« 中国デカップリングの同床異夢 | Main | 復興は不幸の始まり? »

Sunday, March 07, 2021

帰らざる人

みずほ銀行のシステム障害って毎度感ありますが、その深層には深い闇があるようです。

みずほATM障害、危うい月末処理 必然の「パンク」:日本経済新聞
うるう年ではない2月末の日曜日という特異日にシステム弄ることに対しては他行からも疑問の声が漏れてきます。通常の月末処理では4年に一度の2月29日の分が月末処理から漏れてしまうので、2月28日ははうるう年かどうかを問い、Noならば29日分を拾って併せて月末処理をするという処理をする訳で、その分データ処理量が多くなる特異日なんですね。

しかも今回のシステム改修はデジタル口座化と称してますが、ぶっちゃけ通帳発行の有料化を目論んだものですが、先送り必至となりました。疑問なのは作業指示を出した側の認識不足はあったとしても、指示を受けた側から異論が出なかったのか?ってことですね。同様の認識不足だったとすればそれ自体問題ですが、もう1つわかってたけど言い出せなかったというケースもあり得ます。どちらなのかは外からはわかりませんが、忖度した結果とすればより深刻な事態ではあります。

てことで官僚の忖度だけが問題じゃないということですが、総務省を巡って中年ロン毛ドラ息子接待疑惑以上の問題が発覚しました。

総務審議官、NTTと会食認める「3回あった」:日本経済新聞
通信の巨人たるNTTからの供応となると東北新社どころじゃない問題ですね。ハイブリッド・シビル・ウォーで取り上げたNTTによるドコモ統合という出来事があった訳で、国が議決権の34%を保有し競争政策の観点から敢えてグループ協業を規制されていたNTTの意思決定を国がすんなり認めたように、NTT側には供応の動機があった訳です。政権が目玉とする通信料金値下げ政策とも絡み、結局利権でしか動かない政府の意思決定に疑義が生じる訳です。

前エントリーで取り上げた吉川元農水相とアキタフーズ元代表との会食に同席した農水官僚の問題も、背景には経済動物に対するアニマルウェルネス問題があり、日本の養鶏場の密集飼育がやり玉に挙げられている問題で、現状維持を求める鶏卵業界の代表としてアキタフーズ元代表が動いていた訳です。所謂レントシーキングですが、レントシーキングでしか政治的な意思決定ができないのかという病巣が見えてきます。

そんな文脈で迎える震災後10年の現実を見たとき、ため息を禁じ得ません。復興が進みきれいに造成された被災地に人がいない現実があります。被災地の多くが過疎地であることから、当時の民主党政権が打ち出した創造的復興の方針の下、新産業を興し人が戻ることに重点を置いた訳ですが、現実はハードの復興は進んだのに人は戻っていない訳です。特に原発事故の影響をもろに受けた福島県の惨状です。

当時の菅政権が打ち出した再生可能エネルギー政策で、福島県ではメガソーラーへの期待が高まり、相馬市にはテスラCEOイーロン・マスク氏からソーラーシステムを寄贈されたのに、公共施設への限定的な給電に留まっています。農地としての復興が難しい汚染地域をメガソーラーでよみがえらせる構想や風力発電の民間プロジェクトが多数立ち上がったものの、結果的には電力会社による接続拒否によってことごとく頓挫してしまいました。

連合の有力単産の電力労連の圧力を民主党政権は突破できなかった訳ですが、政権交代後の自公政権でも電力会社の既得権益に配慮した電力自由化で徹底的に骨抜きにされました。発送電分離と言いながら形式的な分社化しか求めない法的分離に留まり、また菅政権による差し止めで浜岡原発が止まった中部電力と東電の発電部門を統合してJERAとして切り出したのも、原発事故の当事者である東電の救済策の色彩が濃いものです。原発停止で火力発電依存が強まり、LNG火力への依存を強める中で、規模を拡大してバイイングパワーを発揮するという目論見でしたが、この冬の寒波で需給逼迫の原因になりました。

ちなみに米テキサス州の停電は、寒波による需給逼迫は同じですが、評議会のよる需要予測が低かったことと、寒波による天然ガスパイプラインの凍結や発電所のトラブルが重なったもので、加えてテキサス州は全米に拡がる州間連携線に繋がらないスタンドアローンだったことで、復旧が遅れました。同州は電力自由化の先進地を任じておりましたが、その結果300を超える小売事業者がひしめき合い、価格競争が劇最多結果、電力料金でカバーしきれない発電設備や送電設備の更新投資が滞り、加えて予備電力確保のための容量市場がなかったことから、評議会の需要予測ギリギリの発電量しか供給されないという問題もあります。規制緩和に名を借りた完全な人災です。

