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October 2020

Saturday, October 24, 2020

仲良きことは美しき哉かな?

京王線を下って仙川の掘割を抜けると視界が開けるところがあります。仙川は台地の上の高地なのですが、入間川とはいっても埼玉のそれとは異なる野川の支流の都市中小河川が谷を刻み河川敷状の低地が広がる地形に繋がります。故にこの間下り勾配で、高松吉太郎氏がここを疾走するダブルポールの四輪単車の写真を残しております。大正期の貴重な記録ですが、当時と佇まいがほとんど変わっていないある意味貴重な場所です。そんな場所での出来事です。

住宅街の道路陥没、東京・調布 付近でトンネル工事:日本経済新聞
調布市は10年ほど住んでたことがありまして、土地勘のあるところです。入間川を挟んで東つつじが丘と若葉町が隣接しておりますが、若葉町は武者小路実篤が晩年居を構えていたところで、旧居は実篤公園・記念館として一般公開されております。居宅は重要文化財に指定されています。

白樺派の重鎮で日本における空想社会主義者としても知られる文豪ですが、宗旨替えして戦争礼賛に転じ、政府に協力したということで、戦後公職追放の憂き目にも遭っております。そんな文豪が愛した武蔵野の面影も今は昔、入間川沿いの低地も宅地開発されていますが、今回の出来事はそんな場所で起きた訳です。地下では東日本高速道路会社による東京外環自動車道の建設工事が進行中で、所謂大深度地下にシールドトンネルを掘り進めていた場所でもあります。今のところ因果関係は不明ですが、川沿いの低地で地盤が弱いと考えられますから、無関係ではないでしょう。当然ながら外環道の工事は凍結されました。

都市部の地下トンネルは、ビルの基礎杭などと競合するため、地権者の同意を必要とします。・ややこしいですが地下トンネルを掘るために地上権を設定し地権者に金銭補償をする必要がある訳で、例えば地下鉄半蔵門線の九段地区では地権者の同意がなかなか得られずに開業が大幅に遅れたりしました。調布市でも外環道の構想に対して多くの場所に「外環道絶対反対」の看板が掲げられておりました。元々掘れば水が出るほど保水量の多い地域ですし、地下を通すにしても揉めることは確実だった訳です。

それが法改正でビルの基礎杭も届かない地下40mi以上の大深度地下層は山岳トンネルに準じて地権者の権利が及ばないように改正され、外環道も将に大深度地下層にシールドトンネルで通すことで決着した訳です。但し危惧する声が無かった訳ではありません。というのも、山岳トンネルでも過去にトラブルが発生しており、例えば丹奈トンネルの工事で水源を絶たれた地上部分では灌漑用水が得られなくなってますが、国家総動員体制の中で反対の声は上げられませんでした。

上越新幹線でも中山トンネルの大湧水でルート変更を余儀なくされましたし、大清水トンネルの湧水が原因と考えられる水上温泉や越後湯沢温泉の源泉の一部枯渇問題などが起きています。補償装置は講じられましたがトンネル湧水は続いており、大清水(おおしみず)ブランドの飲料販売で活用されてます。この辺は民営化でやり易くなったとは言えます。

ということで外環道の工事も遅れそうですが、思い出されるのがリニア静岡工区のJR東海と静岡県の対立です。一部報道で河川管理を静岡県から政令市の静岡市へ移譲されれば解決するという観測もありますが、仮にそうなっても大井川下流域の自治体との調整は必要で、静岡県が動くことになります。また静岡県もリニア工事に伴う道路整備には奥大井の観光開発の思惑から理解し期待する部分もある訳で、静岡県がリニア工事の邪魔をしているという理解は現実とは異なります。上記の丹奈トンネル工事の経緯もあり、静岡県は条例で厳しい環境アセスメントを求めている一方、JR東海は基準を満たすデータを出さないから膠着していることは指摘しておきます。

この辺のJR東海の姿勢は五方面作戦エントリーで指摘した国鉄時代からの独善性とバーター主義で相手を黙らせる流儀を疑わせます。そしてこのことはリニア談合事件でも垣間見えます。

