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Sunday, August 25, 2019

誤算だらけ

イトーヨーカドー創業者の伊藤正敏氏が思い付きで「セブンイレブン各店に銀行ATMを置けば便利で喜ばれるんじゃないか」と言ったことを耳にしたセブン-イレブン・ジャパン(SEJ)トップの鈴木敏文氏は、俄かに険しい表情になり「そんな強盗を呼び寄せるようなことをやりたければ、俺を頸にしてからにしろ!」と凄んだというエピソードがあります。

若い人には違和感があるでしょうけど、後にセブン銀行で銀行業に参入しセブンイレブン各店にATMを置いた訳で、しかも銀行業参入は社内で猛反対されながら鈴木氏が強行したんですから、宗旨替え?まさか中の人が入れ替わった?(笑)という疑問は当然ですね。種明かしすればかつて護送船団行政で事実上新規参入が不可能だったのが、バブル期に積み上げた不良債権の処理が進まず拓銀破綻などの金融危機を招いたことと、大蔵省の不祥事もあって財金分離で銀行行政が金融監督庁(後の金融庁)に切り出され、競争促進の意味もあって参入規制が緩和されたことによります。加えて店舗のセキュリティ体制が強化されたこともあります。

鈴木氏はSEJの事業を「変化対応業」述べておりましたが、将にそれを実践レベルでやってのけた訳です。故にヨーカドーの子会社でスタートした時から、固定観念を持ったグループからの人材を受け入れず、中途採用者も流通以外の他業種から選考し、新しい事業として育成してきた訳です。その中でPOSシステムの導入やタブレット型ハンディターミナル電子発注システムなど、他社にまで波及した様々なものの先鞭をつけた訳です。

銀行業については、護送船団時代はATMは銀行の資産で店舗はスペースを提供して賃料を得るだけでしたし、他行カードの共通利用も限られていたし、そもそも利用実績が問われますから、簡単に設置できる代物ではなかった訳です。それが自前で銀行業に参入して、しかも規制緩和で事業の自由度が増したこともあり、他行口座の入出金で銀行間の手数料収入を柱にするという新しいビジネスモデルを作り上げました。フルセットの銀行機能を持たないナローバンクであり、加えて加盟店の売上金送金に利用することで、現金補充を減らせますから、コストのかかる現金輸送を減らせる訳です。

7payの蹉跌を見ると、こうした鈴木氏の強烈なビジネスマインドは継承されていないことが見て取れます。実際SEJ社員の中には今回の件を「ホールディングスの問題でしょ」と他人事だったりします。こんなニュースがそれを裏付けます。

「また余計な仕事が」 嘆きのセブン加盟店(ルポ迫真)  :日本経済新聞
7payの終了を知らせるチラシを加盟店のマルチコピー機に通信で送って、それを店舗で印刷して掲示するという手際の良い対応をした訳ですが、そもそも「余計な仕事」だった訳で、IT化システム化して余計なことしているってのは、他の日本企業にも多数見られます。残念ながら。生産性が上がらない訳です。

ゴーン氏を追い出してグダグダになってる日産自動車も同様ですね。ゴーン氏は新興国市場の成長性を取り込むために、世界規模で生産拠点を配置して体制を固めたんですが、日本とアメリカの市場が他の国産メーカーと比べて弱く、販売奨励金頼みから抜け出せなかったんですが、様々な証言からゴーン氏がルノーのCEOに就任してからの変化が大きかったと言います。

ゴーン氏が日産にもたらしたものとして日経ビジネスの記事で取り上げたのが、クロスファンクショナルチーム、コミットメント、ダイバーシティであり、また新車開発責任者としてプログラムダイレクター(PD)という職制を設けたことなどを指摘しましたが、これ実は全て会議体の改革として一連のものです。

日産リバイバルプランで各セクションから代表者を集めて問題点を抽出したクロスファンクショナルチームでは、ファシリテーターを置いて中立的な議事進行を行うことで、安心して問題点を出し合うことが可能になり、お互いの誤解も解けて解決策が共有されました。それに伴って各セクションに降ろす数値目標も共有された訳で、これがコミットメント(数値目標)ですが、トップダウンの数値目標ではなく、チームのメンバーで共有された共通のゴールイメージでした。そしてダイバーシティはセクションの代表者を選ぶ時に、男性女性や年齢、社歴など、可能な限り多様性を持たせることで、ありがちな中年男性社員だけの会議にしない工夫だったってことです。

