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Sunday, May 17, 2020

マスク、マスク、マスク

私自身はマスクする習慣は無いし、感染を防ぐ効果が乏しいので、マスク無しで通そうと思っておりましたが、取引先でマスク着用を要請されて已む無く入手した布マスクを着用し、毎日手洗いしております。あーメンドクさ。ちなみにアベノマスクではありません。届いてないし。

医療品、海外依存度高く 感染爆発の備えに不安:日本経済新
マスク問題はコロナゲートウエイでも取り上げました。その際に情報の攪乱によるナッシュ均衡(囚人のジレンマ)で説明いたしましたが、yamanotesenさんのコメントで「合成の誤謬じゃないか」というツッコミもいただきました。まあ双方の要素がある訳で、現実の事象ではこうしたことは珍しくありません。

合成の誤謬の典型的な事例は貯蓄投資バランスの問題で見られます。社会の構成員が全員貯蓄に励むと、借り手不在でリターンを期待できない一方、全員が貯蓄を取り崩して借金に頼ると、貸し手不在で金利が跳ね上がり経済を冷やす訳で、日本でデフレと称された現象は前者に該当します。故にアベノミクスや黒田バズーカでデフレ脱却という議論は寧ろ逆効果で如何にバカバカしいかがわかります。

マスクに悲してはグローバル化に伴うサプライチェーンの拡大による国際分業の影響が背景にあります。医療品は元々輸入超過状態で、医薬品は国内メーカーの有力特許失効と多額の開発費を費やした海外メーカーの高額医薬品の差がある一方、マスクや防護服などの消耗品は中国を中心に海外生産が定着していた訳ですが、その中国の武漢で爆発的感染が起きて国内需要が爆発的に増えた結果、日本向けに生産されたものも中国港内で消費され日本に回らなくなりました。何のことはない生産の中国依存の必然的結果なんです。

加えて一部は東南アジアなどへ生産拠点を移す分散化も進んではいたものの、規模は小さく、加えて遅れて感染拡大しいてやはりマスク輸出が差し止められる事態になり、結局品薄の解消には至りませんでした。とはいえ中国を含むアジア地域の感染は落ち着いてきており、また内外で増産がかけられた結果、徐々に供給量が増えて入手可能になってきました。結局需給の均衡によってしか解消しない問題です。

その意味で「布マスク配布を決めたから、マスクバブルが弾けて転売ヤーが涙の投げ売り」というストーリーを語る人々の頓珍漢ぶりも指摘できます。未だ5%しか配布されていないアベノマスクを過大評価したいだけの妄言です。そういや安倍首相も国会答弁で言ってたな。おまけですが、多くの日本人にとっては未経験の、夏のマスク地獄が待ち受けています。くれぐれも熱中症には注意しましょう。ことほど左様に国民生活と乖離した政府の姿勢は困ったものです。

マイナンバー、10万円給付で注目だが… 活用で海外と差  税財政エディター 小滝麻理子:日本経済新聞
マイナンバーカードを用いた電子申請がスタートした結果、自治体窓口に人が殺到して密状態という笑えないことが起きています。政府としては10万円の特別支給を梃子に20%しかないマイナンバーカードの発行を増やそうとしたものの、当然これを機にマイナンバーカードを作ろうとする人が自治体窓口に殺到する訳ですが、それに留まらずオンライン申請手続きがうまくいかなくて問い合わせが殺到しているという状況です。

1つは意外なことにマイナンバーを発行した人の年齢層が高齢者に偏っていてITスキルが必ずしも高くなく、二重パスワード認証などの仕組みを理解できていないとか、専用カードリーダー若しくは対応スマホが必要だけど、ガラケーのみでPCすら持っていないとか、マイナンバーカードを巡るお寒い現実の壁に直面している訳です。

三蜜で即身成仏で指摘したように自治体の課税台帳使えばマイナンバーカードは要りません。個人または勤務先の何れかで申告納税していれば漏れはないですし、扶養家族などの情報も把握されてますから、あとは通信事務で世帯全員の氏名と指定振り込み口座を通知してもらうだけで非接触で手続きできます。既存の制度インフラを使い尽くせってことですね。

マイナンバーカードに関しては、国による個人情報取得への拒否感が国民側にありますから、何故必要なのかを本質的なところで説明する必要がありますが、これまで国の説明ではワンストップでコンビニで手続きできて便利といった枝葉の部分が強調されており、国民の納得を得られておりません。この辺古くは納税者カード(グリーンカード)や住基カードの失敗の総括が出来ていないってことでもあります。

