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May 2021

Sunday, May 30, 2021

自動ウン転の悲哀

1週間前のニュースです。

運転士が不在で新幹線3分走行 トイレで離席 JR東海:朝日新聞
運転士の体調不良は起こり得る話ですし、JR東海の内規では指令に通告して停止した上で離席してトイレを済ませることになっておりますが、運転士は運転士免許を持たない車掌を座らせ離席したということで、内規違反で処分を受けた訳です。

内規違反は問題ですが、さりとて過密ダイヤの東海道新幹線で指令に通告して列車を停めてトイレへという行動はとりにくいのも確かですし、恥ずかしさもあるでしょうし、遅れの原因を作ったことでの処分もあり得ます。そんな状況で指令に通告して列車を停めることができたかどうかは微妙なところです。その意味で乗務員の体調管理は重要ですが、自己責任を問うことには限界がありますし、企業としての対応も限界があります。解決策として運転士免許を保有する車掌を乗務させる方法がありますが、車掌全員という訳にはいきませんから、これも自ずから限界があります。

運転士の体調不良問題と言えば思い出されるのが山陽新幹線の居眠り事故です。2003年2月26日、山陽新幹線上り線岡山駅手前を150km/h走行中のひかり126号の運転士が10分間居眠りして26km走行し、ATCにより岡山駅に停止したものの、所定の停止位置より100m手前で停止したものです。この運転士は乗務前8時間の睡眠時間を確保していたものの、睡眠時無呼吸症候群により眠りが浅かったことから、居眠り運転に繋がったものです。

という訳で、安全上は問題はなかったものの、停止位置が100mもズレたように、ドライバー不在では正常運転はできない訳です。その点からすれば、今回の事態も直接安全を脅かすものではありませんが、仮に運転士離席中に死傷事故が起きれば、偶然であっても運転士の過失責任は問われることになります。刑事罰の可能性がある訳です。

とするとJR東日本が山手線で実現を目指すドライバレス自動運転はどうなるのだろうか?という疑問が湧きます。JR東日本では運転士と車掌の職制の違いをなくすとしており、山手線では唯一現存する駒込―田端間の踏切解消のめどが立ったことで、またコロナ禍でコストダウンの要請も強まることから前倒しの可能性もあります。仮にドライバレス自動運転中に死傷事故が起きた場合の責任の所在がどうなるかは法的にクリアにしておく必要があります。添乗する乗務員は責任の重さに鑑みればより好待遇の運転士側に寄せられるかどうかも問われます。

その意味で参考になるのが横浜市の金沢シーサイドラインの逆走事故のケースですが、逆走を検知できない保安装置のバグということで改修されました。当然事業者の横浜新都市交通に法人としての責任が問われます。シーサイドラインのような自動運転AGTの場合、通常は保安要員の添乗もなく、ドア扱いも含めて自動化されていて、指令所で遠隔監視する訳です。

中央リニアも一応ドライバレスですが、鋼索鉄道のような特殊鉄道に分類されるとはいえ、事故時の責任分担がどうなるかなど技術面以外にも課題はあります。山手線同様乗客係を兼ねた保安要員が添乗するとして、500km/h走行の列車を事故回避のために止める判断を迫られる訳ですし、総定員1,000人になる列車の緊急停止時の乗客誘導は困難を極めます。加えて言えば地上コイルも車上の超電導コイルも強力な磁場は発生させるものですから、消磁されていないと人体への影響もあります。そうした困難な現場判断を迫られる訳ですから、過酷な乗務になりそうです。ちなみに山梨実験線のL0系にトイレはありません。

だから鉄道の場合はドライバレスと言っても厳密には地上での遠隔監視がある訳で、相応の責任分担があります。また専用走行路を走り走行路上に障害物がないことを前提としております。故に公道走行を前提とする自動車の自動運転とは根本的に異なる訳ですが、自動車でもドライバレスのレベル5を目指す動きはあります。その為にGPSの精度向上と3Dマップの開発、車間通信による衝突回避などの要素技術の開発は目覚ましいものがありますが、事故時の責任分担など社会制度の見直しも問われます。

これ言ってみれば仮想的に走行路を管理することが求められる訳で、それを民間ベースの投資で実現することが果たして現実的に可能かどうかは微妙です。可能性があるとすればトラックやバス・タクシーなどの商用車のドライバー不足対策としての自動運転ならば、ドライバーの労働力投入を代替する資本装備の増強という側面で可能性があるかもしれないというものということになります。

加えて言えばコネクテッドカーとして走行データを吸い上げて付加サービスを販売するプラットフォーマーに収益機会が生まれる可能性はあります。但しこれはクルマを走る行動センサーにするという意味ですから、そんな車のオーナーは言ってみれば転がされて財布の中身をかすめ取られる存在になるということですね。下手すれば休日のドライブ先も車に教えられて誘導されるとか、オーナーの筈なのにクルマに使われることになります。