リニア談合、大成・鹿島が無罪主張で結審 判決は21年3月:日本経済新聞
既に大林組と清水建設の2社は分離公判でtyy材はk熱dが出され、罰金と課徴金も確定していますが、無罪を主張する大成建設と鹿島は公判が続いているのですが、動機法定で指摘したように、分離公判で大林組はJR東海の要請を受けて作成した「星取表」と呼ばれる工区別の予算と受注会社を記したエクセルワークシートという動かぬ証拠を提出してバラしちゃった訳で、有罪判決は動かないでしょう。同時に被害者である筈のJR東海が談合を実質的に差配していたことも明らかになりました。

そのリニア工事も大深度地下トンネル区間があります。元を質せば事業費圧縮を求めるJR東海の姿勢が談合の原因でもある訳で、それだけ儲けの少ない工事を請け負うゼネコン各社がギリギリの見積りを立てている訳で、トラブルが無いとは言い切れなません。てことでゼネコン同士の暴露合戦と化したリニア談合裁判ですが、業界の亀裂は簡単には修復できないでしょう。

仲良き事は美しき哉

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Sunday, October 18, 2020

デカップリングで謝謝トランプ

風邪と共に去るかと思ったトランプ大統領が巻き返しに躍起になっています。バイデン氏に対して劣勢なのは否めませんが、強力なステロイド剤まで処方して回復して意気軒高ですが、異常なテンションの高さは副作用の可能性もあります。ドラッグでの復活劇ですが、あたかもキリストの復活になぞらえるような展開はキリスト教右派の心を掴むストーリーとしてアピールポイントにもなります。ある意味アメリカらしいですが。

てことでどう転んでも接戦が予想される米大統領選ですが。今心配されているのは、仮にトランプ大統領が敗れても、ホワイトハウスを明け渡さない可能性があることで混乱が心配されてます。特に過激派によるテロの心配が言われ、実際民主党系のミシガン州知事拉致未遂事件でFBIが6名の身柄を拘束したという事件が起きました。下手すりゃ南北戦争以来の内戦すら心配する声まであります。

こうなってくるとトランプ推しと見られていた経済界の対応が微妙になってきてまして、どうせならバイデン氏に圧勝してもらって、加えて上下両院も民主党が多数派となって民主党のシンボルカラーにちなんだブルーウエーブ(民主党による連邦政府上下院独占)を望むようになりつつあります。議会で共和党が多数派を占める捩れ現象が起きると何も決められない政治が実現し、経済政策が滞ることを寧ろ危惧している訳です。一方一般国民はコロナ問題に関心が高く、経済政策は主要な争点にならないという珍しい展開です。

米大統領選「経済重視」最低水準の9% コロナは25% 関心集中:日本経済新聞
てことで経済よりもコロナ対策を巡る国民の分断の深刻さが可視化されていて、アメリカの混乱は長引きそうです。その経済政策で不都合なことが起きています。
中国の対米貿易黒字が最高に 7~9月、医療品など輸出増:日本経済新聞
偉大なアメリカを目指すトランプ大統領にとっては悲報です。医薬品その他のy対米輸出が増えた一方、ハイテク品の半導体関連の輸入が減って対米貿易黒字が拡大した訳です。つまりコロナ禍で需要が拡大した医薬品はアメリカの国内調達が間に合わず輸入依存に追い込まれた一方、Huawei排除などのハイテク品制裁の影響でアメリカからの輸出が減った訳で、自業自得になっている訳です。

またアメリカの経済指標で消費が強い数字を示しますが、一方で7%を超える最悪の失業率が示すように、雇用は戻っていない訳で、加えて貯蓄率も上がっているという謎な動きですが、給付金の影響と見れば腑に落ちます。つまり派手な財政出動で経済の落ち込みを防ぐことはある程度実現できたものの、生産は戻らずその分輸入依存が進んだ訳です。つまりアメリカの国内消費のお陰で中国の製造業yが一息ついた訳です。

これには2つの意味があります。1つは中国叩きのデカップリング政策はうまくいかず弊害ばかりということと、2つ目は元々アメリカに限らずグローバル化で製造業が低賃金の新興国へ移転した結果、先進国ほど製造業の比重が低下し、サービス業比率が高まったことによります。サービスは基本的に生産と消費が同時進行するから輸入で調達できない上に、製造業に比べて労働生産性が低く低賃金の傾向があります。つまり生産性の高い製造業が海外へ流出して生産性の低いサービス業が残ったところへコロナ禍がサービス業を直撃した訳です。