グリーンカードに関しては資産課税を含む総合課税のインフラになるとして当時の大蔵省と社会党がタッグを組んで推進し、専用コンピューターセンターまで作られましたが、結局法案成立に至らず実現しませんでした。住基カードは記憶に新しいですが、マイナンバーカードとの重複で無意味化しています。

何故こうなるかというと、結局アベノマスクやアベノコラボが側近の官邸官僚の提案だったように、現場を知らない人間の思い付きでことを進めている結果だってことでしょう。そして普及率の上がらないマイナンバーカードの普及促進という雑音に流されて現場はパニックってことですね。そういう意味で密かに注目しているニュースがあります。

JR四国、コロナで業績悪化 4月の損失「残り11カ月で補えない」:日本経済新聞
前エントリーで取り上げたJR四国の資金繰りが悪化し6月にもアウトという状況です。交通政策基本法の定めるところにより事業者と自治体の協議を経て国に助けを求める手続きとなりますが、現実はそこまで持たないほどひっ迫しています。加えて忘れてならないのはJR四国はJR北海道やJR貨物と同様国全額出資の根拠法に基づく特殊会社であるため、勝手に全業廃業したり解散したりできない立場ってことですね。国は株主として資本注入なり融資なり債務保証なり何らかの姿勢を示す必要があります。こういった法律の建付けを政府は理解しているかどうか。検察官の定年を勝手に延長するような遵法精神欠如が見られる現政権ではまともな対応は期待できないかも。
#検察庁法改正案に抗議します
検察庁法改正案の強行採決に反対します

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Comments

JR北海道や四国の経営問題で「地域の交通は地域で決める」ものだから自治体が積極的に支援しろ、と自治体にばかり負担と責任を求める風潮にもちょっと違和感があります。
この会社は鉄道運輸機構が100%出資なのだから、機構とその背後にいる国交省が株主として経営をうまく監視できなかった責任を負うべき。「会社は株主のもの」なんだからなおさら。その後に自治体の協力を仰ぐべきではないでしょうか。
余談ながら、JR九州も完全民営化されましたがそれなら電力会社みたくエリア自治体が株を買って経営に参加していくのかなと思ったら、なかなか自治体には株を売ってもらえないと訊きます。JRって自治体の関与があんまり効かないのにいろいろ自治体の負担は求められるようです…。そのあたりが北海道とかでもよくマスコミに取り上げられる会社と自治体の温度差や摩擦の原因になるのかなと。
元々「87年体制」では本州会社の早期上場を目指す一方、3島会社は採算が合わないという前提で基金まで積まれていました。もともと3島会社がどれも未来永劫独立した企業体として続くというのが幻想だったかもと思うし、会社を守るのではなくて今までの政策の誤りを認め地域の足を守るために国が主体的に動くべきではないでしょうか。このまま独立採算で持たない会社に自治体の支援ばかり求める風潮は穴の開いたバケツに真水をそそぎこめといってるようなものですから。
とはいえ、北海道や四国なども、今ある路線網を鉄道で残すのも無理があるのも事実。どの路線を残し、どの路線をバス転換するかは実質的に国営ということを考えると利用客数などの基準を国鉄時代みたく国が統一した基準を決め、廃止路線は転換交付金みたくバス転換への補助金を国が出して思い切った路線網の再編をやる必要がありますね。

Posted by: きさら | Sunday, May 17, 2020 11:11 PM

根拠法の建付けから言えば最終的には株式上場して完全民営化するまでの時限的な会社として存在している訳で、国の株主責任は実現可能性はともかく株式上場までの期間の維持にある筈ですね。所謂ゴーイングコンサーンに責任を負う立場ですから、事業の継続に疑義が生じる事態に対しては、適切な対応を取るべきです。

JR九州の上場に対しても、自治体の出資を排除した形跡がありますね。電力の場合は戦前の東京市や大阪市の電気局に代表される自治体の公益事業として発展した歴史がの結果なんでしょうけど、自治体の出資は普通に行われていますが、国の現業部門としての歴史がある国鉄の解体の結果生まれたJRは元々自治体との関係が希薄だったし、国鉄改革でもあまり考慮されなかったかもしれませんね。

気になるのがJR各社のトップが国鉄OBで占められている点で、JR北海道の道庁との関係に見られるように、そもそも会話のチャンネルが開いていないということもあるかもしれません。国鉄は曲がりなりにも国家機関として旧帝大卒エリートを集めてきた一方、JRプロパーの幹部候補生は、通常の就活ですし、就職戦線の人気ランキングでも必ずしも上位にいる訳じゃありません。

