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Sunday, April 12, 2020

三蜜で即身成仏

何だか耳慣れない言葉が飛び交う緊急事態宣言下ですが、クラスター、オーバーシュート、ロックダウン、ソーシャルデイスタンス等々横文字が多いのも気になりますが、その中で「三蜜」が異彩を放っています^_^:。

三蜜とは、身密(しんみつ)、口密(くみつ)、意密(いみつ)の三つで、ご本尊様の身体(身蜜)、言葉(口密)、精神(意密)を修行を通じて体現し即身成仏すべしという密教の教えですが、日本独自の山岳信仰と結びついた修験者の修行を若き日の空海が行ったことから、お大師様の足跡を辿る修行に転じて、時代が下り四国八十八箇所の霊場を巡礼することが庶民にも広がりました。所謂お遍路さんですね。なるほどお遍路さんに代表される宗教聖地巡礼はウイルス拡散に繋がりますから「三蜜は避けよ」は正しい(違)。

日本でも7都府県を対象とした緊急事態宣言が発出されましたが、都が同時に予定していた飲食店や遊戯施設の休業要請に国が待ったをかけて結局72時間遅れで中身も後退したものになりました。既存の新型インフルエンザ等特措法を強引に改正してまでして特措法を成立させて法的根拠を持たせた筈が、生煮えのドタバタとなりました。そもそも発出以前によくわからない根回しに忙殺される図は滑稽でもありました。これ感染症じゃなくてミサイルだったら根回しの猶予もない訳で、緊急事態にご執心な筈の安倍政権でこれですからね。

気になるのが「自粛状況を2週間様子を見てから」という国の言い分ですが、これ福島第一原発事故の時も問題になりましたが、リスクを抑え込むためには最悪を想定して当初強力な規制をかけておいて、様子を見てから徐々に解除するのが危機管理のセオリーですが、今回の緊急事態宣言はそうではないってことですね。早い話が強面の自粛要請でしかないですし、そういう法の建付けなので、端から休業補償は眼中にないし、早期に終息するという正常性バイアスに囚われてV字回復のための景気浮揚策に意識が向かうからお肉券やお魚券のようなトンデモ案が出てくるし、手続きの煩雑な条件を付けてドヤ顔になる訳ですね。

繰り返しになりますが、国民全員にとりあえず1人10万円配ることですね。自治体の課税台帳で対応すれば手続きも簡単ですし課税所得とすれば高額所得者は税金で国庫に戻されますから、所得制限も不要です。何なら臨時課税で取り戻しても良いし。通常の所得税率は超過累進課税で税率5%~45%ですが、課税所得の中央値を300万円程度とすれば税率20%で10兆円の歳出に対して2兆円の納税となりますから、8兆円の予算で実現可能ってことです。臨時課税で更に2兆円取り戻せば、政府の緊急経済対策で1世帯30万円支給で6兆円と見込む予算内に収めることも可能です。あくまでも休業要請をサポートするための家計の資金繰り支援と割り切れば良い訳です。

これも繰り返しになりますが、危機管理のキモはロジスティクスに尽きます。前線へのヒトモノカネの補給を迅速に滞りなく行うことです。そのための家計の資金繰り支援だし、医療崩壊を防ぐために医療に負荷をかけない検査体制の構築であり、マスクやアルコール消毒液などの衛生用品の流通量確保であり、休業を余儀なくされる企業や店舗の資金繰り支援なんですよね。どれも出来ていないですが-_-:。これつまり補給を無視して無謀な作戦を強行したインパール作戦並の愚策です。しかも相手が感染症じゃ撤退も出来ない地獄です。

ジャレド・ダイヤモンドの「銃・伝染病・鉄」で指摘されたように、そもそも感染症は食糧生産を始めた農耕牧畜民が余剰生産で豊かになった一方、家畜を飼うことで動物から貰った病気が人間に特化した結果発生したもので、人類文明に適応しながら共進化してきたものであり、人類が抱える宿痾でもあります。つまり人類のクラスター形成が感染症ウイルスにとっては繁殖の苗床となりますが、一方で人類の体内ではリンパ球の働きによる免疫の獲得があり、スペインの新大陸制覇に見られるように感染症(この場合天然痘)の免疫獲得の有無が作用したり、逆にアジアではマラリアなどの感染症に阻まれて苦戦したりしてます。大航海時代に日本が植民地化を免れたのは、日本に到達したときにはスペインもポルトガルも疲弊していた可能性があります。