程度の差こそあれこの傾向は先進国全般に見られる傾向で、格差社会の原因とされています。中にはドイツのように製造業ウェートが高い国もありますが、主にEU圏向けの輸出で調整している訳で、製造業を維持するためには、生産能力を活かせるだけの外需に依存せざるを得ない訳です。但しそれは輸出相手国の工業生産を圧迫する要因になり、国際的な摩擦に晒されることでもあります。ドイツの場合ユーロ導入で為替変動から解放された結果可能になった訳で、対米輸出依存が突出していた80年代の日本では円高阻止のために低金利政策を続けた結果バブルを発生させ弾けて長期停滞に至った訳です。その反省が活かされない異次元緩和は論外ですね。

てことで、つまり製造業を国内に呼び込めた新興国がコロナショックからいち早く立ち直るのは当然な訳で、中国はますます強くなる訳です。但し中国も問題だらけで、改革開放路線で製造業を呼び込んだものの、過剰生産能力を持て余すレベルとなり、外需依存せざるを得ない状況にある訳です。その結果としての一帯一路であり、あくまでも国内の過剰生産能力を活用するためであって、相手国を借金漬けにして軍事拠点を得るためというのは違います。ただ融資審査が出鱈目だから通常ならば借入できないような国が群がった結果ですね。

そう考えるとそもそも対中強硬策は現実的には難しいし、新冷戦として中国包囲網を構築とかは、ただの妄想でしかないですし、中国には確かにいろいろ問題はありますが、うまく付き合いつつ、徐々に変化をもたらすしか選択肢はないですね。またこれこそが西欧の啓蒙思想の本来の姿ですが、非西欧世界では簡単には受け入れられないかもしれませんが、だからこそ強硬策は愚策と心得るべきです。

例えばイスラエルは中東に出現した西欧圏の国と見れば、存在自体が摩擦を生むものであると知れます。イスラエル建国以前はイスラム教徒が多数派だったものの、ユダヤ教徒や少数キリスト教のコブト教徒が共存していた訳で、イスラエル建国は主に西欧のユダヤ人が迫害され続け、シオニズムでアイデンティティ確立を目指したものの、ナチスの迫害を受けた結果、西欧の贖罪意識から建国を認めざるを得なかったことに由来しますし、それ以来紛争が絶えないという困難を呼び込んだ訳です。

加えてソビエト末期に連邦を形成する共和国の1つであるアゼルバイジャンで少数派のユダヤ人と多数派のトルコ系イスラムのアゼルバイジャン人の紛争が起きたことから、手を焼いたソビエト政府がユダヤ人のイスラエル移民を認めた結果、入植地が必要になってヨルダン川西岸などに入植地を作ったことでパレスチナ人を圧迫することになりました。ただしコーカサス地方のユダヤ人は西欧のそれとは別物で、元々古代ヘブライ時代からの遊牧民の末裔と言われます。アゼルバイジャンは産油国としても知られており、またロシア人やアルメニア人も少数存在するなどややこしいところで、紛争が絶えない訳です。

その意味では中東産油国も欧米石油メジャーの関与で国際社会に組み込まれた結果、経済中心に西欧化が進んだものの、政治体制は部族社会を維持したまま分断されている訳で、これ戦国時代の明、スペイン、ポルトガルが関わりながら戦国大名が相争う日本の戦国時代をイメージすると理解しやすいでしょう。当時日本は石見銀山、生野銀山など鉱物資源に恵まれていた資源国で、戦国大名は戦費調達のために鉱山開発を推進していましたし、南蛮貿易もそれ故に活発だった訳です。

その意味で中国から見れば香港や台湾は中東のイスラエルと同じような存在に見える訳で、西欧=侵略者という過去の歴史もありますし、簡単にはいかないでしょうけど、拗らせればますます解決困難になります。てことで対中強硬論や新冷戦やデカップリング論は現実的には不可能です。また辛亥革命で西欧流民主国家になる筈の中華民国が軍閥の跋扈で混乱し、蒋介石の独裁国家になったことも影響しています。ただ台湾の民主化のように中国人も理解すれば民主化に舵を切る可能性はあります。

