掘ったイモいじるな?
とりとめのないこと書きます。
北朝鮮「鉄道車両からミサイル」 800キロ飛行と主張:日本経済新聞人里離れた緑深い山奥の鉄道線でトンネル出たところから鉄道車両からのミサイル発射ということで、これ日本のミサイル防衛を無力化します。発射地点が特定できなければ迎撃は困難ですし、発射の兆候を捉えるのも困難です。ミサイル防衛ったって国内やグアム島の米軍基地が標的でしょうから、元々日本の国土や国民を守るより米軍基地を守る性格が強いのに、日本の防衛費使って高い買い物させられていてそれすら無力化となると次の手は?どう転んでもアメリカの軍産複合体を喜ばせることに変わりはないでしょうけど。
仏ナバル、豪潜水艦建造を中止 米英の原潜配備支援で:日本経済新聞そしてオーストラリアもカモられる。元々日仏で争ってフランスが落札した豪潜水艦建造計画を横取り。しかも原潜にグレードアップしている訳で、お値段もそれなりと推察されます。確かに中国への牽制にはなるでしょうし、台湾政府は歓迎の意を示してますが、一方インドネシアが懸念を表明するなど寧ろ東南アジア諸国が圧を感じています。そして収まらないのがフランス。
仏、駐米・駐豪の2大使召還 豪の潜水艦計画変更に抗議:日本経済新聞同盟重視と言いながら黙って裏切るエグい対応はバイデン政権でも軍産複合体のコントロールがうまくいっていないってことでしょう。大量破壊兵器開発という嘘の情報でイラク開戦したように、アメリカの文民統制に疑義が見られます。台湾有事もアメリカが仕掛ける可能性があるということになります。しかし米国内では日本が親台湾に姿勢をシフトして対中国強硬姿勢に転じたという報道もあり、日本の姿勢がダシに使われる可能性は警戒しておくべきでしょう。
一方中国は悠然と我が道を行きます。来年1月発効が決まったRCEPで目障りなインドが土壇場で離脱したお陰で、米中デカップリングに苦しむ中国の影響力を発揮しやすくなりますし、勢いに乗ってTPP加盟まで打ち出してます。これ中国は大真面目で、元々米ドル覇権に対抗すべく人民元の国際化を模索してきた中で構造改革を進め国有企業への補助金も減らすなどはしてきている訳で、また関税撤廃も即時ではなくある程度時間の猶予がありますから、交渉の余地はあります。TPPが通商協定である以上条件を満たすかどうかの審査を行って判断することが求められ政治的理由での排除は問題になります。
そして経済の内需シフトにブレーキがかかっていることもあります。これ半分は意図的なもので、アントフィナンシャルグループの上場取り消しあたりから民間企業への政府の介入が続いていますが、銀行の事業領域を侵すならば規制されること自体はやむを得ません。ジャック・マー氏が習近平氏を批判したからというのは皮相的で、おそらく上場審査の過程でBIS規制もあるし当局から銀行免許の取得を打診されていてアントが渋ったというプロセスがあってのマー氏の「BIS規制は時代遅れ」発言に繋がったと推論されます。そりゃ無理筋だわ。
また規制強化はIT企業に留まらず配車アプリの滴滴出行(ディディ)の米NY市場上場を止めたりとか、教育費高騰対策として学習塾の規制とか様々な分野に及びます。ディディに関しては米市場上場による情報漏洩を問題視したようですし、学習塾は教育費の高騰が少子化をもたらしたと批判されています。加えて不動産価格の高騰があり、中国恒大の問題が表面化しております。同社は不動産担保で調達した資金で様々な事業に投資して急成長した会社で、あたかも日本のバブル期の投資過熱を地でいくような事業展開ですが、政府の不動産融資規制で資金繰りが滞り存廃の瀬戸際に追い込まれました。日本のバブル退治とそっくりの展開です。
中国恒大だけでリーマン級の危機に至る心配はありませんが、どうなるかは中国政府次第で、今のところ買掛金の支払いに建設中物件の現物引き渡しなどで自主廃業を模索しているようで政府の支援はなさそうです。ただし2兆円相当の社債を海外勢が引き受けており、これがデフォルトに至ると中国の同業の不動産会社への投資が引き上げられる可能性があり、そうなるとインパクトの大きい経済ショックの可能性も否定できません。
