« 不要不急の黄金律 | Main | マスク、マスク、マスク »

Tuesday, May 05, 2020

出口が見えないアベノ自粛

予想されたこととはいえ、緊急事態宣言の延長が決まりました。そしてプロンプター読んでるんだけの「台本営発表」とも謂われる首相記者会見で、緊急事態宣言の解除の基準は語られませんでした。8日を8月に読み違えたみたいですが^_^;。出口が見えないという意味でアベノミクスと同じです。加えて検査体制の拡充が未だに実現できていないために、そもそも出口を判断できるデータがないという現実もあります。

この辺統計135°の歪みで指摘した統計不正問題に通じますが、現状を正しく把握できないから緊急事態宣言解除のような責任のかかる決断が出来ない訳です。あと内緒ですが伝染ルンですアベノミクスで指摘した消費指標を家計調査ではなく商業統計に切り替えてインバウンド消費が二重計上されていた疑惑ですが、コロナ禍でこっそり見直されてます。嘘が下手な嘘つきの典型的対応です。

あと「新しい生活様式」とかいう大きなお世話を専門家会議が発表しましたが、これ政府の諮問に基づいた助言機関がなぜ国民向けにこんな発表するのかですが、助言に基づいて責任を負うべき側に責任を負う姿勢が見えず、専門家会議に丸投げしている状況が透けて見えます。政府への助言が暖簾に腕押しでは、国民に語り掛けて協力を得るしか手段がない訳で、余計なことをさせられている訳です。当然専門家会議としては責任を負えず安全側へ判断が偏りますから、出口の判断はますます遅れます。

てことで巣篭りは長引きそうです。そうなるとリモートワークの範囲が拡大することになります。既に通勤定期券の払い戻しが増えており、加えて年度替わりで買い替えが多い4月もおよそ3割減ということで社畜の国で指摘した企業の通勤手当支給見直しがさらに進むことになります。その結果鉄道事業者が苦境に陥ております。

記者の目 JR東、コロナで見えた鉄道の盲点 3割減収なら利益ゼロ  証券部 堤健太郎:日本経済新聞
JR東日本だけの問題じゃないんですが、大都市圏の通勤需要で支えられている事業者にとっては、割引とはいえ前払いで収益を現金化できる定期券売上は経営安定のキモであり、経営の基礎体力をもたらします。記事で指摘されている固定費のかなりの部分を定期券売上でカバーし昼間や土休日の定期外客で上乗せすることで利益の最大化を図る訳ですが、こちらも外出自粛で激減している訳ですから、JR東日本と言えども1-3月期に赤字転落してますし、現状では4-6月はもっと悲惨です。

収益構造から言えば、運輸収入の依存度の高いJRの方が関連事業収入が多い大手私鉄より厳しい訳です。例外的に関連事業比率の高いJR九州は安泰かと言えば、ライバルの西鉄と比べれば生活関連事業で沿線にドミナント形成という水準には達しておらず、営業エリアが広すぎるから仕方ないんですが、トータルな経営体力では苦しいところです。

加えて整備新幹線が重荷になります。整備新幹線は30年リースで負債を計上している訳で、特に整備新幹線区間が長いJR東日本には重荷でしょう。救いは水害で水没した北陸新幹線E7系廃車に伴って延命されたE4系を廃車して減便することである程度出費を防げますが、リース料は固定費としてのしかかります。鉄道・運輸機構による債務繰り延べの可能性は、リース料が北海道新幹線などのの整備費用として見込まれており整備を止めることになりますから、難しいでしょう。

それでも莫大な減価償却費があり、JR東日本でおよそ2,000億円規模ですから、投資の抑制によってキャッシュアウトを防ぐことは可能ですが、ホームドア設置やバリアフリー化などは減らせませんから、車両更新や新線建設が抑制されると考えられます。航空業界の逆風もありますから、羽田空港アクセス線は幻の新線計画になる公算大でしょう。

この流れで言えば関空アクセス輸送を睨んだ大阪のなにわ筋線もヤバいかも。泉北線と市営地下鉄の売却益で府市共に財源確保してメトロの稼ぎ頭の御堂筋線のライバル路線を作るという倒錯が起きる訳ですから。