話を戻しますが、経済のサービス化は日本でも進んでいる訳ですが、アメリカとの違いはバブル崩壊で投資が減速した結果、IT関連でアメリカが劇的に生産性を高めているときに停滞していたことが決定的ですね。気が付けば国内製造業の競争力は低下し、新興国に太刀打ちできなくなった一方、IT革命の波にも乗れず失われた30年とか言われている訳です。

結果的にアメリカのハイテク企業は技術革新の恩恵で生産性を劇的に改善しました。特にデジタル経済はコピーが容易なので、追加的な増産のコストである限界費用が限りなくゼロに近い訳です。所謂知財ですが、オリジナルの権利を確保すればほぼゼロコストで増産して市場を席捲できる訳で、それによってGAFAのような巨大デジタル企業が形成され他業種まで圧迫する存在になった訳ですね。

GAFAなどのハイテク企業の従業員は故に高額報酬を得ている訳で、製造業に従事するブルーカラーを圧倒するに留まらず、製造業の衰退でサービス業に転じた多くの人を取り残すことになりました。なまじ巨大ハイテク企業が出現したばかりに、格差が拡大して国民が分断されている訳です。その結果シリコンバレーに本社を置くグーグルが従業員送迎バスのドライバーを高給で募集した結果、公共の乗り合いバスがドライバー不足で休止に追い込まれるという事態に至っています。格差拡大が公共サービスを圧迫している訳です。

同じ時に日本ではバスドライバーの賃金が目に見えて低下した一方、震災復興などによる需要増で多くのバスドライバーがダンプドライバーに転職した結果、地方に留まらず大都市圏のバスまで減便や休廃止が相次ぐ状況になっております。違いは日本では国がわざわざ公共事業を進めて国費で公共交通を圧迫している訳で、愚かすぎます。そこへコロナ禍で鉄道、バス、航空が明日をも知れない逆風に陥っている訳ですが、公的支援の議論は見られません。ましてこれね。

GoToトラベル、急ごしらえ設計に穴 予算を追加配分:日本経済新聞Go To トラブルは続きます。指摘したように旅行会社救済が狙いだった訳で、それどころか大手旅行会社で予算配分を決めていたことが、予算消化の結果発覚したというお粗末な顛末です。コロナで需要が蒸発したホテルや遊戯施設の支援ならば、国が感染症対策の認証施設を決めて、認証施設の利用時に割り引いて割引分を国が補填するといったシンプルな仕組みにすれば何も問題ないし、旅行会社や旅行サイト経由で対象商品を予約しないと使えないというのでは、万人が利用可能でもないし不公平感は残ります。

さらに踏み込めばコロナが終息した訳でもない中で旅行に補助金を出すってのもおかしいし、医療や介護、保育などのケア労働への補助とか、経営が苦しい公共交通への支援とか、より緊急度の高い問題は山積しているなかでのことですから怒りが湧いてきます。特に固定費の高い鉄道事業者にとっては大変です。終電繰り上げや通勤定期運賃値上げなど自衛策がボチボチ出始めてますが、いずれ大幅な運賃値上げや減便に留まらず、路線の廃止も避けられない場面が来るでしょう。携帯料金よりこっちをどうにかしてくれ!

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Saturday, October 10, 2020

行政DXでは生まれないデジタルバリュー

去年の池袋暴走事故の公判が始まりました。

池袋暴走、元院長が無罪主張 「車に異常」地裁初公判:日本経済新聞
1ヵ月前の定期点検では異常は見当たらなかったことと、車の操作記録でブレーキ操作が無かったことやアクセルが踏まれていたことなど検察側の証拠固めが進んでおりますが、去年の人間だものエントリー背取り上げたマンマシン系のヒューマンエラーの可能性はあります。飯塚被告の操作ミスは動かないとしても、操作ミスをリカバリーするシステムは組み込まれていなかった訳で、公判を通じてその辺の議論に進むことは有用です。

暴走事故自体は高齢者特有とは言い切れませんし、ほぼ同時に起きた神戸市営バスの暴走事故のように、プロドライバーでもミスする現実が一方である訳で、高齢者の免許返上とか自動ブレーキや操作ミス防止システムを組み込んだサポかーの普及だけで解決する問題じゃないということは指摘しておきます。

加えて飯塚被告の無罪主張に批判が集まってますが、被告の権利ですからとやかく言うことじゃありません。対立があるから弁論を通じて解決策を探るという弁証法の原理は民主主義の基礎の基礎です。裁判はそのためのものです。しかし自動車がデジタル化された結果、ログを調べることでいろいろわかるってのも新たな事態ですね。