こうした経緯から、現管政権の(ややこしいな^_^:)カーボンニュートラル政策は鼻白むものがあります。再生可能エネルギーの普及に弾みを付けられた可能性のある震災復興計画を既得権擁護で潰していながら、どの口で言うのかって話ですね。福島の再生可能エネルギーに関しては、福島第一第二の廃炉で首都圏向けの送電線が空いている訳ですから、東電に開放させればすぐにでも可能な事なんですねどね。

勿論震災当時の菅政権(ややこしー^_^:)が打ち出した再生可能エネルギー買取制度(FIT)で当初高額な買取価格としたことから、申請して得た認可を権利として転売する事業者が後を絶たず、結果的にメガソーラー発電所が作られずに放置されたケースも多数あります。加えて高額買取は国内のソーラーパネルメーカーの企業努力のインセンティブを奪う一方、寧ろ中国や欧州のメーカーの台頭を許す結果となった訳で、再生可能エネルギー後進国として置いてけぼりになってしまいました。この辺は官民共に認識の甘さがあります。

最後に取り上げたいのがこのニュース。

電車、再生エネで運行 JR東、30年度に使用電力の2割に:日本経済新聞
首都圏の輸送時用に対応するために国鉄時代に直営発電所を持っていた訳ですが、それを継承したJR東日本が再生可能エネルギーに切り替えるということですが、直営6割買電4割ですから、直営の1/3相当ってことですね。目標としてはちょっとぬるいんじゃないかと思います。勿論コストとの見合いなんでしょうけど、せっかく発電所を持っているんだから、余剰電力の外販まで視野に入れてコスト回収まで考えることが出来なかったのかが疑問です。

これは同時にコロナ禍で明らかになった運輸事業収入依存の経営の危うさから収益源の多様化を図る意味があります。加えて巨大電気鉄道でもあるJR東日本には、中小私鉄のマイクログリッド事業と桁違いのビジネスチャンスがあると考えられます。JR東日本とJR東海限定ですが、直流電化区間が東日本の50hzエリアと西日本の60hzエリアに跨っている訳ですが、この周波数の異なるエリア間の連携線の容量不足は以前から指摘されていたところです。

しかし技術革新で直流高圧送電が可能になり、津軽海峡の海底ケーブル連携線で使われたりしている訳ですが、電気鉄道の直流き電線を高圧直流化してDC-DCコンバータ―で降圧して架線給電するシステムにすれば、変電所の集約が出来てコストダウンなる上電力託送の事業化で収益を得られる訳です。特にリニア関連で超電導技術に強いJR東海ですが、超電導送電線で技術が活用できるチャンスでもあります。国鉄OBの経営陣では出てこない発想なのかな。

| |

« 中国デカップリングの同床異夢 | Main | 復興は不幸の始まり? »

ニュース」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

鉄道」カテゴリの記事

JR」カテゴリの記事

ローカル線」カテゴリの記事

民営化」カテゴリの記事

Comments

冒頭のみずほの件ですが、素人集団が巨大システムを開発運用しているのが実情です。
全体を細部まで把握できる人間がいないですし、下手に問題を指摘するとあとが怖いですからね。

社内の風通しが悪く、社長・頭取など雲の上の存在。
臨店される日は、その日だけ特別に専用エレベーターを稼動させて、SEなどは執務室に軟禁状態。まるで天皇陛下のような....おや、こんな時間に誰だろう?うわなにをするくぁwせdrftgyふじこlp

Posted by: yamanotesen | Saturday, March 13, 2021 12:09 AM

ご自愛ください。

>yamanotesenさん
>
>冒頭のみずほの件ですが、素人集団が巨大システムを開発運用しているのが実情です。
>全体を細部まで把握できる人間がいないですし、下手に問題を指摘するとあとが怖いですからね。
>
>社内の風通しが悪く、社長・頭取など雲の上の存在。
>臨店される日は、その日だけ特別に専用エレベーターを稼動させて、SEなどは執務室に軟禁状態。まるで天皇陛下のような....おや、こんな時間に誰だろう?うわなにをするくぁwせdrftgyふじこlp

Posted by: 走ルンです | Saturday, March 13, 2021 02:15 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« 中国デカップリングの同床異夢 | Main | 復興は不幸の始まり? »