日産リバイバルプランでの実績に基づいて、大胆な会議体改革が行われた訳で、その結果、例えば新車開発であれば、従来は商品企画部門だ稟議書を起こしてハンコ集めしていたという非効率な仕組みで、しかも回議過程で回議者の追加意見が積み上がって、当初のコンセプトがぼやけてよくわからない車に仕上がるという悪弊を脱せずにいましたが、新車開発プロセスに責任を負うPDを指名し、開発コンセプトやアジェンダを決めて関連セクションから集めたチームで議論するスタイルに変わりました。その際に指名されたファシリテーターが中立の立場で会議を進行
し意思決定賢者のPDは離籍するという日産スタイルを確立します。つまりゴーン改革は日産の潜在力を引き出すためにロジカルに組み立てられたものだったんですね。

しかしゴーン氏がルノーCEOに就任した頃から、フランス政府との摩擦に直面し、ゴーン氏の日産へのコミットが薄まります。そのゴーン氏に指名された志賀氏にしろ西川氏にしろ、ゴーン氏ほどの強靭なビジネスマインドを持ち合わせていなかったようで、結局実績を上げられず日産を低迷させます。気の毒なのは系列ディーラーですが、今や三菱自動車から供給される軽自動車の販売で繋いでいる状況で、これも三菱自動車の買収を電撃的に決めたゴーン氏の決断が助けている訳です。ルノーからの圧力に対抗する日産のルノー株買い増しなどを盛り込んでフランス政府から日産を守ったのもゴーン氏です。

てな訳で、中興の祖とも言うべきトップを追い出したという意味で7%iと日産は共通してますが、販売不振が止まらない日産は99%減益の体たらくで、製造拠点の見直しを余儀なくされますが、整理対象は主に人件費の安い新興国中心で、人件費の高い日米拠点は温存されます。つまりリストラしても日産リバイバルプランのときのようなV字回復は望めないでしょう。加えて米中摩擦で中国市場が冷え込んできている上、アメリカ景気も失速気味。日本も消費税増税を控えながら駆け込みが起きていないなど逆風です。ノートe-POWERのような車を生み出せる力のある日差の潜在力を活かせずに沈むのは悲しいですね。

その日産自動車グローバル本社のある横浜で騒ぎが起きました。

横浜市がIR誘致へ 山下ふ頭を候補地に  :日本経済新聞
市民の反対が根強いカジノ誘致を選挙のときには「白紙」として言及せず、今になってこうして有権者を裏切るって、辺野古移転反対を掲げて当選して一転容認した沖縄県の仲井間知事をはじめ枚挙に暇がありませんが、そもそもカジノが儲かると考えている時点で愚かです。一応富裕層のインバウンド需要狙いとされてますが、カジノがあれば富裕層が来てくれる訳じゃないのは、世界の富裕層が集まるスイスのサンモリッツにカジノが無いことで明らかでしょう。

カジノの経済効果って結局限られたエリアで解禁されるから人が集まり集積ができるってもので、その結果周辺のヒトモノカネを引き寄せて周辺を窮乏化させるものですし、加えて治安の悪化という外部不経済をもたらします。つまり周辺を含めた地域に根付いた市民生活や文化を破壊するだけです。

また本当に経済効果があるのなら、寧ろ人口密集地から距離を置いた場所に置いて地域活性化するならまだわかりますが、既に人口密集地である首都圏に立地する意味はこの面からもありません。その意味では長崎(ハウステンボス)に置く方が合理的です。クルーズ船も寄港できますし。ただしクルーズ船の乗客が爆買いしている中国人だったりしますから、本当に富裕層が来てくれる保証はありませんが。

横浜繋がりでこのニュースを取り上げます。

相鉄・JR東、直通運転の概要発表 全列車新宿方面に  :日本経済新聞
11月1日開業予定の相鉄都心直通線の運航計画の概要が発表されました。具体的なダイヤは未定ですが、今わかっている範囲では新宿―海老名間が基本で朝ラッシュ時の一部列車は大宮方面へ直通。1日46往復92本で朝ラッシュ時上りは1時間4本。種別は特急と各停。分岐駅の西谷は新たに特急と快速が停車。漁ラッシュ時各停のみだったいずみ野線で新たに通勤特急を設定し二俣川で新宿方面の直通列車と接続といったところです。

相鉄12000系はJR東日本E233系7000番台と同性能でJR東日本もE233系7000番台を1本増備しており、新宿折り返し基本となるから運用増ってことだと思います。但し朝ラッシュ時は新宿駅の在線時間を通りれないってことでしょう。故に相鉄12000系も埼京線の無線式保安装置ATACSを搭載されてます。

東急との直通時には1時間最大10本で、東横線へ4本巡路線へ6本の配分となり、目黒線、東京メトロ南北線、都営三田線は編成を8連に増強されるということで、個別ルート毎の本数は少ないものの、特に海老名は始発駅でY着席狙いが可能なので、既に海老名駅周辺の地価は20%程度上がっているようです。限界都市川崎で指摘した通り、折角の直通列車増発でも、武蔵小杉には満員でやってきます。武蔵小杉駅利用者には誤算ですね。

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