その一方で政権は暴走を始めました。日本学術会議の会員任命問題で早速やらかしました。これ学問の自由云々の問題というよりも、特別職公務員の選任を巡る法律問題というのが本質です。日本学術会議の推薦を受けて、内閣総理大臣が任命するという風に根拠法に記載されており、法改正時の1983年の国会答弁でも、それまで自主的な選挙で選任されていた会員を総理の任命とする変更を「形式的なもの」と答弁されております。

つまり政権側に拒否権は無い訳で、仮に拒否せざるを得ない事情があったと仮定しても、その理由は開示されるべきですし、それ以前に法改正の議論が先にある筈です。それぐらい重要な法律問題なんですが、政府の回答は見事なはぐらかしです。

政府、法解釈変更を否定 学術会議人事巡り衆院内閣委:日本経済新聞
政府は解釈変更はないとして、根拠に憲法15条の特別職公務員の選任に関する事項を取り上げております。意味するところは「国民が選んだ内閣の代表者が任命に責任を持つのは当然」ということのようです。これ解釈変更そのものですね。

特に行政法は法の執行イコール公権力の行使となる訳ですから、個別具体法で記述された通りの執行が求められる訳で、それを変えるには法改正が必要ですが、時として法が想定しない事態が発生して判断を迫られることはあり得ます。今回の場合任命されなかった6名が例えば重大な刑事事件の被告人であるとか、国際テロ組織との関係を示す証拠が見つかったとかぐらいの異常事態なら、法改正が間に合わないから法解釈を変更したという理屈は成り立ちますし、その場合に遡って憲法を参照することはあり得ます。但し今回の憲法解釈は間違ってますが。

明らかに内閣総理大臣の権能を持たない問題に介入した訳で、法律違反の越権行為ですが、処罰規定が法律になければ居直ってやり過ごすことは可能です。しかも説明を拒否している訳で、これは言い換えれば「察しろよ!」と言外に匂わせている訳で、凄みを演出することになります。これ反社、無頼漢、不逞の輩やDV夫のやり方です。執行機関である行政のトップが「法律?関係ねぇ!」と言っているに等しい訳です。これじゃデジタルバリューは生まれません。同じDVでも大違いです^_^;。

そして批判されると今更ながら「これも行政改革の対象」と逆切れ気味にあり方の議論をするって完全に順序が逆ですね。マスク、マスク、マスクで取り上げた黒川高検検事長の法令無視の定年延長を批判されて検察庁法改正をやろうとした安倍政権と同じですね。さて長い前振りになりましたが、こんな政権が打ち出す行政改革、行政のデジタル化が如何なるものになるかはわかりますね。新政権は日本を地獄に連れて行きそうです。

行政のデジタル化でハンコ廃止が俎上に上っておりますが、本人確認をどうするかは難題です。認証システムを強固にすると利用しにくくなりますから、ある程度簡便性も考慮する必要がありますが、簡便性に偏りすぎるとこんなことが頻発する押れがあります。

持続化給付金、簡略申請突かれる 800人以上分の不正計画?:日本経済新聞
持続化給付金は指南役がいて個人事業主を装って、且つ単月で5割以上の売上減を示す帳簿を偽造して若者に広がった不正受給ですが、Go To イートでグルメサイト予約によるポイント還元策の錬金術にも通底しますが、若者はシステムのバグに乗じた裏技利用に躊躇が無いですね。しかし不正受給は指南役に手数料を支払っているそうで、発覚すれば延滞金込みで公金返還を迫られますから、結果的に大損となります。高い授業料でした。

またこうしたテクニカルなハードルに留まらず、そもそも明治以来の文書主義を継続性を担保しつつ再定義する必要あありますが、そうなると原本とコピーの関係をどう定義するか、偽造防止をどうするかといった問題もあります。テクニカルな解決策としてはブロックチェーンを使うことで解決可能ですが、モリカケサクラで公文書の廃棄や原本の改ざんまでするような政府が、公開台帳であるブロックチェーン方式を積極的に採用するとも思えません。テクニカル以前のところに問題があります。

ブロックチェーンに関してはデジタル人民元に対抗して日銀デジタル通貨の実験をやるそうですが、気を付けたいのは、中銀デジタル通貨は使いようによっては公開台帳でお金の流れが追えることから、個人や法人の財布の中身が見えてしまう問題があります。デジタル人民元では中銀から商業銀行を介して流通させる二段階方式で通貨の匿名性を担保するとしていますが、不透明な中国当局の姿勢からうまくいかないじゃないかと言われております。日本はどうでしょうか?

