐにでも検討を始めるべきでしょう。

てなわけで平成の枠組みから1歩も抜け出せない令和にいきなりイラン原油輸入が止まり原油価格上昇で国内消費を冷やす訳です。タイトルはダジャレでわない(汗)。

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