これ実際ウーバーイーツなどの外食デリバリーのワーカー達が早い者勝ちで仕事を取り合い、競合が多いほど低価格落札となる現状を見ると、まるでスマホに使われているような感じですね。てことでCASEと言われる100年に1度の自動車の技術革新の行き着く先は結構ディストピア感がありますね。ならば鉄道など公共交通への公的支援とのイコールフッティングを考える価値はあります。

元々資本装備率の高い鉄道ですが、同時に自動化しても労働集約的な要素は残りますから、雇用面では寧ろ望ましいかもしれません。思い当たるのは鉄道をバッサリ切り捨てた北海道では、少なからぬ鉄道関連の雇用が失われて地域の衰退が止まらない現実があります。一方妻子を交通事故で失った米バイデン大統領のインフラ投資が鉄道投資に傾いています。グリーンニューディールとの整合性もありますし。

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Sunday, May 23, 2021

コロナ終わりそうにないな

韓国の文在寅大統領と米バイデン大統領の首脳会談が行われました。日本に次ぐ2カ国目の直接会談ということでバイデン政権のアジア重視は鮮明です「中国から韓国を引き戻した」という新聞の見出しはちとミスリードかなと思います。冷戦時代の発想から抜けていないようです。寧ろこちらの方が重要です。

韓国の4兆円対米投資、供給網の中国外し加速:日本経済新聞
米バイデン政権の狙う中国デカップリングはあくまでもハイテク分野の中国外しでって、軍事的対峙は必ずしもメインではありません。勿論通信やサイバー分野での安全保障面野茂d内もありますが、寧ろ半導体など中国の生産能力が必ずしも強くないという意味で弱点を突く戦略ということができます。その意味で今や最先端技術は台湾と韓国が握っている訳で、それを米国内の生産拠点整備に利用することで国内雇用の創出を兼ねて台湾と韓国を自陣に取り込むことで間接的に中国に圧力をかけることを狙った訳です。主戦場はあくまでも経済という訳です。

一方で軍事面でもアジアシフトを進めますが、これも中国の軍備増強に対してバランスを取る以上の意味はありません。軍事的な封じ込めはコストがかかりますし。とはいえ結果的に中東関与が減っており、そのことが今回のイスラエルとパレスチナの紛争にも表れております。前エントリーで指摘したように、アメリカはイスラエルの自衛権を認めた上で、国連安保理の議案審議を止めて停戦を呼びかかたものの事態は動かず、結果的にエジプトの仲裁で和平が実現しました。またイスラエルもハマスも紛争を長期化させる気はなく、和平のきっかけが欲しかった訳で、ハマスは勝利宣言すらしています。

エジプトはイスラエルと国交があり、またイスラム同胞団と関連が深いハマスともパイプがある訳ですが、過去の紛争と異なりアメリカも国連安保理も機能しない中でエジプトの仲裁ということで、ある意味アメリカは顔に泥を塗られた訳です。軍事シフトの連座が働いた訳です。しかも紛争のきっかけは東エルサレムのユダヤ人入植によってパレスチナ人が土地を奪われ家を追われたことに対するハマスの報復です。

イスラエル国内法では合法ですが、国連安保理決議違反で日本を含め国際社会は反対しているのですがイスラエルは無視していて、またパレスチナ自治政府はイスラエルに対して弱腰で且つ汚職や腐敗がはびこり何もできず、パレスチナ人には不人気故にアッバス議長も任期がとっくに切れているのに選挙すれば負けるからと居座っている状況で、パレスチナ人の義憤をハマスが代弁する形でのロケット弾攻撃となった訳です。加えてラマダンで密集が心配とコロナ感染の恐れがあるとしてモスクにガサ入れした結果、自国民はワクチンで保護した一方パレスチナ人はコロナ感染を口実に容赦なく弾圧ですから、イスラム主義を標榜するハマスの怒りが爆発した訳です。、

一方イスラエルのネタニヤフ首相も汚職事件などでグダグダで組閣もままならずですが、対パレスチナ強硬策で人気を繋ぎ止めている現状があります。故にガザ地区からのロケット弾攻撃に素早くガザ空爆で反撃し、結果的に2百数十人のパレスチナ人犠牲者を出した一方、イスラエル人の犠牲者は8人という非対称な命の交換です。自国民には府早くワクチン接種を済ませた一方、モスクに集まるイスラム教徒をコロナ感染の心配を理由に段夏した訳ですからひどい話です。中国のおウイグルでもモスクの破壊があったと報じられ、アメリカは人権外交を言いますが、ダブルスタンダードですね。

てな具合にコロナ禍は世界の地政学的変化にも影響を与えている訳で、その意味でワクチン接種が進まない日本の現状はちとやばいですね。気になるのがこれまで欧米に比べて台湾や韓国など感染拡大を抑え込んだと言われてきたアジア地域で、感染拡大の勢いが増しており、東南アジアから日本に至る広範な地域で同じ傾向が見られえる点です。幸いなことに雨季に差し掛かり当面の感染拡大は抑制される可能性はありますが、逆に雨季が終わってからの感染拡大がかなり心配です。丁度五輪の時期が危ないと言えます。それでもやる気かい?

