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Sunday, June 07, 2020

ウィズコロナ・ウィズデジタル・ウィズグローバル

緊急事態宣言解除で予想されたこととはいえ、感染者は増えています。但しこれを第2波と見るべきではないでしょう。自粛で経済にブレーキをかけて感染拡大を止めた結果感染者が減っただけですから、克服できている訳じゃありません。単に爆発的感染のピークを後ずれさせただけですから、今後も感染者は一定ボリュームで発生しますし、それ故に警戒は続ける必要があります。コロナ克服を意味するアフターコロナではなくコロナと共生するウィズコロナってことですね。そんな中で気になるニュースがこれ。

新型コロナ、病院経営を直撃 「第2波来たら持たない」:日本経済新聞
地味ながら「神奈川モデル」と呼ばれる医療体制を構築し「ダイヤモンドプリンセス号の教訓を活かした」と評価される神奈川県ですら現状がギリギリ。救急搬送のたらい回しが複数報じられた東京都や大阪府の脆弱さは推して知るべし。院内感染もチラホラ見られ、濃厚接触者として医療スタッフが2週間の経過観察で戦線離脱という悪循環もあって、医療体制は万全とは言い難いのが現実です。見方によってはソフトな医療崩壊という辛辣な評価もあり得ます。この状態で第2波の備えが万全と言えるのか?国民経済の犠牲にして時間稼ぎをしている間にやるべきことがあったんじゃないかという点は指摘しておきます。

ウィズコロナで盛んに言われる新常態(ニューノーマル)ですが、経済関連では以前から使われてきた言葉で、しかも幾つかの国の立場の異なる人から発せられているのですが、日本ではコロナ禍に対する「新しい生活様式」と結びつけられております。しかし経済、金融の世界ではコロナ禍のずっと以前からニューノーマルが言われていました。その議論の前提としてジャパニフィケーションとリバーサルレート論があります。

これらはリーマン後のトレンドですが、所謂日本化は、元々長期停滞論としてアメリカなどで議論されたもので、人口減少と高齢化によって人口ボーナスが消滅し逆転する結果の低成長が言われるようになり、実際米FRBは3次に亘る量的緩和(QE)として日本の非伝統的金融政策を模倣し、ECBもこれに続きます。欧州ではギリシャショックをきっかけとする危機で財政力の弱い加盟国の国債を買い支える必要もありました。いずれも日本のようにデフレに陥ることを回避しようとしましたが、効果は限定的で、結果緩和の長期化による副作用も意識され、金融政策の正常化が模索されましたが、市場の反応や政治圧力もあって長期化を余儀なくされました。

一方欧州のスイスや北欧など非ユーロ諸国ではECBの緩和政策で通貨高圧力に晒された結果、マイナス金利政策へ踏み込みます。これがきっかけとなりECBや日銀もマイナス金利に踏み込むことになりますが、その結果長短金利差が消滅して銀行が貸し出しを絞る結果、緩和効果を失う水準としてリバーサルレートが意識されるようになりました。現在ECBがマイナス0.5%、日銀がマイナス0.1%で動けないのはこのためです。

つまり人口減少と高齢化によって金融政策による景気浮揚効果が失われ、長期停滞による低成長が常態化したのがニューノーマル論という訳です。アベノミクスや黒田バズーカが有効ではないことが世界規模で証明された訳ですが、ニューノーマル論には続きがありまして、非伝統的緩和策で世界をリードする日本で^_^;、2016年9月に導入されたイールドカーブコントロール(YCC)で長期金利を誘導目標とした訳ですが、FRBの利上げにも拘らず米国債金利の低迷が続き、アメリカでも長短金利差が消滅している現実があります。

元々積極財政で赤字拡大基調の上、コロナ禍で財政への負担が増す中で、FRBは米国債を買い支えて長期金利を抑え込まざるを得なくなりました。これ意図せざるYCCと言えます。日本と事情が異なるのは、米国債は外貨準備として世界各国で保有されている訳で、金利上昇=価格下落は米国債投げ売りを誘い米ドルの信認を脅かすため、FRBは買い支えせざるを得ない訳です。ECBが加盟国の国債購入をやめられないことと同様の事態になった訳です。ザックリ言えば日米欧の主要通貨の長期金利がほぼゼロ近辺の水準で膠着し、為替相場も膠着させている訳です。

てことで、各国の財政赤字拡大が続き、金利上昇圧力を抑え込むために金融緩和もやめられず、結果主要国通貨間の金利差が消滅して為替市場も動かなくなるというのがグローバル経済の現実です。コロナ禍が終息してV字回復があり得ない訳で、その中で経済を冷やさずに国民生活を守るためには、国民の不安に寄り添う政府の働きかけが大事ですが、現政権にその意識はなさそうです。

但し悲観する必要はありません。90年代後半の金融危機をきっかけに始まった日本のデフレですが、ゼロ年代以降のベアゼロ春闘による賃上げの低迷に加えて非正規労働の解禁による労働者の非正規化もあって賃金が下がってきた中で、物価下落のお陰で快適な生活を維持しつつ貯蓄を増やすことができたのが日本の現実です。それに世界が追い付いてきた訳です。グローバルデフレが始まる訳です。

補足すれば先進国ではGDPの6割は個人消費が占めますが、個人消費は生存的消費と選択的消費に分けられます。前者は削れないけど後者は削れる謂わば不要不急の部分で、所得水準によりますが先進国ではおよそ半分は後者の選択的消費となります。てことで緊急事態宣言が出た4-6月期のGDPは年率換算でマイナス20%程度と予想されてます。マクロには余裕があると見なせますが、所得階層によっては厳しい訳で、特別給付金の迅速な給付が必要なのは言うまでもありません。

てことで、当面のウィズコロナ時代でキモになるのがリモートワークなどのデジタル技術を活用した社会的距離の確保策ですが、前エントリーで指摘した日本の住宅事情がネックになる可能性があります。逆に言えば、この問題を解決できるビジネスモデルを生み出せれば、そこにビジネスチャンスがあるということでもあります。その点から首都圏の各社で始まったシェアオフィス事業が化ける可能性は指摘できます。

シェアオフィスといっても主にスタートアップ向けの共用スペースをシェアするタイプではなく、パーティションで仕切られた1-2人用ブースを駅構内に複数設置するタイプのもので、セキュリティ対策された高速ネット環境で、出来ればユーザーの所属企業のVPNとの接続が可能な仕様で、例えば午前中はシェアオフィスでリモート勤務して午後出社といった使い方が出来れば、朝のピークタイムをヘッジする効果もありますから、鉄道会社にもメリットがあります。

更にIT系中心に続いてきたオフィス増床で都心オフィスの賃料が高止まりしていることもあり、企業にとってもサテライト型シェアオフィスの活用で都心オフィスの縮小などでコスト削減の可能性が出てきます。浮いたコストでシェアオフィス会費を含むリモート勤務で生じる従業員の負担を手当てでカバーするなどすれば、様々な問題解決につながります。

あと医療分野の遠隔診療やカルテ電子化とか、教育分野のリモート学習など、デジタル技術による問題解決の可能性は多岐に亘りますが、医療も教育もそれを阻む障害が多い現実があります。日本ではウィズデジタルが最も困難かも。

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