縋る世界に闊歩する鬼のレントシーカー
Rentseekerとは企業など特定の利権集団が政治に働きかけて都合の良い規制をかけたり、逆に都合の悪い規制を緩和したりするよう働きかけて超過利潤(Rent)を得ようとする活動(Rentseeking)を行う人々のことです。ロビイストという言い方もありますが。
直ぐに連想するのは森加計問題の後者の加計学園による獣医学科設置を巡るあれこれは典型的です。この問題では認可を渋る文科省に官邸から圧力があったとされておりますが、同時に過疎に苦しむ愛媛県今治市にとっては若者を集めるための大学誘致を餌に地方政治に対しても働きかけがあった訳ですが、こういった中央と地方を巻き込んだ根回しの過程に政治家が関与するケースは枚挙に暇がありません。
若者の流出で高齢者だけが残される地方の過酷な現実は理解できますが、その解決策として大学誘致ってのが何とも発想が貧困です。それ以前に地元の若者が何故流出するのか?という問いを立ててみてほしいところです。結論を言えば若者にとって魅力的な仕事が無いからなんです。獣医学科を誘致した今治にしても、畜産が盛んとは言い難い四国ですから、卒業生は他地域へ流出する訳で、若者を呼び込んでも地域に定住定着できなければ同じことです。
結局地方活性化と言っても、観光地として売り出すか企業や大学その他の誘致といったありきたりの発想しか出てこない訳です。その最たるものは前エントリーの大阪トトに見られる地域特性を無視した東京の劣化コピーで地方活性化だとドヤ顔なんですよね。その東京もリモートよで指摘したように、香港の危機に乗じて今度こそ国際金融都市とか言っている訳で、そもそも金融都市としての比較優位のない東京じゃ無理という現実は見ないんですよね。
つまり何が言いたいかと言えば、レントシーキングじゃ経済は活性化しないどころか泥沼にはまるってことです。そのレントシーカーが間違って大統領になってしまったアメリカの迷走ぶりを見ればよくわかります。
米大統領選、法廷闘争も 最高裁人事が決着左右か:日本経済新聞法廷闘争にもつれ込んだ大統領選と言えば2000年の子ブッシュとゴアの選挙戦で、一部の州で票の集計結果に疑義が生じて集計をやり直したことが思い出されますが、結局法廷へ持ち込まれて決着しました。お陰で子ブッシュは国民じゃ無くて裁判所に選ばれた大統領と言われました。
今回の構図はもっと複雑怪奇でして、コロナ禍で週によって認められている郵便投票の増加が言われ、結果投票率が上がると民主党有利になるということで、トランプ大統領が郵便公社に圧力をかけてきたこともありますが、同時にここへ来て世論調査の支持率がバイデン有利と言い切れない変化が生じていて、どう転んでも接戦となりますが、そうなると集計に時間がかかる郵便投票の結果で逆転の可能性が出るなど混沌とした状況で、トランプが大統領に居座る事態も想定されるという嘘みたいな話になりつつあります。
そこへもってきて最高裁のリンス・ギンズバーグ判事が死去して、後任の選出が必要なんですが、リベラル派のギンズバーグ判事の後任をトランプ大統領が指名すれば保守派となり、9人の判事の保守派5人リベラル派4人のバランスが崩れて保守派優勢となることから、民主党サイドから新判事選任はf大統領選後、新大統領によって指名されるべきだという議論が起きていて、実際過去には同様の事例はある訳ですが、大統領職を譲る気のないトランプ大統領は法定闘争で有利になるように保守派判事選任に拘っているという構図です。これがアメリカの政治の現実ってのが信じられませんが。
ややこしいのは経済界の動きでして、流石に出鱈目なトランプ支持を打ち出す企業はありませんが、本人がレントシーカーで「話の分かる」ビジネス寄りの大統領を内心歓迎している訳で、特にトランプ減税の見直しを公言するバイデンに対しては複雑な心境にあります。一方雇用情勢の厳しさもあって若者の支持はバイデンに傾いており、どちらが勝つにしても接戦は間違いいあrません。
米中摩擦の渦中にある中国にとっては、実は人権問題に厳しいバイデンよりもトランプの方が内心歓迎ってのが本音です。Huawei問題にしても、トランプが再選されれば交渉次第で活路がありますが、トランプが敗れれば、残る任期中に腹いせにHuawei潰しに走るのは目に見えてますし、バイデンが大統領になっても国内雇用重視で中国には厳しく当たるでしょう。
そして日本ですが、イージスアショア代替策というめんどくさい問題を抱えています。元を質せば安倍前首相がトランプ大統領に対して安易に約束した結果ですが、ブースターの民有地落下問題で無理という結論となったのですが、とにかくアメリカから兵器を買う約束だけは残った訳で、頭抱えながら敵基地攻撃能力などの危なっかしい議論をちらつかせている訳です。ちなみに国連憲章の敵国条項がある限り、日本とドイツに対しては、他国への軍事攻撃の意図があると認められれば宣戦布告なしに攻撃してよいことになっております。保守派脳内フローラでは見えていない現実です。
その他にもTPP11問題もあります。安倍外交の成果とされているようですが、元々アメリカの参加を睨んで農産品輸入や遺伝子組み換えやゲノムに対する知的財産権を認める一方で自動車関税の撤廃は時間をかけてという非対称な内容を盛り込んだ訳ですね。その結果WTOルールによる最恵国条項で第三国も恩恵に浴しますから、アメリカはTPPに復帰することなく日本から引き出した譲歩を享受できますし、だから日欧EPAもほぼ同時にまとまったし、Brexitで揺れる英国も日本に宗派を送る訳です。つまりTPP11は首から安値の値札を下げている状態な訳で、世界各国からウェルカムされる訳です。
そしてコロナ禍ですが、これで安倍政権の支持率が急落したように、管政権にとっても優先順位の高い問題の筈ですが、Go To キャンペーンに代表されるバラ撒き政策に踏み込む姿勢はどうかと思います。先週の4連休で観光地に人が戻ったと言われますが、2週間後の感染拡大が心配されます。Go To トラベルの東京発着解禁やイベントその他のキャンペーンを10月1日スタートとなる訳で、潜在的感染者が増えた状態で迎える訳です。そして急速に気温が低下し、季節性インフルエンザの時期も迫ります。
冷静に見て咳や圧夏などの風邪症状が普通の風邪なのか季節性インフルエンザなのかcovid19なのかは判別できません。てことは医者にかかる前にPCR検査を受けて結果待ちをしないと医者にも行けないという不都合な現実に国民は直面する訳ですが、検査体制の拡充は今もって不十分です。そんな中で旅行に行け!とか飯食え!とかイベント行け!とか言われてノー天気に楽しめるでしょうか?Go To ってそもそも命令形だし。
それ以前に Go To キャンペーン自体が特定業種に利益をもたらすという意味で典型的なレントシーキングの産物と言えます。管政権の本質が良く見えます。風邪ひかない人たちの本質は変わらないってことです。
4連休を振り返ると道路が渋滞して駅へ出るバスが遅れて運行していた一方、電車は意外に空いていた印象があります。伝え聞くところによるとカーシェアの予約が取れないという声があり、通常のレンタカーを含めて相当数のレンタカーが出払っていたようです。コロナ禍で公共交通が忌避された結果でしょうけど、自動運転で予想されるカーシェア拡大や自動運転タクシーは道路のキャパシティがネックになるということですね。政府肝いりのスマートシティが有望なのか?という疑問もあります。結局感染対策を強化している公共交通の利用が都市問題の解決には欠かせない訳です。やや凡庸な着地点ですね^_^;。
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