そしてインド株などの変異種が入ってきており、若年層の重症化など去年と異なる傾向も見えますし、秋冬の寒い乾季にはまたどうなるかわかりません。命が惜しけりゃ当分旅行は諦めた方がよさそうです。頼みの綱はワクチン接種ですが、それもいろいろありまして、さkを見通しにくい現状です。関連ユースです。

大規模接種でシステムに不備 架空番号でも予約可能:日本経済新聞
「架空予約けしからん」とか言って朝日と毎日に警告文送り付けた政府ですが、日経もやってますね。予約システムの不備を報じるのは公共性がありますし、早い時点で明らかになったことで結果的にシステム改修が決まったんですから、問題ありません。寧ろ防衛省の雑すぎる仕事ぶりの方が問題です。

自治体の接種券ナンバーの10桁は各自治体毎に独自にコーディングされており、それを照合することは無理なんですが、自治体コードのチェックと誤入力しても訂正できないバグなどは修正されたようですが、日経の記事にあるように、元々複雑化してシステムダウンすることを防ぎたかったということで簡便なシステムとしたというように防衛省自身は認識していた訳で、短期間のやっつけ仕事はろくな結果にならないというのはアベノマスクで懲りてないのかな。大規模接種も支持率回復になるという官邸官僚の入れ知恵らしいところまでそっくりです。

つまりコロナの集団免疫獲得による感染抑え込みにはまだ時間がかかりそうということですが、その結果運輸や観光関連の逆風は続きますが、21年3月期に大赤字を計上したANAとJALの大手航空2社の22年3月期の予想で、ANAは黒字予想している一方、JALは先が見えないとして予想の発表を見送りました。一方でANAが断念した中期経営計画をJALは発表しており、春秋航空を傘下に収めジェットスター、ジップエアとLCC3社を活用して本体のスリム化と大型機B777の退役などを打ち出しております。

この違い何処にあるかというと欠損に対してANAが借入金を増やして対応した一方、JALは公募増資で資本増強している違いが出たものです。株主還元が優先される昨今の株式市場での公募増資は珍しく、実際投資家が嫌って売りで株価が下がりましたが、資本増強で信用力を担保するのは事業会社としての本来の姿と言えます。一方借入金に頼ったANAは、税効果資産を計上して資本の棄損を防いだ訳ですが、その為に次年度の黒字転換必達の縛りを受ける訳ですy。

税効果資産というのは、法人企業の単年度の欠損を今の法律では最大10年繰り越せることを利用して、次年度以降の利益を控除して法人善課税を免れることから、これを税の割り戻しと見做して資本勘定に繰り入れる会計処理ですが、当然次年度の黒字が前提ですから、仮に赤字になれば取り崩しを余儀なくされます。これ悩ましいところですが、現在の不透明な先行きを前提に事業会社として安定的な経営を目指すならば、JAL方式の方が確実性があります。勿論中計で約束した成長戦略の実行が問われるという意味でより厳しい選択ではありますが。

その意味で気になるのが鉄道各社の対応でして、JR3社は揃って次年度の黒字見込みを発表しております。つまり借入金を増やして税効果資産を積んだ訳です。故に次年度黒字は必達となりますから、なりふり構わぬコストカットに走ることになります。その結果JR東日本横須賀線のE235系によるE217系置き換えが止まってますし、みどりの窓口の閉鎖や一部電化路線の電化設備撤去まで打ち出してますし、JR西日本に至って例えば小浜線の半減などはローカル線の大幅減便まで打ち出しています。ローカル線廃止は地元協議で1年かかるので次年度黒字に直接貢献できませんが、ただでさえ本数の少ないローカル線の大幅減便は利用者離れを招く結果、将来の廃止を呼び込むことにはなりそうです。

私鉄では西武HDのプリンスホテル売却や近鉄の都ホテル売却など資産の切り売りが中心のようですが、多数の関連事業を抱えている結果、売り物が多いのは確かですが、コロナ禍が長引いたときにどうするかは考えておいた方が良いでしょう。現状 Go To どころじゃないですし。

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Sunday, May 16, 2021

国民国家のサスティナビリティ

米NY株式市場の変調で揺さぶられた1週間でしたが、とりあえずインフレ懸念は後退し、値を戻しています。インフレ懸念で米長期金利が上昇したことが嫌気された結果、買い相場を支えた投資資金が利益確定売りに動いた結果ですが、その影響は世界を巡り、東京の日経平均も一時27.000円台まで下げました。しかし米雇用統計が予想より悪く、インフレ懸念が払拭されて上げに転じた訳で、経済的にポジティブな情報で値を下げネガティブな情報で値を上げる倒錯相場が鮮明です。