そうした視点から見ると、日本で一部の人が好んで使う「武漢肺炎」「中国肺炎」という言い方は適切ではありません。グローバル化で大都市の集積度が上がる一方、ぐ国際分業の深化で人々の移動、交流が盛んになっている状況に適応したウイルスが出現したこと自体は必然と言えます。中国当局の初動に問題があったことは確かですが、グローバル化が進んだ現代において、どこで発生しても爆発的感染が起きても不思議ではありませんし、例えば日本やアメリカが発生源になっていたとして、それを早期発見して迅速な初動が出来たと言える根拠はありません。勿論終息が見えてきた中国が得意げに克服を吹聴するのはおかしいですが。

これが日本だけの問題じゃなくて、アメリカでも損害賠償で中国当局を提訴する動きが活発化しており、民間主体に留まらず、ホワイトハウスも議会も歩調を合わせるように動いていることです。グローバル化がもたらした災難なんで、その克服にはグローバルな連帯が必要なんで、この点は気候変動や廃プラ問題とも共通しますが、覇権国のアメリカでこうした動きが出てきたことを危惧します。議会筋では野党の民主党も同調しており、仮にトランプ大統領が再選されずにバイデン大統領が誕生しても、オバマ大統領時代のような国際協調路線への復帰は見込めないってことです。米中対立は決定的となり、他国は双方から踏み絵を迫られます。

しかしコロナ禍で米中両国とも世界のリーダーとしての資質が疑われる現実が露呈した訳ですから、多くの国は結局両国を都合よく天秤にかけることはあっても、一定の距離を置く対応になると思います。例えばサウジアラビアはロシアとの減産協議決裂後に破壊的増産をかけてアメリカのシェール潰しに走り、慌てたロシアが結局減産で合意するといったジグザグな対応を取るなど不安定化が顕在化してます。そしてサウジは今、王族を含む多数の感染者が出て石油生産が続けられなくなり、結果的にロシアが漁夫の利を得る流れです。

南北対立で揺れるEUでは、流石に加盟国の結束が叫ばれ、財政規律派のドイツすら財政赤字容認に転換したものの、財政力格差を埋める共同債発行には至らず、寧ろ水面下の対立は深刻になっています。構図としてはナポレオン戦争で神聖ローマ帝国解体後、戦後処理のウイーン体制で関税同盟としてのドイツ連邦となった中で力を蓄えたプロイセン主導でオーストリア抜きのドイツ帝国が成立した流れとそっくりです。力を蓄えたドイツは他国を助ける気更々なしです。また移動の自由を謳ったシェンゲン協定も停止され国境封鎖が行われています。

またアフリカへの感染拡大は医療支援を通じた中国の影響力拡大は避けられません。グローバル経済の最後のフロンティアへの中国の影響力拡大はアメリカの覇権の綻びを拡大します。加えて気になるこのニュース。

米軍、空母4隻でコロナ感染者、即応体制に揺らぎも:日本経済新聞
つまりアメリカの覇権を支える海の支配に綻びが出ているってことで、これ海洋進出を狙う中国にとってはまたとないチャンスですし、またこのところミサイル発射を再開した北朝鮮も、今ならアメリカが動けないことを利用しているものです。さて、日本は守ってもらえるでしょうか?

しかも日米地位協定で米軍基地経由で米軍人軍属は通関や検疫を経ずに日本に入国できますから、米軍由来の感染拡大も当然あると考えるべきでしょう。PCR検査増やすとバレるから増やさないのか?てことで日米同盟が明らかなリスクとなっている現実があります。コロナ後の地政学的変化を考えないとヤバいですね。

てことで、思い出されるのがJR東海のテキサス州高速鉄道計画ですが、ただでさえ採算に疑問を持たれているプロジェクトで、コロナ禍で投資家マインドが冷えれば資金調達がとん挫する可能性大です。それ以上にコロナ禍が収まらないと稼ぎ頭の東海道新幹線の収益も当てにできなくなります。これ当然中央リニアの計画にも支障となるでしょう。コロナ後のV字回復とか夢見ない方が良いでしょう。

