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Saturday, December 14, 2019

これから始まるBrexit

米中雪解けと英総選挙での保守党単独過半数を好感して世界的に株価が上昇してます。これ冷静に見ればアメリカが勝手にいちゃもんつけて喧嘩売っといて「今のなし」って話ですから、単なる材料にされてるだけです。そんな中で中国でのiPhone販売不振のアップルと737MAXの安全問題で中国の緊急輸入の恩恵を受けられないボーイングは蚊帳の外。香港人権法の大統領署名で揉めるんじゃないかと言われましたが、実際は運用次第であって、抜かずの伝家の宝刀の意味です。中国も面子上内政干渉を言い立てますが、通商交渉で実を取るのは既定路線。つまり株高はご祝儀相場以上の意味はありません。

一方のBrexitはこれからが本番。EUの譲歩を引き出したジョンソン首相の思惑通りの展開ですが、関連法を成立させなければ1月末の強硬離脱の可能性は残っています。加えで北アイルランドの扱いは今後の対EU通商交渉と4年毎の北アイルランド住民の意思確認に委ねられますから、具体策はこれから決めるって話です。この辺資本主義と民主主義エントリーで指摘しましたが、メイ前首相が火だるまになりながら取りまとめたEU離脱案を下敷きにしながらの課題解決という、ある意味歩きながら考える英国流の民主主義が機能した結果です。

こうなることは予想してましたが、最大の理由は英国の政府や議会が本気で課題解決に取り組んだ一方、EU側は英国への厳しい態度を示す一方、Brexit撤回を期待するなど、英国民から見れば責任逃れにしか見えない態度に終始しました。だからとにかく前へ進もうというジョンソン首相の呼びかけが効いた訳です。ここまでの混乱で英国民も経済的には厳しい状況を理解していると思いますが、ある意味EUに愛想をつかした訳です。

こうなると英EU通商交渉も英国が強気に出られる一方、強硬派の仏マクロン大統領に対してドイツは醒めてるし、イタリアその他多くの国で反EUの世論が抑えきれない現状では、EUがまともに対応できるとも思えません。EU各国にはギリシャ危機のときの生々しい記憶もあり、まとまりを欠いたまま交渉に臨む訳ですから、かなり高い確率で英国に押し込まれると見ます。

一方スコットランドの独立問題などで英国が連合王国の現体制を維持できずに解体されるんじゃないかという人がいますが、元々英国は国内バラバラで、スコットランドは昔からイングランドへの対抗心が強いし、イングランドでもロンドンの金融街シティはエリザベス女王も許可を得なければ入れないという独立性の強いエリアで、丁度中国と香港の関係のような断絶があり、イングランドのはずれの田舎では、ロンドンは嫌悪や蔑みの対象ですらあります。

仮にスコットランドが独立してEUに加盟するとすれば、スコットランドとイングランドとの間に国境線を引く必要があるため、結局これアイルランドと北アイルランドの関係をブリテン島に持ち込むだけで、混乱に輪をかけるだけですね。実現可能性はほぼ皆無でしょう。様々な矛盾を抱えながら前へ進む英国流民主主義は強固です。

それより深刻なのは日本です。例えばこのニュース。

増税後の景気見通せず 10~12月は下げ公算:日本経済新聞
統計の胡麻化しなんかするから、今景気が良いのか悪いのか判断できなくなってます。実態は相当悪いんですが、昨年秋ごろにはピークアウトしていたと見れば、統計を化粧してよく見せていたけど、誤魔化し切れなくなったってのが現実です。特に貿易統計で顕著に表れてますが、ここのところ輸出が減少してますが、それ以上に輸入が減って結果の貿易黒字を計上してますが、輸入の減少は内需の弱さの証拠で誤魔化しようがありません。これ消費増税の前後とも変わらぬトレンドです。貿本主義も民主主義もダメなニッポン-_-;。更にダメダメなこのニュース。
与党税制改正大綱の要旨:日本経済新聞
ベンチャーを騙る反社会的勢力が企業を食い物にする税制、展望なき5G投資、そもそもこれらが何故デフレ脱却になるのか?OECDでデジタル課税が話し合われている現状で、どこ向いてんだか。ま、標的とされるグローバル企業に日本企業が入っていないから他人事なんでしょう。私的年金やNISAの見直しも結構なんだけど、これ結局公的年金への国民の不安の解消とセットでなければ意味がない。納税手続きの電子化ってマイナンバーカードの強制を含む普及促進ですが、セキュリティへの不安解消が前提です。ま、細部はいろいろありますが、これで経済成長できる根拠がわかりません。

加えて言えば、水害に見舞われた今年、温暖化の影響は明らかなのに、炭素税の導入などは議論されず、欧米との意識のギャップは救いがたいところ。3度目の化石賞と相成りました。これ繰り返しになりますが、原発と石炭火力を前提とした大規模電源主義を見直せない以上仕方ないところです。グレタ・トゥンベリさんに叱ってもらいましょう^_^;。

そのグレタさんが流行らせた「飛び恥」。これうまく使えば鉄道復権につながるんだけど。例えばJR北海道問題ですが、丘珠発着便を廃止して鉄道輸送に切り替えるのに使えそうです。JR北海道の都市間列車を北海道エアシステム(HAC)のコードシェア便として運行するといった方法を何故北海道は考えないのか?あるいは都市間バスの運行事業者とコードシェアするとかですが、そのための環境整備として道と関連自治体が出資して線路保有機関を設置するとかですね。

JR北海道には鉄道施設を現物出資させてオフバランス化して経営の負担を軽減する一方、低金利でほとんど機能しない経営安定基金は線路保有機関への国(鉄道・運輸機構)の出資分として保守と設備更新と投資の基金にするといったことですが、鈴木道知事は利用促進以外での自治体負担を求めないとしてiいます。やっぱりJR北海道潰して経営安定基金を長崎新幹線に回すつもり?英国流オープンアクセスを試すなら北海道なんですがね。

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