今回のインフレ懸念は米中デカップリング、スエズ運河座礁事故、テキサス大停電、ルネサスの工場火災と重なったサプライチェーン分断による半導体不足に加えて、ハッカーによる米石油パイプラインの停止もあり、コストプッシュ要因が重なったことが大きな要素です。賃金上昇を通じた需要拡大によるデマンドプルインフレと違って、コストプッシュインフレは持続性はない訳で、FRBは一時的なインフレとして市場を鎮める発言を繰り返しました。イエレン財務長官も同様の発言をしており結果その通りだった訳ですが、雇用重視でインフレファイターとしての中央銀行の役割は脇へ置かれています。

ただ順調に見えるバイデン政権ですが、イスラエルとパレスチナの紛争が影を落とします。対中軍事強化で中東が手薄になった結果ですし、イラン核合意への復帰に対してイスラエルが不信感を高めている一方、イランもイスラエルに接近する湾岸諸国への牽制としてハマスへの武器供与をしており、構図を複雑にしております。イラン核合意復帰を模索しながら国内向けに親イスラエルの姿勢を見せざるを得ないアメリカの苦しい立場が見えます。

パレスチナ国家を目指すパレスチナ人を含め、それぞれの立場での合理的な選択をしている訳ですが、それが不幸な結果しかもたらさないのが悩ましいところです。とはいえガザ地区のパレスチナ人の死者に対してイスラエルは死者1桁ですから、自衛権に基づく報復としても非対称な訳ですが、自国民の生命を守るという大義名分を声高に主張します。建国の経緯からアラブ世界に割り込む形になったこともあり過剰防衛の傾向は強いですね。その意味でイスラエルのワクチン接種のスピードは驚異的ですが、対象はユダヤ人のイスラエル国民であり、単純労働をパレスチナ人などのアラブ系住民に依存している現実は、国内の深刻な分断を示します。

これある意味アメリカの人種差別よりも厳しい現実な訳で、アメリカならば同じ国民としてワクチン接種も受けられる一方、イスラエルは自国民以外の出稼ぎ労働者までは面倒見る気なしってことですね。そういえばアメリカもイギリスも他国に先駆けてワクチン接種を加速し、その効果で制限緩和に動き、他国に先駆けて経済を回復させており、冒頭の米国株安の原因の一部になっています。しかしそのために自国民優先でワクチンの輸出制限をかけたことは既に指摘した通りです。国民国家のエゴ丸出しですね。

そしてワクチン製造能力を有しながらワクチンが行き渡らず、コロナ克服を宣言して制限解除した結果、感染爆発したインドですが、人口大国で且つカースト制の影響で必ずしも国民にワクチンが行き渡っていなかったんですね。かくしてインド株と呼ばれる変異種の出現を許し、より感染力を増したウイルスを世界に拡散させてしまいました。変異種の影響で感染爆発したのではなく、感染爆発が変異種を生み出したので誤解なきように。

その意味では中国の感染封じ込めは成功したと言えます。実際発生地の武漢株は既に淘汰されており、世界に拡散したのは欧州株などの変異種であることも知られております。中国製ワクチンは所謂不活化ワクチンで、有効性はmRNAワクチンのファイザーやモデルナのものと比べると劣りますがWHO基準は満たしております。但し生産能力の問題から粗悪品があると言われてはいますが。

結局強い規制で感染を封じ込めた中国がいち早く経済を復活させたことは確かです。欧米はもちろん、Go To で経済を回そうとして感染を拡大させた日本も含めて、初動の不徹底が尾を引いていることもまた確かです。100年前のスペイン風邪のときも同様でした。感染を抑え込むことが最大の経済対策なんですね。

中国絡みではウイグル問題が取り上げられる機会が増えましたが、香港のように警察による市民の弾圧や活動家の拘束や刑罰の厳格化などの情報が見えているところと違って、ウイグルに関しては極端に情報が少ないのが不思議です。日本を福ぬ外国企業の駐在員や報道関係者もいる筈ですし、100万人規模の強制収容所で強制労働を強いられているとすれば、いかに中国政府が報道統制を敷いていても、当事者の声が漏れてくる可能性を閉ざすことは困難な筈ですが、今のところ一部西側メディアの報道と国外のウイグル独立運動メンバーの発言以外に事実を示す情報が無いんですよね。独立運動も西側の保守陣営の支援を受けており、中立性は担保されていません。

一方BrexitでEU残留派の多いスコットランドの総選挙でスコットランド国民党(SNP)が多数となり、EU復帰含みの独立を問う住民投票の実施を政府に迫ってますが、ジョンソン種層は認めない方針です。また仮に独立したとしても、スペインのカタルーニャやベルギーのフラマンなど加盟校に独立運動を抱えるEUが加盟を認めるハードルは高いと言えます。寧ろEUとの関係で言えば北アイルランドで宗教紛争が再開しており、こちらの安定化の方が英EU双方にとっては喫緊の課題です。