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Comments

お久しぶりです。
今回のパンデミックではイベントや会議の中止や観光・規制自粛での鉄道の利用の激減が特徴的ですね。

今は県境をまたいで外出することもタブー化していますが、さすがにこれはいずれ終わるにしても今お上に自粛を要求された記憶はトラウマとして人々にのこり続けるから消費や生活の動向に影響を与え続けるのではないでしょうか。いずれビジネスや行楽の外出自粛ムードは終わり揺り戻しがくるにせよ、コロナショック以前の水準までに移動需要はもどらないかもしれません。そうなるとリニアや新幹線の新規開業にも影響が出るだろうし、ひょっとしたらこれ以上リニアも新幹線もいらない時代が来るかもしれません。リニアに巨額の投資をしてしまったJR東海は安定企業の代表選手だったのに経営危機に陥る可能性も。

拙ブログにも書きましたが、元々平成時代になってからはバブル崩壊、飛行機の大衆化や道路整備や高速バスの充実、人口減少(生産年齢人口減)やIT化で新幹線やリニアのニーズは減るとは追われていましたが…。90年代以降JR各社は新幹線の利用を増やそうと努力しました。これは国鉄民営化以降増発やスピードアップや接客サービスの向上で飛行機からの客の取り込みに成功したという企業努力がありますがそれ以外の条件として農村から都市への人口流出、東京一極集中がすすみ東京を行き来するニーズは増した。
またネット社会でだれでも情報に触れられるからこそ実際に会うことの価値が高まり直接会っての商談などのための出張需要が増した。また旧来型の観光以外にもライブイベントやコンベンションなどを実際に足を運んで楽しむ「コト消費」の時代が来て、そういう経験をするために「時間を金で買う」ニーズが高まり東海道に限らず新幹線の需要が高まったし、整備新幹線もフル規格整備をしてそのコストに見合う利用を掘り起こすことに成功しました。

しかし今回の行動自粛で実際に人が集まる会議やイベントは「3密」だからと代替にテレビ会議や無観客公演配信などが行われて、この自粛の嵐が暫くして過ぎてもひとたび「会うことこそが一番」(JR東海の新幹線の宣伝文句にありがちな物言いw)的な価値観からの180度の転換を目の当たりにした人々は従来ほどに実際に会って体験するために移動する欲求にかられなくなり、安くないお金を払い新幹線に乗ることに価値を見出さなくなるのではないでしょうか。

そうなるとIT化でも人口減少でも会うために移動するニーズは不変だからと新幹線はいつも集客力が盤石で、新規の新幹線やリニアも推進すべきだという動きは転機に立たされるのではないでしょうか。整備新幹線も今の利用者の負担が貸付料収入となって新規路線の延伸に使われていたが、収入が減り新規着工はできなくなる時代が来るかもしれない。リニアも必要性が疑われるし、東海道新幹線の利用減が減れば開業の延期や最悪の場合は凍結や中止が無きにしも非ずです。そもそもJR東海のリニアバイパス構想はバブルのころに東海道新幹線のピークの輸送力がパンクしそうだからと始まったもの。その後も前述の理由で東名阪の移動需要はいずも不変で安定収入が入るから儲けをリニアにつぎ込める見込みがあるからと着工されたが、開業する前に建設費を稼ぎ出す東海道新幹線が危機的状況になると誰が想像したか?今後は東海道新幹線の利用が戻ってもパンクしてバイパスがいるほどには至らないだろうからこの時点でリニアの建設の意義は薄れてしまうし、開業にこぎつけてもJR東海の経営の足を引っ張り東海道新幹線と共倒れする恐れさえあるのではないのでしょうか。

Posted by: きさら | Tuesday, April 21, 2020 10:48 PM

お久しぶりです。長文のコメントを頂きありがとうございます。

ご指摘のように、整備新幹線もリニアも、前者が公的枠組みを経由して会社横断的ですが、基本的に既存新幹線の収益を再投資して実現してますから、現状の利用減が続けば成り立ちませんね。

特にリニアに関しては新幹線購入ローンの終了を待っての事業着手ですから、会計上の騎乗計算では可能に見える訳ですが、現状のような低金利が今後も続く前提で、しかも人口減少下でも人件費は増えずインフレも起きないとか、あり得ない前提ではじいた数字ですから、コロナ禍が無くても実現可能性は低いと見ておりました。