話を変えますが、菅首相が重視している筈のコロナ対策をどうするのかが見えません。これから乾季になり手洗いやマスクが効かないエアロゾル感染が増えると見込まれますし、季節性インフルエンザへの警戒も必要な中、相変わらず検査が増えません。その一方で Go To トラベルの東京エリア解禁に踏み込むなどチグハグです。東京の感染者数は安定しているものの高止まり傾向があり、Go To 解禁で全国への拡散が心配されます。その結果新幹線は乗客が戻りつつあるようですが、航空の厳しい状況は変わらないようです。

ANA、希望退職を募集 賃金カットで年収3割減に:日本経済新聞
コロナ禍では単価の高い国際線が壊滅状態にある上、国内線も乗客減少で大幅減便された航空各社ですが、大手2社のANAとJALでは財務状況に開きがあります。ANAも世界的に見れば財務は健全な方ですが、破綻処理を経て再生したJALはひたすら健全経営で財務体質を強化した一方、拡大路線を目指したANAで明暗を分けました。

この辺は同じANAANAと鶴など過去エントリーで繰り返し述べてきましたが、特にANAが自公両党に政権交代以前からロビーイングしていたJALの公的救済に対する競争条件を定めた通称810ペーパーという行政文書によって、2012年―2016年の間のJALの新規投資が抑制されたことで、その間に特に国際線中心に自前路線を拡充してきました。自前化は政権による羽田国際線発着枠の傾斜配分もあってやむを得ないところではありましたが。

一方枷をはめられたJALは専ら財務改善に注力し、規模で勝るANAの2倍の利益計上するに至りました。新規投資が抑制されたこともあって、路線拡充は専らエアライン同士のアライアンスに依存した結果、コストを抑えながら路線拡充を図った訳です。これ破綻以前のJALとANAの逆転現象ですが、同時にコロナショックで先が見えない中で潤沢な手元資金を残して踏みとどまっております。とはいえ減便で余剰人員を抱えているのは同じで、Go To トラベルの受け皿となる観光地のホテルなどへ人員を派遣してしのいでいる状況です。大手エアラインが実質人材派遣業をやっている訳です。

ネットではJAL破綻時でも言われた大手1社体制の話もあり、与党の一部でも動きはありますが、大手2社も国交省も全くその気なしですが、結果的にJALの公的救済で競争環境を維持したことが好結果を生んだことも間違いありませんし、それ以上にANAの政治頼みでやり過ぎたため、1社体制になれば両社の遺恨が顕在化しかねないということで、健全な競争環境維持が共通理解になっている模様です。

前エントリーで指摘した地銀に限らず乗合バス事業者や中小企業の再編に前のめりと言われますが、バス会社は鉄道事業者の転身組を含みますし、地方中小企業tも再編対象は地場の有力企業でしょうから、つまるとこと地方のエリート企業の再編ってことですが、ここは魑魅魍魎の巣喰う世界でANAとJALどころじゃない遺恨を抱えていたりします。政府方針だけで進む話じゃありませんね。

行政改革を標榜する政権ならば、寧ろ鉄道と航空鵜の縦割りに中串を入れて鉄道による航空便のコードシェアを進める方が理にかなってます。実際コロナ禍で打撃を受けたエールフランスに対するフランス政府の救済条件に短距離便の鉄道代替を条件にしております。破綻以前から鉄道によるコードシェアを実施していた独ルフトハンザは破綻処理で国の支援を受けますが、鉄道コードシェアの拡大は確実でしょう。果たして新政権はどうするでしょうか?