中国のワクチン外交への対抗の意図でしょうけど、バイデン大統領は途上国三毛に特許権の一時停止を宣言しましたが、これにはドイツその他から反論され、製薬メーカーも異議を唱えます。確かにmRNAワクチンのような高度な技術は公開したところで途上国で生産するハードルは高いし、寧ろ低温輸送や保管などや医療リソースの脆弱性など別の問題もあり、特許権の停止よりも先進国で増産して輸出代金を割り引いたりデリバリーや医療の支援をする方が現実的というのも一理あります。中国レベルの経済大国でもワクチンの品質問題があるぐらいですし。

とはいえ製薬会社は増産で莫大な利益を得ることもまた確かですし、デリバリーや医療支援は公的資金で行われるとすれば、やはりすっきりしないところはあります。よく考えたらこれ気候変動問題と似た構図ですね。先進国は率先して意欲的な脱炭素目標を掲げて実現のために技術開発を行う一方、途上国に対しては経済成長容認と技術供与で支援するという形ですが、これを経済成長に結びつけることが意図されています。ワクチンと似た構図ですね。

ということで、ワクチン供与問題の妥当な解決ができるかどうかは、より困難な脱炭素目標の実現の試金石でもあるという訳です。コロナの克服が世界規模で出来なければ、脱炭素など夢のまた夢ってことですね。より踏み込んで言えばコロナ封じ込めのために経済を止めたように、経済を止めればCO2排出は確実に減らせる訳ですが、経済成長を求めながら排出も減らすという二兎を追う作戦ってことですね。SDGsってつまりコロナと共存しながら経済を回すという先進国が揃って陥った誤謬をそのまま踏襲することになります。

逆に後進国の立場からは、僅かばかりの援助と引き換えに先進国にとって好都合な管理された経済成長の容認という訳で、成長の果実が手元に残る可能性は低いと言えます。SDGsに埋め込まれた欺瞞です。一方経済大国でありながら途上国扱いの中国の良いとこ取りは許さないってのがバイデン政権の狙いではある訳で、厳しい脱炭素目標も順守を求める一方、途上国支援の資金は中国にも負担させようという狙いですね。

同時に製造業の空洞化に対してEVや再エネ投資や鉄道シフトを言意識したインフラ投資など、ある意味中国の直近の成功体験をなぞっている訳で、グローバルサプライチェーンのハブ機能を国内に呼び込み、以て国内に安定雇用を生み出そうという狙いですが、うまくいくかどうかはわかりません。JR東海が進めるテキサス高速鉄道にとってはチャンスかもしれませんが、こうした国家間のエゴ丸出しの姿勢では、結局コロナも気候も解決は覚束ないと見るべきでしょう。国民国家が地球を壊すというリアルを認めざるを得ないんじゃないでしょうか。

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Saturday, May 08, 2021

公共インフラの時間軸

2年続いて我慢のGWですが、去年のGW前のエントリーで、不要不急を控えてウンコ運べ(雑な要約^_^;)と記しました。去年はパチンコ店がやり玉に挙げられ、営業自粛させられた一方、一部店舗は営業継続して当局と対立する場面もありました。結局パチンコ店のクラスター感染は認められず、完全な冤罪だった訳ですが、今年は飲食店の自粛や酒類提供の禁止がやり玉に挙げられております。確かに飲食特にアルコール摂取を伴う場合の感染可能性は高いと言われますが、結局叩く相手を変えてやってる感出してるだけですね。しかも補償は無いし。

憲法第二十九条3項で「私有財産は、正当な補償の下、公共に用ひることができる。」とされており、コロナ感染抑え込みという「公共」のために営業自粛という形で私有財産を用いる(コントロールする)訳ですから、補償無しの自粛要請は憲法違反です。勿論正当な補償とはどういうものかは、別途法律で定める必要はありますが、それを行政の裁量だけでやろうとするから、百貨店の閉店で1日20万円とか頓珍漢なことが起きる訳です。「不要不急」は行政の責任回避フレーズです。

そして緊急事態宣言の解除か延長かという問いも去年と同じですが、感染者数も重症者数の病床使用率も去年より悪化している訳で、ホント1年間何も学習せずに国民の自粛に委ねる姿勢ばかりではコロナと戦えません。解除か延長かに関しては専門家の慎重意見を聞かず、国民への科学的に蓋然性の高い説明もなく、政治の恣意的判断ばかりが目につきます。

てことで暇だったんで踏切番エントリーで取り上げた京王線の連続立体化事業の進捗を確認してきました。密を避けながらですが、身の危険を伴う密には遭遇しませんでした。主に現在線南側で用地買収が進んでおり、場所によって工事予告の看板や重機が並ぶ作業ヤードは見られたものの、用地買収は途上です。手順としては用地買収を終えて仮線切替して現在線と撤去して跡地に高架橋本体を建設して仮線から切り替え、仮線跡地に環境側道整備ということになりますが、完成までは長い道のりです。