まあ偏差値だけで人材の優劣を論じるのもどうかと思いますが、特に地域密着が重要な三島会社の場合、地場企業としての存在感を高める意味でも、自治体や地場の有力企業との関係は重要な筈です。

>きさらさん
>
>JR北海道や四国の経営問題で「地域の交通は地域で決める」ものだから自治体が積極的に支援しろ、と自治体にばかり負担と責任を求める風潮にもちょっと違和感があります。
>この会社は鉄道運輸機構が100%出資なのだから、機構とその背後にいる国交省が株主として経営をうまく監視できなかった責任を負うべき。「会社は株主のもの」なんだからなおさら。その後に自治体の協力を仰ぐべきではないでしょうか。
>余談ながら、JR九州も完全民営化されましたがそれなら電力会社みたくエリア自治体が株を買って経営に参加していくのかなと思ったら、なかなか自治体には株を売ってもらえないと訊きます。JRって自治体の関与があんまり効かないのにいろいろ自治体の負担は求められるようです…。そのあたりが北海道とかでもよくマスコミに取り上げられる会社と自治体の温度差や摩擦の原因になるのかなと。
>元々「87年体制」では本州会社の早期上場を目指す一方、3島会社は採算が合わないという前提で基金まで積まれていました。もともと3島会社がどれも未来永劫独立した企業体として続くというのが幻想だったかもと思うし、会社を守るのではなくて今までの政策の誤りを認め地域の足を守るために国が主体的に動くべきではないでしょうか。このまま独立採算で持たない会社に自治体の支援ばかり求める風潮は穴の開いたバケツに真水をそそぎこめといってるようなものですから。
>とはいえ、北海道や四国なども、今ある路線網を鉄道で残すのも無理があるのも事実。どの路線を残し、どの路線をバス転換するかは実質的に国営ということを考えると利用客数などの基準を国鉄時代みたく国が統一した基準を決め、廃止路線は転換交付金みたくバス転換への補助金を国が出して思い切った路線網の再編をやる必要がありますね。

Posted by: 走ルンです | Monday, May 18, 2020 01:07 PM

>現場を知らない人間の思い付きでことを進めている
それが今の日本の最大の問題だと感じます。

IT担当大臣がハンコ議連会長だったり、アベノマスクの一件だったり、政治家や官僚の問題がよく言われますが、民間企業も似たり寄ったりです。
お偉方の無茶振りで現場が疲弊して、下手すると不正に手を染める。
日産、神戸製鋼、川崎重工など、ここ数年の企業不祥事の根底にあるのは経営者と現場のコミュニケーションの問題が大きいと思います。

私の身の回りでも、某大手銀行系IT企業の部長なのにパソコンが全く使えないおじいちゃんを知っています。
そんな人がシステムの設計書やテストのレビューしてハンコ押してるわけですからね...。
これが決して特殊な事例ではなく、似たような話が色んな業界から聞こえてくるあたり、世も末ですね。

Posted by: yamanotesen | Wednesday, May 27, 2020 12:08 AM

ホント今は戦争末期か?と錯覚するようなことが多いですね。共通するのは現場を知らない経営陣が性急に結果を求めた結果、追い詰められた現場が一線を越えるというもの。

アベノマスクもそうですし、検査地経法改正問題も、既に黒川東京高検検事長の定年延長という法令違反までしている訳で、これモリカケの決裁文書改ざんもそうですし、法解釈変更の口頭決済とかケッタイな話にまでなっている訳ですね。世も末ですが、国民としてはサバイバルに勤しむしかありません。溜息ですが。

>yamanotesenさん
>
>>現場を知らない人間の思い付きでことを進めている
>それが今の日本の最大の問題だと感じます。
>
>IT担当大臣がハンコ議連会長だったり、アベノマスクの一件だったり、政治家や官僚の問題がよく言われますが、民間企業も似たり寄ったりです。
>お偉方の無茶振りで現場が疲弊して、下手すると不正に手を染める。
>日産、神戸製鋼、川崎重工など、ここ数年の企業不祥事の根底にあるのは経営者と現場のコミュニケーションの問題が大きいと思います。
>
>私の身の回りでも、某大手銀行系IT企業の部長なのにパソコンが全く使えないおじいちゃんを知っています。
>そんな人がシステムの設計書やテストのレビューしてハンコ押してるわけですからね...。
>これが決して特殊な事例ではなく、似たような話が色んな業界から聞こえてくるあたり、世も末ですね。
>

Posted by: 走ルンです | Wednesday, May 27, 2020 05:13 PM

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