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Sunday, October 04, 2020

風邪と共に去りぬ

予想外の展開です。

米政権・議員に感染者複数 ホワイトハウスで拡大か:日本経済新聞
前エントリーで取り上げたギンズバーグ判事死去に伴う最高裁新判事候補の披露イベント時のクラスター感染が疑われています。自業自得というか、ミイラ取りがミイラというか-_-;。

当然大統領選どころじゃなくなりますし、病状次第では執務不能となることもあり得ます。その場合の代理第1位は副大統領、第2位は下院議長となっており、政治的混乱は避けられません。特に共和党にとっては痛手でしょう。今更別の大統領候補を選ぶのもままならず、副大統領候補が横滑りという訳にも行かず、政治的混乱は避けられません。それ以上にコロナ禍の終息がますます見通せなくなり、国民の消費自粛ムードを高めます。

加えてただでさえ財政の崖問題で追加経済対策が打ち出せない中で、雇用情勢は悪化の一途を辿っています。てことは、アメリカの経済回復は遅れる訳ですから、世界中が様子見モードの米中摩擦の行方も微妙になります。確実に経済を回復させている中国を排除して対米追従すれば自国の経済回復も遅れる訳ですから、日本を含め、多くの国の迷いを誘う事態です。まあ日本はそれどころじゃないあれこれがありますが。

東証「バックアップへ切り替えできず」 機器故障が原因:日本経済新聞
下期初日の10月1日に東証がシステム障害で終日取引停止になりました。原因は記憶装置の不具合ですが、バックアップディスクへの切り替えがうまくいかず、混乱を避ける為に已む無くということですが、問題は代替市場が機能しなかったことです。

欧米では地方市場や私設市場が併存していて、相互にバックアップされる自律分散システムとなっているので、危機の不具合による取引停止は避けられるんですが、取引の薄い地方市場では独自のシステム構築の費用が出せず、東証のシステムに相乗りしていたし、私設市場(PTS)は金融庁の規制で規模が拡大すると東証の上場銘柄が扱えなくなるなどで、小規模PTSが複数併存していて、ネット証券が東証を含む複数市場で最も有利な市場で取引するSORという仕組みがありますが、最大規模の東証のシステムダウンでバグが出る可能性があるということで、ネット証券各社はSORを止めたため機能しなかったというもの。

株式市場も東京一極集中の弊害が明らかになった訳で、香港に代わる国際金融都市など無理ですね。金融分野では3行合併でスタートしたみずほ銀行のシステム障害がありましたが、大きけりゃいい訳じゃないってことですね。それを忘れたかのような地方銀行の経営統合を含む再編に前のめりな管政権ですが、同様の問題が起きるとは思わないのでしょうか?

それと気になるのが、同時に経営が苦しい地方乗合バス事業者や地方中小企業の再編も同じノリで進めようとしているんですが、これ1938年の陸上交通事業統制法の時代に逆行させる気でしょうか?今更な国家総動員体制を目指しているとしか思えません。そんな中でのNTT再編ですが、稼ぎ頭のドコモが他社乗り換えでユーザーを減らし、気が付けば3位ということで、もはやガリバー企業としてのNTTグループの協業規制が意味を失ったということです。

加えてNECの出資を仰ぐことになった訳で、気が付けば旧電電ファミリーの復活劇ということですが、5Gの出遅れを取り戻したいってことですね。そしてHuawei対策として国産通信インフラの復権を狙ったものと言えましょう。NTTの筆頭株主は34%を保有する財務大臣つまり国なんですが、上場企業が実は国営企業という中国みたいな現実もあります。何だか国家総動員体制下の電力国家管理に酷似します。携帯料金値下げはこれを誘導する為だったのかな?

このノリで民営化JRに手を突っ込んでくる可能性もあります。経営不振のJR北海道はJR東日本に、JR四国はJR西日本に強引に面倒を見させるとかやりかねないですね。JR九州を含む上場4社は完全民営化されているので、抵抗力は一定にあると思いますが、例えば災害復旧にかこつけて介入する可能性はあります。

例えば熊本地震と大雨で大規模な山崩れで不通となった豊肥本線は3年半かけてやっと復旧しましたが、復旧費用は50億円で半部は国と地方の折版で補助されてます。一方同時に被災した並行する国道57号線は、ルート変更で北側復旧ルートと称する3.6kmのトンネルで外輪山を超える形で復旧し、費用は800億円と言われ、全額公費です。道路予算と鉄道予算にはこんなに開きがあるってのがショックですが、それでも復旧に公費を当てにせざるを得ないJRは、ある意味旧国鉄時代のような政治圧力を受ける存在になりかねない訳です。これはいつか来た道です・

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