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Sunday, March 08, 2020

グローバルコロナショック

アジア中心だった新型肺炎COVID-19が欧米に飛び火しています。欧州ではイタリアで感染拡大し、徐々に他国へ広がっていますし、アメリカでも感染が拡大し、世界規模の感染症となった感があります。

世界史的には感染症が歴史を変えた事例は多数あり、中世欧州のペスト禍はもちろん、スペインの新大陸植民地化では旧大陸住民には免疫があった天然痘の新大陸住民への感染拡大がもたらしたと言われます。とすると湖北省を除いて感染者の減少が見られ、免疫獲得が推定されるる中国が勝者になるのかなあ?

そんな河北省を除く中国を韓国と共に新たに入国制限を課した日本の対応はズレまくりです。しかも第三国経由は本人の自己申告で制限という意味のない水際作戦で、喜ぶのはネトウヨぐらいのもんです。これも臨時休校要請と共にエビデンスに基づかない官邸の独断だってことで、どこまでアホなんだ。

大変なのは主婦でして、臨時休校の子供とテレワークで在宅勤務になったダンナの世話をしなきゃならなくなって大忙し。専業主婦ならまだしも看護師、介護士、保育士などで出勤が難しくなって病院や介護施設や保育園が人手不足で回らなくなったり、また学校は休みだけど学童保育は実施されていて、しかも放課後限定から全日となり人手が足りないと学校の先生も駆り出される事態になり、こうなると休校とはいえ授業をやらないだけで、しかも特定の教室にすし詰めで濃厚接触を助長するという笑えない事態になっています。

病院での院内感染防止は確かに大きな課題ですが、それを理由に検査体制の拡大に反対するってのはどうかしてます。受付や病室を分けるとか受付時間や診察時間をずらすなどの可能な対応を取った上で、街のクリニックでも検査できるようにするなど可能なことはあります。また介護士の人手不足は高齢者の多い介護現場での感染拡大を助長する恐れがあります。施設に預けた高齢者を引き取って一家で感染とかあり得ます。

テレワークがまた問題でして、今までは掛け声だけで進んでいなかっただけに、急にテレワークが増えてビデオ会議やろうとしたらトラフィックの急増で繋がらないトラブルが多発という笑えない現実があります。何事も準備が大事なのは政府に限らずです。一方、ビデオ会議アプリの米ズームはコロナショックによる株安の中で株価を上げてますし、物事は備えが大事だと改めて気づかされます。そして政府は余計なことはせず必要な資金を予算化するのが最大の役割です。その意味で注目するのがこのニュースです。

公共事業、人手不足で滞る 入札不成立4年連続増へ:日本経済新聞
人手不足で公共事業の執行が滞っていて、現在18年度補正予算の執行に目途がついて19年度本予算上期分の入札が始まったものの入札不調続きで執行が滞る流れですが、つまり予算の計上と執行がほぼ1年ズレている訳です。これつまり予算上の事業年度を執行の実態に合わせてズラせばほぼ1年分の資金が捻出できる訳で、その規模は6兆円超となります。これ全部でなくても、民間検査機関や大学まで動員してPCR検査の拡大の体制を作ることは可能でしょう。ま、地元に公共事業引っ張って有権者にアピールするのが仕事と勘違いしている政治家はやりたくないでしょうけど。

こんな状況で東京五輪が重荷になっていることは度々指摘してきましたが、その五輪にも暗雲が漂います。COVID-19の世界への拡大は当然五輪開催の可否を左右します。既にIOCとWTOのビデオ会議で東京五輪の無観客開催が議論されたそうで、貧テック貪テックで予想したような事態になってきてます。そうなると臨時休校要請やイベント自粛要請までして開催にまい進する日本政府は、非常事態宣言を可能とする新特措法と相まって、国民を押さえつけて戒厳令下の五輪という歴史に汚点を残しそうです。