こうした大規模な公共事業の時間軸の長さは、特に東京のような大都市圏では用地確保から時間がかかる上、人口密集地での夜間工事は賛同を得られにくい上、騒音や振動の抑制や工事車両の出入りに関わる安全確保などの注文がつきます。加えて生産年齢人口減少で作業員の確保は年々難しくなります。予算が取れれば何とかなった時代はすでに過去のものということですね。幸い京王電鉄は自己資本比率3割超の鉄道業界でも高い信用力を持っており、また観光輸送の比率が低いこともあってコロナ禍の影響も軽微ということと、立体化が元々道路側の事業で基本事業費の14%+受益分に限られますから、投資として過大ということはない訳ですが。

但し時間軸の長さは別の問題をもたらす訳で、京王線の立体化では明大前駅や千歳烏山駅の副本線整備による輸送改善効果も狙っている訳で、過密ダイヤによるスローダウンや遅延の常態化で評判の良くない現状を改善できるとしても生産年齢人口の減少による通勤需要の縮小に加え、コロナ禍の影響で拡大しつつあるリモートワークの普及もマイナス要因です。つまり極端に言えば完成時にはそもそもラッシュ時の過密ダイヤも解消されていたという事態も有り得る訳です。それでも立体化による安全性の向上は意味がありますが。

という具合に公共インフラへの投資が難しくなっている現状がある訳で、先が見えない中での投資判断ということを意識する必要があります。加えて脱炭素の視点からの時間軸も忘れてはいけません。目標の欺瞞性はとりあえず目をつぶるとしても、2030年には2013年比46%のCO2排出削減という目標に対して整合的なのかという問いはある訳です。

工事期間中に鉄とセメントを大量投入し、重機や工事車両を動かすことによるCO2排出は明らかにマイナスですし、加えて完成後の削減効果もとりあえずは見込めません。それでも鉄道輸送サービスの質の向上で自動車から需要を移転させることができるなら良いですが、需要に任せて実現できる訳ではありません。脱炭素の観点からは、公共インフラ投資はかなり絞り込む必要があります。

この脱炭素の時間軸で見ると前エントリーで取り上げた中央リニアに更に不都合となります。工事期間中のCO2排出量は京王線立体化の比じゃない程多い上に、鉄軌道式の3倍と言われる超電導リニアの電力消費量を非化石燃料電源で賄えなければ排出拡大につながります。加えてコロナ禍でビジネス客の減少もあり得ます。

そしてJR東海が当初計画していた2027年名古屋開業2045年大阪開業も後ずれ確実ですから、これの意味するところは名古屋開業が30年以降へずれるとすると、その時点で46%削減が実現している必要がありますが、下手に開業にこぎつけると、寧ろ排出拡大につながってしまうというジレンマに陥ります。同様に大阪開業が50年を越えるとカーボンゼロの実現に水を指す可能性があるということですね。

逆に言えば脱炭素目標の時間軸がかなり無理目という見方も可能なんですが、目標として掲げた以上「できませんでした」では非難を浴びます。チマチマと小さな数字を積み上げるだけでは達成不可能なんですが、政府も企業もそこまでの覚悟があるとは見えません。

ただ欧米が脱炭素にシフトしており、特にカーボンプライシングの国境調整としての国境炭素税導入の機運が出てきており、排出量取引や炭素税といった制度を導入しない国からの輸入品に炭素排出量に見合った関税を課すという流れになってきております。電力や鉄鋼など排出量の多い業種を中心に財界が反対してきたカーボンプライシング導入は避けられそうにありません。そしてこれは公共インフラ投資に更にコスト負担を強いることになります。

そうした中脱炭素が困難と見られている航空分野でも、バッテリープレインや e-fel、水素エンジンなどの開発が始まっております。まだ先を見通せる状況ではありませんが、逆にコロナ禍で打撃を受けたことが過去との決別を容易にするという点は指摘できます。EVシフトが言われながら、内燃機関に特化した技術体系から抜け出せない自動車メーカーよりも変わり身は早いかもしれません。そしてエアラインにも動きがあります。

JAL、春秋航空日本を子会社化へ コロナ後の需要見据え:日本経済新聞
JALがLCCシフトを鮮明にしました。既にANAは地方路線中心に採算の厳しい路線を傘下のピーチに移管して本体のスリム化を図っておりますが、JALは豪カンタス航空と合弁のジェットスター・ジャパンと国際線LCCという新業態のジップエアの2社を抱えておりますが、ジェットスターは主に国内線と近距離交際線、ジップエアはアジアや米西海岸などの中長距離路線、春秋は中国の来日客狙いとそれぞれ役割分担し、併せて本体のスリム化をしようということですね。大型機B777は売却しB787など中小型機中心のラインアップとしており、ビジネス客の減少に対応しようということですね。