グローバリゼーションの申し子として高成長を謳歌してきた中国のこの豹変ぶりはマルクス主義的歴史観のテンプレートで補助線を引くとわかります。プロレタリア革命は資本主義が高度に発展して矛盾が糊塗できなくなって起きるとされてますが、実際にはロシアも中国も資本主義が未成熟な状態で革命が起き、特に中国は工業化も不十分で極貧状態だったから、鄧小平が改革開放路線で資本主義を始めた結果豊かにはなったけれど、貧富の格差が拡大し資本主義的な矛盾に修正を迫られたので、これからは社会主義で行くということですね。所謂プロレタリア独裁で資本主義的な諸関係を見直すことが必要ということで政策をシフトしたということですね。
中国は既に1億人の富裕層がいる一方、年収2千ドルレベルの貧困層が6億人というアンバランスです。残りの7億人は所謂新中間層と言われる5千ドル~2万ドルの新興国中間層に相当し、彼らの上昇志向と消費性向の高さが高成長のエンジンになっている訳ですが、それが大手IT企業その他の大手民間企業の台頭で、上位の富裕層が固定化されて所謂チャイナドリームが消滅しかかっているということで、中国政府の政策シフトは数の上ではマジョリティである中間層の支持を得てはいる訳です。この視点から見れば富裕層の多い香港をいつまでも特別扱いする訳にはいかないし、ウイグルのように遅れた地域は共産党の強い指導で経済を浮揚させる必要があるということですね。勿論だからと言って人権侵害が正当化される訳ではありませんが。
その中国で何故か日本の自民党総裁選がメディアを賑わせています。考えてみれば中国共産党のトップ人事は中国国内ではニュースバリューが大きい訳ですから、その類推で自民党総裁選を見ているということでしょう。但し誰が選ばれても対中強硬路線は変わらないだろうという冷静な視点も失っていない訳ですが、二階幹事長の処遇が注目されているようです。田中角栄氏以来の中国とのパイプということで注目されているようです。自民党と日本国の関係は実は中国共産党が参考にしており、天安門事件は軍隊で制圧したから非難されたので、香港は警察による制圧に留めてセーフといった相場感がありそうです。そうか、自民党と中国共産党は似た者同士か。
あと管首相の総裁選不出馬を受けて日経平均3万円台に乗せた東京市場ですが、この異変に驚いたのが米金融筋。元々NY市場のサブ市場としてしか見ていなかった東京市場の株価上昇でポジションの見直しを迫られました。上昇を続けるNY株価の下落時のリスクヘッジとして東京市場先物で売りポジションを取っててきた訳です。それが東京市場の独歩高で慌ててポジション調整した結果、東京市場をさらに押し上げる結果となった訳です。勿論一過性の変化ですから事後的には調整されてぬか喜びの3万円台になるでしょう。最後にこれ。
米中物流、海上運賃6倍に 急速な経済回復/コロナ再拡大 長引く目詰まり:日本経済新聞コロナ禍の影響は世界の港湾に大きな傷跡を残しています。ロックダウンで貿易が止まり港湾に滞貨がたまり、また検疫のためにコンテナ船が沖合待機させられており、コンテナ貨物船の稼働率が下がる一方経済再開で輸送需要は逼迫し海上運賃が6倍に高騰している状況です。つまり国境を越えるグローバルサプライチェーンは動きが鈍る訳で、この状況で経済政策を打てばさらに滞貨が増えて経済が回らなくなる訳です。トヨタなど自動車メーカーの減産は半導体不足だけの問題ではなくなってきている訳です。
逆に付加価値が高く軽量な半導体は航空便が使える訳で、船便の滞貨の一方で航空便は好調で、旺盛な需要にこたえるため旅客便の客席に積んで輸送るようなことも行われております。乗客が激減した国際線エアラインにとっては思わぬ副収入という訳です。つまり当面海上物流の状況が改善する見込みは立たない訳で、敢えて経済再開を急ぐと寧ろ生産が抑制され経済成長を押し下げることになる訳ですね。また海上運賃の高騰はただでさえ原材料費の値上がりと円安で製造業を苦しめることになりますから、外需依存のアベノミクスを続ける理由はなくなります。それより経営が厳しい鉄道事業者への支援策を本気で考えないと運賃値上げで国内消費を冷やすことにもなりかねません。非常事態には政府の関与が必要です。
コロナが落ち着いたら旅行を考えている人は多いと思いますが、値上げとどっちが早いか。今の政府のコロナ対策を見る限り希望は持てません。今何時?掘ったイモいじるな?
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