加えてそうでなくても世界規模の債務膨張でリーマン級の金融危機はいつ起きても不思議じゃない状況で、コロナがパンドラの箱を開けてしまいました。つまり実体経済と金融が同時に悼む状況で、例えば石油価格の暴落というあり得ない出来事も起きています。コロナ後は確実に世界は変わりますね。望ましい方向かどうかは別としてですが。


>きさらさん
>
>お久しぶりです。
>今回のパンデミックではイベントや会議の中止や観光・規制自粛での鉄道の利用の激減が特徴的ですね。
>
>今は県境をまたいで外出することもタブー化していますが、さすがにこれはいずれ終わるにしても今お上に自粛を要求された記憶はトラウマとして人々にのこり続けるから消費や生活の動向に影響を与え続けるのではないでしょうか。いずれビジネスや行楽の外出自粛ムードは終わり揺り戻しがくるにせよ、コロナショック以前の水準までに移動需要はもどらないかもしれません。そうなるとリニアや新幹線の新規開業にも影響が出るだろうし、ひょっとしたらこれ以上リニアも新幹線もいらない時代が来るかもしれません。リニアに巨額の投資をしてしまったJR東海は安定企業の代表選手だったのに経営危機に陥る可能性も。
>
>拙ブログにも書きましたが、元々平成時代になってからはバブル崩壊、飛行機の大衆化や道路整備や高速バスの充実、人口減少(生産年齢人口減)やIT化で新幹線やリニアのニーズは減るとは追われていましたが…。90年代以降JR各社は新幹線の利用を増やそうと努力しました。これは国鉄民営化以降増発やスピードアップや接客サービスの向上で飛行機からの客の取り込みに成功したという企業努力がありますがそれ以外の条件として農村から都市への人口流出、東京一極集中がすすみ東京を行き来するニーズは増した。
>またネット社会でだれでも情報に触れられるからこそ実際に会うことの価値が高まり直接会っての商談などのための出張需要が増した。また旧来型の観光以外にもライブイベントやコンベンションなどを実際に足を運んで楽しむ「コト消費」の時代が来て、そういう経験をするために「時間を金で買う」ニーズが高まり東海道に限らず新幹線の需要が高まったし、整備新幹線もフル規格整備をしてそのコストに見合う利用を掘り起こすことに成功しました。
>
>しかし今回の行動自粛で実際に人が集まる会議やイベントは「3密」だからと代替にテレビ会議や無観客公演配信などが行われて、この自粛の嵐が暫くして過ぎてもひとたび「会うことこそが一番」(JR東海の新幹線の宣伝文句にありがちな物言いw)的な価値観からの180度の転換を目の当たりにした人々は従来ほどに実際に会って体験するために移動する欲求にかられなくなり、安くないお金を払い新幹線に乗ることに価値を見出さなくなるのではないでしょうか。
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>そうなるとIT化でも人口減少でも会うために移動するニーズは不変だからと新幹線はいつも集客力が盤石で、新規の新幹線やリニアも推進すべきだという動きは転機に立たされるのではないでしょうか。整備新幹線も今の利用者の負担が貸付料収入となって新規路線の延伸に使われていたが、収入が減り新規着工はできなくなる時代が来るかもしれない。リニアも必要性が疑われるし、東海道新幹線の利用減が減れば開業の延期や最悪の場合は凍結や中止が無きにしも非ずです。そもそもJR東海のリニアバイパス構想はバブルのころに東海道新幹線のピークの輸送力がパンクしそうだからと始まったもの。その後も前述の理由で東名阪の移動需要はいずも不変で安定収入が入るから儲けをリニアにつぎ込める見込みがあるからと着工されたが、開業する前に建設費を稼ぎ出す東海道新幹線が危機的状況になると誰が想像したか?今後は東海道新幹線の利用が戻ってもパンクしてバイパスがいるほどには至らないだろうからこの時点でリニアの建設の意義は薄れてしまうし、開業にこぎつけてもJR東海の経営の足を引っ張り東海道新幹線と共倒れする恐れさえあるのではないのでしょうか。

Posted by: 走ルンです | Wednesday, April 22, 2020 02:41 PM

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