LCCは観光など新需要の掘り起こしが狙いという訳で、加えて非航空事業の拡大をうたっており、ANAが地方創生に乗り出すのと同様、自ら需要を創り出すことを狙い、コロナ後に備えようということですね。大幅減便でも雇用を維持してホテルなど他社へ出向させて凌いだ経験も生かせます。

航空大手2社が揃ってビジネス客の減少を織り込んだ事業計画を発表した訳で、そうなるとますます超電導リニアのマッチョな時代錯誤が目立ちます。

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Saturday, May 01, 2021

コロナでクエンチするリニア

サイドバーの川辺謙一氏の著書を読んで、予想以上の超電導リニアの技術的完成度の低さに驚きました。皮肉ですが、南アルプストンネル静岡工区を巡る静岡県との対立も、寧ろ時間稼ぎになるかもという皮肉な構図にさえ見えてしまいます。その辺も含めて、ある意味コロナ禍は中央リニアのプロジェクトを見直すチャンスでもある訳ですが、JR東海は情報開示に消極的ですし、メディアの動きも鈍いということで、現時点での見解をまとめておきます。

但し技術面での課題に関しては、川辺氏の著書に詳しく且つわかりやすくまとめられておりますので、ここでは繰り返しませんが、1つ超電導リニアの中核技術である超電導コイルのクエンチ現象には触れておきます。通常の鉄道であれば鉄車輪と鉄レールで支持、案内、走行の3つの機能を支えている訳で、19世紀以来の技術的蓄積のある枯れた成熟した技術ですが、リニアでは車載の超電導コイルで行うことになります。

超電導コイルにはクエンチと呼ばれる超電導現象が消失するトラブルがあって、既に実用化されているMRIやNMRといった超電導機器ではしばしば起こります。安定化対策はされているものの、発生確率をゼロにはできません。500km/h走行中に発生すれば列車の挙動が不安定化することは避けられません。実際国鉄時代の宮崎実践線ではクエンチに悩まされましたが、山梨実験線では公式には起きていないことになっています。

JR3社の最終赤字1兆円超 西日本は過去最大の2332億円:日本経済新聞
元々JR東海の財務面でのリニア事業の不透明性に疑問を抱いて、実現可能性は低いと考えておりましたので、コロナ禍の逆境の話から始めます。JR3社の赤字決算自体は予想されたことであり、昨年時点で赤字見込みは発表されておりましたが、JR東日本5,779億円、JR西日本2,332億円、JR東海2,015億円で3社合計1兆円超の大赤字となりました。

ただ中身は各社様々で、JR東日本はホテルやモノレールなどの関連事業で評価損が発生して減損処理により見込みより赤字拡大となりましたが、JR東海については赤字幅は微減しております。とはいえ米中デカップリングのエントリーで指摘したように、前期利益に対して凡そ6,000億円の減益です。JR東日本は関連事業の不振による評価損ですから、あくまでも帳簿上の赤字拡大なのに対し、運輸事業のウエートが高いJR東海は、実入りの減少ですから、より深刻と言えます。しかも東海道新幹線のウエートの高さもあります。ビジネスユースが多い東海道新幹線ですから、それでも山陽や東北など他の新幹線よりも利用の戻りはあるし、客単価が高く値引きの必要も薄いなど優位です。

またリース料の発生する整備新幹線と違って自前資産ですからその面での優位です。実際2020年10-12月期の四半期決算では黒字を計上しています。東京都の Go To 解禁で利用が戻った結果ですが、ほどなく感染拡大による年末年始の帰省自粛や年明けの金杞憂事態宣言再発出で赤字転落しています。コロナ禍が長期化すればよりダメージを受けるという意味でぜい弱な財務構造です。

一方でこのニュース。

JR東海、リニア総工費1.5兆円増 難工事対応、7兆円に:日本経済新聞
元々新幹線保有機構にリース料を払って旧国鉄債務償還の原資とするスキームに対して、株式上場を控えたJR東日本が東京証券取引所から主たる事業用資産が自己保有ではなくリースでは上場基準を満たすのが難しいという助言を受けて、東海と西日本に呼び掛けて新幹線買い取りを国に発議したのが始まりです。

それを受けて国は東海道、山陽、東北、上越の4新幹線を再取得価格法という時価法で評価しなおし、更に整備新幹線その他の鉄道整備財源として鉄道整備基金への拠出金を上乗せして25年ローンを組んでJR3社に課したうち、JR東海の負担分が5.1兆円ですが、これJR東海が中央リニアの名古屋までの自前建設を打ち出した時の事業費が同額で、当時2014年着工2025年開業というスケジュールを示しておりました。これつまり、東海道新幹線買い取りで発生する減価償却費をローン返済に充てる一方、ローン終了後はキャッシュフローの余剰が発生する訳です。それを投じればとりあえず名古屋までなら開業できるということで、加えて開業後の運輸収入の増加分で大阪延伸を図れば、総額9.1兆円でリニアを完成させることができるという計算が立つ訳です。資金繰りがつくから単独事業で可能ということですね。