JR東海も稼ぎ頭の東海道新幹線で8割減ですから、長引けばリニアを諦めることになりそうです。名古屋リニヤだがや以来疑問を指摘してきた中央リニアも幻になる訳です。それでも財務体質の強いJR東海はある程度持ち堪えるでしょう。JR西日本は赤字ローカル線の整理に活路を見出すと考えられます。中国地方の路線網はかなり整理されそうです。JR九州は上場時に経営安定基金を取り崩して資産の減損処理と整備新幹線リース料の前倒し支払いで負担を減らしてますが、やはり赤字ローカル線整理に踏み込むことになるでしょう。本州3社と比べて財務体質の弱さは否めません。そしてJR四国ですが。

JR四国に国が改善指導 自立経営阻む2つの「老い」:日本経済新聞
コロナショックで真っ先に連想されるのはJR北海道でしょうけど、札幌都市圏への経営資源集中を前提とした再建策で先が読めるJR北海道に対して、エリアに大都市圏が存在せず、過疎化と高齢化が止まらないJR四国の方がより深刻です。とはいえ関係の深いJR西日本に助けを求めたくてもその余裕はなく、そこへ外出自粛が重なる訳ですから、出口が見当たりません。四国だけ三蜜解禁してお遍路さん呼び込むか?

鉄道として残すならば何らかの財政支援が必要ですが、JR北海道でも見られるように、結局交通政策基本法で謳われた地元自治体の関与が無いから国が動かないという倒錯が起きる可能性があります。JRでこれですから、過疎地の地方ローカル私鉄で持ち堪えられないところはちらほら出てくるでしょう。アベノ自粛は公共交通を枯れさせる可能性大です。

|

« 不要不急の黄金律 | Main | マスク、マスク、マスク »

ニュース」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

鉄道」カテゴリの記事

航空」カテゴリの記事

JR」カテゴリの記事

大手私鉄」カテゴリの記事

地方公営交通」カテゴリの記事

ローカル線」カテゴリの記事

第三セクター鉄道」カテゴリの記事

都市間高速鉄道」カテゴリの記事

都市交通」カテゴリの記事

Comments

「新しい生活様式」ですが、集まってのスポーツや興行はできないとなると五輪はどうなるんでしょうか?「完全な形」ということは無観客ではだめですし、まさか民間のライブなどは自粛要請で開催をタブーにしても五輪はそのままというこはスジが通らないと思う。専門家たち市井の人には箸の上げ下ろしまで善導するが政府には忖度、ということはよもやないと願いたいですが。終息が何年も長引けば余計な3密を作り出したり不要不急の旅行を促進する万博や新幹線延伸やリニアもダメですよね。これも庶民は善導するが自民党と維新の政治家とかJRにはだんまりなのか。
政治や行政としては自粛要請で民間を泣かせたり市井の人の善導をしても、自分の息のかかったプロジェクトはやりたいという矛盾したスタンスかもしれませんね。でも五輪とかも結局土建利権とかが欲しいだけで本気で世界から人を集めて国際イベントを成功させる気がなさそうなのが…。検査を絞り、感染の広がりを把握する気もない国に世界からアスリートが集結するとは思えません。自粛要請は仕方ないとして補償が不十分では、モノ作りも観光もエンタメも壊滅したホテルもレストランも壊滅した国には五輪や万博をやっても世界からおもてなしを期待して人々が集まるなんてありえないですし。
JRも含めた大手鉄道会社でさえも公的資金注入が必要になるのかもしれませんが、やるにしてもJRの場合全国旅客6社の「87年体制」を再編したうえで税金投入すべきと思います。その場合は経営の自主性を取り上げて国有化するという選択肢もあるのでは。ただ公的資金で地域の足を支えるのに税金投入がいるのならその負担は合理的で最小限になるように経営形態は国が介入するべきと思うので、国鉄に戻せと言いたいわけではありませんが。新幹線在来線問わず赤字路線の廃止とか間接部門の削減、車両などの共通化を図るのにJR会社間の合併はあっていいと思う。また北海道は札幌圏の在来線、四国は瀬戸大橋と高松松山間だけにして非電化線を廃止して電車列車の区間だけにして省力化するとか・・。(経営安定基金を取り崩してそれ以外の最低限残せる路線は電化して残すのもありでしょう。)中曽根大勲位ももうこの世にいないし、国鉄改革をした人のメンツにこだわってJR再編をしない選択肢はないし今後はやるべきではないのでしょうか。
民鉄も、公的支援や補助をする場合は条件としては公共性と民間の自主性のいいとこどりみたいな経営体制から国の介入でリストラや再編ができるようにすべきと思いますね。戦時統制下のような統合もあり得るのではないでしょうか。

