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Sunday, February 16, 2020

貧テック鈍テック

新型肺炎問題での日本政府の対応に内外から疑問が突き付けられております。無意味な水際作戦は所詮政権のパフォーマンスに過ぎず、結果的に国内感染がジワジワ拡がっていて死者まで出ています。しかも該当の神奈川県の80代女性は不調を訴えながら渡航歴がないことを理由にウイルス検査は行われていなかったとか、国立感染症研究所の人手と予算の制約から1日300人しか検査できないそうですが嘘っぱちです。SARSの時のように民間製薬会社提供の検査キットを配布して対応すれば簡単に能力を増やせるのに、金の出し惜しみをしているんですね。

前エントリーの時点より多くの情報が明らかになり、政府の対応に内外から批判の声が上がっております。既に日本は感染地域とされて渡航制限を課す国も現れましたし、ダイヤモンドプリンセス号の対応の迷走に業を煮やしたアメリカは、乗船中のアメリカ人の帰国のためにチャーター便を仕立てており、流石に日本政府も対応を見直さざるを得なくなりました。感染症対策はれっきとした安全保障問題であり、グローバル化でいつ起きてもおかしくない状況なのに、まともな対応ができないってのは、これまでも山梨の豪雪、熊本地震、西日本豪雨、昨年の台風などいずれも初動の失敗で対応が後手に回った訳ですが、安倍政権はよほど危機管理が苦手らしいです。これ非常時のロジステイックス問題ですから、9条を改正して軍隊を持っても、まともに動かせず負け戦必至です。

東京オリパラに関してはおそらくIOCが中止を判断することはないでしょうけど、感染が収束しなければ無観客試合となる可能性はあります。米NOBCの放映軽量が入ればIOCは潤いますが、開催コストを負担する東京都は大赤字で何のためのオリパラか?それがどうも変な感じに。

新潟・南魚沼で少雪、五輪の暑さ対策ピンチ:日本経済新聞
問題視される東京オリパラの暑さ対策として豪雪地帯の南魚沼の雪を使う計画が暖冬による雪不足で狂いが生じています。何だかどんどん漫画チックになっているような気が\_^;。

一方前エントリーで指摘したように、中国では既にウイーチャットを用いた遠隔診療が行われているとか。これを実現するためにはおびただしい数の画像サンプルをAIに学習させる必要がありますが、医師会の反対で電子カルテによる診療データ共有すらできない日本のなんと遅れていることか。新型肺炎のような感染症診療は特に感染者と医師の接触が避けられるだけに重要です。これガラパゴス・スモールブラザーズに加えたいですね。加えて後れを取っているのは対中国だけじゃありません。

英フィンテック、手数料変革迫る 送金・外貨両替で:日本経済新聞
英国がBrexitで強気な理由の1つがこれです。元々大手銀行の寡占で手数料がバカ高かった英国では、国の法律で銀行にフィンテック企業へのAPI公開を義務付けたことで、フィンテックで世界をリードしています。API公開とは、銀行が保有する決済などのシステムへのアクセス制限を課しているため、フィンテック企業はユーザーの委託で口座へアクセスするのにユーザーからパスワードの通知を受けて行う訳ですが、当然セキュリティが甘いとハックされて外部流出して結果的に不正アクセスにつながる訳ですが、フィンテック企業に直接アクセス権を与えて限定的にユーザーの代理人としての権限を与えれば、問題を回避できます。ユーザーは銀行窓口へ出向くことなく振り込みや海外送金などのサービスを受けられ、競争環境で手数料も割安になるということになります。

ただしこれマイナス金利で青息吐息の日本の銀行はなかなかAPI公開を認めず、国内フィンテック企業が育ちません。そこへ英国フィンテック企業が黒船として襲来するって話です。ただしガラパゴス・スモールブラザーズで指摘したNTTデータの通信網の独占問題が絡みますので、簡単ではありませんが、公正取引委員会が調査を始めており、結果如何では風穴が開く可能性はあります。

そのときに力を持った英国勢に国内フィンテック企業た太刀打ちできるかって問題はあります。またやむを得ない部分ですが、COBOLで記述された基幹業務システムを維持改良しながらセキュリティ対策を取る銀行システムの維持費が高止まりしていることも問題なんですが、さりとてコストダウンのためにクラウドに乗り換えることが簡単にできない悩みもありますし、みずほのシステム統合でトラブったように、特に経営統合機運が強まる地方銀行にとっては頭の痛い問題です。で、基幹業務システム問題は実はJRにも頭の痛い問題でもあります。

タッチしやすい改札機 JR東、新宿駅などで実証実験:日本経済新聞
JR東日本が首都圏で自動改札機を本格導入したのが1990年ですが、この時点でSuicaの開発計画が進行中だったこともあり、10年後をめどにSuica対応機が開発され予定通り更新されました。2010年にはマイナーチェンジ版の現行モデルに交換されてはや10年。次世代モデルを新宿と高輪ゲートウエイ駅で試験導入してテストを行うというものです。

目玉はQRコード読み取り装置を装備してQRコード決済のテストを行うものですが、Felicaシステムはコイルによる電磁誘導の仕組みを使って無電源で瞬時に読み取りが可能なのに対し、QRコードは光学的に読み取って変換する関係で動作に遅延が生じるため、特に混雑する首都圏の駅では動作に問題がないかどうかを慎重に見極める必要があります。加えてユーザーがスマホを操作してアプリを立ち上げる必要があり、混雑する駅で混乱しないかも見極める必要があります。ただしSuicaであれQRコードであれ、固有のID番号を読み取って処理する部分に違いはありません。

とするとQRコード導入の意図は何かってことになりますが、1つは将来的に磁気券の廃止を視野に入れているのでしょう。既に航空の搭乗口では搭乗券をスマホへダウンルードするか紙にQRコードを印刷してゲートの読み取り口にかざす形になっており磁気券の搭乗券は過去のものになっています。となると駅の自動券売機が空港の自動チェックイン機のような形になってユーザーのスマホにダウンロードされる形が考えられます。メリットとしては情報量を盛り込めますから新幹線を含む特急券などとのセット券も簡単に対応できますから、Suicaより汎用性が高まります。

2つ目はローカル線のチケットレス化が低コストで可能になる点でしょうか。ローカル線の場合首都圏のような混雑はあまり考える必要がなく、また読み取り機とクラウドで簡単にシステムが構築できるなどコスト面で有利ということもあります。ただしこれはSuicaの裏側で動く鉄道の基幹業務システムとは異質のシステムなので、ローカル私鉄が単独で導入するならともかく、JRが導入する場合は現行の基幹業務システムとの整合性が問われることになります。JRにとっては構築してきた基幹業務システムを簡単に変更できないだけに、悩みの種になるでしょう。

一方、MaaSを視野に入れると、戸口から駅、駅から戸口のラストマイル輸送との連携でSuica対応はコスト面で課題がありますから、それを睨むとQRコードシステムに優位性がある訳で、両者をどう繋ぐかは大きな課題です。銀行とフィンテックの関係に似た構図が見えてきます。

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