その後当初中間駅設置費用の地元負担を自己負担したりして事業費は見直され、また名古屋開業も2年延期で2027年になりという風に変化はしていますが、資金面での基本的な事業のスキームは変わっておりません。安倍政権が決めた3兆円の財投資金投入は、JR東海の資金繰りを支援して大阪延伸を最大8年前倒しするというものです。この辺ちょっと入り組んでますが、現在総額9.3兆円、内名古屋まで5.5兆円で、財投の3兆円は融資ですから、最終的にはJR東海が全事業費を負担することになります。さて、ここで問題です。リニアの1.5兆円の事業費膨張は今後どんな影響をもたらすでしょうか?

さしあたって3兆円の財投資金がありますから、直ちに資金ショートは起きません。但し開業スケジュールは大きな狂いが生じます。2027年の名古屋開業は資金面からもほぼ絶望的です。はて、元々静岡工区の未着工で2027年の開業は絶望的ですから、実は当面さほど困らないのです。不思議ですね。しかし当然大阪延伸を繰り上げるための財投資金投入だった訳ですから、名古屋開業が決まらない以上大阪延伸はいつになるかわからない状況になります。但し据え置き期間3年を過ぎると利払いが発生しますが、現行の低金利下では大きな影響はないでしょう。

てことで開業スケジュールが流動化する訳ですが、それでも事業の見直しは難しく、開業時期か延び延びになって事業費も膨張を続けという具合になり、何のための事業かが曖昧になっていくということになります。この状況でコロナ禍が長引くとすると、おそらく長引くでしょうけど、JR東海の経営体力は急速に失われることになります。しかし財投資金投入で公的性格から事業の見直しは困難なので、JR東海のお荷物になるということになります。なまじ財投資金を入れたために、JR東海も引くに引けなくなってしまった訳です。

名古屋リニヤ談合だがやで指摘したように、財投資金投入したがために事業の公的性格を問われ談合事件として告発され一審判決は出ております。事件としては談合を問うには無理筋なんですが、大林組と清水建設は罪状を認め先に有罪判決を受けており、分離公判となった大成と鹿島にも有罪判決が出ています。

事件のあらましは大成建設を中心にゼネコン4社が希望する鉱区の工事受注を談合で決めたというものですが、難工事となるトンネル工事などでの発注者となる鉄道事業者とゼネコンとで入札前の技術的な打ち合わせはありますが、有罪の決め手となった証拠が、工区別の予定価格と受注希望を表にまとめた星取表と呼ばれるエクセルワークシートでして、大成建設の営業部長の示唆で大林組の営業員が作成したとされています。これ早い話ゼネコン同士の仲間割れなんですが、それを誘発したのが、上記のようなJR東海の厳しい予算管理の結果です。

しかし実際の工事で予想以上の難工事に加え、工事現場でのコロナのクラスター感染も起きて工事が止まり、静岡工区の未着工問題を抜きにしても2027年の開業スケジュールは無理な状況だった訳で、寧ろ静岡県を悪者にして工事の遅れの言い訳になるという倒錯した構図が見えてきます。財投資金投入の責任を政府もJR東海も問われないという意味で好都合ではあります。

となると、見えてくるのがいずれかの時点で静岡県の言い分を退けて着工することですが、これ成田や辺野古などで繰り返されたことと同じです。加えて言えばそれが本来はJR東海という1民間企業の事業に対して、国が関与したばかりに起きることになります。その結果ただでさえ難工事が予想される静岡工区の着工はますます工事の遅れの原因になり、終わりの見えない工事が延々続く事態です。尾張名古屋は遠い^_^;。

純民間投資ならば株主が異議申し立てするでしょうから、いずれ事業の見直しに進む可能性はありますが、なまじ国策となっているがために、コーポレートガバナンスが働かない可能性があります。海外原発事業でコケた東芝がそうですが、不正経理で損失を隠して迷走し、上場維持のために内外の投資ファンドに増資を引き受けてもらった結果、その投資ファンドに翻弄されているばかりか、その1つのCVCキャピタル・パートナーズ出身の車谷社長の保身のためのバイアウト提案までされて醜態をさらしています。キオクシア(旧東芝メモリー)という金の成る木を持ている点も東海道新幹線を持つJR東海と似ています。

一方コロナが長引けばJR東海の収益構造を確実に弱らせます。またリモート会議が普及して出張自体が減るとすれば、ただでさえ生産年齢人口の減少でビジネス需要の減少が見込まれる訳ですから、コロナを口実にリニア事業の中止する決断は不可能ではありません。しかしそうはならないでしょう。JR東海はとんでもない重荷を背負ったかもしれません。

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