Posted by: きさら | Tuesday, May 05, 2020 06:43 PM

現時点でコロナ後を語る意味はあまりないと思いますが、五輪開催は難しいでしょうね。裏の取れてない伝聞ですが,IOCや組織委は2年後でも構わないと考えていたけど、安倍首相が自身の任期内の開催に拘ったということのようです。しかしご本人がそのための環境整備に動かないんですから、端から責任取る気がないんでしょう。

「新しい生活様式」を専門家会議が出したのも、リーダーのやる気のなさからやむを得ずというところでしょう。いくら政府に助言しても動かないんじゃ国民に訴えるしかない訳ですが、中身の陳腐さは所謂サイロエフェクトというか専門家らしい視野狭小の結果ですね。だから国民の受け止めは「余計なお世話」にしかなりません。

自粛の長期化でJRに限らず公共交通全般が危機的な状況に陥ると見ますが、地域への浸透度で見るとJRの方が危機の度合いは大きいと見て良いでしょう。なまじ国鉄という国家機関の末裔なので、自治体から見れば国に補助金を出すような違和感があるんじゃないでしょうか。仰るように87年体制の見直しは必要でしょう。但し現政権が続く限り無理でしょうけど。

>きさらさん
>
>「新しい生活様式」ですが、集まってのスポーツや興行はできないとなると五輪はどうなるんでしょうか?「完全な形」ということは無観客ではだめですし、まさか民間のライブなどは自粛要請で開催をタブーにしても五輪はそのままというこはスジが通らないと思う。専門家たち市井の人には箸の上げ下ろしまで善導するが政府には忖度、ということはよもやないと願いたいですが。終息が何年も長引けば余計な3密を作り出したり不要不急の旅行を促進する万博や新幹線延伸やリニアもダメですよね。これも庶民は善導するが自民党と維新の政治家とかJRにはだんまりなのか。
>政治や行政としては自粛要請で民間を泣かせたり市井の人の善導をしても、自分の息のかかったプロジェクトはやりたいという矛盾したスタンスかもしれませんね。でも五輪とかも結局土建利権とかが欲しいだけで本気で世界から人を集めて国際イベントを成功させる気がなさそうなのが…。検査を絞り、感染の広がりを把握する気もない国に世界からアスリートが集結するとは思えません。自粛要請は仕方ないとして補償が不十分では、モノ作りも観光もエンタメも壊滅したホテルもレストランも壊滅した国には五輪や万博をやっても世界からおもてなしを期待して人々が集まるなんてありえないですし。
>JRも含めた大手鉄道会社でさえも公的資金注入が必要になるのかもしれませんが、やるにしてもJRの場合全国旅客6社の「87年体制」を再編したうえで税金投入すべきと思います。その場合は経営の自主性を取り上げて国有化するという選択肢もあるのでは。ただ公的資金で地域の足を支えるのに税金投入がいるのならその負担は合理的で最小限になるように経営形態は国が介入するべきと思うので、国鉄に戻せと言いたいわけではありませんが。新幹線在来線問わず赤字路線の廃止とか間接部門の削減、車両などの共通化を図るのにJR会社間の合併はあっていいと思う。また北海道は札幌圏の在来線、四国は瀬戸大橋と高松松山間だけにして非電化線を廃止して電車列車の区間だけにして省力化するとか・・。(経営安定基金を取り崩してそれ以外の最低限残せる路線は電化して残すのもありでしょう。)中曽根大勲位ももうこの世にいないし、国鉄改革をした人のメンツにこだわってJR再編をしない選択肢はないし今後はやるべきではないのでしょうか。
>民鉄も、公的支援や補助をする場合は条件としては公共性と民間の自主性のいいとこどりみたいな経営体制から国の介入でリストラや再編ができるようにすべきと思いますね。戦時統制下のような統合もあり得るのではないでしょうか。
>

Posted by: 走ルンです | Tuesday, May 05, 2020 07:38 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 不要不急の黄金律 | Main | マスク、マスク、マスク »