マーケットも異変が起きています。株価の下落に対しては、日によって戻したりはしてますが、乱高下で下げ基調という荒れた状況ですが、これまで金融当局の緩和期待で起きていた低金利下の株高が変調を来してFRBの緊急利下げにもほとんど反応しませんでした。所謂適温相場が終わった訳で、リーマンショックを上回る経済ショックはいよいよ現実のものになりそうです。

しかもコロナショックでは主に航空や自動車などの下げが主体ですが、裏にもっと重大な問題が潜んでいます。それを示すのがこのニュース。

OPECプラス決裂、背後にサウジ皇太子の指令? 客員編集委員 脇祐三:日本経済新聞
これ当面原油安が続くってことですが、この点がリーマンショックの時と大違いなんですね。

リーマンショックの時はアメリカを起点にショックが波及しましたが、成長途上にあった中国を筆頭とする新興国経済は好調だった訳で、石油需要の先高観から原油価格は一時1バレル140ドルまで上がりました。それが結果的に欧米のエネルギー関連企業の株価を下支えし、米株式の早い回復を実現した訳ですが、今回はその中国経済にブレーキがかかって原油価格も60ドル前後から40ドル近くまで下がった訳ですから、事情が異なります。

中国に限らず例えば中東の産油国でも石油精製や石油化学工業の国内立地が進んでます。つまり工業立地の世界への拡散が進んで新たなフロンティアが見当たらない状況にある訳です。加えて欧州中心に再生可能エネルギーの普及もあって、基礎的な需要の将来的な縮小が見込まれる一方、米シェール革命で供給力は増えているという四面楚歌状況ってことです。謂わば逆オイルショックってことですね。余談ですが150万バレルの減産目標の内50万バレルをロシアに割り当てると独断で決めてロシアの怒りを買ったサウジ皇太子ですが、どっかの国の愚鈍なリーダーと似ています。

そしてグローバリゼーションと共に世界に拡散した新自由主義ですが、その流れに逆行するような動きが日本で起きました。

北神急行線と市営地下鉄との一体的運行(市営化)について:神戸市交通局
北神急行電鉄の経営不振は以前にも取り上げましたが、2008年時点では高運賃対策として上下分離して神戸高速鉄道を第三種事業者として北神は第二種事業者となって資産圧縮を図り、神戸高速が当時三セクだったこともあって固定資産全減免対象だったので、線路使用料負担を軽くした上で、神戸市と兵庫県の補助金で運賃を430円から350円に下げた訳ですが、それでも三宮へは市営地下鉄との運賃合算となり550円となる訳で、割高であることに変わりはありませんでした。

更に状況は変わり第三種事業者の神戸高速鉄道の神戸市の持ち分が圧縮され阪急阪神HDに譲渡されて関連会社となったことで上下分離の意義が薄れたこともあり、北神は阪急阪神HDのお荷物であり続けました。そこへ神戸市が2018年に北神の運賃低廉化の検討について協議を開始し、翌19年に資産譲渡の申し入れを行い、阪急阪神HDも三宮地区の活性化に資するとして応じたものです。しかも北神の認可運賃を捨てて神戸市営地下鉄と一体の運賃制度とすることで、三宮まで280円とほぼ半減の水準まで下げます。

加えてバス乗り継ぎの定期券割引制度を拡充し、谷上駅―神戸北町間に市バス路線を新設するということですから、従来新神戸トンネル経由で運行されていた三宮駅―神戸北町間の路線の見直しということですね。ドライバー不足で都市部でも減便を余儀なくされる路線バスの合理化も併せて行うということのようです。

三セクですらない純民間事業者の北神急行電鉄を市営地下鉄と一体化するという珍しい動きですが、一方で大ゴケの海岸線を抱える神戸市としては苦しいところでしょうけど、震災を機に国際港湾としての評価を失った神戸市としては中心部の活性化は待ったなしの課題なんでしょう。カジノ誘致で迷走する横浜市より遥かに誠実です。

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